全国15万部を誇る日本最大級のミュージックフリーマガジン on Web!!

twitter instagram

NEW BREED

獰猛なる進化を遂げるラウドロック・シーンのパイオニアが新たに編み出した奇跡の調合

NBアー写09302ndアルバム『the PIONEERS of SENSATION』のリリース以来、およそ2年ぶりとなる新作EP『The DIVIDE』を世に放ったNEW BREED。レーベルの設立など環境の変化がありつつも、メロディアスでヘヴィーなサウンドはより進化を遂げた。メタリックなリフにキャッチーな楽曲「Things we've lost」やブルータルな一面を研ぎ澄ませた「4WAYS+1」など、シーンのパイオニアと称される彼らの最新のモードが詰め込まれた傑作となっている。今回はDr.Markによる、レアなソロインタビューで新作について語り尽くしてもらった。

 

 

「どういうジャンルであれポップでありたいなと思うんですよね。複雑にしようとすればいくらでもできるし、実を言うとそっちの方が簡単だと思うんですよ。」

●2ndアルバム『the PIONEERS of SENSATION』(2012年6月リリース)から今作がリリースされるまでの2年間は変わらず活動されていたんですか?

Mark:国内とアジアをツアーでまわったりとかしていて、休んでいた時期は全くなかったです。これからどうしていくのかを話しつつ、ライブに向けてリハーサルをやって、ミーティングをして…というのをずっとやってきましたね。ZESTONE RECORDSを離れて自分たちでやっていく上で、例えばマネージャーをどうするかとか、どこのレーベルの力を借りるかとか、そういった話し合いも多かったと思います。そういう部分での体制を作るためにいろいろ準備をしていました。

●今年からTRIPLE VISIONとの共同マネージメント、レーベルを設立して新体制で活動をされていますが、環境を変えたきっかけは何だったんですか?

Mark:前のレーベルはいろいろ提案もしてくれて、自分たちの好きなようにやらせてもらっていたんですよ。その中でキャメロン・ミゼル(I SEE STARS、Sleeping with Sirensなどを手掛けるプロデューサー)と知り合いになったりしてすごく感謝しています。でも「前作から何か変わることができるのか?」って考えた時に、環境を変えた方が自分たちの規模を大きくできるんじゃないかって思ったんですよね。自分たちがステップアップするために、一旦自分たちだけで作ってみようっていうことになりました。(TRIPLE VISIONと)レーベルを作るかどうかは後々の話で、徐々に固まっていった感じですね。

●自分たちが変わるきっかけが欲しかったと。

Mark:それもありますね。

●環境が変わったことで、音楽性の変化はありました?

Mark:自分たちの中ではその時々で変わっているんですけど、外から口を出されたことは今までに一度もないと思います。だから今回こうやって環境を変えても「こういう曲を作ってくれ」みたいなことを言われることはなかったし、もしそういう環境だったらやることはなかったですね。

●自然と変わっていったと。

Mark:そうですね。あとは前作をキャメロン・ミゼルにプロデュースを依頼したり、今作はNARASAKIさんと共同で曲を制作したことで、それぞれからインスピレーションを受けることはすごく多かったですね。

●NARASAKIさんと共同プロデュースしたM-2「Once said not found」ですが、これは音楽性を広げるために一緒にやったというところがあるんですか?

Mark:前作でプロデューサーを立ててみて、今回は総合的ではなく、誰かと1曲だけ共同制作して、自分たち以外のエッセンスを入れたいっていうところがあったんです。前回はアメリカの方だったので、今回はそのやり方を国内のプロデューサーとやってみたいっていうのをメンバー同士で話していたんですよね。NARASAKIさんはアイドルからノイズまで、なんでもござれの方ですから、この人だったら自分たちの味を引き出しつつ、全然違うエッセンスを入れてくれるんじゃないかなと思ったのが声をかけさせていただくきっかけでした。

●実際やってみてどうでしたか?

Mark:楽しかったですね。キャッチーな曲になったんですけど、その中にも自分たちでは出てこないマニアックなフレーズをねじ込んだりとか。実はただ分かりやすい曲だけではないというか。

●曲調も8ビートが主体でストレートな楽曲っていう印象があったんですよね。

Mark:今回の中で一番BPMが遅めだし、メロディもポップで、シャウトもほとんどなかったりしますけど、ただそれだけじゃないっていう。ピリ辛な部分がいろいろと入っていますね。そういった細かいところにもNARASAKIさんのエッセンスが入っているんだと思います。

●普通に聴くとすんなり聴こえるんだけど、聴き込むと「あれ?」っていう部分がある。

Mark:例えば曲の後半でボーカルとドラムだけになるところがあって、そこは8ビートだけじゃなくて少しポリリズムを入れてみたりしています。その分、演奏はちょっと難しかったんですけどね(笑)。

●今作のリードトラックM-1「Things we've lost」もキャッチーな曲で、今のNEW BREEDのモードが反映されている曲なのかなと思ったんですが。

Mark:そうですね。「Things we've lost」が今回のレコーディングセッションを始めて最初にできた曲だったんです。その時、作り終わった段階でなんとなく「この曲がリードトラックになるだろう」っていう感覚があって。リード曲を決める段階で満場一致で「Things we've lost」にあっさり決まりましたね。

●この曲はMVにもなっていますよね。メンバーそれぞれがモンスターのようなキャラクターに扮していますが、あれはどういうコンセプトで作られたんですか?

Mark:いわば自分たちのスタンド(漫画『ジョジョの奇妙な冒険』参照)的なものなんです(笑)。そのアイデアから始まって、アーティスト写真であったりMVができたんですよね。

●アーティスト写真の背景にもスタンドのようにうっすら写っていますもんね。

Mark:そこで少し見せておいてからMVを観てもらう流れができていたので、そうしたら面白いんじゃないかなって。

●それぞれ個性的なキャラクターになっていますが、これはどうやって決められたんですか?

