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ATF 15th 大感謝祭! フォーエヴァーヤング!!

愛され続けるロックエージェント。最高にハッピーな15周年大感謝祭!

会場風景アーティストに愛され続けるロックエージェント。15周年を祝ったあの日にも、彼は愛されていた。
都市型ロック・フェスとして定着化した BAYCAMPを始めとして、数々のロックアーティストのイベント企画を手がけてきたエイティーフィールド(以下ATF)。設立15周年という節目に2日 間に渡って行われた“大感謝祭”は、ATFならではの日本のロックの担い手が集う、盛大な祭りとなった。

 

 

 

〜渋谷でメリクリ編〜

2014/12/25@渋谷CLUB QUATTRO
出演:ART-SCHOOL / Czecho No Republic / シャムキャッツ / LOSTAGE / ザ・チャレンジ
DJ:FREE THROW(弦先誠人/神啓文/タイラダイスケ)
 
早い時間から集まったオーディエンスたちを、FREE THROW(弦先誠人/神啓文/タイラダイスケ)によるDJが粋な音楽で迎え入れる。ほどなくして開演を迎え、ATF主宰・青木勉氏(以下青木)の「メリークリスマス!!」から始まった“〜渋谷でメリクリ編〜”。前説でATF青木は、創立から15年という歴史を振り返り、想いを語る。そして締めくくりに感謝の言葉を述べ、熱演の火ぶたが切って落とされた。

シャムキャッツ■シャムキャッツ
この日のトップバッターはシャムキャッツ。リヴァーヴとディレイが多分に使われた彼らのドリーミーなサウンドは、朝靄のように会場を包み込んでゆく。途中のMCでは「自分たちが(MCで)メリークリスマスを言うにはまだ早い」など独特な論調でMCを展開。ひねくれていながら何処か憎めない人柄のとおり、一癖も二癖もあるサウンドは魅力に溢れていた。シャムキャッツの快演で浮遊感に包まれた会場の空気は、2組目の演奏で豹変する。

 

 

LOSTAGE■LOSTAGE
LOSTAGEのステージが始まった瞬間、凶暴なサウンドが鳴り響く。その圧倒的な音圧は一瞬でライブハウスを戦場に変える破壊力を持っていた。狂ったように歌い、何度も何度もマイクスタンドを蹴り倒し、ステージを彷徨く五味岳久。その猛獣の如きパフォーマンスが、熱狂したオーディエンスを更に盛り上げていく。美しい轟音に始まり、美しい轟音に終わる。磨き上げられたバンドサウンドで圧巻のステージを繰り広げた。

 

 

 

ザチャレ■ザ・チャレンジ
続く3組目はザ・チャレンジ。「お前ら、LOSTAGEとART-SCHOOLに挟まれてライブやったことがあるか? めちゃくちゃ緊張するぞ!」と沢田チャレンジが心境をぶっちゃけ、ステージに挑む。そんなことを言いつつも、沢田はしっかりサンタクロースの衣装を纏ってステージに登場。とびきり突き抜けたポップなサウンドとオーディエンスとの濃厚なコール&レスポンスで、会場をとことんハッピーに盛り上げていた。

 

 

 

アート■ART-SCHOOL
アシッドなテクノビートをS.Eに、静かに入場したのはART-SCHOOL。ステージが始まった瞬間、貫くような鋭い轟音が放たれる。その中で際立つ木下理樹の歌声は、まるで秘密を分け合うような緊張感を与え、憂いと儚さ、そして独特のエロスを感じさせる。MCでは木下が照れながら「メリークリスマス」と言うレアな場面も。静と動が絶妙なバランスで混ざりあった巧みな演出は、オーディエンスの感度を極限まで高め、会場を熱狂の渦に変えた。

 

 

チェコ■Czecho No Republic
そして“〜渋谷でメリクリ編〜”のトリ、Czecho No Republic(以下チェコ)のステージへと繋がる。インフルエンザによる砂川一黄の出演キャンセルを受け、QUATTROのYusuke Matsuzakaがサポートギタリストとして代打を務めた本公演。逆境を物ともせずに放たれる彼らの垢抜けたサウンドは、国境を感じさせないキャッチーさを持っていた。アンコールで披露したマライア・キャリーの定番曲「恋人たちのクリスマス」では、タカハシマイがメインボーカルをとる中でATF青木もステージに上がり、鈴を振るなどして共に会場を盛り上げる。最後はチェコのメンバーから青木にバースデーケーキが渡され、「ハッピーバースデー」の大合唱で15周年が祝われる、最高にハッピーなステージで一夜目を終えた。

 

FREE

DJ:FREE THROW

 

〜豊洲で5PM編〜

2014/12/26@豊洲PIT
出演:Dragon Ash / POLYSICS / キュウソネコカミ / 銀杏BOYZ / 水曜日のカンパネラ[topping ACT]
LIVE PAINTING:芦沢ムネト

