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THE BOOGIE JACK

いつしか此処は、 みんながそれぞれの物語を綴っていく場所になっていた

PHOTO_TBJ_s昨年、地元・名古屋で開催した自主企画フェス“NAGOYA ROCK METEO 2014”を大成功させ、今年結成15周年を迎えたTHE BOOGIE JACKが、ライブハウスで盛り上がり必至のキラーチューンを集めたベスト盤をリリースし、秋には“NAGOYA ROCK METEO 2015”を開催する。15年経っても色褪せない想いと、今だからこそ歌える想いを胸に、彼らはこれからもずっと走り続ける。

 

 

●結成15周年ということで今回ベスト盤をリリースされますが、15年という実感はありますか?

ヒライ:途中少し活動休止していましたけど、THE BOOGIE JACKを始めた当初から“このバンドで長くやっていきたい”と思っていたんです。だから感慨深い気持ちもありつつ、まだまだ中途半端な気持ちもあって。

●最初から“長くやりたい”と思っていたのは、何か理由があるんですか?

ヒライ:なんだろうな…このメンバーに出会ったときに、“こういうキャラの際立った人たちと一緒にバンドをやれるのは、たぶんこの先ないだろうな”って直感的に思っていたんですよね。それは18歳のときなんですけど。

●ある意味、運命的な出会いだったと。ベスト盤は結成15周年という節目だから出そうということで?

ヒライ:そうなんですけど、“15”って中途半端な数字じゃないですか。でも、僕らの10周年は活動休止しているときだったんです。だから15周年を迎えたときに、やれなかった10周年も含めてなにか楽しいことをやりたいなと。

●うんうん。

ヒライ:あと、去年SABOTENが15周年でベスト盤を出していたんですよ。それが“楽しそうだな”と思ったのと“これも新しいアルバムなんだな”っていう印象を受けたんです。THE BOOGIE JACKも15年やってきて、CD屋さんでなかなか昔のCDが見つからないということもあったし、逆にこれから長く続けるためにライブでやってきた曲をもう1度出すというのはアリだろうなと。

●それと、“NAGOYA ROCK METEO 2014”という企画イベントを昨年開催して、また今年も開催するじゃないですか。このイベントもひとつのポイントですよね。

ヒライ:いろんなバンドに影響を受けてて申し訳ないんですけど(笑)、“NAGOYA ROCK METEO 2014”をやろうと思ったのは太陽族の影響なんです。

●ハハハ(笑)。影響受けまくってますね(笑)。

ヒライ:要するに、周りのバンドが楽しそうなんですよ。楽しそう…ただそれだけなんです。「俺たちも楽しいことやりたいね」って。

●でもすごく純粋な動機ですよね。

ヒライ:そうです。「楽しそうだね」っていうテンションだけでやっているという。太陽族も長くやっているバンドで、いまだに大きいハコで企画をやったりして、挑み続けているんですよね。挑み続けるって、しんどいじゃないですか。でも挑み続ける姿勢が楽しいわけで。去年も太陽族とコンピを出したりして、彼らがすごく楽しそうにしていて。だから「THE BOOGIE JACKも名古屋で挑み続けるバンドでありたいよね」という話をメンバーでして、“NAGOYA ROCK METEO”を企画したんです。「やってやろう!」って。

●いいですね。

ヒライ:“NAGOYA ROCK METEO”のキャッチコピーは「この日のために」なんですけど、THE BOOGIE JACKのお客さんの中には、仕事や家庭を持ってライブハウスから遠ざかってしまった人も多いんですよ。でも“この日だけは遊びにおいで”と言えるイベントにできたかなって。

●なるほど。今回のベスト盤は新曲含めて15曲が収録されていますけど、どういう基準で選曲したんですか?

ヒライ:まずはライブでよく演る曲。15年間かけてライブで育った曲も多いので。それに加えて、Twitterとかでお客さんの意見も聞きつつ決めました。

●ちなみに、いちばん古い曲はどれなんですか?

ヒライ:M-2「宝人」ですね。これは結成当初からある曲で、今はもう他人が作った曲のような感覚なんですよね。当時僕らが“青春パンク”と呼ばれるきっかけになった1曲で、それがちょっと嫌でこの曲を敬遠していた時期もあったんですよ。でもお客さんは求めていて、ライブで演れば盛り上がってくれる…それでモヤモヤしていたこともあったんです。でも活動休止を経て再始動したときの最初のライブで、この曲を演ったときの盛り上がり方がすごくて。そのときに“すごいな”と思って。こういう曲があることはすごいことなんだなと。

●お客さんが自分の曲のように盛り上がっていたと。

ヒライ:そうそう。そういう曲があるって嬉しいことなんだなと。作った当時の感情移入していたエモーショナルなものではないとは思うんですけど、「これがTHE BOOGIE JACKの代表曲だよ」っていう気持ちで今回再録したんです。

●それと今作には新曲のM-15「永遠ギミック」という曲が入っていますけど…。

ヒライ:それもSABOTENが新曲を入れていたからなんです(笑)。

●ハハハ(笑)。でも偶然かもしれないですけど、「宝人」も「永遠ギミック」も“永遠”について歌ってますよね。最初に「長くバンドを続けたい」という話がありましたが、いちばん古い曲もいちばん新しい曲も“永遠”がテーマになっているのがおもしろいなと。

ヒライ:ああ〜。言われて気づいたんですけど、新曲をアルバムの最後に入れるっていうのはもしかしたらそういう想いがあったのかもしれないです。ちなみにSABOTENは5曲目だったんですけど。

●そこはパクリではないと(笑)。

ヒライ:はい(笑)。新曲を最後にしたのは、THE BOOGIE JACKが続くということを暗示したかったのかもしれないです。いくら長く続けたくてもいつかは終わりが来るし決断もするんでしょうけど、“長く続けたいな”と想っているところをしっかりと残し続けていく作業をしているのかもしれないですね。

●なるほど。ちなみに「永遠ギミック」は“愛”を歌っていて、心の中のすごく純粋な気持ちを赤裸々に出していますよね。

ヒライ:はい(照)。僕は今までこういう風にインタビューしてもらったとき、歌詞の内容を深く訊かれても“あまり深く突っ込まないで!”と思ってキチンと話してこなかったんです。でもそう思うのなら、歌詞に書かなきゃいいですよね。

●はい。書かなければそういう質問はしないです(笑)。

ヒライ:でも僕はずっと書いてきている。それはなぜかというと、THE BOOGIE JACKというバンドは僕にとって自分の物語を綴っていく場所だったんです。それに最近気づいたんです。

●あ、最近気づいたんですね。

ヒライ:はい。15年間の曲を並べてみたらそんな曲ばかりだったし、Twitterとかでお客さんが「この曲が好き」とか言ってくれるのって、だいたい自分の恋愛のこととかすごく個人的なことを歌っていて。

●ハハハ(笑)、

ヒライ:万人に伝わるような普遍的な歌はもちろん素敵なことなんでしょうけど、こんなに自分のことしか歌ってないのに「聴きたい」って言ってくれるなんて、すごいことだなと。だから新曲も、ちゃんと今の自分が想っていることというか、自分なりの物語…ラブソングをちゃんと入れようと思ったんです。

interview:Takeshi.Yamanaka

 

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