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リムキャット

ジャンルの淵を気ままに歩く野良猫たちが奏でるカオティックエレクトロミュージック

newrimcat男女ツインボーカルによるエレクトロロックバンド、リムキャットが1stアルバムをリリースする。変拍子を多用した轟音エレクトロサウンドの中を、儚くも美しいメロディが縦横無尽に飛び交う今作。バンドのテーマでもある『カオティック/エレクトロニカ』をまさしく体現した、結晶度の高い作品がここに誕生した。

 

 

 

●今作のタイトル『カオティック/エレクトロニカ』は、バンドのテーマでもあるのかなと思ったんですが。

クマ:元々、このバンドを始めた時の音楽的なテーマがこれだったんです。初めての流通作品ということでバンドのイメージが一番伝わるのは何だろうと考えた結果、僕らが提唱している“カオティック/エレクトロニカ”をそのままタイトルにしたいと思ったんですよ。

●具体的にはどんなイメージなんですか?

クマ:僕はCAPSULEが好きなんですけど、激しめの電子音とバンドサウンドが混ざっていたら面白いなというのが最初の発想としてあったんです。エレクトロも好きだけど、ギターロックもすごく好きなので、その真ん中でやりたいなと。僕の作る曲は変拍子が多くてグチャグチャしているものが多い中で、最終的にはどれもエレクトロニカで集約されているなというところで“カオティック/エレクトロニカ”と名付けました。

●グチャグチャしているところが“カオティック”だと。

クマ:変拍子や歌詞でグチャグチャしているところは、感情的なものを表現しているんです。生身の温度感のあるエレクトロというか。“カオティック”というと黒っぽいイメージがあると思うんですけど、その中にもちょっとだけ明るさや温かさがあるイメージですね。

●結成当初からこのテーマだった?

クマ:リムキャットが始まってからは、このテーマで活動しています。前身バンドでの活動期間が3年くらいあって、僕は元々ギタリストだったんです。ボーカルの脱退があって代わりに自分が歌うことになったんですけど、実はものすごく音痴なんですよ。

●音痴なんだ!?

クマ:はい(笑)。どうにもならなくなった時にオートチューンの存在を知って、試してみたら面白くて。歌詞を書いているのは僕だから、音痴であっても自分で歌うほうが感情は伝わるのかなと。それでオートチューンを使うのなら、もう少しエレクトロ要素を増やしていこうという発想から今の形が始まりました。

●エレクトロの要素が入ったのは、オートチューンがキッカケだった。

クマ:歌の下手さがキッカケです(笑)。自分たちくらい音数が多いバンドだと歌が感情的であるよりも、無機質なほうがメロディとしての和音がきれいになるのかなと。その中でもちょっと生っぽいところやシャウトがあれば、そこの言葉の重さが際立つと思うんですよね。

●サウンドはカオティックでありつつも、軸になっているのはメロディなのかなと。

クマ:メロディは一番大事にしていますね。きれいなんだけど、どこかに儚さもあるメロディというか。

●M-3「ループオーケストラ」のコーラス部分は、ちょっと童謡的な響きも感じました。

クマ:自分の好きなものが童謡だったり、合唱しやすいものだったりして。懐かしさや儚さがあるものが好きなんだと思います。

●この曲はどんなことを歌っているんでしょうか?

クマ:たとえば“指を鳴らしたら終わりにしよう きっと夜のせいだ”という歌詞は、夜に1人で泣きながら「なぜ悲しいんだろう?」と悩んでいる子に対しての「もっと簡単に考えていいんだよ」というメッセージで。そう言ってもまた悩んでしまうだろうし、それもまた「別にいっか」となっていく…という無限のループを描いていますね。

●悩んでもいずれ自然と忘れてしまう。

クマ:リムキャットとして一番最初に作ったM-9「眠らない猫」もほとんど同じテーマで。“眠れないならそのままいなよ ずっと起きていられるわけないから”という歌詞があるんです。「眠れなくてつらい」と言っていても、その内に絶対寝ると思うから。無理に寝る必要はないし、眠くなったら寝たらいいじゃんっていう。

●「眠らない猫」が一番最初に作った曲なんですね。

クマ:あと、M-10「蹴」も同時期に作った曲ですね。「眠らない猫」は前身バンドからの延長線上の音楽性でテンポ感もすごく速いんですけど、「蹴」のちょっとした明るさはそれまでになかったもので。“新しいバンドだね”というのをメンバーと確信できた曲だったんですよ。

●キッカケになった曲だと。今作には他にもこれまでデモCDで発表してきた曲が入っているんですよね?

クマ:M-11「ストレイタブルー」は1stデモの1曲目なんですよ。でも1年経って深さが増したというか、アレンジも大きく変わって。結成当初はまだどんなバンドになるかもわからないまま曲を作って、ライブをやっていたんです。そんな中で今の音楽シーンで自分たちがやるべきことの方向性が定まっていって、僕らの進む道が見えて完成したアルバムですね。聴いてもらえれば、「今のリムキャットはこれです」というのが伝わると思います。

●自分たちでも満足するものができた?

クマ:現時点では満足できるものが作れました。ウチのバンドはちょっと特殊で、100点を取った翌日にはさらに上が見えちゃうんですよ。昨日の100点が60点くらいに思えちゃう。その40点をまた埋めに行くという繰り返しでどんどん成長していっているバンドなので、ライブではもっと良い形で聴かせられると思います。

●ツアーファイナルの代官山UNITが楽しみですね。

クマ:やっぱり成長していきたい気持ちがあって。現状でUNITでやるのはまだ無謀だと思うんですけど、きっと僕らはそこまで成長できるという自信があるから今回やろうとなったんです。「リムキャットがここまで歩いてきました」というのを、みんなで祝うイベントにできたらいいなと思います。

Interview:IMAI

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