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ENDER

孤高のシネマティック・ポストロック、その美しき旋律が壮大なる情景を映し出す

AP_ENDER

現在、隆盛を誇るラウドロック・シーンの契機となったのは90年代末期のスクリーモという新たなジャンルの誕生だった。FACTと共にその礎を築き、日本で初のスクリーモバンドと称されるレジェンド的存在、NEW STARTING OVER。その元メンバーを中心にGUN DOGやLoにFAITHといったバンドの猛者たちが集結して結成されたのが、ENDERだ。全員が共通して持つポストハードコアという音楽的バックボーンにホラーテイストを融合させることで、他に類を見ない独自の世界観を生み出した。人間の魂の重さを表す『21g』と題された1stアルバムから、孤高なるシネマティック・ポストロックバンドの至高を目指す旅が始まっていく。

 

 

●元々DOIGEさんとPEKIさんは大阪でNEW STARTING OVERとして活動されていたわけですが、解散はいつ頃だったんですか?

PEKI:2007年くらいなんですけど、正式には発表していないですね。フェードアウト形式を取ったと思います(笑)。

DOIGE:そういう美学みたいなものを持っていて…。

●どんな美学ですか(笑)。

DOIGE:ちゃんと発表もなく、フェードアウト的に消えていくっていう…バンドってそんなものじゃないですか?

PEKI:おい、嘘はつくなよ。

一同:ハハハハハ(爆笑)

●「バンドとは儚く消えていくものだ」みたいなカッコ良いことを言いましたけど(笑)。

DOIGE:実際、今作にもM-19「Fading」っていう曲がありますからね。(音源を)聴いてもらってもわかるように、アート的な雰囲気もあって。やっぱり他人とは違うところは目指しているし、ありきたりじゃ絶対ダメだと思うんですよ。

TATSUYA:“嘘をつく”っていうのも、他人とは違うところですからね(笑)。

●結局は嘘なのか…(笑)。NEW STARTING OVERとしては2005年を最後にリリースもなかったですよね。

PEKI:デモを録ったりはしていたんですけどね。次を作ろうかという話も出つつ、スローペースで曲作りをしている中でモチベーションが上がらなくて…。メンバー間でも色々とあったし、「やめようか」という話になったんです。

●その時点で次にやりたい音楽のビジョンは見えていたんですか?

DOIGE:NEW STARTING OVERでデモを作っている段階から、こういった(今に通じる)路線もありかなと思っていたんですよ。モロに“スクリーモ”という感じで二番煎じなことをやるよりも、やっぱりオンリーワンでありたいなと。そこでENDERになってから、ホラーテイストを取り入れていったんです。

●具体的にENDERというバンドの方向性が固まったのはいつ頃?

PEKI:それはこのメンバーが揃ってからですね。

●現在のメンバー編成になったのは、2011年夏ということですが。

TATSUYA:NEW STARTING OVERをやめてから2人は上京してきて、2010年にはENDERを始めていたんです。僕はその頃からライブをよく観に行っていたんですけど、当時はまだギターがサポートメンバーでイメージの共有が上手くいっていなかったみたいで。それで2011年夏に「一緒にやろうか」となりました。

PEKI:TATSUYAが前にやっていたFAITHとはレーベルが一緒だったというのもあって、前のバンドではよく一緒にライブもしていたんですよ。ちょうどENDERでデモを録ると決めていた時だったので、よくライブを観に来てくれていたTATSUYAをスタジオに誘ったんです。

●そこから方向性も固まっていった?

