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見田村千晴

歌い続ける理由がひとつひとつ積み重なっていく

見田村千晴2ndメイン・アー写ミニアルバム『ビギナーズ・ラック』で昨年9月にメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター、見田村千晴。キレイごとだけではなく、人間の弱さや醜さに向き合った上で強く優しく歌い上げる彼女の歌は着実に支持を広げ続けている。そんな言葉と音をより研ぎ澄まし、新たに生み出した全7曲を収めた新作ミニアルバムはさらなる飛躍を予感させる1枚だ。

 

 

●前作のミニアルバム『ビギナーズ・ラック』でメジャーデビューを果たしたことで、反響は感じていますか?

見田村:そこに入っていた「悲しくなることばかりだ」という曲に対して、現代社会への批判やメッセージみたいな捉えられ方があって。私としては半径3mくらいの本当に身近なことを歌っているだけなので、色々な伝わり方があるんだなと思ったりはしましたね。

●ただ自分が思ったことを素直に表現しただけというか。

見田村:それでも良いんだと思えたし、自分のことを知れてきたんだと思います。映画を観たり、本を読んだり、ラジオを聴いたりするのが好きなんですけど、そういうところで自分が引っかかるものの共通点を集めていく内に自分がわかってくるというか。自分は“こういうものが好きで、こういうことに違和感を感じるんだな”というのがここ数年でだんだんわかってきて。

●自分を客観視できるようになった。

見田村:元々、私は“何でもできていたい”という気持ちがあって。色んな曲を書きたいし、どんな曲でも歌えると思って欲しかったというか。たとえばインディー初期の作品で曲調がバラバラだったのは、自分が何をしたいのかが定まっていなかったということだと思うんですよ。

●今はそこが定まってきている。

見田村:自分にできることやできないこと、言えることや言えないことというのが見えてきたかなと思います。

●本当に思っていることしか歌っていないから、リアルに響くわけですよね。

見田村:でもリアルさを意識してやれるほど、器用でもないんです。歌詞を書くことで、自分自身も救われる部分があって。聴いてくれた人が自分の中でうまく言葉にできなくてモヤモヤした感じの正体が「これだったんだ」とわかって、ちょっとでも安心してもらえたら良いなとは思いますけど。そういうのはちょっと意識しています。

●今回は自分の嫌な部分や弱さにも目を向けた歌詞が特徴的かなと。

見田村:そういうところって自分で見ないとわからないし、自分のことって一番わからないものだから。コンプレックスはどうしても切り離せないものだし、「だからダメなんだ」と言うのもカッコ悪い。感情的にじゃなく、客観的に「今こうだから、こうなんだな」とか考えることはすごく大事だと思うんですよ。

●そういうものを歌にできている。

見田村:できているのかどうかはわからないですけど、きっと私が生きていく上でそういう感じなんでしょうね。

●曲によっては映画のワンシーンのような情景を描いた歌詞もありますよね。

見田村:そういう映像や画が浮かぶことはよくあって。自分の中に浮かんでいる画を、的確に表現できる言葉を探している感じです。あとは感情だったり、言葉にできないものを言葉にしようとしたりもするし、歌詞の書き方は色々ですね。

●M-1「レプリカ」の“ビンのふたが開けられなくて泣いた あんたなんか何もできないって言われた気がして泣いた”という切り口が面白いと思いました。

見田村:実際にビンのふたが開けられなくて泣いたりはしないんですけど、それですごく情けなくなったことはあって。そういう人間の滑稽さや弱さ、チグハグな部分を見つけたりするのが好きですね。他の人にも見えているんだけど、どうでもいい情報としてすぐに落としていくようなものに実は意味があったりするから。そういうところは拾っていきたいと思っています。

●M-3「もう一度会ってはくれませんか」のサビになっている『寝そべった夕暮れを切り裂いてバスはゆく』を今作のタイトルにした理由は?

見田村:単純にそのフレーズが好きだったというのもあるし、夕暮れのように一瞬で移り変わっていくものって儚いなと。そういう見落としがちな何かと何かの間だったり、心の微妙な揺れとかを見落とさずに切り取って書いている曲たちかなと思って。できあがったものを客観的に見た時に、そう感じたんです。

●今作を作り上げた今、どんな感覚ですか?

見田村:前作も合わせて、ちょっとずつ自分が安心してきているというか。曲を書くことで安心できたり、聴いてもらうことで安心したりするんです。自分は“ここにいて良いんだ”とか“歌っていて良いんだ”と思える。“歌が好きだから歌いたい”っていう自己中心的な理由で歌い始めたんですけど、後から理由を作ってくれている感じがすごくあって。ちょっとずつ足場を作ってくれているなというのは感じています。

●だから歌い続けられる。

見田村:自分が音楽をやっていく理由が1つ1つ積み重なっている感じですね。自分のためだけだったらすぐにでも辞められるけど、でも辞めないし、辞めたくない。そういう気持ちもちょっとずつ作っていってもらっている感じがします。

●ライブでの反応も大きく影響するのでは?

見田村:CDを作った時点じゃなくて、聴いてもらった人の顔を見て完成するところがあって。ライブって、そういうところで成り立つから。だからこそ厳しいというか難しいし、面白さもある。思っていたのとは違う反応もあれば、その逆もあるし、何年もやることで良さがどんどん出てきたりするのも面白いですね。ずっとチャレンジし続けたいなと思っています。

Interview:IMAI
Assistant:馬渡司

 

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