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A(c)

新しい旅は原点の想いに 繋がっていく

PHOTO_Ac結成10周年を迎えた2014年、地元・金沢で自主企画フェス“金沢一生青春FESTIVAL”を開催したA(c)。メンバー脱退を乗り越え、たくさんの人との出会いと繋がりを大切にしてきた彼らが、待望となる新作を完成させた。ジャズ・ファンク・ブルースなど自らのルーツを起点とし、Vo./G.白江の人間味溢れる歌を中心に紡がれた5曲は、遠い未来でも普遍的な輝きを放ち続けるだろう。結成当初からのメンバーである白江と野崎に、昨年正式メンバーとなった山本と加えて新たな旅を始めようとする彼らに11年目の想いと原点を訊いた。

「ルーツがあって、未来に進むけど、でも原点にも繋がっている。それは“人生”とも似ていると思うんですよね」

●昨年はバンド結成10周年で、自主企画フェス“金沢一生青春FESTIVAL”を開催されましたが、メンバー全員が10年というわけではないんですよね?

白江:そうなんですよ。僕と野崎が10年やっていて、何人かドラムがいたんです。拓真(山本)は最初サポートからスタートしたんですが、去年10月の“金沢一生青春FESTIVAL”で正式メンバーになったんです。

●10年というのは、感慨深いものがありましたか?

白江:振り返ってみるとあっという間なんですけど、本当にいろいろとあって。メンバーが抜けちゃったりとか、バンドがうまくいかないときもありましたし。でも続けてこれたのは、お客さんはもちろん、家族とか友達とか、たくさんの支えがあったからっていうのは間違いなくて。

●はい。

白江:実は前のメンバーが抜けたとき、正直に言うとちょっと続けていけないかなっていう状況にまでなったんです。

●2012年7月にDr.大谷めぐさんが脱退したときですか?

白江:そうです。めぐが脱退するときに“解散”という選択肢もあったんです。でも、そこで拓真がすんごい支えてくれて。音楽的にも、彼のお陰で僕らの幅がすごく拡がって。そのことによって新しい曲がどんどんできたりとか。だから拓真がいるからA(c)が更にパワーアップできたっていうところもあります。

山本:ありがとうございます!

白江:めぐが抜けて、割と早い段階から拓真はサポートになってくれて。感謝しています。

●あ、そんなに感謝しているのに、正式メンバーになるのは2年もかかったんですね。

一同:アハハハハ(笑)。

白江:僕らもメンバーとして考えていたし、拓真自身もそう思っていてくれていたんですけど、それまでめぐがいたということもあって、拓真がこのバンドのドラムだっていうことを浸透させるためにはある程度時間が必要だなと思ってて。だから10周年を迎えたときに正式メンバーになってもらったんです。

●今おっしゃいましたけど、2012年の大谷さんの脱退はかなりの危機だったんですね。

白江:そうですね。心が折れたね。

野崎:うん。アルバム『symmetry』(2012年10月リリース)のリリースやツアーと絡んだ時期だったんです。

●あ、なるほど。

白江:だからツアーがすごく苦しくて。いちばんキツかった時期ですね。

●でも拓真さんに支えてもらいつつ、昨年10周年を迎えて、これからもがんばれると。

白江:そうですね。また旅に出ることができる喜びをめっちゃ噛み締めてます。本当に嬉しいです。

●まさに“旅”というキーワードが出ましたが、まさにタイトル通り、バンドのいろんな状況が今回リリースするミニアルバム『ミライトラベル』に繋がっているんですね。

白江:そうですね。もともと今回の作品のコンセプトはルーツというか、自分たちが“かっこいい”と思えるブラックミュージックなどから受けた刺激や影響をそのまま出そうっていうところだったんです。更に、音楽的なルーツはもちろんなんですが、出会いのルーツもあって。昔からお世話になっていた人と「一緒にやろう」ということで、今のレーベルからリリースさせていただくことになったんです。

●おっしゃるように、今作『ミライトラベル』はブラックミュージックなどのルーツを感じさせる楽曲揃いですけど、3ピースとは思えないような厚みや深さや味わいがあって。ずーっと聴ける作品だし、身体に染み込むような感覚があるんですよね。

白江:ありがとうございます! 今作はM-2「in the dark」が核になっているというか、いちばん最初にできた曲なんです。この曲ができたから“ルーツでもいいんだ”と思えたんですよね。深く考えたわけじゃなくて、単純に“いい”と感じたものをやろうと。

●なるほど。ところでM-1「旅人」という楽曲は、ライブ映えする勢いのある曲ですよね。

白江:「旅人」はセッションで作ったんですけど、3/4拍子っていうのがA(c)にはあまりなかったんです。スタジオでできたときに“あ! いいかも!”という手応えがあって形になったんですけど、歌詞については10-FEETのライブを観たことがきっかけになっているんです。

●お。

白江:大先輩ですし、すごくお世話になっているんですけど、Vo./G.TAKUMAさんの言葉に勇気付けられたっていうか。それで、感動した気持ちをそのまま歌にしたというか。簡単に言うと、“勇気を出す大事さ”みたいなものが胸に残ったんです。勇気を出すことってすごく大変なことだと思うけど、でも勇気を出したら少しでも変わることができると思うんです。だから歌にして。ライブ中に負けそうになっても、“負けんぞ!”と思いながらこの曲を歌ってます。

●ライブ中に負けそうになるんですか?

