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雨のパレード

気が狂いそうなほどの美しさをたたえた音が五感に歓喜と陶酔を湧き起こす

AP_amenoライブ会場と残響shopのみで販売していた自主制作盤が口コミで話題を呼び、耳の早い音楽ファンの間で密かな注目を集めていたバンドが初の全国流通作品をリリースする。その名は、雨のパレード。ファッションデザイナーやペインターといった音楽以外の活動を担うメンバーも含めた、独自の“創造集団”だ。アレンジやサウンドメイキングではポストロック的な手法を用いながらも、一瞬で胸に届くVo.福永の歌声とメロディは強力なキャッチーさを兼ね備えている。『sense』と冠された作品タイトルのとおり、まずはその音に触れ、五感で感じて欲しい。

 

 

「言葉では表現し難い、狂気的な美しさを表現したかった」

●メンバー全員が九州出身ということですが、元々は向こうで活動していたんですか?

福永:いや、結成は東京ですね。ベース以外の3人は鹿児島で別のバンドをやっていたんですけど、それが解散して。自分は元から上京するつもりだったので、誘ったら2人も一緒に来ることになったんです。亮ちゃん(是永)は東京に来てから、知り合いのドラマーの方に紹介してもらったんですよ。

是永:僕は大分出身なんです。

●上京した目的は音楽をやるため?

福永:元々そう思っていたんですけど、音楽で食べていくつもりで東京に出てきましたね。

●やりたい方向性も明確にあった?

大澤:それはなかったかな…。

福永:東京でこの4人になってから、今の音楽性をだんだん練り上げていった感じですね。

●雨のパレードにはファッションデザイナーやペインターといった音楽以外の活動を担うメンバーもいますが、そのアイデアは元からあったんでしょうか?

福永:上京するタイミングから僕の中では構想としてあったものが、最近だんだん形になってきた感じですね。バンドとは別のクリエイターの人たちを今の段階では“創造人”と呼んでいて、僕らは自分たちを“創造集団”とうたっているんです。

●クリエイターの人たちとの出会いは?

福永:その人の作品を観て、ビビッと来た人と一緒にやっています。僕はフットワークが軽いほうなので色んなものを観て、自分の感性に寄り添ってくれるような人たちを選んでいますね。だから、作品を観るのが一番早いかなって。

●作品を観て、自分の感性に近い人を選んでいる。

福永:本当は自分で全部のことをしたいんですよ。服も作りたいし、絵も描きたい。でも自分でできないこともあるし、全部やるには時間も足りないから。音楽は比較的に柔軟なものなので、色んなカルチャーと混ざり合って動けるんじゃないかなと思ったんです。僕のやりたいことを、創造人の人たちが一緒にやってくれているというイメージですね。いくつかの人生を同時に過ごしている感覚があって、幸せだなと最近は感じています。

●音楽面でも福永くんのイメージを具現化していくような形でしょうか?

福永:地元では歳上の人たちと一緒にやっていたので、まだ僕には発言力がなくて。しかも音楽を始めたばかりで、頭に浮かんだことを言葉にできなかったんです。東京に来てから、少しずつ発言力も増していますね(笑)。

山崎:僕はもうほとんど言いなりで…。

一同:ハハハ(笑)。

●各メンバーに福永くんが細かくイメージを伝える感じ?

山崎:バッシバシ来ます(笑)。

福永:「そこの2音目を変えて!」とか(笑)。でも(G.山崎)康介さんは、音色に関しては抜群なんですよ。あと、音楽的なところでは亮ちゃんが基盤になっているところが大きいですね。

●是永くんのベースがサウンドの鍵になっている?

福永:僕らはセッションで曲を作っていて。スタジオセッションで練り上げたものに、僕がメロディと歌詞を乗せているんです。亮ちゃんは、僕の好みの音を一番出してくれるというか。好みが近いんだと思います。

●音楽的なルーツが近い?

