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ラックライフ

自らの手で創り出したかけがえのない場所で

PHOTO_ラックライフ01

Part.1:Vo./G.PONソロインタビュー

新曲に表れた現在の心境と人間としての成長

PHOTO_ラックライフ04 2昨年10月にアルバム『正しい僕の作り方。』をリリースし、東名阪ワンマンツアーを成功させたラックライフが、待望のニューシングルを完成させた。友人の結婚式で歌うために作ったというM-1「アイトユウ」、後悔に真正面から向き合ったが故に感情が爆発するM-2「ラングレット」、まるで雲ひとつない青空で輝く太陽のように聴いた者の背中を押すM-3「シネマ」。ラックライフというバンドが持つ様々な性格を表現した今作で、彼らはまた新たな一歩を踏み出していく。そんな彼らに迫る今月号の特集は、2部構成のラックライフ・スペシャルインタビュー。Part.1ではVo./G.PONにニューシングルについて訊いた。

 

「“この人たちと俺が繋がっていれる術は曲を書くことしかないんやな”って。そう思ったら自分の中で何かがストンと落ちたというか、乗り越えられました」

●昨年10月にアルバム『正しい僕の作り方。』をリリースし、レコ発の東名阪ワンマンツアーがありましたが、ツアーはどうでしたか?

PON:いや〜、よかったっす。

●それまでと比べて手応えは違いました?

PON:なんか違う気がしましたね。その前のツアーでは5箇所まわったんですけど、そのときよりも気張らずに向かえたというか、自然体でやれた気がします。「うおー! やるぞ!」みたいな感じじゃなくて、ナチュラルにできたんです。

●それが自分にとってはよかった?

PON:めっちゃよかったですね。MCでも無理せずに言いたいことを言えたし、お客さんとの距離が縮まったような感覚がありました。その感覚は、ライブを重ねる毎にどんどん強くなってきて。

●当然アルバムの曲はたくさん演奏したんでしょうけど、作ったときと手触りが違うものもあった?

PON:ありましたね。それもすごくおもしろくて。“あれ? この曲ってこういう気持ちになるんや”みたいな。

●あ、自分自身の気持ちも?

PON:自分自身もそうですし、お客さんの表情もそうなんですけど、想像していたものとは全然違う景色になることがあって。やっぱり生々しいですよね。“曲をライブでやるのはおもしろいな”って改めて思いました。

●もともとラックライフは、音源とライブの印象の差が大きいバンドだと思うんですよね。

PON:そうですね。それも、回を重ねる毎に深くなっていく感じがあって。1回1回のライブが繋がって繋がって、曲の雰囲気とかがどんどん変わるし。そういうことも含めておもしろいことがたくさんあったワンマンでした。

●PONくんは前からそういう発言が多かったと思うんですが、自分が作った曲に対して、ライブで歌ったことやその曲にまつわる思い出をアップデートしていく癖がありますよね。

PON:そうですね。完全に癖ですね(笑)。

●曲は、作った時点で終わりではないと。

PON:その曲をライブで歌ったときに、その場に居た人の顔とか、そのときに自分が思ったこととか、そういうことがどんどん蓄積されていくんですよね。それで、曲を作ったときに思っていたことが膨らんでいくんです。肉付けされていって、自分では抱えきれないくらいのこともある(笑)。

●そういう部分でも、アルバムの曲達も活き活きと成長したツアーだったと。

PON:めっちゃ楽しかったですね。

●で、今回2ndシングル『アイトユウ』がリリースとなるわけですが、ツアー以降は曲作りをしていたんですか?

PON:そうですね。曲作りで苦しんでいました。

●あ、苦しんでいたんですか?

PON:はい。“次は何を歌おうかな?”って。フルアルバムを作ったのが初めてだったので、たくさんアウトプットしたんですよね。だから“次はどういうことを歌っていけばおもしろくなるんだろう?”という部分で。アルバム『正しい僕の作り方。』で26年間のことを歌ったから、“俺はもう曲作られへんのちゃうかな”と思ったんです。でもシングルのリリースを決めて、そこを目指して進もうとしたんですけど、不安が大きかったんですよ。“ペラペラな内容の歌を歌ってしまうんじゃないかな”って。

●ああ〜。

PON:更にスケジュールを先に決めたので、“作りたい”というよりは“作らなあかん”という精神状態になってしまって。それがめっちゃおもしろくなかったですね。

●その状況はどうやって打破したんですか?