DOIGE:NEW STARTING OVERの頃から、自分の作る旋律とホラーテイストは絶対にマッチするだろうなと思っていたんですよ。でもホラーテイストと言っても具体的にどういう路線で行くかということを話し合った時に、ティム・バートンの映画(※『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『コープスブライド』など)みたいな雰囲気が良いということになって。そういう雰囲気の曲を作ってみたら僕の作るメロディともマッチしたので、「この路線で行ったら面白いかもな」と。そこから始まって、今のENDERがあるという感じです。

●ホラーテイストは最初から前提にあったと。

PEKI:バンドにわかりやすいカラーを付けたいなという気持ちが、結成当初からあったんですよ。ぼんやりとしたイメージのままで行くよりも、何かコンセプトが欲しいとは話していて。その中で出てきたのが、ホラーテイストだったんです。

TATSUYA:メンバー全員ホラー映画が好きやから「それで良いんちゃう」って(笑)。

●そこが共通点としてあった。

PEKI:僕だけジャンルが違うんですけど(笑)。

TATSUYA:呪いのほうやからな(笑)。

DOIGE:TATSUYAはゴースト系が好きで、僕はゴシックホラー系で『死霊のはらわた』や『悪魔のいけにえ』が大好きやったんです。僕の中で、映像と音楽というものはすごくリンクしているんですよ。特に『アザーズ』という映画が好きなんですけど、その映像のバックで流れているような音楽を自分も作りたいなという想いが昔からあって。そんなイメージを今のメンバーでどれだけ具象化できるかというところが、大きなコンセプトになっています。

●M-9「Tubular Bells」(映画『エクソシスト』より)は、そういうルーツが垣間見えますね。

DOIGE:モロにそういう感じですよね(笑)。

PEKI:あと、この曲なら誰でも知っているというのもあって。せっかくカバーを入れるのに、誰もわからないような曲をやっても仕方ないから。そういう意味で、この曲が一番キャッチーかなと。

●誰でも一度は聴いたことがあるはずですからね。この曲もそうですが、今作『21g』は全体的に不気味な感じが漂っている気がします。

DOIGE:ありきたりなものじゃない、おどろおどろしさや不気味な感じを出していきたいんです。あとはホラーの中でも、ちょっと憂いがあるような感じというか。ただ怖いだけじゃなくて、そのバックグラウンドには実は切ない逸話があって…みたいな作品が好きで。

PEKI:実際、今作の音もそういう感じになっていますからね。

●このメンバーだからこそ、目指すイメージを形にできた部分もあるのでは?

DOIGE:そうですね。苦労はしましたけど…。

TATSUYA:DOIGEの家に行って「どんな曲を作ってるねん?」っていう感じで、まず聴かせてもらって。「それ、絶対使える!」っていうものを選んで、その1欠片から曲を作っていったりもしましたね。

●一緒に作っていったと。

DOIGE:NEW STARTING OVERの時とは、曲の作り方が全然違うんですよ。今はそれぞれが持ち寄った曲をスタジオで合わせて、みんなでああだこうだ言いながらアレンジしたものの上にメロディを乗せていくという形なんです。

●苦労したところとは?

DOIGE:メンバー間ではイメージの共有をある程度はできているんですけど、それを他人に伝えるにはどうすれば良いかというところで色々と考えて。最初はそこでかなり苦労しましたね。

TATSUYA:なにせお手本にするような音楽がないですからね。

●良いかどうかを判断する基準がない。

DOIGE:「これで良いのかな?」と思いながらやっていたんですけど、maximum10のディレクターに曲を聴いてもらったら「メチャクチャ良い!」と言ってもらえて。そこで自信を持てたのは大きかったですね。

●今回の収録曲は、maximum10でのリリースが決まってから作っていったんですか?

PEKI:いや、メンバーが揃ってからリリースまでに時間がかかっているのもあって、制作期間はだいぶ長かったんですよ。だからこの1枚の中でもつい最近できた曲もあれば、2年くらい前にできた曲もあって。次にアルバムを出すとなったらそこに向けて一気に作ると思うけど、今回はそういう作品とはちょっと違うんです。

●作曲した時期は違えど、作品全体を通して一貫したストーリー性や雰囲気を感じます。

PEKI:1つ1つの曲に関してアルバムの中での役割を考えながら作ったわけじゃないんですけど、曲の並びとしてはそういう部分も意識しましたね。

TATSUYA:ある程度は全体の流れを決めて、そこに足りないものを後から作っていった感じですね。ストーリーのつなぎ方に関しては、最後まで考えました。

●曲順について、こだわったと。

PEKI:M-1「[Prologue]」からのM-2「Misery」で始まって、M-21「Hope」で終わるというのは最初から決まっていました。その間をどういう流れにするかということで、曲順を考えていった感じですね。

