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Rama Amoeba

不変の煌めきを放つロックンロールの魔法が鮮烈な夢の世界へと誘う

Ramaアー写2015“日本のマーク・ボラン”、アキマツネオ(Vo./G.)が率いるRama Amoebaが3年ぶりのニューアルバムを完成させた。マルコシアス・バンプで世に出て以来30年が経とうとしている今も、アキマの生み出すスウィートでメロウなサウンドと歌声は中毒的な魅力を決して失わない。確固たるこだわりを追求した上で時間をかけて、じっくりと作り上げられた全10曲はいずれも不変の煌めきを放っている。『21st Century Doll』と題された新たな名作の中から鳴り響くシンプルなロックンロールは、聴く者たちに魔法をかけて鮮烈な夢の世界へと誘うだろう。

 

 

「やっぱり俺たちは、今現在の2015年に生きている人間なんだから。そういうことに挑戦するのも楽しいじゃないですか。今のデジタルサウンドを打破していくというか」

●前作『Red Or Blue』(2012年)から3年ぶりの新作リリースとなりますが。

アキマ:今回は長い時間をかけて、曲ができたらレコーディングするという形を取っていたんですよ。そしたら知らないうちに、3年も経っていたという…(笑)。

●3年かけて徐々に作っていったんですね。

アキマ:まとめてバッと録ったわけじゃないんですよ。やっぱり同じ時期にまとめてやると、同じ感情で全部作っちゃうじゃないですか。でも長期にわたってやると(時期によって)マイブームなんかも違ってきたりするから、(曲ごとの)作風も違ってくる。そっちのほうが、アルバム的には良い感じになるかなと思って。

●時間をかけてやったことで、楽曲にも幅が出る。

アキマ:それに一気にやろうとしても、人間ってそんなに集中力が持続しないものじゃないですか。俺は特にそうなので、曲を作っている時も5分以内にできないとすぐに投げ出しちゃうんですよ(笑)。自分でも嫌になっちゃって…。レコーディングも一気にできるのは3〜5曲くらいが限界かな。それ以上やっても、ジャッジがだんだん甘くなってきちゃうし(笑)。

●早く終わらせたくなるっていう(笑)。

アキマ:あと、今回は色々と実験もしたかったから。一気にやったら、「こういうのを試してみよう」と思っていたものが上手くいかなかった時に全部ダメになっちゃうじゃないですか。だから最初に3〜4曲録って「今回はこういうことがやりたい」というものをやってみて良い感じになったら、それを踏まえた上で「次はこういうことをやろう」という流れで作っていきましたね。

●色々と試しながらやるために、時間がかかったというのもある。

アキマ:やっぱりレコーディングって、試したいことがあっても早くても(リリースした)次の年とかになっちゃうから。でもこういうやり方なら、レコーディングした数ヶ月後にはまた別のことが試せるっていう。

●今回はどういった部分で実験しているんでしょう?

アキマ:デジタルレコーディングでの全体的な音質というところですね。デジタルが今の主流にはなっているけど、まだ全然中途半端なテクノロジーだと思っていて。昔のレコードを聴くと、圧倒的に音が良かったりするんですよ。それは50年代とかにまで遡れば遡るほど、良くなる感じでダイレクトカッティングの頃が一番良かったりする。でも“デジタル”という名前に、みんな騙されているというか。すごく進歩している感じがするけど、実は音質で言うと全く進歩していないどころか逆行しているんですよね。

●技術は進歩しているようで、音の質は下がっている。

アキマ:音楽が低迷している原因は、そこにもあると思うんですよね。たとえばサビがどんなに素晴らしいメロディの曲であったとしても「音が嫌だな」と思ったら、そこまで行かずにみんな聴くのをやめちゃうわけで。だから俺は、音質がすごく重要だと思うんですよ。「心地良い」と思えば聴いていてくれるだろうし、第一関門はまずそこだとずっと思っているんです。

●そこは今までもずっとこだわっている部分では?

