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水の中で雨中

悲しみを抱き締めて生きるその先には必ず光が射す

雨中livephoto東京・下北沢を中心に活動する個性派ロックバンド“水の中で雨中(みずのなかでうちゅう)”が、3rdミニアルバム『squalls』を完成させた。UKロック的な仄暗いウェットなサウンドと悲しみを湛えた叙情的なメロディに加え、生きることの本質に向き合う言葉と透明度の高い歌声が胸を刺す。試行錯誤の日々を超えて生み出された珠玉の全8曲は、悲しみの先に見える確かな光の存在を証している。

 

 

●今作の3rdミニアルバム『squalls』はTroll musicに移籍してのリリースですが、ここで心機一転というところもあったんでしょうか?

山下:心機一転したところはありますね。1stミニアルバム『SLEEPING PILLS』(2011年)を出した時はまだ何もわからなくて。そこからライブのやり方や宣伝の仕方も含めて、色々と試行錯誤してきたんです。「(レーベルが誘いに)来てくれるんじゃないの?」という感覚でやっていても誰も来てくれないし、それでリリースもどんどん延びちゃうっていう…。「これじゃダメだ。自分たちから動いていかなきゃ」というので去年、2ndミニアルバム『琥珀』を手売りで出したんですよ。「原点に戻って、ちゃんとやろう」ということで、今回もそこから始まっています。

●M-1「雨」とM-3「碧(あおい)」とM-7「WATER SONG」は、前作にも入っていましたが。

山下:前作は流通に乗せていなかったので、この機会に全国の人にも届けたいなと思って。この3曲を今作の中に入れてみても違和感は全然なかったので、収録することになりました。

●この3曲もそうですが、歌詞には“水”や“雨”に関する言葉がよく出てきますよね。

山下:“雨”や“水”という言葉は、自分の中で常にあって。悲しいことを歌いたいというか。“悲しいけれど、そこからどうするの?”っていうのが、歌詞のテーマになっているんです。安易に「大丈夫だよ」とか言うのは嫌いだし、生きていると悲しいことしかないと思うんですよ。でもそこから何か光を見つけていくのが面白さだと思うし、そういうものが生きる糧になれば、みんなも楽なんじゃないかなというのはありますね。

●M-2「君がいない冬」に漂っているような喪失感も歌詞の特徴かなと。

山下:自分の中では、そういうものが重要で。喪失感とか悲しいことやつらいことがなかったら、今はないんだということを伝えたいんです。

●そういった経験をたくさんしてきている?

山下:全部、自分の経験からですね。恋人との別れもそうだし、メンバーの脱退というのもあって。(脱退した)当初はすごく精神的にきついんですけど、後になってみると「あれがなかったら今こうなっていなかったな」みたいなことが多いんです。だから、そういうものを伝えていきたいですね。

●今のメンバーで固まっているところもあるのでは?

山下:やっぱり良いところもあれば、悪いところもあって。それを常に意識するようにはしています。常に良いところを見ていかないと、バンドって続かないと思うんですよ。

●メンバーの人間性を重視しているのかなと。

山下:そこが一番大事ですね。逆に人間性が良ければ、楽器が上手くなくても別に良いと思っているんですよ。自分が作詞作曲をしているので、その曲を好きでいてくれる人と一緒にやろうとは思っています。

花梨:私は元々このバンドのファンで、ライブにもよく行っていたんですよ。そういうキッカケがあって、メンバーになったというのもあるから。

●Ba.古川さんも後から入ったんですよね。

山下:ベースに関しては、今回が最も彼らしいものになっているんじゃないかな。前作ではまだ前任のベースラインを引き継いだ感があったんですけど、今回は自分が思うように弾きまくっていますね。

●かなりグルーヴィーなベースを弾きますよね。

山下:僕は彼のベースが大好きなんですよ。

●個性的な4人が集まっている感じがします。

山下:G.遠山は人間性も含めて、すごく個性的なプレイヤーで。普段はどうしようもないダメ人間なのに(笑)、ステージに立つと本当にカッコ良くて、ギターのフレーズもすごく良いんです。今回の作品は、みんなの感覚も入ってきているというか。元からフレーズを自分で考えているわけではないんですけど、今回は根本的な部分から4人で作っていった感覚があって。

花梨:M-6「A SONG IS SUNG TO YOU」は、みんなでセッションから作ったんですよ。

●そういう作り方は初めてだった?

花梨:いや、前にもそういう曲があったような…。

山下:でも自然とこういう形になったのは、この曲が初めてかもしれない。大体は元になるものやおおまかな曲調が決まっていて「あとは、みんなわかるでしょ?」みたいな、とんでもない投げ方をしているんですけど(笑)。

●それでわかるものなんですか?

花梨:わからないです(笑)。

山下:そこを何とかしてもらって、結果的に期待以上のものが出てくるので楽しいですね。僕は楽なんですけど、周りは苦労しているかもしれない(笑)。

●そうやって作った「A SONG IS SUNG TO YOU」は、ライブでも盛り上がりそうな曲ですね。

山下:この前ライブでやってみた時に手応えもあったので、自分たちを変えられそうな曲かなと感じました。ガムシャラに盛り上げようというわけじゃないんですけど、自分たちなりに引き込みたいなと最近は思うようになって。作品に関しては純粋に音楽を鳴らしているだけという雰囲気で作りつつ、ライブは「みんなで盛り上げていこう」という気持ちに今はなっていますね。

●今回の作品も変わるキッカケになるのでは?

山下:それぞれに音楽や生活の面で色々な事情がある中で出した作品なので、ここで変えていきたいですね。この作品は本当の原点に近いというか。“シューゲイザーやUK色のあるサウンドの中でも、歌が抜群に聞こえて欲しい”っていう自分たちのテーマが形にできているから。そういう意味で今後、このアルバムは特別なものになるんじゃないかなと思っています。

●4/29にはワンマンも予定されていますが、その先も見据えている?

花梨:また次の作品を作りたいなとは思っているんですけど、どういうふうにしたいかはまだ浮かんでいなくて。まずは初ワンマンを成功させたいですね。

山下:現時点では出し切った感覚があるので、先はまだ見えていないんです。でもツアーとワンマンでまた何かが生まれると思うので、それに期待しています。

Interview:IMAI