●曲間に挟まれている“interlude”には、情景を想起させるような音が入っていますよね。

DOIGE:まさしくそういう狙いです。

TATSUYA:歌詞とかも含めて、狙っているところはありますね。次の曲への架け橋みたいな感じというか。

PEKI:基本的には前後の曲をつなぐ形になっています。元々、映画を意識したようなBGM的なものは曲間に欲しいなという話をしていて。それを「このへんかな」というところに入れていきました。

●アルバムタイトルの『21g』というのは、どういう意味で?

DOIGE:タイトルは(収録曲が)21曲というのにかけていて。あと、21gというのは人間の魂の重さと言われているんですよ。

PEKI:そういう映画(『21グラム』)もありましたからね。

●曲の中でもそういうテーマを歌っている?

DOIGE:このタイトルはATのアイデアなんですけど、たまたま良い感じに重なったんですよ。人の死について歌っている曲が多いので、魂の重さというところと上手くリンクするなと。

PEKI:どの曲にも大枠のテーマとして“生死”みたいなものがあるので、そういう括りにしたという感じですね。

●ATさんはどこからこのタイトルが浮かんだんですか?

AT:元々は「Hope」について曲のイメージをDOIGEから伝えられて、「何か良いタイトルはないか?」と相談されたところからなんです。映画やホラーが題材になっている曲が多いのでいくつか映画の題名を挙げる中で、『21グラム』も出てきて。その時に“21グラム”という言葉の意味を伝えたらDOIGEが気に入ったんですけど、結果的に「Hope」という曲名に決まったので使いどころがないままだったんですよ。今回「アルバムタイトルをどうしようか?」となった時に再び候補に挙がって、全体のテーマとも合っていたのでこれに決まったという流れですね。

●作品のテーマにも上手くハマった。しかし21曲というのはかなりのボリュームですよね…。

DOIGE:今時、珍しいですよね(笑)。

TATSUYA:しかも「Hope」なんて6分半くらいありますからね。

●MV曲なのに「長っ!」っていう(笑)。

DOIGE:普通はMV曲だと、3分半くらいに抑えますよね(笑)。そういった意味でも、全てを裏切っていきたいなという精神がものすごくあるんですよ。

●今作はそんなENDERにしか作れない作品になっている。

DOIGE:他人と同じことをするくらいなら、音楽をやめたほうが良いと思うんですよ。結果的に他のバンドには真似できないようなアルバムが作れたので、すごく満足していますね。

●今回でバンドとして1つの叩き台となるものを作れた感じでしょうか?

AT:今のメンバーで見えたことをやって、この形になったというのはすごく良かったと思います。

PEKI:でも次はまた全然違う方向に行くと思うんですよ。今作もまだ自分たちとしては“過程”という感じなので、もっともっとオリジナリティを出していきたいなと思っていて。今作とは対照的な1枚を作ってみたいですね。まだまだ想像できる範疇にあると思うので、そこを超えたものをやっていきたい。

DOIGE:やっぱり「まだまだやな」という感覚はあって。イメージが固まりつつはあるけど、まだぼんやりしているというか。他とは全然違うバンドになっていきたいなと思っています。

●まだまだこれから可能性は広がっていく。

TATSUYA:今作の中でも新しめの曲は今までと向き合い方を変えて作ったりしたので、楽曲の幅は広がってきているんですよ。

AT:昔から自分の中では、二次元のものを三次元で表現したいという気持ちがすごくあって。それがこのバンドになって具現化したというか、そこに近付いている感じがするんですよ。ライブでは視覚が加わることによって、二次元のものが三次元に聞こえたり感じられたりするというのもこのバンドの良さだと思っているんです。だからCDを聴いたらライブにも来てもらって、その人たちの中で(今作が)どういう広がりを見せるかというのが楽しみですね。

Interview:IMAI

 

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