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Drop’s

多くの人の心に響き渡る次世代のロックンロール

PHOTO_DropsMAIN2011年7月にリリースした1stミニアルバム『Drop's』以来、初期衝動のままにブルースやロックンロールを色濃く出した楽曲とストイックなライブで注目を集めてきたDrop's。これまでを彼女たちの第一章とするならば、経験の中で自我を芽生えさせ、やがて自分たちにしかできない表現へと辿り着いた2ndフルアルバム『HELLO』は、Drop's第二章の幕開けと言える。憧れを憧れのまま終わらせるのではなく、自分たちの中に取り込んで昇華させたDrop'sによる次世代のロックンロール。今回はVo./G.中野ミホに2ndフルアルバム『HELLO』に込めた想いと大人になっていく彼女たちの心境の変化を訊いた。

 

 

INTERVIEW #1
「怒りというか、反抗的な気持ちもあるんですけど、そういう気持ちも全部ひっくるめてもう一歩強いところに行きたいというか、先に目線を向けて書けた」

●バンドの変化として、精神的にも音楽的にも徐々に開いてきている経緯がありますよね。過去のインタビューでも中野さんはそう言っていたし、今作のライナーノーツにも「以前よりも、よりPOPで、明るくて」と書いていて。

中野:はい。もっとたくさんの人に聴いて欲しくて、やっぱりメジャーデビューをして、いろんな人に聴いてもらえる可能性がより増えたと思うんです。協力してくれる人もとても増えたし。なので、その立場にいるからにはもっと届けやすいものをやる責任があるんじゃないかなと勝手に思い始めて。

●人から言われたわけではないけど、徐々に自分が変わってきた?

中野:そうですね。

●デビュー前と比べて気持ちは違います?

中野:あの頃は、自分のモヤモヤを吐き出せればいいと思っていたんです。もちろん今も、自分たちが楽しいと思えることしかやっていないという部分は変わっていないんです。でも前は、もっと自分のことしか考えてなかった。そういう部分が何か変わってきたかなと思います。

●そういう心境の変化は具体的に音楽にも表れていますよね。作品を出すごとにPOPな要素が増えてきたと思うんです。前作『DAWN SIGNALS』を出した後、何か実感というか手応えがあったんですか?

中野:「太陽」(『DAWN SIGNALS』収録曲)という曲が、その時の自分たちにしたら挑戦だったんです。ライブをやっているときの“楽しい”という気持ちがきっかけになった曲で。そういう気持ちを形にするのは挑戦だったけど、それが受け入れられた感じがあったんです。

●“楽しい”という想いを音楽に出すのは、戸惑いがあった?

中野:私だけじゃなくてメンバーも含めて“大丈夫かな?”と思っていたんです。でも受け入れられたというか。

●それまではブルースとかロックンロールなどの影響が色濃く出た音楽性でしたもんね。色でいうと黒、みたいな。

中野:悪い意味で「POPになっちゃった」とか言われるのかな? みたいに心配していた部分があって。でも逆にそのおかげで「太陽」から知ってくれた人もいっぱいいただろうし。その曲をライブでもたくさんやって、自分たち的にも気持ちのいい曲になっていったので、そこですごく自信がついたんです。

●もともとDrop'sは、中野さん自身のモヤモヤを曲で吐き出していたわけじゃないですか。そのモヤモヤは今もあるんですか?

中野:そうですね。変わらないところは変わらないと思います。でもそれが全部じゃなくなった感じ。

●昔はモヤモヤだけだった。

中野:もちろん普段の生活でハッピーな事もあったんです。でもモヤモヤがないと曲が書けないというか。そういう負の部分しか曲にならないって言ったら言い過ぎかもしれないですけど、そういう風に思っていたんですよね。

●負の感情の方がエネルギーがあるというか、ロックという音楽に近づけやすいと思っていた。

中野:言葉にしやすかったというか、歌にしやすかった感じがあって。それに伴って曲もそういう感じになっていたし。でもそれだけじゃないかなって思いました。

●今回2ndアルバム『HELLO』がリリースとなるわけですが、いつぐらいから制作に入ったんですか?

