全国15万部を誇る日本最大級のミュージックフリーマガジン on Web!!

twitter instagram

GENTLE FOREST JAZZ BAND

総勢21人が魅せる“踊れるジャズ”が、あなたの心を弾ませる!

GENTLE FOREST JAZZ BAND在日ファンクに所属し、司会や俳優としてもマルチな才能を発揮するジェントル久保田。そんな彼が指揮する総勢21人から成るビッグバンド・GENTLE FOREST JAZZ BAND(以下GFJB)が3rdアルバム『スリリング・ザ・バンド』をリリースした。結成10周年に放たれた今作は、古き良きスウィングジャズを踏襲しつつ、“今”の要素が盛り込まれた躍動感溢れる傑作となった。「専門家や愛好家の物になってしまったジャズをもう一度キッズたちの手に取り戻す」という目標を掲げ、突き進む彼らの“踊れるジャズ”。底抜けに明るい生粋のエンターテインメントは、先行きの見えないこんな時代にこそ必要だ。

 

“仰々しく「ジャズを聴く」じゃなくて、そういう日常のレパートリーに入れてほしいんですよね”

●今年でGENTLE FOREST JAZZ BAND(以下GFJB)が結成10周年になりますが、今までの活動を振り返ってみてどんな10年でしたか?

ジェントル:「スウィング・ジャズ(以下スウィング)は、楽しくてみんなが聴ける音楽なんじゃないか」と思ってビッグバンドをずっとやってきたんですけど、広げていくのは意外と難しかったです。周りのビッグバンドよりも若いお客さんが来てくれて「楽しかった!」とは言ってくれるんです。でも、何かイマイチ(心に)刺さっていない気がするんですよね。

●「刺さっていない」ですか。

ジェントル:ロックにはロックを聴くハコがあるように、ビッグバンドにも最大限魅力を伝える場所や聴かせ方があると思うのですが、それを見付けるのが今の時代何とも難しくて。

●ビッグバンドが似合うハコを見付けることが難しくなったと。確かにジャズというと格式高い場所でやっているイメージがあります。

ジェントル:でも元祖エンターテインメントはジャズですから、もっとみんなが楽しめる部分があるはずなんですよ。ビートルズが日本で人気になってからはロックの方が面白くなってきて、どんどんジャズが衰退していった。日本のジャズシーンはそういう状況でも、かたくなに流行っていた頃の感覚でシーンを時代に合うようにアップデートしてこなかったのではないかと思うんです。

●それを、GFJBで変えていきたいと。

ジェントル:僕らが目指しているのは、日常の中でロックやポップスを聴いたりする感覚でビッグバンドを聴いてもらうことなんです。例えば、朝に気持ちが良いからビッグバンドを聴いて、雨が降ったらくるりを聴くみたいな。それくらいの感覚で聴いてほしい。仰々しく「ジャズを聴く」じゃなくて、そういう日常のレパートリーに入れてほしいんですよね。僕らが本当に立ちたいところはそこなんです。

●活動をしていく中で変わっている実感はありますか?

ジェントル:最近は「GFJBと組めば何かが生まれるんじゃないか」って思ってくれる人が周りに増えてきました。例えば、放送作家のオークラさんが「面白い! コントと一緒にやりたい」って舞台に誘ってくれたりして。そういう人たちのおかげで、僕らは少しづつ頑張っていけていると思います。あとは「自分たちがどういう風に化けるか」というか。

●そういうコラボレーションで、よりGFJBの魅力が出ている気がします。今作の表題曲M-2「スリリング・サ"・バンド」のMVも笑いの要素があって面白い。たかしまなつきさんが手がけた作品とのことですが。

ジェントル:僕らは1930年代〜1960年代のジャズの雰囲気を打ち出していますけど、それをモノクロで古めかしく撮っても、ただの懐古主義なんですよね。MVは異質な面白さというか、今の感性と僕らの音楽が融合することで面白い要素を加えたい。それは僕も楽しみたいっていう部分があって、全く違うジャンルの監督に作ってもらいました。

●最近はCMにも出演していて、音楽活動以外でも活躍の場を広げていますよね。

ジェントル:僕らはそういうこともできるところが肝というか。昔の音楽シーンはスウィングがメインストリームで、その界隈の人がよくテレビに出演していたんですよね。『シャボン玉ホリデー』のハナ肇とクレージーキャッツや、それ以降の90年代のバラエティ番組でもビッグバンドが使われていたんですよ。今、そういうことをリヴァイバルでやりたいっていう人たちが増えているんじゃないかと。

●そんな中でジャズシーンも世代が変わりつつあるんですか?