福永:バラバラですね。僕の両親はジャズと小田和正さんや玉置浩二さん、松任谷由実さんが好きだったので、子どもの頃からよく聴いていて。そういうものがバックボーンにありつつ、今はもう色んな音楽を聴いています。最近の好みとしては北欧の音楽やUKアートロックと呼ばれるものから、邦楽だと高田渡さん、はっぴいえんどといったところが好きで。洋邦問わず聴きますけど、メタルとかハードコアはちょっと苦手です。

●逆に山崎くんはメタル〜ハードコアとかを聴いていそうな…。

山崎:ご明察です。

一同:ハハハ(笑)。

●やっぱりそうなんだ(笑)。

福永:だから、スタジオでもフラストレーションが溜まるみたいです(笑)。

大澤:急に速弾きを始めたりするんですよ(笑)。

山崎:いつの間にかドロップDチューニングにしています(笑)。ギターを始めるキッカケはフォーク系からだったんですけど、高校の時にエレキギターに転向してからメタルとかも聴き始めましたね。エレキを活かせるような、ギタリストらしいことをずっとしていました。

●大澤さんのルーツは?

大澤:私は両親の影響で、ずっとクラシックをやっていて。でも元々ドラムはやりたかったので、高校を卒業してから始めたんです。

●是永くんは?

是永:僕は青春パンク系のバンドが好きで、ガガガSPやSTANCE PUNKSから音楽に入って。そこから椎名林檎さんを聴くようになってからは…ずっと椎名林檎さんですね(笑)。亀田誠治さんが好きなので、そういう影響はプレイにも出ていると思います。

●ルーツが全然違うのに、福永くんの感性に寄り添えるというのがすごいですね。

大澤:確かに…。

是永:僕は自分のやりたいことをやっているだけなんですよ。寄り添おうとしているわけではなくて。

●そこがたまたま上手く重なったと。

福永:幸せなことだと思います。他の創造人の人たちもそうだと思うんですけど、ちゃんと自分のフィルターを通した上で出してきてくれるのが良いんですよ。

山崎:自分のルーツにはないものを他のメンバーがすごく持っているので、今まで弾いてきたものとは全然違う感じになるというか。音を出してみた時に「あ、こういうのが意外とハマるんだ!」っていう新しい発見もありますね。

●ギタープレイも徐々に変わってきている?

山崎:今まではわりとギターらしい音を出すというスタンスだったんですよ。コードやリフをメインで弾いていて。でも今回はエフェクティブな音を組み合わせて、そこまで強く高揚感が出ないようなボイシングにしているんです。いわゆるポストロック系と言われるようなサウンドメイクやフレーズを試していますね。最初は不慣れだったけどやっていく内に徐々に自分のものにできていって、それを今作には反映させられたかなと。

●今回の2ndミニアルバム『sense』には、そういった成果が出ていると。

福永:今作に向けて、エフェクターを色々と買っていたりして。康介さんが元々求めていた音色とエフェクターの効果も合致して、相乗効果で変わりましたね。

山崎:色々と好きなものはあったんですけど、今回こういうスタイルになったことで触発された部分はありますね。「じゃあ、これもやってみよう」という感じでどんどんアイデアが浮かんで。

●エフェクターを使って、様々な音色を出している。

福永:康介さんは機材オタクなので…。YouTubeでずっとエフェクターの動画を観ていますからね(笑)。

山崎:「何か面白い出音はないかな?」っていう感じで観ていると、意外なところに発見があったりするんですよ。ライブを観ている人に「あの人、ギターを弾いているはずなのに、変な音が鳴っている!」と思われるようなことをやりたい。でも無理やり入れるわけじゃなくて、それが上手く楽曲の世界観に合うならという感じですね。サウンドにすっと溶け込みながら、一種の違和感みたいなものが残るとスパイスになって良いのかなと。

●M-5「○」はインストですが、無機質なビートの上にエフェクティブな音が乗っている感じですよね。

是永:(この曲を聴いた人は)みんな、ベースの音だとは思わないだろうなって思います。

大澤:でも、ちゃんとベースで音を出しているんですよ。ドラムはあまり抑揚をつけない感じで叩きましたね。

●使っているのはギター・ベース・ドラムだけ?

福永:それしか使っていないですね。

山崎:先々ではシンセの音を入れたりしても良いと思うんですけど、今作を作るにあたっては今ある楽器で十分まかなえるように色々と試行錯誤して作ったんです。結果的に、何か他の音を付け足すっていうことはしなくても良かったという感じですね。

●今回は残響recordのレーベルオーナーでもあるkono(te')さんがプロデュースしているわけですが、そこも大きかった?

