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SION

30年経ても変わらぬ真実の言葉 SIONを聴いて心に熱き火を灯せ

俺の空は此処にあるA写_web30年間、何か一つのことを貫けるだろうか? その膨大な年月を音楽に捧げた、偉大なミュージシャン。彼の作品には、夢を追い続ける男の美学が詰まっていた。

シンガーソングライター・SIONは、1985年に自主制作盤『新宿の片隅で』を発表。その翌年にメジャーデビューを果たし、シーンに衝撃を与えた。その才能には多くの音楽・芸能関係者が惚れ込んでいる。2005年にリリースされたデビュー20周年シングル『たまには自分を褒めてやろう』では福山雅治と、翌年の『場所』では森重樹一(ZIGGY)とコラボレーション。25周年を記念してリリースされた『燦燦と』では、花田裕之(THE ROOSTERS)、そしてSIONを敬愛するBRAHMANやKen Yokoyamaなどもトリビュート盤に参加している。その活動からも、数多くのアーティストに愛されていることが分かるだろう。

そんなSIONが今年デビュー30周年を迎える。その新たな節目にリリースされるアルバム『俺の空は此処にある』。今作もG.藤井一彦(The Groovers)/Dr.池畑潤二(THE ROOSTERS)、相澤大樹(THE YOUTH)/Ba. 井上富雄(THE ROOSTERS)、清水義将(ex.惑星 / CARRIE)/Key.細海魚(HEAT WAVE)という素晴らしいメンバー達と共にレコーディングされた。

作品を一聴して耳に残るのは、“心が震える”ような歌声だ。腹の底から吐き出すように放たれるハスキーボイス、その磨き上げられた彼の声は唯一無二の魅力を放つ。その燻し銀のごとき味わいに心が震え、聴いていて鳥肌が立つのだ。
その歌声を支えるサウンドも素晴らしい。M-1「ONBORO」から風通しの良いロックサウンドが鳴り響き、広大な大地を旅しているような高揚感を与えてくれる。続くM-2「唱えよ讃えよ」でスモーキーな空気を醸し出し、M-4「けちってる陽だまり」では粋な2ビートで聴き手の胸を躍らせる。M-6「いつでもどこでも会いたい」などしっとりと聴かせる曲では、少ない音数でSIONをしっかりとサポートしている。ヴィンテージ感溢れる極上のサウンドは、正に匠のなせる技。高次に研ぎ澄まされた達人たちの掛け合いは、聴くたびにゾクゾクする。

聴けば聴くほど味わいを増す歌詞は、グッと心を掴んで離さない。嘘のない、飾らない言葉が詰め込まれた本作は、今を必死で生きる人間なら誰もが共感を覚えるのではないか。その歌詞が映し出す情景は、決して明るいものではない。むしろ冒頭の「ONBORO」からつまずいており、辛酸を舐めるような言葉が痛烈に胸に突き刺さってくる。“白旗を揚げれど”、“無力に吊るし上げられ”る歌詞の主人公。しかし、その敗北感の漂う状況を図太く生きる主人公に、惨めさは一切感じない。その気骨ある態度はM-3「jabujabu」や「けちってる陽だまり」など、他の楽曲からも感じ取ることができる。
M-7「休みたい」では、SIONの茶目っ気のある一面が見えて面白い。“その後の酒ときたら たまらんぜ”からのくだりは、のんべえたちの和気あいあいとした空気が伝わってくるようだ。あぁ、いいなあ…酒が飲みたくなってくる。
そして、表題曲M-9「俺の空は此処にある」では、心地良いロックサウンドに乗って生命力の溢れる言葉が放たれる。“自分に 落ち込み苛ついて”も“ゆっくりと急ぐ あの鳥を見習って”、“また 明日さ”と開き直る力強さ。“俺の空は此処にある”と結ぶたくましさは聴いていて清々しい。最後のM-10「諦めを覚える前の子供みたいに」では“悔しさだけがガソリンじゃ 貧乏くさいが 欠けてる自分がこんな時には火を付けてくれるのさ”と言い、弱さを晒しつつも信念を綴っている。聴くものを奮い立たせるその言葉の数々は、心に熱き火を灯してくれるようだ。

また、今作の初回限定盤は、去年開催の“SION-YAON 2014 with THE MOGAMI”から厳選されたライブ映像を収録したDVDが封入されている。この映像も上質な作品に仕上がっているので、是非堪能していただきたい。
6月14日には恒例となった野音でのイベント“SION-YAON 2015 with THE MOGAMI”を開催するSION。30年経ってもなお輝き続ける、その偉大なミュージシャンの生き様を今後も追っていこうと思う。

TEXT:馬渡司

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