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迷われレコード

ネット発、自由すぎるレーベルがCDを発売。主宰・山岡迷子に訊く!

AP_山岡迷子フリーキーかつアナーキーでインディペンデントを掲げるジャンルレスなレーベルとして2009年から運営してきた迷われレコード。「ロックやテクノ、演歌やジャズでも、犬の鳴き声でもいい」という自由すぎるスタンスで、フリーキーな音源や正統派なロックなどが幅広く扱われ、日々さまざまな表現者が発信をしている。そんなレーベルが、初の全国流通盤という形で5/6に一気に5タイトルを同時リリース。ネット上で行っているフリーの音源配信のみならず、“フィジカル”CDの販売という選択肢を取り入れ、活動の幅を広げる彼ら。そのリリースを機に、主宰・山岡迷子氏にインタビューを行った。

 

●迷子さんは2009年にインターネットレーベル“迷われレコード”を立ち上げたそうですが、まずは設立のきっかけを聞かせて下さい。

山岡:私はもともと岡山出身で、設立当時は鳥取で音楽をやっていました。でも、シーンに活気がない地域に住んでいたので、音楽を発表する場所がなかったんですよね。そんな発表の場を求めていた時に「だったら自分でネットレーベルを立ち上げて、発表したらいいんじゃないか? 」と思い付いたんです。立ち上げた頃はまだ大学生だったんですけど、海外にネットレーベルっていう文化があるのは知っていて、よくダウンロードをして聴いていたんですよ。「レーベルっていうブランドがあれば、そこで聴いてくれる人もいるのかな」って思ったんですよね。

●レーベルはどういう方針で運営をしてるんですか?

山岡:“クオリティが高いものより、面白いものが良い”っていう。デモ音源を募集するときは「ロックやテクノ、演歌やジャズでも、犬の鳴き声でもいいです」と言っています。

●ハハハ(笑)。じゃあ極端な話、会話でも良い?

山岡:良いですね(笑)。過去にはラジオドラマをリリースしていたりしますから。日本にもネットレーベルはいくつかありますけど、その中で迷われレコードは後発なので、他と同じことをしても色を出せない。だから“他(のレーベル)にないような面白い作品を出したい”っていう。

●今回“フィジカル”な作品としてCDを5タイトル同時リリースしますが、今回の作品を選んだ理由はありますか?

山岡:迷われレコードで何回かリリースしてくれたり、コンピに参加してくれたりしたアーティストの中から選びました。クオリティという意味ではなくて、信頼できる方。「この人なら面白い音源を作ってくれるだろう」っていうアーティストにオファーをしたんです。

●なるほど。今回はそんな迷われレコードからリリースする作品について聞いていきたいと思います。よろしくお願いします!

 

山岡迷子

■山岡迷子『ユウタイサンセット』
“インターネットカルチャーから生まれた雑多で未整理な音楽”

●これはご自身の作品ですよね。

山岡:あの〜…僕もチヤホヤされたかったっていう(笑)。

●ハハハ(笑)。

山岡:レーベルオーナーですけど、ミュージシャンでもありたいと思っていて、それを忘れないためにもリリースをするんです。そもそも自分の音楽を発表したいから立ち上げたのに、いつの間にかみんなのリリースばかりやっていたんですよね。もちろん、みんなの面白い音楽も聴いてもらいたいんですけど、自分の音楽も聴いて欲しいんです。

●ほんとにジャンルに囚われていない音楽性というか、自由ですよね。

山岡:「変なことをしているけど聴いてみたらポップ」みたいな作品にしたいっていうところがありますね。「迷われレコードってこういうところです」という意味も込めました。

 

Dubb Parade

■Dubb Parade『Selected Works』
“国内Juke/Footwork〜ゴルジェシーンの重鎮。初のCD作品”

●恥ずかしながら初めて知ったんですけど、“ゴルジェ”という音楽シーンがあるんですね。

山岡:最近ネット上で話題になっていて、コンピCDが出たりしているんですよ。Dubb Paradeは、日本のアーティストの中では比較的早い段階でJuke/Footworkやゴルジェをやっていた人ですね。この方はレーベル設立の初期から音源を預けてくれて、そこから何回もリリースをしてくれていたので「この人なら間違いなく面白い音楽を作ってくれるだろう」と。ゴルジェシーンはこれから来るんじゃないかと思います。

●たしかに面白いですね。これから要注目のシーンでもあると。

 

虚夢

■虚夢 『彼方にいる…?』
“意識を引っ張って持っていかれてしまう。凶暴なダークアンビエントサウンド”

山岡:虚夢さんは昔から“ダークアンビエント”っていう表現を使っていたんですが、むしろアンビエントって環境音楽ですよね。ダークアンビエントっていうと、不快感しかないっていう(笑)。

●ハハハ(笑)。

山岡:でもそれをアンビエントと言ってしまうところにインパクトがあります。

●とても前衛的ですよね。M-4「ペルセフォネ」にはポエムコアアイドルowtn.が音源に参加していますが。

山岡:そもそも「ポエムコアって何?」っていう話だと思うんですけど。ポエトリーリーディングから派生したもので、不思議なジャンルなんです。

●M-9「破壊転生」ではブラックメタルバンドfaith of gestalgtも参加しているんですよね。

山岡:そこは自分のルーツで、メタル魂が残っているところを見せていると思いますね。

●この曲のクライマックスとか…すごいですよね。

山岡:何というか…。崖から落ちそうな感じ(笑)。

 

depthqueuing

■depthqueuing『For My Adolescence』
“ジャズマスターを掻き鳴らす、激情のギターサウンド”

山岡:この作品のリードトラックがM-10「dawn」という曲なんですが、周りの知り合いから「この曲が良い!」とプッシュされたんですよ。それがきっかけでCD化に取り組むようになったんですよね。

●周りの反応も良かったと。

山岡:最初にもらった音源はもっとポストロックに近くて、toeやThe band apartのようなテイストの音楽をやっていたんです。今回は自身のルーツであるギターロックに帰ったというか、改めてギターロックを見つめ直して作った作品なんだと思います。

 

KISS THE BURNER

■KISS THE BURNER『GRID』
“緊張と地緩を繰り返す。視覚と聴覚を一斉に刺激する”

山岡:最近EDMが流行っているんですけど、『GRID』はその流れとは違うエレクトロな感じになっていて、サイケデリックでトリップホップ的な陶酔感のある音楽に仕上がっています。

●ニュー・オーダーとか、80年代のテイストも感じられますね。そういう意味では迷子さんのルーツにも近いのかなと思ったんですが。

山岡:そうですね。個人的にも非常に聴きやすい音楽です。過去には音源がmuzieというサイトで年間ダウンロード9位にランクインしていて、キャリアが長くて実績もある方なんです。音楽理論をガッチリやってきたみたいで、クオリティも高いんですよね。

●以上の多彩な5作品がリリースされますね。レーベルとしては今後の展望は何かありますか?

山岡:やっぱり、他でやっていないような音楽をリリースし続けていきたいと思います。いつも聴いてくださっている方々が「こんなの来たか!」って思うような、良い意味で予想を裏切って行けたらと思いますね。これからも「こんな音楽も出せるんだ!」っていう作品をリリースしていきたいです。

Interview:馬渡司

 

 

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