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BRADIO

夢を描いて未来を口ずさむFUNKASISTA。 その奏でる音は色鮮やかな生命の輝きを放つ

PH_BRADIOBRADIOが初のフルアルバム『POWER OF LIFE』を遂に完成させた。Vo.真行寺貴秋の強力な歌声と個性を活かした圧巻のライブパフォーマンスで、瞬く間に支持を広げてきた彼ら。昨年は各地の大型フェスやサーキットイベントでも、その音に触れたオーディエンスを虜にしてきた。今年2月には2ndシングル『Flyers』がアニメ「デス・パレード」オープニングテーマに抜擢された影響で、ネット上では海外からの反響も続々…。もはや日本という枠すら超えて世界中にFUNKY PARTY PEOPLEを増殖させている中で、今作はその勢いをさらに増す1枚となるに違いない。MICRO (from HOME MADE 家族)と谷川正憲 (from UNCHAIN)をフィーチャリングに迎えた楽曲も含むカラフルな全12曲は、計り知れない生命力とエナジーに満ち溢れている。

「本当に今、BRADIOというバンドは脂が乗っている良い時期だなと思っているんです。どこにもまだ到達していないし、“これからどうなるのかな?”というのが楽しみになる位置にいて」

●遂に初のフルアルバムが完成したわけですが、いつ頃からアルバムに向けて動き始めていたんですか?

聡一:2ndミニアルバム『Swipe Times』(2014年7月)を出した後に、次はシングルを2枚挟んでアルバムを出そうという流れは考えていて。そこに向けて、去年から動き始めていましたね。

●今年2月に2ndシングルとしてリリースされたM-2「Flyers」はアニメ「デス・パレード」オープニングテーマということで、反響も大きかったのでは?

有希:普段はライブハウスにあまり来ないような層の人たちにも知ってもらえた気がして。インストアライブでも「アニメで知って、観に来ました」という人が増えたので、そういう点では良かったなと思いますね。自分たちとしては全然変わっていないんですけど、色々と広がっているのは実感しています。

亮輔:自分の中ではアニメに対して、ちょっと距離感があったんですよ。でも見ている人が多いんだというのを今回のことで知って、意外とそんなに距離がないんだなとわかりましたね。

●YouTube上ではBRADIOのMVに対して、海外からのコメントも増えましたよね。

聡一:やっぱり日本のアニメーションは海外にも届いているんだなというのを実感したというか。想定していた以上に、すごくリアクションが多かったんです。日本語で歌っているにもかかわらず、あれだけリアクションがあるということに驚いたし、感動しましたね。

●楽曲制作にあたっては、アニメの内容に寄せた部分もある?

聡一:「Flyers」に関しては、アニメの監督さんから「作品の内容とはあえて離して欲しい」という要望を頂いて。「デス・パレード」自体はシリアスな題材が多い中で、真逆のような曲を欲しいということだったんです。それはそれで難しかった部分もありましたけど、とにかく“明るくて楽しい”というのを楽曲的には意識しました。

貴秋:歌詞についてもストーリーには寄せず、今までどおり書いたというか。音から得たインスピレーションをそのまま歌詞にしたという感じです。

●タイアップだからといって、いつもと変わったことはなかった。

聡一:ただ、曲を作る期限が先に決まっているので、そういう意味では少し強引さもあったんですよ。ツアー先でスタジオに入ったりもして、いつもとは制作の環境が違ったのは何かしらの変化につながったかもしれないですね。具体的にどこが変わったというわけではないですけど、いつもと違う場所で作るというだけでも少しイメージが違うのかなと。

貴秋:今までメンバー4人だけで制作していたところに初めて第三者の意見も入ったことでちょっと苦労した部分はありましたけど、楽しくやれました。アニメの制作側とも色々と意見を交わしながら、作っていったんですよ。そういう経験は初めてだったし、今までとは違う制作方法で面白かったなと。

●第三者の意見も加わったことで、新鮮さも感じられたんですね。

貴秋:新鮮でしたね。それが今作『POWER OF LIFE』のフィーチャリングで、色んな人たちに力を貸してもらったのにもつながったのかなと。「Flyers」で初めて外部の人と一緒に何かを作ったことがアルバムにもつながったというところでも、良いシングルになったと思います。

聡一:そもそも「Flyers」は候補に挙げた曲の中では一番“ない”ネタだと、自分たちでは思っていたんですよ。原形自体はたいしたことないんですけど、そこに色んなアイデアが加わっていくことで輝いていったというプロセス自体が、曲や歌詞の内容ともマッチしていて。ライブで貴秋もよく言っているんですけど、聴いてくれている人たちの背中を押すような曲なんですよね。僕らとしても背中を押された曲だし、みんなの力にもなれるような曲を作れたことが嬉しいです。

●この曲以外のアルバム収録曲も、基本的には書き下ろしなんでしょうか?