白江:めっちゃあります。自分の中の話ですけど、精神的に負けそうになることは何回もあります。

●どういうことでしょう?

白江:自分に負けそうになるっていうか。もちろん“お客さんに楽しんでもらいたい”とか“楽しい”っていう気持ちが大半だからテンションが上がってウワーッ! ってなるんですけど、やっぱりライブってすごく難しくて。自分が思い描いたところとか、自分の中の自分と闘って負けそうになったりとか。いろいろとあるんですけど、そこでふんばれる曲というか。

●その話を聞いて腑に落ちたんですけど、「旅人」の歌詞に“まっすぐに誠実に”とありますよね。特に“まっすぐ”という言葉が多く出てきていて。

白江:はい。

●その“まっすぐに”というのは、ライブバンドと呼ばれる人たちの共通的な価値観というか。

白江:ああ〜。

●ライブでは、まっすぐに誠実に届けないと人の心に届かないような気がするんですよね。だから「旅人」からは、ライブに対する姿勢みたいなものを感じたんです。

白江:やっぱり、ライブで感動するのは…なんていうのかな…音になっていないけど届くものって絶対にあると思うんですよ。

●ありますね。

白江:そこがライブの醍醐味っていうか、感動できるライブの大事なところっていうか。だからたまに負けそうになっても“いや! ここは!”と自分を奮い立たせることができるっていうか。そういう気持ちを込めて作った曲なんです。

●まさにA(c)のライブに対する想いが込められていると。

白江:そうですね。僕らもそこは大事にしたいし目指したいところです。

●なるほど。あとM-3「ticktack」という楽曲のノリがすごくおもしろくて。譜割りも独特だし、すごくクセになる曲ですよね。

野崎:拓真がこういうノリ得意なんです。

●あ、そうなんだ。

山本:これもセッションで作った曲なんですけど、「こんなのどう?」ってドラムを叩き始めて、それに寿美ちゃんのベースに乗っかってもらって、その上に適当にギターを合わせたっていうか。最初はそんな感じでしたね。

野崎:でも拓真が入ったからこそできた曲っていうか。

●最初におっしゃっていましたね。拓真さんがいるからパワーアップできたっていう。

白江:拓真からはめっちゃ刺激を受けているんです。拓真は24歳なんですけど、僕は今年33歳なんです。拓真は若いんですけど、僕らが通っていない音楽とかがすごく好きで、そういうところを出してくれるんです。だから今までに経験したことがないようなセッションができるんですよね。それがものすごくおもしろいんです。

●いいことですね。

白江:すごくいいことだと思います。この曲は「譜割りが独特」っておっしゃいましたけど、常識みたいなところに因われるのがあまり好きじゃなくて。歌詞に英語と日本語があったとしても、同じような流れで一緒に歌っちゃえと。それが歌っていても楽しいので、こういう感じになったんです。それが曲のノリと合ったかなと。

●なるほど。あと今作の特徴として、M-4「rhythm」の最後とM-5「トオクミライ」が繋がっていて、続けて聴かないとわからないフックがあったり、M-5「トオクミライ」の最後には少し遊びが入っていたり。そういう遊びの部分が、今現在のバンドのテンションを物語っているような気がしたんですよね。

白江:今回の『ミライトラベル』にはそういう遊びの部分も詰め込んだんですけど、今までの作品ではそういうことがあまりなかったんです。

野崎:今回は本当にやりたいことを詰め込んだよね。

白江:うん。いろんなところに“お客さんが喜んでもらえたらいいな”っていうものを詰め込んでて。僕ら自身もそれを楽しんでるだけなんですけど、ちょっとしたフックというか、「あれ?」っていうところを楽しんでもらえたらいいなって思ったんです。

●バンドがいい状態だと。

白江:本当にそうだと思います。今の気持ちがそのまま作品になっているというか。『ミライトラベル』という作品タイトルにしたのもそうなんですけど…“旅”って、繰り返すとか、原点に戻るとか、そういうこととリンクしているような気がしているんです。未来にも行くんですけど、もう1回原点に戻ることができるっていうか。ルーツがあって、未来に進むけど、でも原点にも繋がっている。それは“人生”とも似ていると思うんですよね。

●バンドの想いを詰め込んだ作品が完成したし、ツアーが楽しみですね。

野崎:楽しみです。レコ発ツアーのファイナルは、10/25の“金沢一生青春FESTIVAL”なんですよ。

●あ、そういうことか。

白江:去年“金沢一生青春FESTIVAL”をやって、本当によかったなと思っていて。“楽しかった”ということと、何よりお客さんが楽しんでくれたのがよかったし、仲間との繋がりも実感できたし、“金沢を盛り上げなきゃ”っていう責任感もあるし。感謝もしつつ、しっかりとがんばんなきゃと思ってます。自主企画でフェスをやるのはいろいろと大変ですけど、でも続けていかないと意味がないと思っていて。だから“金沢一生青春FESTIVAL”をしっかりとやろうと思っています。

Interview:Takeshi.Yamanaka

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