中野:けっこう前からあった曲もあるんですけど、全部『DAWN SIGNALS』を出した以降ですね。M-2「コール・ミー」を作ったのは今年の2月の末くらいかな。最初にどういうアルバムにしようという風に作り始めたわけではなくて、でき上がったらこういうアルバムになったという感じです。

●「コール・ミー」は5月に出したEPの表題曲ですけど、最近作った曲なんですね。

中野:アルバムの前にEPを出そうということになって、その表題曲にする曲を作ろうと思ったのがきっかけなんです。「コール・ミー」を作る前にM-12「星の恋人」はもう完成していて、私はそれがEPの表題曲になるだろうと勝手に思っていたんですけど、それじゃないという話になりまして(笑)。

●スタッフサイドの意向もあったと(笑)。

中野:じゃあもっといい意味でのPOPなものを作ろうと思ったんです。「コール・ミー」はメロディとかサビの頭とかをすごく考えて作りました。

●なるほど。

中野:そこで“POPってなんだろう?”と考えたんです。私は70年代くらいの日本の歌謡曲…そのメロディや歌詞に普遍的に残るものがすごくあるなと思っていて。そういう要素を上手く取り入れてDrop'sで鳴らせたら、それは自分たちなりのポップソングになるかなと。

●確かに「コール・ミー」のメロディは歌謡曲に通じるキャッチーさがありますね。というか、歌謡曲といえばEP『コール・ミー』のカップリングには「卒業写真」のカヴァーが収録されていましたよね。

中野:そうですね。ずっと好きだったんです。でも今まで、自分がやるDrop'sの音楽とは結びついてはなかったんです。

●歌謡曲って、どの辺が好きなんですか?

中野:山口百恵さんとかジュリーさんとか…ユーミンさんは石橋がすごく好きなんですよ。石橋に教えてもらって好きになって。私は時々弾き語りでライブをやっているんですけど、そこでユーミンさんの他の曲のカヴァーもやっていたんです。それで去年のDrop'sのワンマンのときに「カバー曲があったらいいんじゃないか」とみんなで話して。「メンバーみんなが知っている曲の方がいいよね」っていうことで「卒業写真」にしたんです。それをEPにも収録して。

●そういう布石がある中で、Drop'sは少しずつPOPな方向性も見出してきたんですよね。デビューから知っている身としては『HELLO』というアルバムがM-1「ハロー」という曲で幕を開けること自体にびっくりして、更にM-13「かもめのBaby」というとてもPOPな曲でアルバムを締め括っていることにまたびっくりして。「かもめのBaby」は新境地ですよね。

中野:「かもめのBaby」のきっかけは、こういうリズムがやりたくて作ったんです。作ったのは「コール・ミー」より後で、ほぼアルバム制作の最後だったんです。いい意味での軽さっていうか、最初からこのリズムだったんですけど、もともとマイナーコードで作ったんです。そこから「POPな明るいコードでやってみよう」という話になって、実際にやってみたらすごく楽しかった。

●「太陽」は挑戦だったという話がありましたけど、こういうPOPな曲は挑戦なんですか?

中野:前はそうだったんですけど、最近はそうでもなくて。最近は自然とメロディを意識して曲を作るようになったし、メンバーと合わせて作るときも自然にPOPな曲ができるようになってきたんです。だからもう抵抗はなくなっていると思います。

●しかも歌詞は“愛をさがすよ”と歌っている。

中野:ちょっと開き直ったというか。「かもめのBaby」の歌詞は怒りというか、反抗的な気持ちもあるんですけど、そういう気持ちも全部ひっくるめてもう一歩強いところに行きたいというか、先に目線を向けて書けたんです。

●受け入れることの強さというか。

中野:そうですね。受け入れた上での自分の思う愛を歌う。そういうポジティブなものが見える曲になったと思います。

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INTERVIEW #2
「独りよがりじゃなくなったというか、誰か聴く人がいるっていうこと、誰かに与えられるかもしれない立場にいるっていうことも頭にはありました」

●今作の歌詞を見て思ったんですけど、比喩が面白い表現が多いなと。それも色に関することがけっこう多くて。

中野:あ、そうですか。

●例えば“白い声”とか“銀色の冷たさ”、“キャンディ色”みたいな、色では例えられないようなものを色で表現したりとか。そういう比喩表現で色を使うケースもあれば、実際に情景描写として色を使っていたり。M-4「DRY DRIVE」とか特にそうなんですけど“青いロウソク”、“白い帽子”、“緑のアイシャドウ”…カラフルな景色というか、状況が浮かぶ表現が多いと感じたんですよね。