Mark:それぞれの雰囲気であったりとか、そういったものを加味して最終的にああなりましたね。僕は魔導師的な、かつアブドーラ・ザ・ブッチャー的なイメージで(笑)。それが自分に合っているんじゃないかっていう。

●じゃあ、いつかあの姿でステージに立つ日が…?

Mark:絶対にないですね(笑)。

●ははは(笑)。

Mark:撮影中も(マスクが)密着して苦しかったので、あの格好で叩いたら死んじゃいます(笑)。

●M-3「4WAYS+1」は打って変わって曲尺が短くて、ブルータルな内容を一気に詰め込んだ印象がありますね。

Mark:今回はE.Pなので、あえて短い曲を入れるっていうアイデアがあったんです。今までもブルータルなものは部分的にあったんですけど、1曲まるまるそういう曲調で、尺がすごく短い曲というのは初めての試みでしたね。構成自体は普通の1曲分くらい入っているので、一気に詰め込んだっていう言い方もできるかもしれないです。

●元々Markさんの音楽的なルーツはどこなんですか?

Mark:実はTM NETWORKなんです。最初は小室哲哉さんに憧れてキーボードを買って、音楽を始めたんですよ。その後で高校の頃にプログレ(プログレッシヴ・ロック)に出会って、複雑なリズムに目覚めて「こういう音楽がやりたい!」と思ってドラムに転向したんです。

●そうなんですね。じゃあドラム一筋でやっている人と演奏の感覚は違うんですかね?

Mark:周りの楽器に合わせに行ってしまうところがあって、ついついキメを作りたくなってしまうっていうのはあると思います。自分もバンドの中のピースになるっていう感覚がすごく楽しいんですよね。だから、どちらかというとドラムより周りの音の方が気になるんです。

●確かに曲中の展開のつなぎ目とか、楽器単体というより楽曲の作りにこだわっている感じがします。

Mark:それはすごく凝っていますね。特に複雑な曲になればなるほど、繋ぎ目のフィルイン(メロディのつなぎ目付近で基本パターンと異なるドラムパターンを演奏すること)が重要になるので、いつも悩んでいますね。特にM-3「4WAYS+1」は短い曲尺の中に構成が詰まっているので、どう上手く聴かせられるのかっていうのはすごく考えましたね。

●「4WAYS+1」は具体的にどういうところに苦労しましたか?

Mark:僕らはプログレやマスロックのバンドではないので、聴く人が「何をやっているのか分からない」っていうものにだけはしたくなかったんですよね。複雑な中でもノレるような、そういう音楽にしたいので。なのでいわゆる“チラ見せ”というか「曲中で如何に次の構成を少しずつ見せていくか」をいつも考えていますね。いきなりリズムが変わると、すごくストレスになると思うんですよ。それをギリギリのところでストレスにならないように、例えば遅くなるアレンジがあったら、その前の展開からスネアのタイミングを変えておいて、その後のフィルインで一気に変化をつけたりしています。

●ドラム以外のパートも複雑で高度なことをやっているんだけど、全体で聴くとすごく自然であっさりしている印象ですよね。

Mark:突拍子のないこともやってはいるんですけど、ある程度自然に聴けるようになっていると思うんですよね。家で聴いていても楽しいし、ライブで初めて聴いても楽しいような、そういうものにしたいんです。

●聴きやすさは大切だと。

Mark:どういうジャンルであれポップでありたいなと思うんですよね。複雑にしようとすればいくらでもできるし、実を言うとそっちの方が簡単だと思うんですよ。ある程度のところで止めて、ポップな方向をしっかり作っていく方が実は難しいんじゃないかなって。

●曲を作る時に調合みたいなものを考える?

Mark:そうですね。「4WAYS+1」も初めはシャウトばかりの曲だったんですけど、バランス的に最後にメロディが入ったりとか、そういうところも曲の中のバランスを考えて1曲の中でメロディが際立つような作りになっていると思います。

●曲を作る上でボーカルのメロディを中心に構成されている?

Mark:そうですね。今までの曲の中でもシャウトだけの曲は一曲もないですし、メロディを大事にしているバンドだと思います。

●NEW BREEDは電子音も特徴的ですよね。

Mark:今回新しく作った曲が1〜3曲目なんですけど、実はこの3曲に関してはほとんど電子音が入っていないんですよね。それは今の自分達の気分として、そういったものよりバンドサウンドを前面に出すっていうのがあったからなんですよ。NEW BREEDっていうバンドであれば、ピコピコ音が入っていようがいまいが、それが自分たちの表現だと思うので。

●新しいところへどんどん行きたい欲求というか、前進する意志というのが強いと。

Mark:バンド名からしてもそうですしね(笑)。今ピコリーモ系っていう音楽が世間的にも認められてきている中で、そういった音楽をずっとやってきているので。その枠に自分から収まりに行ってもしょうがないし、これからも自分たちの枠っていうものを広げていきながら、NEW BREEDっていうものを推し進めていくような活動をして行きたいですね。

●この新曲3曲はライブではもうやっているんですか?

Mark:まだなんです。難しい曲ができてしまったので、今頑張って練習しているところですね(笑)。

●じゃあ、お客さんの反応を生で見るのはこれからということですね。

Mark:11月からのCrystal Lakeとのツアーと、自主企画のイベントで初披露になるんです。『The DIVIDE』を出してから初めてのライブになるので、今作の曲を見せつつ、11/29から始まる自主企画は今までの活動のひとつの総括になるようなライブにしたいですね。今から楽しみです。

Interview:馬渡司