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ドブロク

100年後の未来まで、すべてはドブロクに身を委ねればいい。

ドブロクアーティスト写真今年結成16年、日本が生んだ破壊的現場至上主義ロックバンド、ドブロク。田中が紡ぎ出す日本刀のような切れ味鋭い言葉、ハラダイスと佐々木が生み出す極上のグルーヴが相まって、唯一無二の存在へと自らを昇華させたアルバム『Do the EMO!!!!』が完成した。レコーディングエンジニアに鈴木鉄也氏を迎え、数々のゲストミュージシャンが参加した12曲は、聴いた者の孫の代まで突き刺さる、エッヂィかつリアルな2014年のブルース。Do Break!! Do the EMO!!!! 過剰なセンチメンタルやtoo muchな感傷は要らない。100年後の未来まで、すべてはドブロクに身を委ねればいい。

 

「100年後に全然ドブロクのことを知らない人が手に取っても聴けるような音楽を作りたいと本気で思っていて。10年先、20年先、100年先まで残るものがいいよなって」

●そういえばドブロクは、JUNGLE★LIFEの100号記念にリリースしたV.A.『100PROOF』(2006年5月リリース)に参加していただきましたよね。

田中:あ! そうだ!

ハラダイス(以下、ハラダ):懐かしいですね〜。

●で、このインタビューが掲載されるのが199号…ちょっと惜しいですね。100号ぶりに登場だったらかっこよかったのに。

3人:なんかすみません。

●当時に比べると、いちばん大きな違いは佐々木さんが加入されたということで。

佐々木:はい。2009年に加入したんです。

田中:前のドラムが2006年の10月に抜けて、1年くらいは俺とハラダの2人でやっていたんです。で、新しいドラムを入れようとうことになって、たくさんの人と合わせたりしたんですよ。その中にさっさん(佐々木)もいたんですけど、そこで「一緒にやろう」と。

佐々木:それまで、俺はいろんなバンドやミュージシャンのサポートをしていたんです。もともと、特定のバンドに入ってオリジナルをやるつもりはなくて。

ハラダ:バンドもそうだし、女性のシンガーの後ろで叩いたりしてたよね。いろんなところで。

佐々木:うん。

ハラダ:だから加入当初は、すごく当たり障りのないドラム叩いてたよね。

●ドブロクの田中さんとハラダさんは非常に個性的なミュージシャンだと思うんですよ。ミュージシャンというより“表現者”みたいな。想像するに、そこに三角形の1つとして加入するのは結構なことだと思うんですが…。

佐々木:そりゃあもう大変でした。それまでの経験とは全然違ったので。でもそれが楽しかったんですよ。“なんだこれは?”みたいな。当時、俺はドブロクと仲がいい松崎ナオちゃんというシンガーソングライターのサポートもしていたんです。その流れがあったから入りやすかったというのもあって。でも戸惑いばかりでした。未だに発見だらけなんですよ。最近やっとクセがわかってきた感じです。この2人は予想がつかない。

●予想がつかない(笑)。

ハラダ:ようやく口論が減ってきた感じだよね。最初は合わなかったな〜。まあそれがおもしろいんだけど。

●たくさんの人と合わせた中で、佐々木さんに決めたのはどういう理由だったんですか?

田中:人間性が合ったという感じなんです。自然に一緒にやれそうな。何しろ俺は“一生出来る人がいい”と思っていたから。

●一生一緒に?

田中:「いてくれや」って言いました。

佐々木:「バンドに入ったら家族やで」って言われました。「いろいろあるけど家族やで」って。

●ハハハハ(笑)。

田中:だから1〜2年で完璧な3人組にならなくても別にいいと思っていたんです。一緒に少しずつ積み上げていけばいいなと思える人間だった。候補としては他にすごいプレイヤーもいたけど、でもさっさんがいちばんピンときた。

●今「一生出来る人がいい」とおっしゃいましたけど、ドブロクは以前メジャーレコード会社のレーベルに所属していたじゃないですか。そことの契約が切れた後も、メンバーが変わっても、16年間ずっとドブロクを続けている。ライフスタイルになっているということでしょうか?