中野:色は使っちゃうかもしれないですね。全部数えたらめっちゃ多そうですね(笑)。

●たぶん多いでしょうね(笑)。

中野:癖かな(笑)。

●色だけじゃなくて、ニュアンスが伝わる表現というか。例えばM-11「行方」の“やさしい春”とか。ひとつの事象を表現するにしても、そこに含みや奥行きを持たせているから情緒がある。

中野:歌詞については、景色とか歩いていて見えるものとかから言葉を思い浮かべるんです。曲ができてから書くこともありますし、普段のメモを歌詞にすることもあるんです。

●POPになってきているバンドのベクトルと比例して、歌詞の内容もあまりギラギラしてないですよね。直接的な刺々しさはなくなっている印象がある。

中野:確かに直接的ではなくなっているかもしれないです。“悲しい”とか“楽しい”とか、そのまま言うっていうよりは、情景だったり、それこそ色かもしれないですし、そういう言葉を通して表現するようになったのかもしれない。意識している部分と無意識的にそうしている部分があるんですけど、直接言ったら粋じゃないって思うんです。

●美学みたいなもの?

中野:それもありますし、自分のただのこだわりみたいなところ。

●でもさっき言っていた、昔の歌謡曲ってそういう表現が多いですよね。

中野:そうですね。はっぴいえんどとか、松本隆さんとか。“降る雨はすみれ色”(大滝詠一/雨のウェンズデイ)とか。そういうのってすごく素敵だなと思うんですよね。前作以降、この1年くらいでそういう意識がだんだん強くなってきたんです。だから歌詞の表現とか言葉選びは、そういうところからの影響があるかもしれないです。

●なるほど。メンバーに「歌詞変わってきたね」とか言われるんですか?

中野:言われないです。あの人たち、歌詞のことは何も言わない(笑)。

●例えば荒谷さんが作曲した「DRY DRIVE」についても何も言わないんですか?

中野:言わないですね。逆に歌詞を書くために「どういうイメージで作った曲なの?」って訊いても「いや、別に…」みたいな(笑)。

●ハハハ(笑)。確か前に荒谷さんが作った曲についても、そんなこと言ってましたよね。

中野:前と一緒です(笑)。メロディも私が書いているから。

●さっきも言いましたけど、「DRY DRIVE」はけっこうカラフルな言葉が多いですよね。サウンドから膨らませたんですか?

中野:荒谷が作った曲なので、歌詞の最初の方では荒谷のことを歌ったりしているんです。

●“かわいたハート あのこが鳴らす エレキギターは車みたいな音”…確かに(笑)。彼女がモチーフになっているのか。

中野:大人になっていく感じをカラッと書こうと思って。

●あとM-5「アイスクリーム・シアター」なんですけど、バンドとかロックの遊びの部分が形になっているような曲ですよね。

中野:「アイスクリーム・シアター」という言葉は、3月に東京で企画ライブをしたんですけど、そのタイトルが“アイスクリーム・シアター”だったんです。ただそのタイトルを曲にしたっていうだけなんです(笑)。

●深い意味はないという(笑)。でも音楽はそういう側面もありますもんね。

中野:ライブでみんなで言える部分のある曲があってもいいかなと思って、この曲は本当に“単純に楽しい”っていうところを大事に作りました。

●その話を聞いて思ったんですけど、今までの中野さんの曲には中野さん1人しかいなかったような気がするんです。でも今作は、人とつながるというか、そのために生み出された音楽。ちょっと違って来ているような気がしますね。

中野:そうですね。独りよがりじゃなくなったというか、誰か聴く人がいるっていうこと、誰かに与えられるかもしれない立場にいるっていうことも頭にはありました。

●前のインタビューでおっしゃっていましたよね。「The Birthdayのライブを観た後、自分はいろんなものを与えられたけど、まだ自分が与える側にはなれない。でも与える立場になりたい」って。そういう想いがより強くなってきているということなんでしょうか。

中野:もちろんバンドとして技術的に良くなっているとも思うし、Drop'sっていうものに対する自信が出てきたから、音楽的な力とかみんなの力を借りたらそっちの立場になれるかなと思い始めたというか。

●自信が付いてきたということ?

