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ザ・ラヂオカセッツ

心に沁みて、つぶれるくらいに抱きしめたくなる普遍的な“愛の歌”

AP_radiocassettesメンバー全員がソングライターという特性を活かして全曲が強力なフックを持つ“歌”と熱い“ライブ”を武器に活動する4人組ロックバンド、ザ・ラヂオカセッツ。彼らが約1年3ヶ月ぶりの新作となる、3rdミニアルバム『抱きしめたい』をリリースした。今回が初めてだったというメンバー同士の共作曲から、ゲストを迎えてサウンドの幅を広げた楽曲まで、バンドとしての確かな進化を感じさせる今作。人生の幸福な面だけではなく、負の部分にも向き合って生み出された全7曲の“ラブソング”はいずれも普遍的な名曲の匂いを漂わせている。心に沁みて、つぶれるくらいに抱きしめたくなる名盤の誕生だ。

 

 

 

「何より“早くバンドでこの曲を歌いたいな”と思って。まるで自分の中から生まれてきたような曲だったので、すごくテンションが上がったのは覚えています」

●ザ・ラヂオカセッツはメンバー全員がソングライターなんですよね。

山下:全員、曲が作れて歌えるっていうスタイルです。4人とも歌が好きで、曲に関しても一番最初にメロディを聴くというのは全員一致していて。歌心のある人たちが集まったのが、ザ・ラヂオカセッツという感じですね。

●中村くんも昔から曲を書いていたんですか?

中村:僕はこのバンドに入るまでは、全く書いたことがなかったんです。最初は特に書く気もなかったんですけど、小島くん(G.)が曲を書き始めたので…。このままだと他の3人に置いていかれると思ったので、しょうがなく書き始めました(笑)。

●小島くんに刺激されたわけですね。

中村:一番最後に加入した小島くんまで曲を書き始めたので、「ヤバい!」と思って…(笑)。

●ハハハ(笑)。結果的に全員ソングライターになったと。メインで書いているのは、山下くん?

山下:昔は僕が全部書いていたんです。でも3年前に今のメンバーになってから、まずペンくん(Dr.大谷)が曲を書き始めて。それを見て小島や中村も曲を書き始めたので、今は特に誰がメインということはないですね。

●他のメンバーが作った曲でも、自分の曲と同じように歌えるものなんですか?

山下:最初は自分のメッセージじゃないものを歌うというのが難しい部分もあったので、作曲者と話し合ったりはしました。でもずっと歌っていると曲に愛着が湧いてきて、作った人の気持ちもいつからかよくわかるようになってきて。ちょっと時間はかかったんですけど、今はすんなり歌えるようになりましたね。

●お互いにどういう曲を作るかというのを話し合ったりもする?

山下:そこは足りない部分を補い合う感じというか。全員が今のザ・ラヂオカセッツのスタイルや伝えたいことというのを認識しているんですよ。だからある1曲ができたとしたら、それに対して“ザ・ラヂオカセッツって、もっとこういう部分もあるよね”という感じの曲を別のメンバーが書いてきたりして。

●お互いに作ってきた曲を一度聴くことで、その後に自然と足りない部分を補うような曲ができてくる。

山下:そういうことを特に話し合うでもなく、今回の作品は作れたんですよ。前回の作品(2ndミニアルバム『まんま!』)はたまたまできた曲をそのまま入れたという感じだったので、散漫なところがあったというか。それはそれで良いところがあったんですけど、4人が上手く混ざり合わなかった感覚もあったんです。今回の作品はそこを踏まえて作れたのが良かったと思いますね。

●前作はタイトルも『まんま!』でしたからね(笑)。

山下:自然とできてきた曲を原材料のまま、自由に聴いてもらいたいという気持ちがあったんです。でも今回は明確に“こういうふうに聴いて欲しい”という意思を込めた作品ですね。

●表現したいことの方向性が定まっていた?

山下:他に違うタイプの曲も作っていたんですけど、候補がある中で最終的にこの7曲に絞ったんです。たくさんの音楽や娯楽がある今の世の中でザ・ラヂオカセッツとして何を伝えたいかと考えた時に、“ただ楽しく騒ごうぜ”というスタンスは違うなと思ったんですよ。“幸せだけじゃなく、負の部分とも向き合ってこそ、より良いものが見えるんじゃないか”という1つの答えに辿り着いたので、今回はそういうメッセージ性を持った曲たちが入りましたね。

●そこの方向性は話し合ったんでしょうか?