PON:“作る”ということを一旦忘れてリフレッシュしたんです。友達とファミレスで朝までしゃべったりとか、地元のライブハウスに行ってみんなとワイワイはしゃいだりとか。聴く音楽も、バンドの曲を聴くんじゃなくて、ジャニーズとか槇原敬之とか普通にリスナーになれるものばかり聴いて。

●頭からバンドのことを意図的に取っ払ったと。

PON:でもいくらリフレッシュしても、やっぱり“作ろう”と思わなければ曲はできないんですよね。ポロっと生まれることももちろんありますけど、今回は生まれなくて。で、“曲どうしよう?”とまたおもしろくないメンタルになっていたんですけど、そんな状況のときにTwitterを見ていたんですよ。そしたらいろんな人がリプライで嬉しいコメントをくれたりしていて。

●はい。

PON:そこで思ったんですよね。“この人たちと俺が繋がっていれる術は曲を書くことしかないんやな”って。そう思ったら自分の中で何かがストンと落ちたというか、乗り越えられました。“あーだこーだ言うんじゃなくてやる。俺は曲を作る”って。そういう心境になったらスッと曲が書けたんです。

●それが今回の収録曲になったと。そのタイトル曲「アイトユウ」は、ものすごくストレートなラブソングですよね。

PON:ラブソング以外の何物でもないです。どベタなラブソングです。

●ちょっとびっくりして。結婚するの?

PON:いや、しないですけど(笑)、ここ1〜2年で友達の結婚式に呼ばれることが多くなったんですよ。それまで結婚式にはあまり出たことなかったんですけど、実際に出たときに“この儀式が終わったらあの2人は家族になるんか”と思ったら…ヤバくて。

●ヤバい?

PON:“すごいな!”って、感動したんです。家族って、大事なものランキングではトップクラスじゃないですか。それにあの2人がなったのかって。なんてすごい制度なんだって。

●なるほど。

PON:で、別の友達なんですけど、高校の同級生カップルが6月に結婚することになったんです。俺は2人ともめちゃくちゃ仲がよくて、高校のときに全然しゃべったこともない頃の2人から知ってるんです。その2人が8年くらい付き合って、この6月に結婚して、家族になる。子供も産むかもしれない。俺の父ちゃんや母ちゃんみたいな感じになるんかな? …そういうことを思ったら“これはすごいな!”って、びっくり&感動したんです。

●肉親以外で、人と人とのいちばん強い繋がりみたいなものを目の当たりにしたと。

PON:そうそう。自分にとっての父ちゃんや母ちゃんって絶対的な家族じゃないですか。でも2人はもともと他人だったわけで。俺は他人だった頃の父ちゃんと母ちゃんを見たことがないからどういう感じだったか当然知らなくて、それを自分の友達カップルで見たわけですよ。それに感動して「俺、曲書くわ!」となって「アイトユウ」を作ったんです。

●ということは「アイトユウ」は書こうと思って書いたというより、日常での感動から自然に生まれた曲。

PON:そうです。6月の結婚式で歌いたいなと。だからCDにするとかは考えてなくて、その2人だけに歌えたらいいなと思っていたんです。でも気づいたらリード曲になってて。「わ! 恥ずかし!」って(笑)。

●ハハハ(笑)。でもいいエピソードですね。M-2「ラングレット」とM-3「シネマ」は、「アイトユウ」とは印象が違って、テンション感やノリがラックライフのライブに近いタイプの曲ですよね。

PON:そうですね。今回の3曲は全部同時進行的に作っていたんですけど、全然ベクトルが違いすぎて混乱してました(笑)。「ラングレット」はもともとリードにしようと思っていたんです。『正しい僕の作り方。』は「これが俺という人間です」みたいなことを歌ったアルバムでしたけど、後から考えてみたらあまり悲しいことを歌っていない作品だったなと。

●ほう。

PON:あれはあれでめちゃ好きなアルバムですけど、“ちょっと隠していることがあったんちゃうかな”と思って。“後悔”とか“悲しい”とか“悔しい”みたいな感情を、自分自身が持っていたことに気づいたんです。だから「ラングレット」は、後悔していることや、自分がいちばん大事だと思っているもののために捨てたり犠牲にしてきたものについての感情に向き合った曲というか。後悔に対して“悲しいな〜”と思っているだけじゃなくて、“だからこそ俺はやるよ”っていう決意というか。

