音楽メディア・フリーマガジン

AIR SWELL

“他にはないもの”を追求して辿り着いた黄金比。

AIR SWELL アー写今ホットなシーンのど真ん中で躍進を続け、6/4にその名の通りの意欲作『All Lead Tracks』を世に放つAIR SWELL。本作は活況なシーンにあっても埋もれないキャッチーさとオリジナリティーを併せ持った楽曲が詰まっている。彼らが長年活動する上で変わらずに貫かれた制作スタイルは、磨きに磨かれ、ひとつの黄金比を導き出した。

 

 

●結成は何年目くらいですか?

hamaken:今のメンバーになって10年近いですね。

●去年は『THE ART OF PSYCHO』(前作ミニアルバム)をリリースして、スプリット・アルバム『BONEDS』への参加もありましたけど、その中で成長の実感はあった?

hamaken:リスナーの反応も良くなって、ライブのスキルの高い人達と対バンする機会も増えて、だんだん良くなっている感覚はありましたね。前までは、いっぱいお客さんがいても「本当にこの人達は自分たちを見に来てくれたのかな?」っていう感覚もあったし、「自分たちがライブをする時になったら会場がスカスカになっているんじゃないかな」とか思っていて。今の環境でライブができるようになったのはここ数年で、やっと最近慣れてきた感がありますね。

●そういう実感がある中で、楽曲制作をする時に周りに触発されて曲を作ったりする部分はあります?

hamaken:それはあまりないです。バンドで演奏している自分と曲を作っている時の自分が2種類いる感じというか。ライブをしている時はバンドマンな感覚で、曲を書いている時はクリエイターとしてのこだわりというかスタイルが見えているんです。それは昔から変わっていないかもしれないですね。曲を作る時は「他にないものを」っていう感覚で。そこを一番気にして作りますね。

●自分のスタイルがあると。

hamaken:もともと洋楽が好きで、バンドで洋楽ライクな音楽をやっていたんです。でも洋楽か洋楽ライクなバンドがいたら、自分は洋楽を聴くよなって思ってしまって。それが「自分らにしかないもので勝負したい」っていう気持ちにだんだん変わってきたんです。そういう意味では今やっている音楽は、自分らにしかできないことをやっていると思います。

●今作は『All Lead Tracks』。“全曲A面”ということですが。

hamaken:音源をリリースをしてツアーをまわった時に、ライブではリード曲が盛り上がるんですよね。それはありがたいことなんですけど、あまりにもリード曲で盛り上がるから「他にも良い曲があるんだけどな」とか思ったんですよ(笑)。そんな気持ちが強くあったというか。

●音源を聴いて、歌詞の強烈なdisが印象的でした。

hamaken:そこが自分の中のパンクな要素だと思っていて。でも、頭ごなしにdisりまくるわけではなくて、ちょっと面白さがあるというか。disにしても「死ね!」みたいな感じっていうよりは、ちょっとおちょくった感じ。悪ガキが舌を出してベ〜ッてやっている感じのニュアンスの歌詞が俺の中のパンクなんです。

●M-4「バイバイゲロメタル feat.taama(ROACH)」もそういうイメージ?

hamaken:だって「バイバイゲロメタル」ですよ(笑)。

●確かにネーミングが悪ガキのノリですね(笑)。これは実話だったりする?

hamaken:実話です。嘘は書かない、歌わないと決めているので。

●宣戦布告的な意味合いもあるんですか?

hamaken:いや、「とりあえず言ってやれ」みたいな(笑)。

●M-2「savage」もそういうdisの要素が強いですよね。

hamaken:どちらかというと「バイバイゲロメタル」より「savage」の方がガチなdisですね。

●hamakenさんが感じるリアルな心境?

hamaken:リアルな心境を書いています。俺の中のイメージでは「空を飛んだことのない鳥かごの中しか知らない鳥がいっぱいいて、鍵も扉も全部開いているのにずっと鳥かごの中でピーピー鳴いている」っていうような感じの歌詞を書いたんです。だから「1回空を飛んでみてから言ってみろよ」っていう。そういう歌詞ですね。

●「savage」の曲調自体はキャッチーだけど癖があるような印象ですね。

hamaken:そこは「savage」に限らず、曲を書く上での一番のテーマですね。俺はキャッチーな曲を書くことは簡単だと思っていて。例えばよくあるコード進行を使えば、よっぽどセンスのないメロディーメーカーじゃなければ良い曲にはなるんですよ。でも「よくあるよね」っていう曲ができてしまう。

●たしかに。

hamaken:逆にオリジナリティのある曲を作ることも簡単だと思っていて、自分の中にある引き出しを片っ端から開けて複雑にすれば勝手にオリジナリティーになるじゃないですか。でもキャッチーさはなくなると思っていて。僕はキャッチーでありながらオリジナリティーがある曲を作りたいって常に思っているんです。「savage」がその黄金比という感じですね。

●そのバランスが上手く取れていると。

hamaken:そうですね。

●これからもそのスタイルは変わらない?

hamaken:作曲に関してはこれからもずっと変わらないんじゃないかな。事細かに説明したら、黄金比とかオリジナリティーとかっていう話になりますけど。簡単に言ったら、ただ自分のやりたいことをやっているだけっていう本当に単純なことなんです。今回の音源で自分の中の黄金比はひとつ追求できた手応えがあったから、次は初心に帰って、グッドメロディーのアップテンポなロックを書いてみようかなっていう感覚ではいますね。

Interview:馬渡司

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