音楽メディア・フリーマガジン

MASTER COLISEUM’14

全員が楽しむことだけを考えていた、どこまでもピュアで真っ直ぐな想いの結晶

9/14(日)、9/15(月・祝)大阪城音楽堂

PAN / SABOTEN / UNLIMITS / KEYTALK / STANCE PUNKS / HUSKING BEE / EGG BRAIN / 四星球 / NUBO
OVER ARM THROW / GOOD4NOTHING / グッドモーニングアメリカ / dustbox / ROTTENGRAFFTY

大阪を拠点に活動するPANとSABOTENが開催する毎年恒例となった秋のロックフェス“MASTER COLISEUM”。主催者のサービス精神しか感じないチケット代(999円)に象徴されるように、自分たちがおもしろいと思うことをみんなと一緒にやるというマインドで開催してきた同フェスも今年で9年目。まだまだ残暑を感じさせる9月14日と15日、大阪城音楽堂には今年もたくさんの“バンド好き”が集まった。

PANとSABOTEN、主催2バンドの人間性が濃厚に滲み出た同フェス、会場には物販ブースはもちろんのこと、「1秒も退屈させません」とばかりにたくさんのブースが設置されていた。主催バンドのメンバー自らがレシピを考えているという名物“マスコロ食堂”はもちろん、四星球と花団が司会を務めるカラオケ歌場、そして主催バンドのメンバーが運営するマスコロ遊技場。“楽しませたい”という気持ちがぎゅうっと詰まった2日間、最高のロックの祭典が催された。

いよいよレポがスタートというところで大変恐縮なのだが、残念ながら14日は筆者が“HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014”に参戦して観ることができなかったため、当レポは15日に限定させていただくことを何卒お許しいただきたい。

色とりどりのバンドTやフェスTに身を包んだ観客がひしめく会場。SABOTENのG./Vo.キヨシとPANのVo.川さんによる幕開けの挨拶の後、いよいよSABOTENのライブがスタート。「水色のTシャツの人たち(スタッフ)が支えてくれるから俺らはバカをやれる。こっちのステージは任せとけ。でも客席もステージや。そっちのステージは任せたからな。輝いてくれ!」というキヨシの言葉を合図にオーディエンスは大興奮し、いきなりテンションMAXの爆発的盛り上がり。「ハイ・ロック・ハイ」「力士」で駆け抜けつつ、「アララの呪文」(カヴァー)では四星球のメンバーもステージに巻き込んで会場はもはやお祭り騒ぎ。全員がタオルを振りまわした「サークルコースター」の温かくて強烈な一体感は、“MASTER COLISEUM'14”の成功を確信させる瞬間だった。

皆勤出演のGOOD4NOTHINGの気合いとテンションが青空に突き抜ける。客席は前から後ろまで全員が身体を揺らし、飛び跳ね、SABOTENやPANのカヴァーを交えたライブにオーディエンスは大喜びで熱狂する。初出場となったグッドモーニングアメリカはサボテンの着ぐるみVer.たなしんが盛り上げつつ新曲「コールアップ」やキラーチューン「未来へのスパイラル」を立て続けにぶっ放し、ダイバーが笑顔のまま宙を舞ったOVER ARM THROWの「俺たちはライブハウスに帰るけど、また来年も大空の下でライブが出来たら嬉しいです」という言葉や、ステージからはみ出さんばかりのツイン・ヴォーカルによるステージングとグルーヴィーな演奏で魅せたNUBOの「楽しいことをいっぱいやって、いっぱい持って帰って、ちょっと余ったら、この会場の外に居る人たちに分けてあげてください」という言葉が胸に刺さる。全員が自分のフェスのようなテンションで想いを溢れさせるステージは、バンド主催のフェスならでは。

気合いの入り方が半端ないROTTENGRAFFTYのステージでいよいよ“MASTER COLISEUM'14”が佳境に入る。Vo.NOBUYAが「こんなんじゃあ関西がナメられます。俺らもっともっといくので、お前らもっともっと来いよ!」と吠えれば会場の興奮は沸騰状態に。いたるところでサークルモッシュが生まれて壮絶な光景を見せた「金色グラフティー」でテンションはピーク。彼らの全身全霊をかけたステージは、何よりもPANとSABOTEN、そしてたくさんのオーディエンスに向けられた熱い想いそのものだった。

トリ前はdustbox。新曲「Here Comes A Miracle」でありえないほどの一体感を作り出し、G./Vo.SUGAが「明日から仕事の人もいっぱいると思う。俺らもうまくいかないことがある。でもこういう日があるから、みんなからいっぱいもらって明日からやっていける。これからも一緒にやっていこうぜ!」と叫び、全員が汗まみれで音に身を投げて暴れまくったあと、名曲「Jupiter」でPANに最高のバトンを渡す。

そしていよいよトリのPANが登場。会場全体が揺れるほどのテンションに包まれた「直感ベイベー」で幕を開け、「年に1回のマスコロ! 俺らにはこれがあることによって元気になれる! お前らも元気になれるんか?」と川さんは最初からアクセル全開。手作りパン投げマシーンを導入してパンを投げるという非常に気の抜けたPANらしい一幕を経て、「今夜はバーベキュー」で本編終了。アンコールではSABOPANによるChage & Askaの「Yah Yah Yah」(カヴァー)で会場に居合わせた全員を熱狂&爆笑させる。そして“MASTER COLISEUM'15”の開催決定を発表して「インタレスター」で大団円。今年も“MASTER COLISEUM”は心の底から楽しませてくれた。

出演者全員が“心の底から楽しもう”という気持ちをそれぞれの方法でステージで表現した。イベント中、SABOTENのキヨシはバックヤードで「大阪は自分で発信せな、誰も発信してくれへん」と筆者に笑いながら言った。PANの川さんはライブ中に「自分の生活の中でこんなに熱い気持ちになれるのはバンドだけや。9年も続けたら年齢層も上がってくるけど、出演者みんな大人の本気見せてくるやん。そんなん見せられたら、俺ら意地になるやん。そんな想いで9年やってきて、俺らまだまだやることあるから、これからも意地になってやっていくから、お前らも意地になって観に来てや」と言った。あるバンドのライブ中、スタンディングエリアからはみ出した場所でサークルピットを作る観客を注意しようとした若手スタッフを、先輩スタッフが「注意しなくていいよ」と制止した。全員が楽しむことだけを考えていた、どこまでもピュアで真っ直ぐなロックフェス。この1年後、10年目を迎えて開催される“MASTER COLISEUM’15”に想いを馳せつつ会場を後にする。最高の思い出になった。

TEXT:Takeshi.Yamanaka

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