●ふむふむ。

PON:いろんなバンドが解散するのも、もっと自分たちが盛り上げて引っ張っていけていたらいいなと思うこととか、ライブハウスの人が辞めちゃうのも、もっと自分たちがライブハウスでシーンを盛り上げることができたらとか…そういう後悔がたくさんあるんです。そういう後悔を糧にして、俺はちゃんと前を向いて走らないといけないなって。後悔する気持ちは見たくもないし、忘れたいことばかりなんですけど、それを忘れるんじゃなくて、「俺は後悔してます」と言い切っちゃう。「でもこの道を一生懸命走ります」っていう曲ですね。

●なるほど。だから歌も感情が溢れているのか。

PON:この曲だけはもうライブでやってるんですけど、歌っててびっくりするくらい悲しいですね(笑)。後悔に真正面から向き合おうと思って作りましたけど、めっちゃキツかったです(笑)。

●ハハハ(笑)。「シネマ」はどういう経緯でできたんですか?

PON:「シネマ」は…大人になっていろんなことを知って、音楽的な知識とか、業界のこととか、いろんなものを身に付けるじゃないですか。でも昔はそうじゃなかったなって思うんです。

●というと?

PON:何も知らないのに、アホみたいな顔して「俺らイケるイケる!」って歌ってたんですよ。そういう部分を、今の俺はまだ持っているのかな? っていうことを最近思ったんです。

●無知なりの強さみたいな。

PON:とりあえず、なんかわからんけど背中を押したいと。なんか最近の自分の曲って、「こんなこともあるけどがんばっていこうな」とか「乗り越えていこう」みたいな、ちょっと険し目の顔で歌っているような曲が多い気がしたんです。真面目やったなと。

●自分なりの視点とか哲学を組み立てて、それを歌にすることが多いですよね。

PON:そうそう。難しいことや、自分なりの解釈を曲にしてきたなって。でもそういうのを抜きにして「いこか!」みたいな曲が欲しかったんです。自分のまわりにもがんばっている人はたくさんいるし、負けそうになっている人を見ることもあるし。そういう人らに「イケるイケる! がんばろ!」って、笑って走ることができるような曲を書きたかったんです。

●確かに「シネマ」の勢いには全然根拠がないですね…。

PON:全然ないです(笑)。でもそういうことも大事だと思うんですよね。で、そういう部分は今の自分にもあるかな? と思って作ったんですけど…ありました(笑)。だからこの曲を歌っているときはめっちゃ楽しいです。スタジオでもめちゃくちゃ笑いながら歌います。

●「ラングレット」とは全然違うと。

PON:全然違います。だから今回のシングルは浮き沈みが激しいですね(笑)。

●どストレートなラブソングもあれば、後悔と向き合った曲もあれば、無知なりの強さの曲もあるという(笑)。アルバム『正しい僕の作り方。』を作った後、“次は何を歌ったらいいんだろう?”と苦しんだという話がありましたが、シングルが完成して、そういう不安もなくなりました?

PON:うーん、今後はどうなんでしょうね? でもnano.RIPEのきみ姉(G./Vo.きみコ)と話してて、「PONくんはたぶん死ぬまで曲が書けるね」ってお墨付きをもらったんですよ。「だってあれ帰り道の曲でしょ?」って。

●バレてる(笑)。

PON:「川辺で1時間黄昏れたら曲が書けるんだったら、死ぬまでにもっともっと曲が書けるよ」って言われて“ああ〜、そうかも”と思ったんです。後は、自分がうまく変換していくようになってさえいけば、歌いたいこととか言いたいことはたくさんあるんやなって。

