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Drop’s

“鬱屈とした気持ち”を過去のものにし、前に踏み出そうとする高らかな宣言

PHOTO_Drops

 

2011年7月、メンバーが高校3年生のときに1stミニアルバム『Drop's』でCDデビューしたDrop's。軽音楽部で出会った5人で結成されたバンドは、その年齢と全員女性という編成からは想像がつかないほど強烈なロックンロールを鳴らし、観る者に衝撃を与えるとともに多くのロックファンを魅了してきた。

The Birthdayに代表される骨太なロックに憧れた中野が起点となって生み出されるその楽曲は、彼女たちが鬱屈とした気持ちを吐き出すための唯一の方法だった。ロックの洗礼を受けた中野が他のメンバーを惹き込み、Drop'sは2010年代の稀有なバンドとしてシーンに登場したのだ。

“男子三日会わざれば刮目して見よ”という諺ではないが、CDデビュー以後のDrop'sはライブを重ねるごとに目覚ましい成長を遂げてきた。高校の修学旅行で行った京都で憧れの地・磔磔を訪れたという彼女らの強烈な初期衝動は、活動の中で1つ1つ具現化され、より骨太なライブバンドへと自らを成長させた。

2013年にリリースした2ndミニアルバム『LOOKING FOR』に収録されている「赤い花」は、そんなDrop'sの心境的な成長が伺える楽曲だ。それまでの内向的なベクトルではなく、5人でライブをすることの純粋な楽しさがきっかけとなって生み出された同曲は、バンドに大きな変化をもたらした。同曲をライブで演奏することにより、よりメンバーとの繋がりを強くし、信頼関係が強まったが故に、中野はステージ上で外に気持ちを向けるようになった。その変化は中野だけではなく他のメンバーも同様で、5人が5人それぞれの個性を色濃く出すようになったライブは、いつまでもその音に浸っていたいと思わせる中毒性と、その場でしか味わうことができない刹那的な魅力を帯びるようになった。

2013年9月にリリースされた1stフルアルバム『DAWN SIGNALS』では、そんなバンドの変化がメロディやアレンジから伺うことができる。ライブハウスでよりたくさんの人と気持ちを通じ合わせ、時間を共有するために“開かれた”楽曲。憧れ続けたロックンロールは、いつしかDrop'sのものになっていた。

1stアルバム『DAWN SIGNALS』のツアーは、それまでの経験を活かしつつ、より自由度が増したステージを魅せつけた。ストイックに音をぶつけるソリッド感やブルージーなグルーヴ、ロックンロールの衝動的なアンサンブルはもちろんのこと、その人柄や性格が音から伝わってくるライブ。笑顔で骨太なロックンロールを体現するDrop’sにしかできない表現に、その場に居合わせた全員が惹き込まれていった。転がり続けている者のみが享受できるロックンロールの“愛”を胸に抱きつつ、5人は自らの音を鳴らし始めたのだ。

Drop'sの最新作1st EP『コール・ミー』は、それまでのバンドの歩みの延長線上にあるのは当然のことながら、今まで以上にキャッチーで“開けた”メロディの表題曲「コール・ミー」が印象的だ。スタンダードなロックサウンドと、随所にメンバーの個性が見え隠れするキラキラしたアレンジ、そしてサビの大きなメロディ。そこには、当初のDrop'sに散見された“鬱屈とした気持ち”を過去のものにし、前に踏み出そうとする確かな意志を感じ取ることができる。同曲は既にライブでも披露済みだが、この曲を演奏しているときの5人の晴れ晴れとした表情を観ると、彼女たちの更なる成長を実感出来るだろう。

今作はもちろん今までのDrop'sも健在で、骨太くも軽快なミドルナンバー「C・O・F・F・E・E・E」は、若い女性だけのバンドが鳴らしているとは思えないほどの味わい深さを持っている。アレンジの随所から音を心から楽しもうという気持ちが伺える同曲は、そのライブに最高の色どりを添えるに違いない。

更に特筆すべきは荒井由実のカヴァー「卒業写真」。今までのDrop'sを知っている身からすれば、ポップなメロディを歌う中野や、歌を中心に置いたシンプルなアレンジはとても新鮮なのだが、シンプルであればあるほど、素材が持つポテンシャルの高さを実感できる。今後Drop'sがどのような楽曲を作ったとしても、きっとみずみずしく響くことを確信するカヴァーなのだ。中野は同曲で“あなたは私の 青春そのもの”と歌っているが、ロックンロールに憧れてバンドを始め、憧れのまま青春時代を過ごしてきた5人が、変化を恐れずに自分にしかできないことへ挑戦しようとしている今のDrop'sの姿とその歌詞が重なって見えるのは偶然なのだろうか。

5人のこれからへの期待が大きく高まる1st EP『コール・ミー』。今後のDrop'sがとても楽しみだ。

TEXT:Takeshi.Yamanaka

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