聡一:元からあったネタをリメイクした曲もあれば、今回の制作期間の中で作ったものもあります。たくさん候補曲を出した中から選考していくというやり方にしたかったので、とにかく年明けからネタを出しまくって。今回は年明けに曲作り合宿のような感じでずっとスタジオにこもって制作していて、その中で出てきたアイデアにどんどん取り組んでいった感じです。今考えると、常に追い込まれている感覚はありましたね。

●作曲は4人全員でやっている?

聡一:全員で作っていくというのは当初からのスタイルなので、基本的には今回もそうでしたね。「違うやり方はどうか?」というところで試行錯誤もしつつ、アレンジに関しては悩んだ曲が多くて…。色々と試してはやっぱり上手くいかなかったりして、最終的にハマった曲をチョイスした感じです。

●試行錯誤する中で、煮詰まったりもした?

聡一:相当に煮詰まりましたね。ずっとスタジオにいるのに何も浮かばない時間があって…、そういう時は何をしてたっけ?

貴秋:ずーっと天井を見ていた。

●ハハハ(笑)。

聡一:全員で天井を見つめている時間が長かったですね(笑)。

亮輔:自分は煮詰まりやすいタイプなので、本当にレコーディングに入るギリギリまで考えて何とかなったんですよ。特にリード曲のM-9「スパイシーマドンナ」は本当に何度も何度も潰しては建て直しを繰り返して、やっとできたという感じですね。

●「スパイシーマドンナ」はアレンジ面で苦戦したと。

亮輔:やっぱり納得のいくものを完成させたかったから。本当にどうしようもなくなって嫌になりそうな時もあったんですけど、結果的にすごくBRADIOらしいものができたので良かったなと思います。

●この曲の歌詞はすごくBRADIOらしいと思いました。特に“Bomb! Cute! Bomb!”で“ボン・キュッ・ボン”と読ませるのが面白いなと(笑)。

貴秋:このフレーズは当初からあったんですよ。表記もみんなで話し合って、これに決めたんです。最初にこのフレーズがあって、ここから他の歌詞が派生していきましたね。

聡一:貴秋が持ってくる言葉は耳触りの面白いものが多くて。M-3「真っ赤なカーチェイス」というタイトルもだいぶ斜め45度を行っているなと(笑)。このタイトルの意味のわからなさが、個人的には相当面白いと思っています。

●日本語的にもちょっとおかしいですよね(笑)。

聡一:「真っ赤なカーチェイス」と「赤いカーチェイス」のどっちにするかで議論になったんですけど、その時も心のどこかでは「どっちでもいいよ!」と思っていましたね(笑)。

貴秋:文法的にはどっちもおかしいですからね(笑)。でも普通ではできないことをやれる力が音楽にはきっとあると思っているので、そういう遊びが面白いんじゃないかなって。

●しかもフザけているようで、曲自体はカッコ良かったりもする。

聡一:「真っ赤なカーチェイス」も曲の感じとしてはマジですからね。ガチンコな曲でこのタイトルというところで、「さすがBRADIOだな」と自分で思いました(笑)。

●M-10「腰振る夜は君のせい」もタイトルはフザケているように見えますが、曲はすごくカッコ良い。

貴秋:「腰振る夜は君のせい」というタイトルを見た瞬間に下ネタを想像する人もいると思うんですけど、内容を見ると実は“腰を振る”というのは“Shake”の意味でダンスのことなんです。そこで(予想を)裏切る感じというか。タイトルと歌詞の位置関係というものがこの曲に関しては本当に上手く表現できたなと思います。タイトルだけでは完結しない歌詞と、歌詞から(意味を)読み取るタイトルという関係性がすごく上手に表現できましたね。

●M-5「Chocolate Flavor」の歌詞も、ちょっとエロティックな感じがします。

貴秋:アダルトな空気も意識しつつ、実は“人に触れる”というのがこの曲のテーマなんですよ。触れた場所によって、駆け引きが変わるというか。たとえば男性が女性の肩に手をかけるのと、胸元に触れるのとでは次の行動が変わってくるじゃないですか。そうやって人に触れることで、どんどん次のステージや道が生まれてくるということを表現したいなと思って。それをビターなものに甘いものを混ぜることでどんどん色が変わっていくチョコレートになぞらえて、人に触れた時に気持ちがどんどん変わっていくのを表現したかったんです。

●M-8「シークレットコード」も男女の駆け引きを描いている?