ジェントル:ビッグバンドは確実にそうですね。原信夫とシャープスアンドフラッツという大御所バンドが解散して、シーンを牽引するのは僕らの世代なんです。でも、今は不景気じゃないですか。みんなビッグバンドみたいなお金のかかることはしないんですよね。

●かなりの大所帯ですもんね。実際シーンを問わず、ライブで打ち込み音源を使うアーティストも増えてきて、ライブ活動がどんどん身軽になっている気はします。

ジェントル:僕らはそれに完全に逆行しているんですよ。特に管楽器は自分の息だけで音を出すから、音の成分が全く違う。人間の声が違うように、同じ楽器を吹いても全員違う音がするから、個性もすごい出るんです。僕らはバンド世代の人間で、生まれた時からビッグバンドを聴いていたわけじゃなく、ロックを聴いて育ったんですよね。だから、そういう変な音や面白いこともピックアップして「みんなで楽しもうぜ!」っていう感覚がある。基本的にインストバンドなので、メッセージ性というよりはーー。

●踊れるような。

ジェントル:そう。踊れるような音楽。ビッグバンドってそういう面白さがあるんです。だから、ライブを観てくれた人は本当に驚いて楽しんでくれるんですよ。

●その“面白さ”っていう部分がGFJBの作品のキーワードにある気がします。

 

“「自分たちにはスウィングが根底にあるから、もっとやりたいことをストレートにやろう」と”

ジェントル:僕はアメリカのビッグバンドのショウが好きで、何が良いかっていうと「楽器の面白さをいかに出していくか?」っていうところなんですよ。GFJBも、そういうところを聴かせたい。言葉だと伝わりにくいかもしれないですけど、ライブで観ると分かると思います。

●今作にはM-5「Like a "D"」という曲がありますよね。この“D”はデューク・エリントンのことですか?

ジェントル:そうです。それはリスペクトを込めていて、他にも『ハイ・プレゼント』(2ndアルバム)には「Dのサマー」という曲があります。デューク・エリントンは格好良いんですよね。彼は個々もしっかり見せるし、それがオーケストラの中で全部活きている。その人たちにしか出せない雰囲気を作りますから。それがすごく格好良い。そういうところをGFJBは表面的にやっているっていう(笑)。

●ははは(笑)。それを受け継いでいるとも言えますよね。

ジェントル:あの面白さって、コピーしようとしてもなかなかできないんですよ。デューク・エリントンみたいな、ミュート(※)で“ワゥワ〜”みたいに演奏するのって意外と大変で。あれは歌の世界なんですよね。楽器の音程を超越したところがあって、それは人間がやることで一番面白さが出る。

●より人間味がでると。

ジェントル:僕はミュートが大好きで、昔からどうやって使うかっていうことを研究しているんです。管楽器ってただ吹くだけじゃないんです。例えばトランペットにミュートを被せると、ギターにエフェクターを噛ませたのと同じで、ガツンと音が変わったりするんですよね。M-6「Oh! Heat's On」ではトランペットが全員違う種類のミュートを付けてソロ合戦をするんですよ。M-3「いつも被ってる The ブルース」なんてトランペットもトロンボーンも、全員違うミュートを被せてソロをしています。今作は、そういう聴きどころをたくさん作っています。

●今作の後半ではGentle Forest Sistersが歌われていますが、歌詞がまた面白いですね。

ジェントル:ジャズの歌詞って英語で歌うと格好良く聴こえるけど、実は大したことを歌っていないんですよ。ジャズは生活の中で生まれる音楽だから、よくよく歌詞を見てみると「そんなことでこんなにドラマチックに歌えるものなんだ!」っていう曲が多いんです。僕が全部歌詞を書いていますけど、そういうところをいつも試行錯誤しています。

●分かりやすいけど味わい深い歌詞というか。

ジェントル:今作のM-8「Gentle Sisters Boogie」は遊び人の女の子の歌だったり、M-10「あなたの立場」にしても「彼氏と遊園地に行ったけど、他の女とも遊園地に行っていた」っていう曲で、内容は全然ないんですよ。M-9「傘がなくて」もドラマチックに書いていますけど「朝ニュースを見忘れて、雨が降ってきたけど、笠を忘れた」っていうだけの曲(笑)。

●そうだったんですね(笑)。

ジェントル:そういう歌詞の雰囲気はスウィングの曲全般にあるんですよ。その辺りはロックと変わらないと思います。ルーツはみんなジャズやブルースですからね。

●そんな今作ですが、一言で言うとどんな作品になりましたか?

ジェントル:「もっと若い人たちに聴いてもらいたい」って言っておきながら、実は今までで一番“どジャズ”な作品になりましたね(笑)。「踊れる」っていうテーマはもちろんありますけど、前作まではもっと「キャッチーさ」とか「分かりやすさ」を意識して作っていたんです。今回はそういうところより、「自分たちにはスウィングが根底にあるから、もっとやりたいことをストレートにやろう」と。だから前作に比べると、もっとコアな作品になっていると思います。

●今作は、やりたいことがストレートにできていると。

ジェントル:そうですね。そうやってバンドの面白さを作っていって、並行して個々も鍛えていく。そういう風にして少しづつ理想に近づいている気がします。

●3/29から“Gentle Forest Jazz Band 〜10th Anniversary〜New Album『スリリング・ザ・バンド』発売記念ツアー”が始まりましたね。最後に今回のツアーについて一言いただければと。

ジェントル:作品としては日常の中で聴いて欲しいんですけど、ライブでは特別な感じで、バッとショウアップされた世界を見せたいです。華やかな世界なんだけど、どこか下らないっていう。そういう面白さがライブで出していけたら良いですね。

Interview:馬渡司

※ミュート…弱音器。金管楽器のミュートはさまざまな種類があり、音色を変えるために使われることが多い

 

banner_228 new_umbro banner-umbloi•ÒW—pj