2014年1月に高田馬場CLUB PHASEで結成1周年の記念ライブを成功させ、今年1月にはバンドとして初の全国流通音源をリリースしたFAZ。“愛”をテーマに綴った3曲と、新たな試みのM-4「SHOOTING LIFE」が収録された本作『A.I.GREED』は、彼らのこれからの指針ともなる1枚に仕上がった。メンバーチェンジを乗り越え、結束を深めた彼らの放つ意欲作。赤裸々な愛と、自らの意志を込めた作品を持って、FAZは新たなフィールドへ歩き出す。
●去年1月に高田馬場CLUB PHASEで結成1周年記念イベントを開催してから、『A.I.GREED』をリリースするまでの間の1年間は、どんな活動でしたか?
toshia:「がむしゃらにやるしかない!」っていう想いがあって、いろんなイベントに出て、いろんな人に知ってもらおうとした1年でしたね。結成1周年のタイミングでG.涼太が加入したんですけど、しばらくバンドをやってみないと分からない部分もあったので、最初は手探りの状態が続きました。
●涼太さんが加入して、バンドが変わっていった部分がある?
toshia:涼太が入ってからは、良い意味でさらにロックになっていったんです。キャッチーなメロディだけは残すようにして、曲の作り方を少し変えていきましたね。
●涼太さんが加わったことで、曲の作り方まで変わったと。
涼太:最初はもう全部壊そうと思って、とりあえず1年間文句だけを言っていました(笑)。バンドに入ったからには自分がやりたいこともやっていきたいので、ライブに関しても「もっとノリやすいライブにしませんか?」とか「もうちょっと格好良くしませんか?」とか言っていましたね。
●バンドとしては、それを意見の1つとして受け入れることができた?
toshia:最初はギスギスしましたけど、去年の秋頃に「一度腹を割って話そうよ」と言って、話し合いの場を設けたんです。
Kappy:そこから話し合いを重ねていったことで、最近のライブでは方向性が一緒になってきたというか。考えていることが近くなってきた感じは、音にすごく出ていると思います。
●今年の1/6に新宿RUIDO K4で行ったレコ発イベントが結成2周年のタイミングでもあったわけですが。
涼太:僕は前日に1周年記念のライブ映像を観てから今回のライブをやったんですけど、家に帰って当日の映像を見返してみると「意外と成長しているな」って思いました。演奏面での意思の疎通だったり、今までバラバラだったものが1本になってきているなって感じました。
シンヤ:僕は涼太と違って情熱的なタイプなので、ライブではとにかく熱くなりすぎましたね(笑)。すごく楽しかったです。
●toshiaさんはイベントが終わった後にTwitterで「いいメンバーたちだなー!」とも書いていましたよね。
toshia:ふとした時に、メンバー全員が同じ方向を向いてくれる時があるんですよ。今まさにそういう状態なんです。今までは「なんで分かってくれないのかな?」っていう部分があったんですけど、今は自然と同じ方向を向けていて、それがすごく良い。最近バンドが楽しくてしょうがないんですよ。久しぶりに「バンドが楽しい」って感じています。
●純粋に楽しめるようになったんですね。そんな中、1月にリリースされた『A.I.GREED』ですが。これは「アイグリード」と読むんですか?
toshia:そうです。最初は『愛GREED』にしようかと思っていたんですけど、「A.I.の方が良いかな」と思って変えたんですよね。そこは洒落っ気というか(笑)。
●M-1「A.I.GREED」からM-3「PINK TRAP」までの3曲は、このタイトルがテーマになっていますよね。
toshia:前半の3曲は“愛”をテーマにして書いているんです。僕は歌詞先行で曲ができるんですけど、今作の歌詞ができた時に「この名前しかないな」と。
●けっこう歌詞の内容が直球というか。あえて言いますけど、“愛”の部分を“SEX”に置き換えても問題無い気が…。
toshia:問題無いですね。歌詞の内容は3曲とも違いますけど、恋愛をしていればどの人にもハマるような歌詞というか。人間臭い、誰にでも当てはまることを書いているつもりです。例えば「PINK TRAP」は、体を合わせることでしか寂しさを埋められなかったり、愛を感じられなかったり。それはイケないなと分かっていてもやめられない切なさというか。
●「A.I.GREED」はどうですか?
toshia:求めるだけの愛情って重くなる。でも、それが今度は言えなかったりして。そういう切なさを書いた歌ですね。
●ちなみに、これは実体験を歌っている?
toshia:………。
●ははは(笑)。どちらにせよ恋愛の見方として、そういうものを持っていらっしゃるんですね。
toshia:そうですね。メンバーや出会った人、いろんな人にも恋愛話を聞きたくなるんですよ。そこで話を聞いて、歌詞を固めていきます。
●それに対してM-4「SHOOTING LIFE」の歌詞は違った印象ですよね。
toshia:この曲は自分にとって新しい試みなんです。今の僕らの現状を歌っているんですけど、僕は普段こういう歌詞は書かないんですよ。これからは、こういう方向の歌詞や、映画のワンシーンのような歌詞を書いていきたいです。
●じゃあ、これをきっかけに作詞の幅を広げたいというのがあるんですね。
toshia:それはありますね。でも、泥臭い、人間臭い歌詞は変えたくないです。
●最後に、次の3周年に向けた展望はありますか?
toshia:僕らは他の人と違って、階段をのぼるスピードが遅いと思うんです。でも、実感を噛み締めながら階段をのぼれているので。どうなるかは分からないですけど、1年掛けて「自分たちは間違っていない」って噛み締めながら、感じながら生きていきたいです。
Interview:馬渡司