貴秋:この曲には仕掛けがあって、歌詞の中に本当にシークレットコードが隠されているんですよ。テーマとしては“愛とはいったい何なのか?”ということで、愛に対しての謎を解いていくという内容になっていて。歌詞の中のシークレットコードを読み取れたら、“これが愛の1つの形なんじゃないか?”というものが見つかる内容になっています。

●歌詞はどれもすごく考えられてますよね?

貴秋:歌詞に関しては書いた後に1回寝かせてから、もう一度見るという作業を何回も繰り返すんです。ストーリーが1つあると面白いなと思うので、毎回そういうものを作るようにはしていて。歌っている以上は人に伝わらないと意味がないし、自分の中でちゃんと1本芯のあるものをライブでもやれたらと思うから。

●きちんと考えられているからこそ、下ネタっぽい言葉も嫌な感じがしないというか。

貴秋:そこはメンバーにも相談して、行き過ぎないように気を付けていますね。特に「スパイシーマドンナ」の歌詞は、ただの下品な下ネタにならないようにというのをすごく意識しました。どんな形であれ聴いてくれた人がドキドキ・ワクワクするようなものができたらなと常に思っているので、下ネタに対してもそこまで臆病にならなくて良いと思っているんですよ。

●今作全体で、歌詞に一貫したテーマやメッセージのようなものはあるんでしょうか?

貴秋:一貫したメッセージ性というのはないですね。ただ、曲が持っている力を意識して、相乗効果を生むような歌詞を付けたいなとは思っていました。曲から受けた最初のインスピレーションは大事にしつつ、バンドが持っている音の力に、さらに力を加えられるような歌詞が書けたらなと。

●バンドにプラスアルファの力を加えるという意味では、今回はフィーチャリング・アーティストを迎えた曲もありますよね。まずM-4「Sunday feat. MICRO (from HOME MADE 家族)」はどういう経緯で?

貴秋:“イナズマロック フェス2014”に出させて頂いた時に、HOME MADE 家族も出演されていて。そこで挨拶させて頂いたのをキッカケに、何度か連絡を取らせてもらっていたんです。そういう中で、今回のこの曲は元気でアッパーな感じなのでMICROさんにお願いしてみようかということになりました。そしたら「ぜひやろう!」と言って下さって、すごくスムーズに進みましたね。

●歌詞も共作なんでしょうか?

貴秋:曲のイメージだけは伝えて、ラップの部分は書いて頂きました。MICROさんはアーティスト同士のつながりを大切にされる方で、今回もすごく親身に考えて下さって。ラップも何パターンか持ってきて頂いた中で「どれが良い?」と僕らと相談しながら、一緒に作っていった感じです。

●一緒に作業したことで受けた刺激も大きいのでは?

聡一:なかなか他のアーティストのレコーディングを見ることはないので、そこも刺激的でした。音楽に対する姿勢もそうですし、やっぱり色んなものを見てきた人なので人間性がすごいんですよ。しっかりと僕らの作品に対してもこだわりを持って、どうやったら良くなるかというのを真剣に考えて頂いて。すごく刺激的な時間でしたね。

●M-12「Ride On Time feat. 谷川正憲 (from UNCHAIN)」も共作?

貴秋:この曲に関しては“一緒にできたら良いな”と思ったところから、谷川さんをイメージして歌詞を書いていった感じですね。僕の中で夢や憧れだったものが時間をかけて叶ったというところで、その叶った先にある“未来へ向かう力”というものを表現できたらなと思っていて。それで時間に乗って過去から未来に行くというのをイメージして、「Ride On Time」という曲名にしたんですよ。

●“夢が叶った”というのは?