●日常が歌になっているから。

PON:そうですね。「だから生きてるだけで書けるよ」って言われて、すごく自信になったんです。“生きてるだけでええんや!”って。

●一生懸命生きていればいいんですよね。あ、でもアホっぽく生きてたら「シネマ」みたいな曲ができるか(笑)。

PON:そうなんです(笑)。それで肩の力が抜けたっていうか、楽になりましたね。

●いいことですね。これからもバリバリ曲を作っていくと。

PON:今も作ってます。楽しみですね。

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Part.2:ラックライフ全メンバーインタビュー

4人で創り出したかけがえのない場所

PHOTO_ラックライフ03ラックライフの楽曲にはVo./G.PONのパーソナルな世界観や視点が色濃く表れているが、彼らのステージはメンバー4人それぞれの個性が融合し、まさに“ライブバンド”らしい勢いと一体感に包まれている。初の全メンバーインタビューとなる今回は、4/26に開催が迫った“GOOD LUCK vol.33”のことはもちろん、彼らのステージの芯にあるもの、そして10年以上苦楽を共にしてきた4人の目に見えない繋がりについてじっくりと訊いた。

 

 

「好きなバンドを集めて、好きな音楽が鳴る場所を作って、そこに好きな人たちが集まってくれるっていう。みんなが集まれる日を作りたい」

●基本的にラックライフはPONくんがかなりパーソナルな世界観を楽曲で表現するじゃないですか。ただ、ライブの4人の空気感とかを見ると決してワンマンバンドではなくて、4人それぞれが個性を出している印象が強くて。全メンバーでインタビューさせていただくのは今回が初めてなので訊きたいんですけど、PONくんが持ってくる楽曲をメンバーはどういう心境で聴いているのかなと。

たく:だいたいの場合は、ざっくりとイメージを伝えられて、そこで各メンバーが思うようにやってみて、それをまたPONが削ぎ落とすというか。

LOVE大石:僕は手数が多いタイプのドラマーなのでとりあえず最初は色々と叩いてみて、後から削ったりとか。PONがバンドに持ってきたということは、その曲をいいと思っているわけじゃないですか。だからこっちも、“きっといいものにできる”と思ってやりますね。

●そこには絶対的な信頼関係がある。

LOVE大石:このバンドで曲を作っているのはPONしか居ないですからね。そこは信頼してます。

たく:PONが持ってくる曲はいいんですよ。こういうことあまり言わないんですけど。

●あ、言わないんですか(笑)。

たく:全然言わないです。PONが持ってくる曲にはいつも驚かさせるというか。“あ、こんなのあるんや!”って。昔作り始めたときとかは特にいつも思っていたし、最近も今までとは違うようなものを持ってくるし、“なるほど!”とよく思います。

PON:曲を作っているときは、たくちゃんだけじゃなくてみんな全然そういう顔しないんですよ。“いい”と思っているかどうかもわからない。というか、みんな取り掛かるのがめっちゃ早いんです。「こんな曲あるねん」って持ってきたら、「わ! めっちゃいいやん!」というファーストインパクトを飛ばして、いきなり作り始めるんです。

●ハハハ(笑)。

イコマ:最初の段階はかなりざっくりしたものですから、やってみないとわからないですからね。ファーストインパクトで「めっちゃいいやん」と思ってることもあるけど。

●前から思っていたんですけど、イコマくんのギターはPONくんの歌メロとは別の次元で表現している印象が強くて。歌に寄り添うギターではなく、歌詞のない歌を歌っているようなギターというか。

イコマ:ああ〜、そうですか。

●自覚なかったんか(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

イコマ:あまり自覚ないですね。僕は手癖になりやすいというか。だから「せーの!」でやったら、自分が弾けるフレーズが出てきちゃうんですけど、それをいかに変えるかしか考えてないんです。

●へぇ〜。

イコマ:それを録って、後から聴いて「無しやな」と思うフレーズを省いていく作業というか。それに例えばPONから「こういうギター弾いてや」って言われた場合、それは自分にとってはすごく斬新なことが多いんです。PONは基本的にキャッチーなんですよ。

●逆にイコマくんはマニアックな方向にいくことが多い?

イコマ:そうなんです。

PON:俺が思っていたものとは真逆のアプローチなんですよね。

イコマ:だから「こういうギター弾いてや」とPONから言われたものは、“キャッチーやな”と思うことが多いんです。でも自分の頭の中で鳴っているものは、やっぱりややこしいことがしたいというか。

●だから歌とギターの対比がおもしろく聴こえるのか。

PON:そうなんですよね。イコマは変なんです。

●え?

PON:たぶん、めちゃくちゃギタリストなんですよね。

LOVE大石:それに人間じゃないですからね。カッパですから。

●なるほど…お水要ります?