アキマ:ずっとこだわっています。デジタルとの闘いみたいな感じで、音楽をやっている以上は常にそれがあって。Rama Amoebaも、それとの闘いですよね。『Red Or Blue』では「今のデジタル的なものというのはどんな感じかな?」というTDをしてみたんだけど、逆に1stアルバム(『Hello! End Of The World』)の時は極力そういうものを排除した形でやっているんです。だから『Red Or Blue』と1stアルバムはすごく対照的な音になっているんですよ。それを踏まえた上での今回という感じなので、自分としては音質に関してもわりと納得がいっている感じですね。

●完全にアナログ録音をしたいとは思わない?

アキマ:今回もちょっと考えたんですけど、結局はやめて。アナログで録って納得したところで、その先がないから。今後もそのやり方にこだわっていくなら良いんだけど、自分としてはProToolsとかのデジタルなものを使って、そういう音に近いものを作れるようにしていきたいなと。

●ちゃんと今の技術を活かして録るというか。

アキマ:やっぱり俺たちは、今現在の2015年に生きている人間なんだから。そういうことに挑戦するのも楽しいじゃないですか。今のデジタルサウンドを打破していくというか。新曲を出すということは「新しいことをやりたい」ということなんだから、そういう部分も全て踏まえてやりたいですね。

●レコーディングには時間をかけるんでしょうか?

アキマ:レコーディングに長い期間をかけてはいるけど、実際に録る時は「1週間くらい」とか決めてシュッとやっていますね。

●1曲1曲の録音にかける時間も短い?

アキマ:そうですね。「せーの」で全員一緒にやりたい曲はクリックも使わずに録っているし、そうじゃない曲は緻密な感じでドラムだけ先に録ってから他の音を重ねていったりもしていて。でもテイクはそんなに重ねないので、録るのは本当に速いと思います。

●そこまで音を重ねたりはしない。

アキマ:今は特にデジタルレコーディングでチャンネルも使いたい放題だからいくらでもダビングできて、豪華にしようと思えば死ぬほど豪華にできるわけじゃないですか。でもそんなことに意味があるとは思わないから。スカッとしていて欲しいなって。

●確かにスカッとしていますね。

アキマ:デジタルはダビングが多ければ多いほど、「風景を写真に撮ったら実際に仕上がってきたものがイラストになっていた」みたいな感覚があって。今のTVから流れてくるような音楽には、そういうイメージのものしかない。でも昔のレコードとかは、ちゃんと写真だった感じがするんですよね。今は音が前に飛んできてくれないし、ある一定の平面でグチャグチャしている感じというか。音の1つ1つも全然明快じゃないから。

●写真のような音楽というのは、音の1つ1つが鮮明に見える。

アキマ:そうですね。それに奥行きもちゃんと感じられる。最近の音楽は、楽器と楽器との音の隙間が全くなくなっちゃっている感じがして。俺は楽器と楽器との間にあえて空間を作りたいから、オーバーアレンジみたいなことはしたくない。そういった意味でシンプルにはしたかったんです。あと、曲の時間も短くというか。

●1曲1曲もあまり長くならないように。

アキマ:5分くらいでサクッとできた曲って、Aメロとサビだけでも成り立つんですよね。でもサビが弱かったりするともう1つメロディが必要になったり、途中に間奏が必要になったりして、どんどん曲が長くなっちゃうわけで。ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」なんて、恐ろしい短さのAメロとサビだけで成り立っているじゃないですか。ああいうのが後世にも残る曲なんだろうなと思いますね。

●すごくシンプルだけど、普遍的な魅力を持っている。

アキマ:そういうものがカッコ良いと思うので、自分たちの曲もそういうふうにありたいなとは思います。自分が好きなT.REXなんて、どの曲も2分台ですからね。

●今回の収録曲はスムーズに出揃ったんですか?

アキマ:そんなにスムーズではないかな(笑)。やっぱり自分が作る気にならないと、なかなか出てこない。たまにお風呂に入っている時や車に乗っている時に、急に浮かんだりもしますけど。自分の場合は、家で楽器を持って「じゃあ、曲を作ろう!」みたいなことはまずないですね。だから、録音するための機器は常に持っていて。

●ちなみに今作で最初のほうにできたものというと?

アキマ:M-2「Next Door」、M-3「Tea Time」、M-6「Dynamite」、M-7「Spindle」あたりですね。

●このあたりを最初にレコーディングしたと。その時点でアルバムの方向性は見えていたんですか?