貴秋:僕は昔からUNCHAINのファンで、そのメンバーである谷川さんと一緒にやるという夢が叶ったという想いを歌詞の中に込めています。夢は叶うということをわかりやすい形で体現したものを見せられたんじゃないかな。この曲を聴いてくれた人たちがそれを希望と受け取ってくれたら素晴らしい歌詞になるなと思っていたので、良い形になったかなと。その憧れの人がちゃんと参加しているという意味でも、本当にポジティブな曲になったと思います。

●未来へと向かっていく歌詞の内容的にも、アルバムの最後にふさわしい曲ですよね。

貴秋:アルバムの最後の曲として、次につながるものになったかなと。本当にこの曲を最後にして良かったなと思います。

●逆にM-1「FUNKASISTA」は、すごくオープニングらしい曲だなと。

貴秋:できた時に「1曲目はこれで行こう!」と、みんなが納得した曲ですね。最後のほうにできたんですけど、それまでは「1曲目になるものがないね」と話していて。「このアルバムを一貫してまとめる曲がないよね」という話をしている時にちょうど良いタイミングで生まれたので、できあがった時はスタンディングオベーションくらいの感じでした(笑)。

●すごくBRADIOらしい曲というか。

貴秋:そうですね。ライブもすごく意識した楽曲になっていて。ライブに来てくれている人たちに対する、愛と感謝を込めた曲です。

●アルバムタイトルの『POWER OF LIFE』は、作品全体のイメージから?

聡一:タイトルは完全に後付けですね。完成した作品に対して、タイトルを付けたという感じで。色んな角度の“パワー”というものを“生命力(LIFE)”という表現で上手くまとめることができたなと思います。アルバムを聴く中で、僕ら自身も感じたキーワードなんですよ。

有希:1曲ごとに違う色の生命力を表現できたかなと思っていて。全部の生命力を合わせて1つの生命力になっている“BRADIO”というものを、アルバムとして表現できている感じがする。1曲ごとに違う色なんですけど、芯には全部“BRADIO”という生命力があるということがすごく表現できている1枚になったなと思います。

亮輔:最強のアルバムができたなと素直に思うんですけど、タイトルを決めた時は本当にハマった感じがありましたね。

●自分たちでも本当に満足する作品が完成した。

貴秋:今回のアルバムには、今までになかった手応えがあるんです。1stフルアルバムということでメンバーの団結力も高まって、良い意味で力の入ったアルバムになったなと。色んな人たちに支えてもらって、やっとできたんだなという感じがしていて。そんなアルバムを届けられる喜びを今はすごく感じています。

●リリース後のライブでやるのが今から楽しみでは?

聡一:やっぱり、BRADIOはライブバンドだと思っているから。フルアルバムを出したことで、これまでのツアーとはセットリストも大きく変わると思うんですよ。アルバムを聴いてもらって、今作の曲たちがライブでどう表現されるのかを楽しんでもらいたいなと。

●9月には5会場でのワンマンツアーも予定されています。

有希:今回は初めての5都市ワンマンツアーということで、1本1本違ったショーを見せられたらなと思っていて。やっぱりエンターテインメントを大事にしているので、全会場に来てくれる人がいたとしたら5本とも楽しんでもらえるようなものにしたいですね。

亮輔:今まではワンマンをやるには曲数がギリギリだったので、会場ごとにサッカーの選手交代くらいのセットリスト変更しかできなかったんです。でもこのアルバムができたことでチームがガラッと変わるくらいの変更もできると思うので、楽しみにしていて欲しいです。

●ファイナルは恵比寿LIQUIDROOMということで、過去最大規模になりますが。

聡一:会場の規模も大きくなって、自分たちにとってはチャレンジという部分もありますね。でも会場が大きくなった時に、どういう見え方になるのかというところも楽しみにしてもらいたいなと。

貴秋:本当に今、BRADIOというバンドは脂が乗っている良い時期だなと思っているんです。どこにもまだ到達していないし、“これからどうなるのかな?”というのが楽しみになる位置にいて。そういうバンドが1つの結果を出せるのがライブという場所なので、その瞬間にしか出せないものが見せられるんじゃないかと思っています。メンバーと楽曲とスタッフが一丸となって、みなさんを楽しませるようなライブができたら良いですね。

●まだ絶頂には到達していない?

貴秋:そうですね(笑)。絶頂は到達するものじゃなくて、目指すもので良いかなと俺は思っていて。そこまでのプロセスで起こるエネルギーが本当に重要なんだなと思っているので、そういうのを大切にしていきたいなと思います。

Interview:IMAI
 
1st Mini Album 『DIAMOND POPS』インタビューはこちら!
 
2nd Mini Album 『Swipe Times』インタビューはこちら!

 
 
 
 

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