イコマ:(皿が)乾いてへんわ!

一同:ハハハ(笑)。

PON:イコマは独特で、俺的に絶対にありえないものも持ってくるんです。“このメロディにそのギターはないやろ!”と思うようなものを持ってきて「ちょっとちょっと!」となる場合もあるんです。でも、俺には想像できない場所でギターを弾いているというか。だからおもしろいですよね。

●確かに初めてラックライフのライブを観たときに思いました。“このバンドのギタリスト、独特やな”って。

イコマ:ギタリストらしいのがあまり好きじゃなくて。チョーキング一発で決めるとかじゃなくて、いろんな音を出せたり、ゆくゆくはギターじゃないような音をギターで出したりしてみたいなと思っているんです。「なに弾いてるの?」と言われるような。

●イコマくんのそういう独特な個性と、PONくんのキャッチーな指向性がうまくブレンドされているという。

PON:そうだと思います。

●ところで4/26に“GOOD LUCK vol.33”が控えていますが、この自主企画イベントはいつから始めたんですか?

LOVE大石:“GOOD LUCK”を始めてから7年なんですけど、その前に“IT'S MY LIFE”というタイトルで10回ぐらいやって、そこからなぜか「タイトル変えよう」となって“GOOD LUCK”にしたんです。

PON:しかも番外編とかでも10回くらいやってるから、全部で50回くらい自主企画イベントをやっているんです。

●要するに何かと理由を付けて飲み会するような感じですよね。

PON:ハハハ(笑)、まさにそんな感じです(笑)。

●でもラックライフにとっては大切な場所ですよね?

PON:もちろんそうです。始めたきっかけは“自分らの好きなバンドを集めて楽しいことをやりたい”というところなんですけど、今でも同じ理由で続けていて。

●ほう。

PON:CDのリリースに合わせて開催したこともありますけど、結局は自分たちの好きなバンドを集めて、好きな音楽が鳴る場所を作って、そこに好きな人たちが集まってくれるっていう。ぼーっとしてたら誰もそういう日を作ってくれないじゃないですか。だから自分らでやろうと。みんなが集まれる日を作りたいっていう。「それをでっかい規模でやったらおもろいやろ」っていう。ワクワク探しですよね。

●でも50回以上やっているわけじゃないですか。ブッキングとか大変だと思うんですけど、すごいですね。

LOVE大石:大変です。ブッキングはだいたい僕がやっているんですけど、1回、30バンドくらいに断られたことがあって。そのときはさすがに折れそうになりました。

PON:ウチは明確に役割分担が決まっているんです。高校のときから大石がブッキング、俺は曲作り、イコマがウェブ、たくちゃんが運転。

●あ、なるほど。さっきの曲作りの話も、明確な役割分担があるから信頼して任せているという。

PON:そうですね。だからブッキングも信頼して任せているんです。

LOVE大石:なんばHatchを会場に選んだことについては、やっぱり大阪を拠点にして全国的に活動しているバンドが僕らのまわりでは少ないので、大阪のバンドだけでなんばHatchを埋めるのはなかなか難しくて。だから他の地方のバンドにも力を貸してもらいつつ、後輩の大阪のバンドにはサブステージで出てもらって。将来的には、僕らのまわりの大阪のバンドだけでやりたいと思っているんです。

●なるほど。なんばHatchは去年3月の“GOOD LUCK vol.25”でもやっていますよね?

LOVE大石:そうです。去年なんばHatchでやったのは「若手のバンドばかりでなんばHatchやったらおもろいやん」と思ったことがきっかけなんですけど、やったことがすごく大きくて。今から考えたらもっと早い段階からなんばHatchでやっておけばよかったなと思うくらい。

●なんばHatchで自主企画イベントをやったこと自体が大きかった。

イコマ:大きかったですね。めっちゃ楽しかったし。

●ということは、去年の“GOOD LUCK vol.25”が終わってすぐに「来年もまたここでやろう」と?