山下:それも全員で曲を出し合っている時に、お互いの曲に触発された結果なんです。“こいつはこういう部分を歌いたいんだな”という部分に感化されて、自分も新たな曲を書いたりして。M-1「問題ないさ」は中村が書いた曲なんですけど、それを聴いた時にメンバーの中では“今回の作品はこの雰囲気で行こう”と決まりましたね。曲にすごく力があったというか。

●「問題ないさ」はどんなイメージで作ったんですか?

中村:普段はやらないんですけど、たまたま弾き語りのライブに出ることになって。そこに向けて新曲を作っていく中で、この曲ができたんです。その時に思っていたことや、自分の周りで起こっていたことが歌詞になったという感じですね。

山下:人間性的にも違うところがあるから、これまで中村が作ってくる曲は良い意味で僕とは違う感覚があったんですよ。でも「問題ないさ」については初めて聴いた時に共感できたし、単純に良いメロディの曲だなと思ったんです。何より“早くバンドでこの曲を歌いたいな”と思って。まるで自分の中から生まれてきたような曲だったので、すごくテンションが上がったのは覚えています。

●すごく普遍的な空気を持った曲だと思いました。

山下:やっぱり時代を超えて残っている名曲には、いつの時代にも共通する言葉やメロディのキャッチーさがあって。この曲もそういう感覚がありますね。

●この曲以外でも、ノスタルジックな匂いのする曲が多いのは昔の音楽がルーツにあったりするから?

山下:僕の親はフォークや歌謡曲が好きだったので、そういうものをずっと聴いて育ってきたというのはあって。ペンくんも親がビートルズを好きで、子どもの頃からずっと聴いて育ってきたんです。だから、自然とそういう空気が出ているんだと思います。古ければ全て良いというわけじゃないんですけど、やっぱり昔から今までずっと残っているものには理由があるんだなと思いますね。

●歌詞も普遍的な内容が多い気はしますが、「問題ないさ」の中に出てくる“いいね”はfacebookの“いいねボタン”にかけていたりする?

中村:ちょっとだけ意識しました(笑)。最近の言葉や耳に引っかかるワードも入れてみようと思って。

山下:たとえばfacebookやTwitterという言葉って今を切り取っているので、(歌詞に使うと)良い部分もあるとは思うんです。そこに関してメンバーと話し合ったこともあって、“いずれはなくなってしまうようなものはなるべく避けよう”ということになって。“いいね”は確かにfacebookでも使われているけど、これから先もずっとあり続ける言葉なのでダブルミーニングになっていて良いなと思いました。

●今回は“ラブソング”というのもテーマになっているそうですが、「問題ないさ」にもそういう側面がある?

山下:ラブソングにも色んな形があって。恋人や片思いの相手もあれば、友人や家族に向けたものもあるから。誰かに向けて作った曲も当然あれば、今生きている人たちみんなに向けて作った曲もあって。そういう意味で、「問題ないさ」は一番広い意味でのラブソングになっているなと思いますね。

●他の曲も最初からラブソングを意識して作ったというわけではない?

山下:それぞれが書いてきたものが集まって今回の曲が出揃った時に、一番の共通点が“ラブソング”というところだったんですよ。わりとこれまでは自分のことを見つめ直して、自分について歌う曲が多かったんです。もちろん今回もその作業はやったんですけど、誰かに向けて歌っているようなメッセージ性が強くて。ラブソングの核になる部分はメッセージ性だと僕は思っているから。それで今回、メンバーと一緒に歌詞を見ている時に「ラブソングが揃ったね」という話になったんですよね。

●M-2「ようこ」も特定の1人ではなく、色んな“ようこ”に向かって歌っているんでしょうか?

山下:過去に付き合っていた“ようこ”もいれば、友人の“ようこ”もいるし、これから出会うであろう“ようこ”もいるという感じですね。

●歌詞カードを見るとわかるんですが、同じ“ようこ”でも色んな漢字を使い分けている。

山下:CDを買ってくれた人に限定されちゃうんですけど、歌詞を見た時に二度おいしいというか。そういう意味でタイトルも平仮名にして、一節ずつ名前の漢字を変えて。そういう試みも初めてだったんですけど、面白いかなと思ってやってみました。

●新しい試みもやっていると。今回の収録曲はどれも新曲なんですか?