中野:自分に自信が…バンドにですかね。自分にも自信が付いてきましたけど、それがバンドになることによって、より現代的な形になるというか。今やっているロックバンドの意味があるっていうか。そういう風に思います。

 

INTERVIEW #3
「もっといろんな人に聴いて欲しい。“こんにちは”っていう、その言葉が当てはまるような、こっちから人に“沢山来てくださいね”っていう気持ちを込めて」

●『HELLO』というタイトルはすごく分かりやすいですよね。いろんな人に聴いてほしいという、バンドとしてのメッセージがハッキリと見て取れる。

中野:おっしゃる通りですね。全部通して曲を並べた時にいい曲がいっぱい入っているなと自分で思ったんです(笑)。だからもっといろんな人に聴いて欲しい。「こんにちは」っていう、その言葉が当てはまるような、こっちから人に「沢山来てくださいね」っていう気持ちを込めてタイトルを付けたんです。

●「ハロー」という曲自体もすごくシンプルで伝わりやすい楽曲だし、“今までのわたしじゃ いられないんだ”と歌詞で言っているように、新しい扉を開いた心境が伝わってくる楽曲ですよね。

中野:そうですね。私は20歳になったんですけど、20歳の誕生日の次の日の朝に「ハロー」という曲ができたんです。

●あ、そういうことなんですね。

中野:20歳になってその日に何が変わったか分からないし、実際に「何か変わったかな?」って思いましたけど、でもここからまた新しく始まっていけばいいんじゃないかなっていう気持ちというか。この曲は歌詞も曲も同時に出てきたんです。何も考えずにシンプルにできました。

●こういう曲が自然にできるっていいことですね。

中野:みんなも「いい」って言ってくれて。だからすごく嬉しかったです。

●今作はバラエティに富んでいますけど、いろんな方向にキャッチーな曲が多いですよね。すごくドロドロした曲ってM-7「どしゃ降り」くらいかな。それ以外はいろんな感情が詰まっているというか。

中野:他にも候補曲があったんです。今作には入らなかったけど、それはけっこうディープな感じっていうか。「どしゃ降り」みたいな感じだったり、「どしゃ降り」よりも分かりづらかったり。

●“明るい作品にしよう”という意識があった?

中野:そうですね。もちろん周りの人と話し合った結果なんですけど。でも、今考えたらそれはすごく正しかったなと思います。曲を作っているときはいっぱいいっぱいの部分もあって、客観的に考える余裕もなかったんです。でも制作の最後に「かもめのBaby」と「アイスクリーム・シアター」ができて、その2曲がアルバムに入ることによってすごくまとまったし、バランスがよくなった。「キャッチーな曲を作れ」と言われたわけじゃなくて、そういう風にしようと思って作れるようになったのは、すごく成長したかなと思います。

●「そういう風にしようと思って」というのは?

中野:行く先が見えているところに行くっていうか。その作り方ができるようになって、しかもそれが自分たちでかっこいいと思えるものにちゃんとなっているから。それが成長かなと思います。

●「太陽」という楽曲を作ったことがきっかけになったという話がありましたけど、今作を出したことによってまた変わるんでしょうね。

中野:かもしれないです。「POPになりやがって」と言われたらまた変わるかもしれないですけど(笑)。聴いてくれている人はライブで一緒に歌う感じで、楽しんでもらえたらいいと思うし、初めて観る人には今作から入ってずっと好きになって欲しいです。それはこれからのことにも繋がると思うんですけど、そういう人とたくさん出会えるようなツアーになったらいいと思います。

●リリース後はツアーが控えていますけど、最近のDrop'sのライブはすごく楽しそうな印象があるんですよね。5人が楽しんでやっている。

中野:楽しいですね。

●ライブ中、中野さんは何を考えているんですか?

中野:かっこつけることです(笑)。

●え? かっこつけてるの?

中野:はい(笑)。かっこつけることと、言葉とか歌がハッキリ届くように丁寧に歌おうと心がけること。昔はもっと「ガーッ!」となっていたらいいとしか考えていなくて。

●確かに感情をさらけ出していた。

中野:でも今はより歌に意識がいってますね。気持ちが入ることで伝わることもあると思うんですけど、本当にしっかりと歌うことがいちばんお客さんに伝わるんじゃないかなって。だからすごく感情に流されるより、丁寧に歌った方が伝わることがあるのかなと思っていて、そういうことを考えてライブをやっています。

●今までは感情を出すような曲も多かったからそれでよかったのかもしれないけど、今作は激しい曲だけじゃないですもんね。そういう意味では表現力が求められるようになるというか。

中野:そうですね。ツアーはすごく楽しみです。今作の曲をたくさんやろうと思っています。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:馬渡司

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