PON:いや、すぐには決まらなかったです。「もうイヤや!」って。俺はメンタル的な部分が大きいんですけど「あんなプレッシャーはもうイヤや」って。去年やってみてちょっと満足しちゃったというか、別になんばHatchじゃなくてもいいやろうと思っていたんです。でも時が経つにつれて「やっぱりなんばHatchでやる?」って。

LOVE大石:僕は次もなんばHatchでやりたいと思っていたんですけど、バンドの雰囲気的にはなんとなくもう少し小さいハコでやろうとなっていて。で、去年6月にアルカラ主催の“ネコフェス”があったんですけど、そのときに太佑さん(アルカラ Vo.)やグッドモーニングアメリカの幸一くん(G.)と話してて、「そういうイベントを大阪でやってるバンドは居ないし、ついて来てくれる地元の後輩バンドもいっぱい居るし、絶対毎年やるべきやろ」って言われたんです。それで“やるしかない!”と。

●アルカラやグッドモーニングアメリカは自分たちだけじゃなくて、シーン全体を見渡した活動をやっていますからね。

LOVE大石:それでなんばHatchを押さえたんです。来年ももう押さえてます。

●お!

PON:2年目もやったら、また次もやらないと。

●おお!

LOVE大石:いつもそうなんですけど、メンバーの意見を聞きつつ、自分たちの好きなバンドに声をかけて。

PON:自分たちの好きなバンドや、地元でがんばっているバンドとか。

●その“好きなバンド”というのは、どういう基準なんですか?

LOVE大石:ライブがかっこいいバンド。響くっていうか。

PON:うん、そこしかないかな〜。グッとくるかこないか。

●楽しみですね。さっきも言いましたけど、ラックライフのライブはメンバーそれぞれが自分の個性を出して、すごく能動的にライブを楽しんでいる雰囲気が魅力だと思うんですが、やっぱりライブは楽しいですか?

4人:楽しいですね〜。

LOVE大石:僕はドラムなのでいちばん後ろから見ていて、自分が叩くリズムでメンバー3人がウワーッ! となって、お客さんもウワーッ! となっている瞬間が最高です(笑)。

●今も顔がニヤけてますね。

たく:うん。お客さんの顔を見たときがやっぱりいいですね。あまり動いたりしない人でも、顔を見れば伝わっているかどうかがわかるというか。それにライブ中にメンバーの顔を見たりして、楽しそうにしていたらテンションがあがるし。

●なるほど。イコマくんはどうですか?

イコマ:デカい音が鳴っているのがおもしろいなって感じですね。ライブハウスってモニターもあるし、やっぱりライブをやりやすい環境なんですよね。“めっちゃ気持ちええな”って。

●他の人は関係ないということ?

イコマ:いや、“俺めっちゃいい音出してるから聴け!”みたいなテンションですね。

PON:イコマは普段はこんなにテンション低い感じなんですけど、これでもライブになると叫んだりするんですよ。サビ前とかで「オーーーーィ!」って。それで俺もテンション上がります。

LOVE大石:手にきゅうり持って(笑)。

●アハハハ(笑)。

イコマ:でもPONの顔は見ますけどね。“どんな表情してるんやろう?”って。そこでズレてたらよくわからへんじゃないですか。PONがシリアスな顔してるのに俺がめちゃ笑ってたりしたら。

●はい。

イコマ:だからそこは自分のテンションが上がっていても、PONがシリアスな顔してたら自分もそういう風に持っていかないとなって考えてライブしてます。無理やり合わせている感じもたまにはある。

一同:アハハハハハ(笑)。

PON:赤裸々やな(笑)。

イコマ:雰囲気である程度はわかるんですけどね。でもPONは同じ曲でも日によってテンションが変わったり、歌詞を変えてきたりもするし。だからコーラスが合わなくて“ワワワ!”ってなることもあります。“ハモられへん!”って。

一同:ハハハ(笑)。

PON:でも何回かそれを経験したら合わせてくるんですよ。

●それすごいですね。話を聞いていて、ラックライフというバンドの本質が見えたような気がします。口には出さないけど、目に見えない信頼関係みたいなものが根底にある。

PON:やっぱりこのメンバーが楽ですね。この3人に押し出されるからこそ歌える歌もあるんです。1人で弾き語りもやったりするんですけど、弾き語りとバンドでは歌が全然違うんですよ。

●あ、そうなんですか。

PON:はい。弾き語りはなんというか、すごくダークなんです。根暗マックス。でもバンドになると強気になれるというか。不思議ですね。

Interview:Takeshi.Yamanaka

 

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