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ASR RECORDS特集 第一弾 天王寺Fireloop野津 × JUNGLE☆LIFE PJ

大阪天王寺のライブハウス、Fireloopのオーナー野津が仕掛ける“これからの音楽流通とSP戦略”

野津 /  PJ

野津 / PJ

CD が売れない!! 冗談じゃない!! 売れないのはCDでは無く、その音楽でしょ? コアなファンを作るための無料ダウンロードと、少し割高になっても、ミュージシャンの表現とファンの満足度に重点を置いたパッケージを作ります!

 

 

 

 

 

●ASR RECORDSからまた新しい動きがあるそうですが、今度はどのような攻め方をするんですか?

野津:今回は2バンドの音源をリリースするんですけど、流通はかけないんですよ。パッケージ版に入っている中から5曲ほど抜粋して、無料配信しています。

●パッケージとしてのCDは作るけど、何曲かは無料でダウンロードできるんですね。以前U2もやっていた手法じゃないですか。

野津:U2も後々フィジカルのCDをリリースしたんですよ。それには+4曲ほど入っていて、僕もダウンロードしていたけど結局買いましたね。そもそも良いアルバムだったうえに“4曲も追加で入ってるんや!”と思って。

●パッケージを売るための手段ということ?

野津:もちろんそれはありますね。でも僕らのレーベルからは、めちゃくちゃ有名なバンドが出るわけじゃないし、何がいちばん必要かと思ったとき“取りあえず聴いてもらえないと話にならない”と考えて。そのための案が“無料ダウンロード”なんです。

●今回リリースされるバンドは?

野津:パッケージ版が6月21日にリリースされたのがLONE、7月25日にリリース予定なのがモケーレムベンベです。

●インディーでは、知る人ぞ知るバンドという感じがしますね。

野津:長く活動しているので、バンドマンや大阪のライブハウスによく来てくれる人は観た事のある人も多いかなと思います。

「無料ダウンロードは認知してもらうための手段」

●注目のインディーバンドがFireloopのやっているレーベルでリリースされると。今回のやり方を訊いて、すごく野津くんらしくて面白いなと思ったんですよ。パッケージと無料ダウンロードの相互関係として、具体的にどういう風に販売へ持っていくのかを訊かせてもらえますか。

野津:新しいバンドに出会うキッカケとして、たまたま友達が「このバンドめっちゃカッコいい!」って言って貼っているYouTubeのリンクを見たりするケースがあると思うんですね。僕自身それで知る事もありますし。でも、まず“そこでYouTubeを見るかな?”という疑問があって。

●というと?

野津:別にそのバンドのことをよく知らなかったら、目を通すこともないんじゃないかと思ったんです。例えばTwitterでそこそこフォロアーさんがいたりすると、まったく顔と名前が一致していない人もいるじゃないですか。その人がめっちゃカッコいいと言っていても、気にせずに流してしまうことがあるんですよ。だからそういう人にまずYouTubeを見てもらうために、無料ダウンロードができるっていうフックが必要だと思ったんです。“とりあえずYouTubeを見て、カッコよかったらアルバムもダウンロードしてみようかな”と思ってもらえるかと考えて。そこから即CDを買う事に繋がるかは、正直なところわからないです。でも第一に知ってもらうためには、無料ダウンロードがいちばんですね。その次のリリース時に、予め知ってもらっている状態で“新譜が出るんだ”という風に認識してもらえたら。

●あえてそういう手法を取っている人はインディーでは少ないと思うんだけど、CDに対する考え方はどうですか?

野津:今の時点で2バンドのことを好きと言ってくれる人たちが、いちばん満足してくれるものを作りたいという気持ちがありました。パッケージ自体の形からして違うものを提供して、所有欲が満たせるものにしたいと思ったんですよね。パッケージや歌詞カードもバンドが描く表現の一部だから、できるだけ自由な形で“これが僕たちの作りたかったものなんだ!”と言えるものを出来るだけ再現して作りました。一般的にライブ会場で売られているものより手の込んだものを作って、それを「こんなすごいCDになったんだ」と言っもらえれば嬉しいし。仮に無料ダウンロードで聴いてライブに行ってみようかなと思った人が、いざ現物を見たらほしいと思って貰えたらという感じです。

●結果的にパッケージを売るという行為は変わらないけど、そこに対する考え方は違うんですね。

野津:極論で言うと、CDはファンクラブ限定アイテムやと思っています。世代的に若い子ってダウンロードに抵抗がないじゃないですか。それは理解できるし、フィジカルなものを所有する喜びを感じる体験が僕らよりは少ないなと思うので、それに合わせたリリース形態の方が良いとは思いますね。いつまでも過去のやり方にしがみついている気はないんですよ。

●あくまでダウンロードはプロモーションの一環であり、本当にほしい人がパッケージを手にとってくれたら良いと。

野津:今の段階ではプレスしている枚数も極端に多いわけではないので、希少価値のあるものだと思います。

「CDはファンクラブ限定アイテム。過去のやり方にしがみついている気はないんです」

●野津くんにとって、今回リリースするLONEとモケーレムベンベの魅力はなんですか?

