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WHITE ASH

音楽とWHITE ASHと僕たちの三角関係

WHITE ASH_mainWHITE ASHのニューアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』がめちゃくちゃかっこいい。Queenの「We Will Rock You」を彷彿とさせるヒリヒリとした幕開けのM-1「Orpheus」から、艶っぽいギターとメロディに哀愁が滴り落ちるM-11「Gifted」まで、1秒の隙もない。今作は「音楽」と「作り手」と「聴き手」、その3者の距離感が絶妙で、その距離感が絶妙だからこそ「かっこいい」という言葉で賞賛されるべきアルバムなのだ。

「音楽」と「作り手(の感情)」と「聴き手」を絶妙な距離感で配置するのは、実はとても難しいことだと筆者は思っている。「音楽」と「作り手」が近すぎた場合、上手く「聴き手」を近くに引き寄せることができれば「音楽」は非常に熱量の高いものとなって喝采を浴びるだろうが、それが失敗すればただのマスターベーションになってしまう。逆に「音楽」そっちのけで「作り手」と「聴き手」が近くなりすぎればアイドルだし、「音楽」と「聴き手」を無理やり近づけようとして「作り手」が画策すればそれはJ-POPだ。

そういう微妙な三角関係の中で、WHITE ASHの首謀者・のび太は“絶妙な距離感の場所”に立ち続けている稀有な存在と言える。彼のスタンスは今までもそうだったが、今作『THE DARK BLACK GROOVE』では、その距離感を更に洗練させてきた。バンドの規模が大きくなり、客が増え、それまで以上に多くの良い評価を受けるようになれば、少なからずその立ち位置は変わっていくのがバンドの常だが、WHITE ASHの場合は微動だにしない。流行りには捕らわれないが世の中の流れは敏感に汲み取り、ややもすれば時代遅れになりがちなロックンロールを、普遍的でかっこいい音楽へと料理しているのだ。

のび太を語るとき、筆者はいつもBEAT CRUSADERS時代の日高央氏を思い出してしまう。以前のインタビューでのび太は「感覚と分析っていうところはどちらも両立させたい」と語っていたのだが、まさに彼のクレバーさは日高氏のそれと近い。感覚的に音楽を生み出し、それが「かっこいい」かどうかを自らプロデュースする。WHITE ASHというバンドがシーンでセンセーショナルな存在として君臨し続けるのは、我々から見えないところでの緻密な分析の賜物なのだろう。

今作『THE DARK BLACK GROOVE』はまさにタイトル通り、今までの作品と比べてより体幹と感覚にビシビシと響く楽曲が揃っている。リフやメロディ、リズムといったパートに耳がいくというより、楽曲全体がまるで洗練された蒸留酒のように感覚と神経に作用して、聴けば聴くほど気分が高揚する。WHITE ASHの過去の作品よりも詩的で、饒舌で、艶っぽくてエロい。

そう、エロいのだ。なぜ今作がエロく聴こえるかというと、想像するに、きっとWHITE ASHの4人がいろんな経験を積んで人間的にも成長し、大人になったからなのかもしれない。1年間の制作期間を経て我々の前に姿を現したWHITE ASHのニューアルバムは、まるで高2の夏休みが終わった新学期にクラスメイトの女子と久しぶりに会ったときのように、眩しく輝いて見える(聴こえる)のだ。

いろいろと御託を並べてみたり、童貞青春時代の例え話で語ってみたりしたが、きっとWHITE ASHは、今の時代に存在するどのバンドも成し得ていない“かっこいいロックンロール”を生み出したいのだろう。他のみんながせっせと走っている道には見向きもせず、自分たちが「かっこいい」と信じている道をデビュー以来、ずっと走り続けている。これからも孤高のロックバンド・WHITE ASHの進む先をこの目で、この耳で確かめたい。めちゃくちゃかっこいいWHITE ASHのニューアルバム『THE DARK BLACK GROOVE』は、「聴き手」をそんな気持ちにさせてくれるのだ。

TEXT:Takeshi.Yamanaka