田中:そうですね。決して売れているわけじゃないけど、だから続けられているような気がします。全然満足してないから。

●確かにドブロクの音楽の根底には“満足してない”というマインドがありますね。

田中:日々いろんな発見もあるし、次に新しい作品を作るときもまた新しい発見があるだろうなっていう予感があるし。そういう単純な気持ちで活動をやっているんですよね。

●「一生続けるつもりだ」と言えることがいいですよね。そういうバンドが鳴らす音楽は信頼できる。今回のアルバム『Do the EMO!!!!』は、2011年7月に出したアルバム『ドブクルーズ』以来のリリースとなりますが、歌のテイストが変わりましたよね。以前の田中さんの歌は、和っぽい要素が強くて、哀愁というかわびさびのあるメロディと歌いまわしが特徴的だったんですけど、今作はラップというか、もはや歌ではない感じがする。その場で思いついたことを即興で言葉にしている感じ。

田中:普通に歌うことに飽きたんですよね。

●飽きたって(笑)。結構いい曲多かったのに。

田中:そうなんですよ(笑)。でも“もっと違う感じもあるじゃん”と思って。普通にAメロBメロがあってサビがある、みたいな普通の作り方じゃなくて、もっと別の歌があるんじゃないかと。こうやってしゃべっているだけでも歌になるだろうし、その言葉じりを合わせればリズムになるだろうし。

●ほう。

田中:そこに抑揚をつければもうそれは歌なんだよなと。そこに演奏がつけば曲になる。前作『ドブクルーズ』辺りからちょっと作り方を変えたんです。

●もはや“生きていること”が歌になると。

田中:そこまでは言わない(笑)。そんなかっこいい言い方はしない(笑)。

●言えよ!

一同:アハハハ(笑)。

田中:僕は言葉をたくさん考えるのが好きなんです。常に思いついた言葉を書いているネタみたいなものがあるんですけど、それは今までのメロディだと収まらないんです。

●詩集みたいな?

田中:そうそう。詩集っていうと恥ずかしいけど(笑)、その書いている言葉を自由に表現したいという意味で、曲を崩した方がいいなと。

●“歌”というフォーマットに左右されず、自分のインスピレーションを忠実に表現したいと。

田中:そういうことです。その方がたくさん言葉を入れることができるし、たくさん遊べる。でも今度はそういうものがあった上で、ちゃんとしたメロディの曲を作ると、それはそれで新鮮なんですよね。今のようなスタイルは、いい作用があるなと思います。

●サウンド面では、決してラップの雰囲気に合わせているわけではないですもんね。曲はどういう感じで作っているんですか?

田中:3人でワンフレーズをひたすらまわすんです。ベースで始まることが多いんですけど、ひたすら同じフレーズを繰り返して、そこで僕が“いけそうだな”と思ったらポエム調の言葉を出す。

佐々木:セッションっていうかね。

ハラダ:曲が出来上がるまでには時間がかかるけど、1週間くらいやれば表情が見えてくるよね。

佐々木:無くなったりもするけど(笑)。

●そうやって形になったものが今回のアルバムになったのか。1曲が出来るまでに時間かかりそう。

田中:だから3年かかったのかもしれないです。曲がある程度形になったら、それが完成していなくてもライブでやるんですよ。“ライブでやる”ということの意味が僕はすごくあると思っていて。10年前に作った完成度の高い曲をライブでやるよりも、まだ7割しか出来ていないけど昨日生まれたばかりの曲をやりたい。そういうものの爆発力とか生命力って絶対にあるから、それをライブでやる意味は絶対にあると思うんです。しくじったりもするけど、そのリスクよりも、生まれたばかりの曲が持つ迫力の方が大きいから。

●ああ〜。

田中:曲の完成度が高まっていくにつれて爆発力は弱まっていくんですよね。その爆発力を補うために、よりいい演奏をしようとなる。そういう考え方ですね。

佐々木:そこが最初はすごく戸惑いました。「え? あの曲ライブでやるの?」っていう。「こんな低い完成度で?」って。

●ハハハ(笑)。

ハラダ:その場で生まれるアドリブみたいなものがすごくいいんですよ。

●今回PVになっているM-2「ファンタジスタ・インダハウス」は、ラップっぽい独特な歌と、メロディアスで懐かしい匂いのするサウンドがおもしろい曲ですが、この曲はどうやって作ったんですか?