野津:LONEはどんな曲でも質感が重くて、バンドの出すカラーが統一されているのが良いですね。テンポが速い曲でもスローなものでも、歌や音に重厚感があるんです。かといってポップさがないのかというとそんなことはなくて、ちゃんとメロディアスな要素を持っている。そしてなにより良いのはライブです。仮にライブで勝てない相手が居たらバンドを辞めるんじゃないかってくらい、ライブには重きを置いていると思いますね。“ライブってこういうものなんだ!”って概念を覆される人もいるんちゃうかな。

●数々のアーティストを見ている野津くんが言うんだから、間違いないでしょうね。

野津:LONEのカッコよさはアグレッシブなところですが、モケーレムベンベはエネルギーを投げつけてくる感じではないんですよ。“ハイプレッシャーエレクトリックフォーク”っていうコンセプトを根底に持っていて、ちょっと野暮ったいところが逆に魅力だと思います。

●どちらも世界感が独特で、詩的な表現をするバンドだと思います。

野津:読んだことがあるような歌詞ばっかり並べているバンドは、あまり興味がないですね。かといって、手垢の付いていない言葉を使えば良いというものでもないので、気をてらっているだけなのは逆にすごくくだらない。人と違う言葉の使い方や表現をしつつも、ちゃんとわかってもらえないと意味がない。

「気をてらっているだけの歌詞はくだらない。人と違う言葉の使い方や表現をしつつも、わかってもらえないと意味がいない」

●2バンドとも個性的やと思うし、すごくFireloopらしい。ASR RECORDSは過去にもいいバンドを天王寺から発信していく風潮を作ったレーベルですが、エリアとしては大阪の下町である天王寺で、レーベルや事務所、レコード会社の助けがないアーティストを扱うのはリスキーだと思うんです。なぜ野津くんはそこに燃えるんでしょうか?

野津:僕は自分がリリースしているバンドが全員カッコいいと思っているんですけど、それを他の人が聴いて同じように思うかどうかまでは当然コントロールできないじゃないですか。だから「カッコいいから聴いてくれよ」という、価値観の提示みたいな感じですね。バンドがライブのクオリティに比例しない人数の前でやっているのを毎日観ているので、とにかくそれを何とかしたいんです。“何でこんないいライブをするバンドが飯を食えないのか”と思うので。

●自分の中で納得がいかない部分に対して、ケリを付けたいんだ。このリリースは6月からスタートしているわけですが、ダウンロードに関してはどういう流れになるんでしょうか。

野津:音源自体はバンドのHPに行けばリンクがありますし、うちのレーベルのHPを見てくれたらわかりやすく案内しています。パッケージ盤は基本的にはライブ会場か通販のどちらかになるので、そこで手に入りますよ。

●今後のレーベルとしての動向は?

野津:レーベルとしては、このリリース形態は継続してやっていこうと考えています。Fireloopと関わりがあればどの地域のバンドでも。ただ、全く知らない人とはできないですけどね。本来特定のジャンルの音楽をリリースするために立ち上げたわけじゃないから、音楽的にはバラバラでいいと思っています。ただ、Fireloopと縁のないバンドを出す気はありません。

●ASR自体の考え方やシステムに共感したなら、一緒に組んでやっていくという道がある。これからこのやり方が定着してくれたら面白い化学反応が出そうなんですけど、他にも予定されているアーティストはいるんですか?

野津:その質問に対する答えはイエスでありノーでもある(急に外タレ風)。興味を持ってくれているバンドはいるので、実際に形になって出てくると思います。僕としては、1ヶ月に1バンドくらいこのシステムでリリースしたいですね。リスナーが次にリリースするバンドを見つけたときに、“LONEやモケーレムベンベの曲も同じ感じでダウンロードできるんや”って気付いてもらえたらありがたいし、それによって生まれる相互作用もあると思います。

「その質問に対する答えはイエスでありノーでもある(急に外タレ風)」

●野津くんがそれだけ惚れ込んだバンドですから、3年後が楽しみです。

野津:それぐらいのスパンで頑張らなあかんと思います。彼らの音源を普通に全国流通で出すことも出来ますけど、3年後により高い確率で良い状態に持っていくためには、ただ流通をかけるだけじゃだめだと思うんです。それが今回の試みを考えたキッカケですね。だからこれ専用のアプリを作る人がいたらいいなと思っていて。ダウンロードをできるだけ簡易に少ないステップで実現したいですよね。ちょっとでもこの考え方に共鳴してくれたら。「こんなことできるよ!」って言ってくれる人をめちゃめちゃ求めてますんで、ぜひお願いします!

「今後の事業展開は、専用アプリの開発者と組みたい」

Interview:PJ
Edit:森下恭子

 

lone-photo2015LONE Profire

虚構と現実を行き交う言葉を、ドラマチックなメロディ展開にリンクさせたサウンドを創造する。『戦場のよう』と形容するに相応しいアグレッシブなステージング、強靭な歌唱力を持つボーカル毛利の説得力によって、凶暴過ぎるエモーションが炸裂する。

 

 

 

mokele2015モケーレムベンベ Profire

Vo.井澤が書き上げる歌詞は、光と闇の隙間からのぞく希望を探す一人の青年のリアルな泥臭い日々。それをフォーキーな味わいとパンク・ロックンロールにも通じる衝動を併せ持つ“ハイプレッシャーエレクトリックフォーク”と言うべき、彼ら独自の音楽へと昇華する。

 

 

 

ASR RECORDS オフィシャルHP http://asrr.net/