アキマ:全然見えていないですね。とにかく曲に集中している状態だから、全体像なんかはわからなくて。このアルバムに関しては、全体像を全く考えていなかったんです。曲が集まった時に「こういうアルバムだったんだ」と自分でわかる感じで良いなと思っているから。世界観みたいなものを限定したくはなかったし、自分はそんなに都合よく作れないなと思ったので。

●何か1つのテーマに沿って作ったわけではない。

アキマ:アルバムという1つの括りではあるけど、1曲1曲がどうなっているかが大事であって。自分で作っているからもう死ぬほど聴いているのに、アルバム全体としてどういうものかは自分ではまだわからないんですよね。3年くらい経ったら「この時のこのアルバムはこうだったんだ」とか第三者的に思えるというか、いつもそういう感じなんですよ。

●タイトルがM-1と同名の『21st Century Doll』なのは、作品全体のイメージからではない?

アキマ:これは一番最後にできた曲で、レコーディングも最後だったんです。最後だったから、これが一番アルバムのことを考えて作った曲ではあったのかな。他の曲が全部出揃った時に、こういう骨太でブギーな曲がないなと思って。1曲くらい欲しいなと思ったんですけど、そう思って作れた試しがないんですよ。いつもは何かイメージしても、全く関係ないものができるから。

●でもこの曲は違った?

アキマ:この曲は、わりと自分の思ったとおりにできましたね。そういうのはすごく久しぶりの感覚で。それにやっぱり5分くらいでできた曲なので、このアルバムのタイトルチューンにふさわしいなと思って。「この曲で勝負だ!」と思えたというか。「この曲が良いと思ったら、次の曲も聴いてね」みたいな気分ですね。逆に「これが嫌なんだったら、俺たちの音楽は聴かなくていいよ。すいません」みたいな(笑)。

●ハハハ(笑)。それくらい自分たちを代表する新たな1曲というか。「Next Door」もMVになっていますが、リード曲的な立ち位置なんでしょうか?

アキマ:自分の中では、シンプルでキャッチーなロックンロールという感じですね。これもサクッとできたから、そういうところはあるかな。

●収録曲はどれもサクッとできている?

アキマ:どれも作り始めたら、サクッとできましたね。あんまり考えこんで作ったものはないと思います。

●レコーディングした時期に差があるわけですが、それが1枚のアルバムに入っていても気にならない?

アキマ:気にならないですね。だって、自分のやっていることって20歳の頃から全く変わっていないような気がするから(笑)。

●Rama Amoebaを始めた時は、10代の頃にバンドを始めたばかりのような気分でやりたいというテーマがあったんですよね。

アキマ:それは今でもそう思ってやっていますね。ただ、スピード感だけはちょっと無理だなって。気持ちはティーンネイジャーだけど、身体がティーンネイジャーじゃないから(笑)。でもやっぱりその気持ちは忘れないで、いつもそこに立ち返るようにはしていますけどね。何かをジャッジする時は、必ずそういう気持ちを思い出すようにしています。

●だからこそ世代や時代を超えて、普遍的に聴けるような作品ができている。

アキマ:やっぱり俺の中でアルバムって「いつ聴いても良い」というものになって欲しいし、次のアルバムが出たらもう用済みになるようなものにはなって欲しくない。自分自身は普段から音楽を聴くほうじゃないんだけど、やっぱり車の中とかでは聴きたくなる。そこで自分の聴きたいものが欲しいから、自分で作っている感じなんですよね。俺はずっとそんな感じなんですよ。

●車の中で自分の作品を聴かれているんですね。

アキマ:本当に恥ずかしいくらい、自分の音源を大音量で聴いていますね…ヘヴィローテーションですよ(笑)。だから、新しい曲を作らざるを得ないんです。

●自分の好きなアーティストの新譜が楽しみな気持ちに近いんでしょうね。

アキマ:そうなんですよ。でも俺にはそういうものがないから。マーク・ボランは死んじゃっているし、自分でやるしかない(笑)。自分の欲しいものは自分で何とかするっていう感じですね。

Interview:IMAI

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