鈴木雅之の「渋谷で5時」をS.Eに、エメラルドグリーンのパンツを履いて意気揚々と入場したATF青木。「豊洲で5っ時〜♪ こんばんは〜!!」と挨拶し、恒例の前説が始まった。豊洲PITという国内最大規模のライブハウスでイベントができることに感謝し、第二夜目“〜豊洲で5PM編〜”が始まる。

水カン■水曜日のカンパネラ
最初のステージはtopping ACT・水曜日のカンパネラ。キン肉マンのマスクを被り、スパンコールのド派手なコートを纏い登場したコムアイは、絶妙なユルさとウィットに富んだ歌詞を詰め込んだ楽曲を、キレのあるパフォーマンスで次々と披露する。最後の「ドラキュラ」ではフロアに降り、観客と共に「ちーすうたろか」と熱唱。最終的にフロアの一番後ろでライブペイントを行っていた芦沢ムネトのところまで行き、2人で大合唱する形で、刺激的なステージを終えた。

 

 

ドラゴン■Dragon Ash
そして本編は、Dragon Ashでスタート。ステージに立った瞬間に強烈な個性、圧倒的な存在感が会場を支配する。彼らの非常にフィジカルなステージに、オーディエンスは否応なしに熱狂。踊る喜びを全員で共有した会場の空気感は正に“ライブ”だった。まだ自分たちが高校生の頃に出会ったというATF青木とのエピソードをkjが語った後に「FANTASISTA」が演奏され、会場は凄まじい盛り上がりを見せる。「ブっ飛びやがれ!!」kjの煽りどおり、しょっぱなから理性を吹き飛ばす熱演が行われた。

 

 

銀杏■銀杏BOYZ
「僕を呼ぶ声がしたから、今日ここに来たんです」そう言って銀杏BOYZの峯田和伸が弾き語りを始める。彼の歌を一心に味わう観客に対して、全力で振り絞るように放たれていくステージ。 「BABY BABY」では、オーディエンスの大合唱が巻き起こった。続く「I DON'T WANNA DIE FOREVER」では異様な盛り上がりを見せ、峯田もフロアも狂ったように踊る。銀杏BOYZとしてワンマンツアーを行うことを約束した彼は、最後に「僕たちは世界を変えることができない」を演奏し、次への期待を残して会場を去った。

 

キュウソ■キュウソネコカミ

3組目は、飛ぶ鳥を落とす勢いのキュウソネコカミ。ヤマサキ セイヤが「おい青木この野郎! ホンマにエゲツない出演順にしやがってェェ!!」と大先輩に挟まれたプレッシャーを吠える。その烈火のごとき勢いは「DQNなりたい、40代で死にたい」で更に加速。 「お願いシェンロン」ではATF青木がセイヤと共に筋斗雲に乗り、オーディエンスに支えられてフロアの真ん中に行き、かめはめ波を打つという奇跡のコラボレーションが実現した。最後は青木が筋斗雲に乗った感想「ビビった!!」の一言から、「ビビった」を演奏。痛快なパフォーマンスで会場を踊り狂わせた。

 

ポリ■POLYSICS
そして、今回の大感謝祭を締めくくるPOLYSICSの演奏が始まる。冒頭からハヤシがピコピコハンマーを持って会場へ突入。オーディエンスを叩き、煽りまくる。電子音とバンドサウンドが絶妙なバランスでミックスされたハイテンションなステージに、疲れを知らない大観衆も全力で彼らの演奏を迎え撃つ。続くMCでは、「青木さんはインディーズの頃からお世話になっていますから。その頃から話は長かったし…、派手好きは変わらない(苦笑)」などと語り、「そんなATFの15周年、おめでトイス!!」と盛大に祝った。

 

アンコールアンコールではPOLYSICSが今回の出演者とATF青木を連れてステージに上がり、「Baby BIAS」を演奏。全員で「ATF15th」「青木」「おめでトイス!」などのメッセージが焼印されたトーストを会場に投げ、てんやわんやのお祭り騒ぎに。最後に青木が「みなさん、ありがとうございました!! 今後ともよろしくお願いしますってことで!」と“らしい”挨拶をし、2日間に渡るイベントの幕を引いた。

 

 

アーティストに絡まれ、なじられる。時にはステージでビールを一気飲みさせられ、更には一緒に演奏まで披露する。その愛されっぷりからは青木、そしてATFが長年積み上げてきた、確かな信頼関係が見えた。愛され続けるロックエージェントは今この瞬間も、アーティストのために走り続けているのだろう。

TEXT:馬渡司
PHOTO:後藤壮太郎

LIVE PAINTING:芦沢ムネト

LIVE PAINTING:芦沢ムネト

会場風景2

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