ハラダ:もともとはもっとゆっくりでHIP HOPでした。でも「ゆっくりもハマるんだけど、もうちょっとスピードを出そうか」となって。ヤンチャしたくて。

田中:今回、アルバムとして強いものを作りたかったんです。意志のあるもの。センチメンタルが過剰なものとか、ナヨっとしたもの、too muchな感傷が嫌で。

●それは世間に対して?

田中:それもあるし、ともすれば僕もそっち寄りの人間なので。例えば「エモい」ってみんな言うじゃないですか。僕もたまに言っちゃうんだけど、そういう自分が嫌だと思うところもあって、だったら逆にアルバムタイトルで『Do the EMO!!!!』と言っちゃえ、みたいな。今なら「だっちゅーの!」って言ってもいいだろ? みたいな。

●ハハハハ(笑)。センチメンタルが過剰な雰囲気が嫌だと。

田中:嫌ですね。すごく虚しくなる。

ハラダ:ちょっとおしっこ行っていいですか?

●あ、どうぞ。

ハラダ:インタビュー中にすみません(とトイレに立つ)。

田中:世の中にはひとりぼっちがたくさんいるんですよね。僕もそうだし。知ってます? 大学生とこないだしゃべってたんですけど、最近の大学生はトイレでお昼ごはんを食べるらしいんですよ。

●あ、聞いたことあります。

田中:理由を訊いたら「ひとりぼっちで食堂で食べている姿を見られるのが恥ずかしい」って。えー? ってびっくりして。

●ちなみに、大学生とそういう話をする機会がなぜあったんですか?

田中:バイト先です。

●ハハハハ(笑)。

田中:“それどうなの?”って思うんです。本当に信じられなくて。なんでひとりぼっちの時間を大切に出来ないんだろう? って。恥ずかしがる理由がわからなくて。寂しさは理解できるけど、その寂しさがあるから誰かと会ったときの楽しさがあるハズなのに。

ハラダ:すみませんでした(トイレから戻ってくる)。

田中:ひとりぼっちであることを隠して、「本当は友達たくさんいますよ」と装っている。そういうところをどうにかしたかった。怒りですね。

●ああ〜、今作の言葉は“怒り”がスタート地点になっているのか。

田中:怒りがスタート地点の歌詞は多いですね。

●確かに今作の歌は、鋭くてヒリヒリした気分を感じる。ギラギラしているというか。一方で、音楽的にはダンサブルで、キラキラした雰囲気が溢れている。その中に、ちょっと昭和っぽいポップさや懐かしさもあったりして、それがすごくいい味になっているというか。

佐々木:確かにそういう雰囲気は自然に出ちゃうかも。

ハラダ:最新のパキッと洗練されたものは目指していなかったかもね。自分たちがやれる範囲でシュッとしたものにしたつもりだけど、テレビで観るバンドのPVとか観ると、本当にシュッとしてるもんね。自分たちもそれをやりたいか? というと、ちょっと違っていて。

●さっき「一生バンドをやっていきたい」という話がありましたけど、時代に左右されないものを作りたいという意識がある?

田中:あ、そうかもしれないです。最新型は古くなるんですよ。だから最新型は嫌なんです。100年後に全然ドブロクのことを知らない人が手に取っても聴けるような音楽を作りたいと本気で思っていて。10年先、20年先、100年先まで残るものがいいよなって、シンプルにそう思います。

●そういうところを目指して曲を作る。

田中:そうなんだよなぁ。まあそれはバンドをやっている意味にも近いんですよ。それこそ「死ぬまで一緒にバンドをやろう」ということに繋がるんです。「FUJI ROCK FES.出るぞ!」とか「武道館でやるぞ!」みたいな目標もいいんだけど、僕はもっと長いスパンで考えたい。バンドとか音楽と付き合っていきたいと思うんですよね。

●かっこいいな。

田中:一生バンドを続けたいと言っても、例えば今作った曲が10年後20年後に演奏できなくなってもいいんです。気持ちがずっと残ればいい。10年後に今作を聴いたとき、「あのときはこういう気持ちで作ってたな」とちゃんと地続きで繋がっているのが理想なんです。

interview:Takeshi.Yamanaka

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