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FLiP

10年間で培った自信と未来の確かさを証明する新作ミニアルバム

PH_FLiP2015年、結成10周年を迎えたFLiPが新作ミニアルバム『BIRTH』を完成させた。EMI Recordsへと移籍を果たした昨年以降、これまでのイメージとは違う側面を見せてきた彼女たち。ルーツとする欧米のロック〜ポップから受けた影響をよりダイレクトに楽曲へと落とし込み、FLiPならではの昇華をした最新型のサウンドが今作には詰まっている。大人の女性へと成長を遂げた今もなお、心の底から楽しみつつ奏でられる音と言葉はどこまでも自由で軽やかだ。この先に見つめる未来の確かさを証明するような、輝きに満ちた珠玉の全7曲に触れてみて欲しい。

 

 

「“こうあるべきだ”とか“ロックとは?”みたいな固い感じからは解き放たれていますね。シンプルに音を楽しむということと、メンバーそれぞれがライブで楽しめる曲を作るというのが今は一番にあります」

●今年で結成10周年を迎えたんですよね。

Sachiko:何事もまず10年続けることに意味があるというのもあるし、節目として大きいなとは思います。高校2年生で結成してからの、この10年間は本当に色んな歴史があったなと。

Yuumi:「あっという間の10年だったな」という想いもあるけど、振り返るとすごく色んなことがあって。10年やったから(今回の作品のように)こうやって色んなことにも挑戦できるし、それを自分たちでもすごく楽しめているんです。自信もついてきたし、経験もあるからこそ、ここまで行けるっていう部分はあるから。「やっと10年。これからだな」という感じで、今はすごく新鮮な気持ちでやれています。

●去年にはレーベル移籍も果たしたわけですが、そこでの心機一転もあった?

Sachiko:そこも大きいですね。でも移籍したからサウンドが変わったというわけではなくて、ちょうど去年にFLiPがバンドとして「次にどういう世界観を持ってやっていくのか?」という自問自答をしていた時期があったんです。そこから新しい世界観や自分たちがやりたいライブ像、サウンドや言葉の感じとかをもう一度違う視点でアウトプットしていくタイミングとレーベル移籍が重なったので、すごくタイミングが良かったなと思います。

●バンドとして次の方向性を模索する期間があったんですね。

Sachiko:今までFLiPが歩んできた道の延長線上で「次はどうしようか?」と考えるんじゃなくて、一度立ち止まったんです。3rdフルアルバム『LOVE TOXiCiTY』(2013年)をセルフプロデュースで作ったからこそ、バンドが“reborn”する時期だと思って。ふと立ち止まって自分たちのやりたいことをみんなで照らし合わせた時に、「新しい道を自分たちの目の前に作ろう」となったんですよ。そこからは新しいサウンド感を、照準を絞って作っていくという感覚でやっています。

●3rdフルアルバムをセルフプロデュースで作ったことが大きかった?

Yuumi:大きかったですね。

Sachiko:そこで出し切ったからこそ、見えたものがあったというか。3rdフルアルバムを作り終えてから、曲を作り出すエネルギーというものが一度枯れてしまった時期があって…。今までアウトプットし続けてきたからこそ、インプットする時間が欲しいということで半年間くらい設けてもらったんです。その期間で「次にFLiPでどういう曲を作りたいんだろう? 何を歌いたいんだろうか?」というものを見つけ出したんですよね。

●それが良いキッカケになったんでしょうか?

Sachiko:キッカケとなるものを見つけ出した期間でした。本当に自分の意志だけで好きなCDを買っていた頃に聴いていたものって、US〜UKのロックやポップスだったりして。バンドとしても洋楽を好んで聴くメンバーが集まっているし、「そういう世界観をもっとFLiPにも素直に落とし込めたら、もっともっと自分たちのバンドや楽曲のことを愛せるな」というのを見つけ出したんです。そこから生まれたのが『GIRL』(シングル/2014年)や『MADONNA』(デジタルシングル/2014年)なんですよね。

●以前はビジュアル的にもダークな色彩が強かったところから、レーベル移籍後はジャケットやアーティスト写真の雰囲気も一気に開けた感じがします。

Yuumi:色の使い方が思いっきり違う…(笑)。

●そこには音や心境の変化が表れている?

