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otori

4つの個性がイビツに結合した最新変異ロックミュージック

PH_otori異様なテンションで繰り広げられるライブが都内を中心に話題を呼ぶ4ピースバンド、otoriが1stアルバムをリリースした。No WaveやPost Punkを思わせるサウンドは、フリーキーかつアナーキーに鳴り響く。その上に紅一点のVo.コバラによる観念的な歌詞が怒号のごとく反復される…という説明からは意外なくらい、彼らのサウンドは“ポップ”だ。心の中にいつまでも残る違和感は、恐るべき中毒性を孕んでいる…。

 

 

●“ヴィジュアル系と90年代オルタナティヴくらいしか通っていない”と資料に書かれていたんですが…。

ヒノ:それは僕ですね(笑)。全員が共通して好きなものはあまりないんじゃないかな?

ミヤタ:2人(コバラ&ヒノ)とはメンバー募集で出会ったんですよ。コバラは好きなバンドの欄にYOLZ IN THE SKYとかが並んでいたので、「これは…!」と思って(笑)。

コバラ:元々そういうバンドのライブもよく観に行っていたし、昔のNo WaveやPost Punk系のものが私のルーツにはあるんです。

●そこが今の音楽性にもつながっている?

ヒノ:今やっている音楽に一番ルーツが近いのは唯一、コバラだけですからね。

ハダ:僕は前のドラムが抜けた後に加入したんですけど、Post Punk的な音は前からやってみたかったので、やりたかったことができたという感覚はあって。

●バンドの音楽性について、話し合ったりもした?

ミヤタ:最初に音を合わせた時から、今の感じでしたね。

ヒノ:特に“こういうものがやりたい”というのはなくて、自然とできあがったものがこれだったという。

コバラ:自分たちから出てきたものを、自分たちが聴きたい/演奏したい形に落としこんでいく感じで。何となく“こういう感じだよね”というのは共通して持っているので、誰かが逸脱したものを出したりもしなくて。それでまとまっているところはあると思います。

●では最初から今作のような音楽性だった?

ヒノ:ちょっとポップになったくらいですね。

コバラ:ポップというか、ドラムが変わったことで洗練されたとは思います。

ミヤタ:でも大きくは変わっていないです。結成して半年くらいで作った曲も今作には入っているんですけど、そんなに違和感はないから。

●それは1st demo『生成1』に収録されているM-5「xxx」、M-6「解体/再構築」、N-7「メタ」ですよね。

ヒノ:その音源を久々に聴いてみたら、すごく荒ぶっている感じでちょっと驚きました(笑)。そんなつもりで作っていなかったんですけど…。

ミヤタ:アンダーグラウンドな感じでしたね。

コバラ:奇天烈な音でした(笑)。

●ハダくんが入ったことも大きかった?

ミヤタ:大きかったですね。前のメンバーは奇天烈なドラムだったんです(笑)。

ハダ:僕は前をよく知らないので、実感は湧かないですけどね(笑)。でも1回ライブを観たことがあって、その時にすごくカッコ良いと思ったから加入したんです。

コバラ:最初は各々が好き勝手に音を鳴らしたものが1つになっているという感覚がもっと強くて。今はお互いの音も聴きながら演奏するようになったんですよ。

●演奏はフリーキーでありながらポップさを感じさせるのは、コバラさんの歌が大きいのかなと。

コバラ:各パートをそれぞれ単体で聴いてもポップに聞こえるくらいまで洗練してから最後に歌を乗せるので、自分も一番良いものを出さないといけないなというプレッシャーもあって。そう思いながらやっているので、ポップに聞こえるんじゃないかな。

ヒノ:個々のパートだけを聴くと、実はポップなんですよ。

ミヤタ:キーワードとして“ポップ”というのは、最初からあったと思います。

●ポップさは最初から意識していたと。

ヒノ:ポップなものはメンバー全員、好きなんだと思うんですよ。それが混ざったら…。

コバラ:結果的に、イビツになる(笑)。

●ハハハ(笑)。歌詞もすごく独特な感じですが…。

コバラ:歌詞は繰り返しが多いんですけど、その繰り返しに耐えうる強度を持った言葉を選んでいるというか。1つ強度の強い言葉を使うと他も同じくらい強くないとバランスがとれなくなるので難しいんですよ。でも「これ以上はない!」という言葉を選んでいるつもりです。

●自分が思ったことを歌にしている?

コバラ:実感がない言葉は歌わないですね。私は心象風景みたいなものがあまりないので、カウンター的に普段思ったことをそのまま歌詞にして使っています。何かを聞いた時に自分の中で違和感を覚えたりするので、自分が思ったことを書いたら自然とそういう感じになっていくんですよ。言いたいことを言いたいんです(笑)。

●『I WANNA BE YOUR NOISE』というタイトルの由来とは?

コバラ:私は人間のイビツさみたいなものを大事にしていて。今はインターネットの発展によって色んなもののイメージ先行が加速して、より簡単に消費されてしまっているように思うんです。そうすると本来あるはずの“ノイズ”的なものがなかったことにされてしまう。でもノイズがないというのは実は不自然なことで。あと、集団に対して個人が個人であることっていうのはノイズなんですよね。そういうノイズを私はもっと大事にしたいので、このタイトルにしました。

●歌詞も含めて作品全体に一貫性を感じます。

コバラ:どの曲も言葉が違うだけで、言っていることは同じだったりしますからね。あと、演奏も洗練されたというのはあるけれど、根本はそのままで個々のものを活かした上で1つにまとめているから。

ミヤタ:個々の演奏的なスタイルは変わっていないんですよ。技術的なところは進化していると思うんですけど、音の使い方とかはそんなに変わっていない。

ヒノ:最初からやりたいことは同じなんですけど、それをやっとできるようになったという感じですね。

ハダ:みんなが納得した作品ができたし、集大成的な感覚もあって。だからこそ次はもっと違う手法や表現にもチャレンジしていけたら良いなと。2枚目も同じような感じにはならないと思うし、“この先がある”という感覚になれているので自分でも楽しみなんです。

Interview:IMAI