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陰陽座

風の如く疾く過ぎ去った最高にして最幸の時間

2014/12/7@TOKYO DOME CITY HALL
“陰陽座全国ツアー2014『風神』”

PH_OMZ

まさかのアルバム2枚同時リリースという衝撃で、ファンの魂を大いに揺さぶった2014年の陰陽座。『風神界逅』『雷神創世』という2作に合わせて、ツアーも2回に分けて実施するというのだからこれまた凄まじい。まずは11/9の川崎CLUB CITTA'から幕を開けたのが、“陰陽座全国ツアー2014『風神』”だ。その千秋楽は陰陽座ファンにとってはもうお馴染みとも言える、TOKYO DOME CITY HALL。3000人超というキャパシティを今回もみっちりと埋め尽くした大観衆は、開演を今か今かと待ちわびている。

会場が暗転し、美しいアコースティックギターの響きが鳴り始めると、興奮が一気に高まっていく。ファンタジックかつ壮大な物語の始まりを告げるかのごとき「風神」のSEに乗って、天から光が降り注ぐような神々しいライティングの中でメンバーがステージに登場。湧き上がる大歓声を浴びて、「神風」でアグレッシブに幕開ける。そのまま「然れど偽りの送り火」へと雪崩れ込む展開は、まさしく『風神界逅』のとおりだ。初めて新作を聴いた時の鼓動の高鳴りが、思わず胸に蘇ったオーディエンスも多かっただろう。

だが、もちろん新作以外の名曲たちも次々と披露されていく。「しょうけら」では扇が会場中で舞い、陰陽座のライヴならではの優美な様が眼前に展開。「忍法乱れ打ち!」とBa./Vo.瞬火が叫んでの「無風忍法帖」から、「野衾忍法帖」「孔雀忍法帖」と連なる流れも圧巻だ。そこから「時の渦の中に連れていきます」というVo.黒猫のMCに誘われての「八百比丘尼」では、あたかも悠久なる時の流れの中へと飲み込まれてしまうかのよう。G.狩姦作曲の「眼指」では悲しくも幽幻な空気に会場全体が包み込まれ、誰もが一心に耳を傾けている。

終盤は「蒼き独眼」「甲賀忍法帖」という必殺のナンバーを続けて観客を熱狂へと導いた後、新作同様に「春爛漫に式の舞う也」で明るく爽やかに本編を締め括る。当然のように起こるアンコールの大合唱に応えて登場したメンバーが放ったのは、いきなりの千秋楽名物“極楽地獄”! 「鳳翼天翔」「羅刹」「鬼斬忍法帖」「わいら」から最後は「おらびなはい」で、会場はヘッドバンギングの嵐と化す。「満足度はそのまま、いつもより早く帰れるように」という配慮もあり、アンコールは計3回と陰陽座にしては少なかったが、そのぶん濃縮されたパフォーマンスを満喫した。

「故に其の疾きこと風の如く」という曲名が浮かんでしまうほど、あっという間に感じてしまったのはライヴの濃厚さと充実ぶりの証拠だろう。もっと魂を喰らいあいたいという願いは、1/24からの“陰陽座 全国ツアー2015『雷神』”で必ず成就されるはずだ。その日が一刻も早く訪れることを、高鳴る期待に胸を打ち震わせながら心待ちにしている。

TEXT:IMAI

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