Sachiko:曲から派生した内面の変化が、ビジュアルにも全て影響していますね。でも元々、こういうビジュアルの世界観を好む一面も持っているバンドではあったんですよ。それを今まで自分たちが歩んできた世界観の中では、出してこなかったというだけで。今は「女性として肩の力をもっと抜いた世界観でバンドがやりたいな」って思えているからこそ、本当に素の部分というか1人の女の子として柔らかい部分を素直に出せるようになってきていて。その変化が(ビジュアルにも)すごく出ていると思います。

●これまでのビジュアルイメージでは、女性としての強さやカッコ良さが前面に出ていた気がします。

Sachiko:そこを出していたから。強さとか鋭利な部分というか。バンドを始めたばかりの頃は、“FLiP”という世界観を突き詰めていたんです。その時の4人が出したいサウンド感や自分たちがその時に思っていた“ロック”の在り方というか、荒々しさや勇ましさだったり女性の感傷的な部分というものにフォーカスを合わせていて。というか、ナチュラルにそういう曲を作っていたバンドだったんですよ。でも今はさっき話したような志向で、バンドをやれているっていう。

●女性らしさや女性ならではの柔らかさも今は素直に出せるようになった。

Sachiko:今は「これがしたい」とはっきりわかっているからこそ、本当にありのままの世界観を出せたらなと思っています。

●メンバーはずっと傍で見ているから、特にSachikoさんの変化がわかりやすいのでは?

Yuumi:うん。肩肘張っていたものが取れて、すごく自然体で楽しめているから…「やっとできるようになったんだな」と思います(笑)。

●そのせいか今回の楽曲からは、軽やかに前に進んでいくような感じがするんですよね。

Sachiko:歌詞のまとっている憂い感というのは私の人間性が持っている質感なので多少はありますけど、そういう中でも前を向いて一歩一歩ちゃんと進んでいるという感覚はあって。未来が見えているからこそ出せるパワー感というものがあるので、それを自然と曲に閉じ込められているんだなと思いますね。

●何か1つの壁を突き抜けたような感覚があるというか。

Sachiko:そうですね。今ってガールズロックというものの裾野が広がっている中で、私たちは「すごい! 女の子だけでここまでやれるのか!」って男性にも思われるようなサウンドを作り出していきたいと思っているんです。ジャンルも飛び越えて、女性ができるロックの中でどれだけ壁を壊せるかなということにすごく楽しんでトライできたのが今回の作品でもあって。だから『GIRL』と『MADONNA』のようなコントラストがすごく明るめの作品を出した次のものとしては、(今作は)ロック感がわりと強いと思うんですよ。でもそれはあえてで、ここでサウンドにどれだけロック感を出して次のアルバムに進めるかというところを考えて個人的には作ったから。日本の音楽というものへの先入観やJ-ROCK観を壊していきたいんですよね。

●「GIRL」や「MADONNA」を作った時点で、今作のイメージはあったんでしょうか?

Sachiko:今作のビジョンができたのは、『GIRL』をリリースして少し経ってからですね。まだそこに辿り着こうとしている時期だったので、まずは作品をリリースしてライブでやった時の感覚を体感しないと、次に進めないという感じがあって。ライブでお客さんの前でやってみて、次は元々FLiPが持っているロック感というものを「GIRL」と「MADONNA」から続くレールの上で出していこうというところから見えてきました。

●2月に開催した東名阪の10周年のツアーでも今作の曲を既にやっている?

Yuumi:M-2「JEREMY」とM-3「YOU」はやりました。

●実際にライブでやってみて見えた部分もあるわけですよね。

Yuumi:コーラスの重ねる本数を増やしたのは、ライブでやった時の感覚に影響を受けたからなのかなって思いました。「JEREMY」の“Gonna Bang Bang Shake It”の部分なんかは、ライブでやってみた時に「みんなでシンガロングさせたい感じなんだ」と思ったから。

Sachiko:(自分が)「歌って欲しいんだな」とは思いましたね。身体は揺らして欲しいんですけど、モッシュやダイヴといった概念からは離れたいと思っていたんです。ライブでテンションが上がって高揚して頭がおかしくなっちゃうような曲を作りたいという気持ちはあっても、「かかってこい!」みたいな感覚ではないから。そういう中でみんなが一緒に歌えたら、ライブの空間に一体感が増すんじゃないかと思ったんですよ。

●一緒に歌えるというのは、今まで以上にメロディのキャッチーさが際立っているからこそかなと。

Sachiko:ポピュラリティというものをすごく大切にしているんです。自分の中で“ポップ”というのはわかりやすくて口ずさめるものだから、1回聴いただけでサビを覚えちゃうような感じは大切にしましたね。一番聴きやすいのは、やっぱりメロディじゃないですか。だからこそキャッチーさは大切で、そこは妥協せずに自分の中でのラインを設けています。

●そこはずっとこだわっている部分では?