山下:新しい曲もあれば、昔の曲を掘り出してきたものもありますね。一番古いのはM-6「ロージー」なんですけど、元々はバンドでのアレンジがなかなか上手く行かなくて。今回の曲が出揃ってきた時に使えるんじゃないかと思って久々に歌ってみたら、色んなアイデアが浮かんできてアレンジが広がったんですよ。それもやっぱり他の曲に触発されたんだと思います。

●「ようこ」とM-5「ゴム」は山下くんとペンくんの共作ですが、どういう方法で作っているんですか?

山下:共作をしたのは今回が初めてなんですよ。まず「ようこ」の場合は原曲をペンくんが持ってきて、それに対して僕が言葉選びの面で「ここはこうしたほうが伝わるんじゃない?」と意見を出していった感じですね。Cメロと歌詞は僕が書いて、他はペンくんが書きました。僕らはもう10年以上の付き合いなので、「これはあの人のことだな」というのが大体わかりますね(笑)。

●山下くんにはどの“ようこ”かバレていると(笑)。

山下:もちろん自分の知っている“ようこ”も出てきますからね(笑)。「ゴム」については、元々は全く違う歌詞で僕が歌っていた曲で。ペンくんから「曲を聴いていたら歌詞が思い浮かんだから書いてきてもいい?」と言われて、その結果できたのが今の形なんですよ。

●今回のタイミングで初めて共作してみようと思った理由とは?

山下:今まではメンバーが作ってきた曲に対して認めている部分もあったので、踏み込めない領域というのがあったりして。基本的にはそのままでOKを出していたんですよ。でも前作での反省もあって、今回は4人で1つの作品を作ろうとなった時に1人で作っている時はできなかったことにもトライしてみようとなったんです。これを機に2人で曲を書けることもわかりましたし、その面白さが今は難しさよりも勝っているので、これからもそういう曲が増えていくと思います。

●お互いの曲に対して意見を言い合ったりもした?

中村:それが使われるかどうかは別として、「こうしたほうが良いんじゃないか?」と思ったことは言うようにしていましたね。

山下:たとえば「問題ないさ」に対しても僕からちょっと違うメロディの案を出して、メンバーでどっちが良いか話し合ったりして。それをすることで他のメンバーが作ってきた曲でも本当に“僕たちの曲”になったから、すごく必要なことでしたね。

●M-7「只の僕にできること」には雨の音が入っていたりもしますが、これは誰のアイデア?

山下:基本的に今回のアルバムは小島が全曲のアレンジを担当しているんですよ。彼が僕の中にはない斬新なアイデアをいつも持ってきてくれるので、本当に助かっていて。雨の音も小島のアイデアですね。楽器以外の音を入れて曲の世界観をさらに広げるという作業が面白かったです。

●今回は「ゴム」にホーン隊が参加していたり、「ロージー」にはコーラスで宇宙まおさんが参加していたりもします。

山下:ライブは基本的にメンバー4人だけでやるんですけど、前作をリリースしてからの1年3ヶ月の間に出会った人たちがいて。その出会いがなかったら全然違う作品になっていたと思うし、参加して頂いたことですごく良いものになりましたね。

●ジャケットは漫画家の山川直人さんの書き下ろしなわけですが。

山下:大学生の時に山川さんの『コーヒーもう一杯』という作品に出会って、その頃から僕はずっと大好きだったんですよ。いつか自分がCDを出すようになったらジャケットを描いて頂きたいなというのを、夢の1つとして持っていたんです。今回の作品ができた時に、曲の雰囲気的に今回は何か温かくて優しいものが良いなと思ってすぐに浮かんだのが漫画で。僕の中で一番好きな漫画家が山川さんだったのでダメ元でお願いしてみたら、描いて頂けることになったんです。

●確かに今回はすごく温かみのある音ですよね。

中村:自分で聴いていても、これまでの作品とは全然違う感じがしますね。前回は1人ずつバラバラに録っていたんですけど、今回はみんなで一緒に録ったりもして。細かい部分までこだわって録ったので、良い感じになったと思います。

●良い作品ができたという自信もある。

山下:今まで僕らを好きでいてくれた人たちがさらに好きになってくれるような作品ができたと思うし、初めて聴いてくれる人にも好きになってもらえるような自信作ができたと思います。今作で好きになってくれた人は、ライブにも来て欲しいですね。僕らはライブバンドなので、音源とは違う雰囲気を味わえるはずだから。

中村:良い作品ができたので、たくさんの人に聴いてもらいたいです。ライブにもぜひ遊びに来て下さい!

Interview:IMAI

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