大澤:私たちの良いところをすごく引き出してもらいました。

山崎:おかげでレコーディングがすごく円滑に進みましたね。

福永:レコーディングにまだ慣れていなかったので、音の立ち位置とかですごく勉強になりました。音作りにも関わってもらって、僕らが作った曲をまた昇華してくれたという感じですね。

●自主制作でやっていた頃から環境が変わったことも良い影響として出ているわけですね。

大澤:私は前から使ってみたかったドラムを、今回借りてもらったんですよ。だから自分がやりたい音を出せたという感覚はありますね。

是永:良い感じになりました。

●前作の1stミニアルバム『Petrichor』からの進化も感じている?

福永:かなり進化したものが作れたと思います。前作については自分たちの中で、納得していなくて。当時はまだ楽曲の方向性的にも定まっていなかったんですよ。でも今作からは自分たちのやりたいことが明確にわかってきた気がします。

●自分たちのやりたいこととは?

福永:ベースの和音や少し複雑なビートも取り入れつつ、それでいてメロディはキャッチーであることを意識していますね。前衛的なことをポップスに寄せて、やっているようなイメージです。歌モノであることは意識しています。

●あくまでも、歌が中心にある。

福永:バンドとしての軸は、歌だと思うから。やりたいこととキャッチーさとのせめぎ合いの中で、絶妙なバランスで今回の作品は作れたんじゃないかなと。そこも聴いてくれた人のリアクション次第で、また変わってくるとは思うんですけど。

●歌詞からは、メッセージ性を強く感じたんですが。

福永:メッセージ性はありますね。曲によって、かなり違うんですけど…。

●たとえばM-1「10-9(トーク)」は?

福永:これは原宿に同名の古着屋さんがあって、そのお店のファッションショーで流す楽曲として作ったものが元になっているんです。お店の方は演劇が好きなので、みんなでセリフを話すパートを入れたりしながら書いた歌詞なんですよ。サビの部分は、そのお店の方に宛てた内容ですね。この曲に関しては今まで作った曲の歌詞を引用していたりもして、“価値観”や“ものの見方”がテーマになっています。

●M-2「ペトリコール」のテーマは?

福永:これは“美しさ”を意識して書きました。詩的な感じにしたかったというか。言葉では表現し難い、狂気的な美しさを表現したくて書きましたね。

●“雨が降った時に、地面から湧き上がってくる匂い”のことを指す言葉ですが前作のタイトルにもなっていたりと、思い入れが強いんでしょうか?

福永:やっぱり1stミニアルバムのタイトルにしたというのは大きいですね。前作よりも後に作ったんですけど、1stの世界観をこの1曲の中に全て落とし込みたかったんです。結果的に「これが僕らの曲です」と言えるものになったので、「ペトリコール」と名付けました。

●そういう曲が作れたことでも、満足のいく作品になったのでは?

福永:もちろんです。でも次を出すタイミングでどうなっているかはわからないですね。次の作品を作った時に今作を聴き直して満足できるかというと、それはわからないから。

●まだ進化し続けているわけですからね。ちなみに、タイトルの『sense』に込めた意味とは?

福永:これは“感覚”という意味ですね。「五感で感じて欲しい」ということで、このタイトルを付けました。

●ライブも五感で感じられるものになっている?

福永:ライブは「演劇に近い」と最近は言われますね。別にセリフを言ったりするわけではないんですけど、舞台を観ているような感覚になるというか。

●いわゆる普通のライブではないと。

山崎:まだ粗い部分もあるけど、雨のパレードにしかできないライブになっていると思います。そこは実際にライブを観てもらうのが一番良いですね。

福永:やっぱり生で観てもらうと印象が全然違うと思うので、ぜひ体感して下さい。ライブの見せ方もまだ定まっていないので、これから変わっていくかもしれなくて。今は感情のままにやっている感じなので、もっと観る人を陶酔させるような見せ方をしていきたいと思います。五感で感じて欲しいですね。

Interview:IMAI

 
 
 
 

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