Sachiko:昔からそうですね。ただ、料理の仕方が変わったというか。今は自分が明確なイメージを持っていないとダメだと思っているんです。それがあるからこそ、バンドで色々と料理できるかなって。

Yuumi:今までの曲作りは「みんなで調理していこう」みたいな感じだったんです。それぞれが良いと思う調味料を入れるのでたまにカオスになったりもして(笑)、そこから引き算をしていくのに時間がかかっていたんですよね。でも今はSachikoが完成形のイメージをある程度作ってきてくれるから、みんなも自分のやるべきことがわかる。その曲に対して自分がどうアレンジを加えるかというのも、自ずと「これにハマるフレーズを」と考えるから(方向性が)大きく逸れないで済むんですよ。

●曲作り自体もスムーズになった?

Yuumi:もちろんSachikoが1人で曲作りにかける時間はあるんですけど、そこから4人でブラッシュアップしていく作業はすごくスムーズになりました。デモを聴いた時点から曲のイメージがどういうものかわかるから、みんなの解釈が一瞬で。だから自分でも「ここは遊べるな」とか「全体がシンプルだから飽きさせないように何かエッセンスを加えてみようかな」みたいなアイデアが増えて、そこは大きな収穫かなと思っています。

●表現としてもカラフルになっているのかなと。

Yuumi:それはありますね。アプローチの仕方が変わってきているから、色合いも変わって見えるのかなって。

●音楽や自分たちに対しての考え方も、すごく自由になっている感じがします。

Sachiko:うん。「こうあるべきだ」とか「ロックとは?」みたいな固い感じからは解き放たれていますね。シンプルに音を楽しむということと、メンバーそれぞれがライブで楽しめる曲を作るというのが今は一番にあります。

●サウンドの変化に対する賛否両論はあると思いますが、気にならない?

Sachiko:当然のことだなと思います。私自身もデビューアルバムが好きだったアーティストの2作目を聴いてみて「前作のほうが良かったな」と思うことはあるし、好きだからこそ「今が良い」とか「前のほうが良い」と言うわけじゃないですか。愛情だと思うので、色んな意見に対してもネガティブには捉えていないですね。というよりも、私たちにはやりたいことがあるから。そこをまず突き進んで、みんながついていきたくなる背中を見せるというのが今一番やりたいことなんですよ。

●それができているという実感もある?

Sachiko:「でき始めている」というのが正確かもしれないですね。ここで確立しているわけではなくて、(今作は)次のアルバムに向けてさらに突き進めるためのミニアルバムだから。このロック感を持ちつつ、次はどれだけポップさを出せるかというところなんですよ。

●次の目標へ向かうための布石になっている。

Sachiko:それをこの結成10周年の2015年内にやるつもりなんですよ。「新しい世界観のFLiPが誕生しているんだ」っていうことを表明したいからこそ、今回は『BIRTH』というタイトルにして。このミニアルバムに関して「良い作品です」と自信を持って言えるし、今はそれを持って「次のアルバムを楽しみにしていて下さい」という気持ちでいっぱいですね。

●7/12の渋谷TSUTAYA O-WESTワンマンも楽しみですね。

Yuumi:『BIRTH』には今のFLiPがやりたいことを素直に詰め込めたし、挑戦もできたんです。そういう作品を持ってのワンマンだから、自分でも楽しみなんですよね。もっとカラフルになるだろうなと思うし、やっている側の感覚も今までのライブとは違うものになるだろうなと。そこを早く体感したいなという気持ちがあります。

Sachiko:私たちが今まで開けていなかった心の中の扉を開いているんだというのがすごくわかるライブになると思うんですよ。ライブハウスという空間で、みんなが抱いている“ロック感”というものの先に行きたくて。今のFLiPが好きでついてきてくれている人たちは、みんな新鮮な気持ちで楽しめると思います。

Interview:IMAI

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