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四星球

夏の夜に 輝く花火と 四星球

PHOTO_四星球自主レーベル・みっちゃんを設立して2周年を迎え、花団未到のコミックバンド道を突き進む我らが四星球。地元・四国で開催される夏フェス“MONSTER baSH”に7年連続で出演し、昨年は見事トリを飾った彼らが、8年連続8回目の出場をかけて6th シングル『MOONSTAR daSH』を完成させた。ライブで爆発的な盛り上がりを生み出すエネルギーを更にパワーアップさせ、音楽的広がりと四星球ならではのニヤリとさせるセンス、時代をひっくり返すカウンター精神が散りばめられた今作は、コミックバンドとしての歩みを更に加速させる2015年夏のマスト・アンセムだ。

 

「やっぱり“何かを残さないと”と思いますよね。“何を残すのか?”と考えたとき、バンドとしていちばんわかりやすい形は歌だなと」

●今日は8/19にシングル『MOONSTAR daSH』をリリースするということでインタビューしに来たんですけど、表題曲「MOONSTAR daSH」は四星球とは縁が深い四国のフェス“MONSTER baSH”をテーマにしたということで。毎年出演しているんでしたっけ?

U太:今年で8回目ですね。去年初めてトリをさせてもらったんですけど。

康雄:去年はライブ中に花火を打ち上げさせてもらったんです。デューク(※“MONSTER baSH”を主催するイベンター会社)が元々発注していた花火に何発か追加発注してもらって。

●いちばん最初に出たときのこと覚えてます?

U太:うーん、8年前は完全に僕らのことなんて誰も知らないじゃないですか。それでステージに出て行ってなんやかんやしているとき、メインステージ待ちのお客さんがめっちゃ走ってきて観てくれたのを覚えてますね。「なんかおもろそうやな」みたいな感じで。

康雄:うん、まさにそれ。それ以降もそういうことはあったんだろうけど、お客さんに興味を持ってもらったのは8年前の“MONSTER baSH”が初めてだったんです。人が走ってこっちに来るっていうことを初めて経験した。

モリス:指さしながら走って来たのを覚えてますね。「あれなんやー!?」って。

●毎年ずっと出演させてもらっているということは、主催者側も四星球は特別な存在だと思ってくれているんでしょうね。

U太:僕ら以外で、ここまで毎年出演している人って居ないんですよ。

康雄:でも毎回「今年で出演するのは最後」という感覚でやらせてもらっているんです。僕らも主催者側も。だから去年トリをさせてもらったのも「来年の“MONSTER baSH”は休むつもりでトリをしよう」みたいな感じだったんです。でも終わったその日に言われましたもんね。「来年どうしようか?」って。

U太:「逆に来年はオープニングアクトかな?」みたいな。

●すごくいい関係ですね。お互い楽しめているという。

康雄:うん。ライブを観たあとにそう言ってくれるのが嬉しいですね。ライブを観て“やっぱり来年も必要かも”と思ってもらえたというか。「小出しにしている」と言うとちょっといやらしいんですけど、敢えて毎年1つずつ可能性を見せるようにはしているんです。去年のトリのときはもちろんやるだけやりましたけど、初年度は映像でボケたんです。当時、フェスで映像でボケたりするという手法はあまり無かったと思うんですけど。

●確かに、フェスやイベントで流す映像は主催者のものという認識がある。

康雄:そうそう。今から思ったら当時から僕らの味方に付いてくれていたと思うんです。当時も「フェスに映像を持ち込んでボケるなんて初めて観た」って言われたんですけど、それで“毎年残るものとか新しいことをやっていけば評価されるのかな”と意識するようになったんです。

●その積み重ねが連続出演に繋がっているんですね。昨年のトリはどうだったんですか?

康雄:まずいつもより出演者が多くて、出番の時間がいつもより遅い時間だったんです。雨も降り出したりとかして。でもね、お客さんが残ってくれるようにデューク側がめっちゃがんばってくれたんです。

●お客さんの靴隠したり?

康雄:なんで入り口で靴履き替えてるんですか(笑)。例えば前の日から1つブースを設けてくれてそこで僕らの映像を流してくれたり。

まさやん:あれすごかった。

康雄:当日だったらまだわかるじゃないですか。でもその日出ないやつらの映像をブースで流してるんですよ。それに、僕らの出番の前がDragon Ashだったんですけど、Dragon Ashが終わって少しでもお客さんが残れるように、転換しているときの間を繋ぐために、サブステージを僕らに使わせてくれたんです。まさやんがエアギターをしたんですけど。

●めちゃくちゃ温かいですね。

康雄:温かいです。やっぱり“何かを残さないと”と思いますよね。“何を残すのか?”と考えたとき、バンドとしていちばんわかりやすい形は歌だなと。

●ということは、M-1「MOONSTAR daSH」は昨年のトリがきっかけになっているんですか?

康雄:去年のトリもそうなんですけど、“また呼んでもらうために”っていうところが大きいです。

●あっ! そういうことか! こんな曲作ったら次も誘わざるをえないという。

康雄:そういうことです(笑)。

●でも今作は、音楽的には進化というか可能性を感じたんですよね。「MOONSTAR daSH」はものすごいスケール感がある奥行きのあるロックサウンドで、展開の妙が素晴らしくて。

康雄:「MOONSTAR daSH」は、とにかくライブで盛り上がることを重視した曲を作ろうということが最初のきっかけになっているんです。あと、歌詞については希薄でもいいからかっこいいフレーズを言っちゃいたい。あと、ギターリフでガツガツ引っ張っていきたいという。

●なるほど。

まさやん:最初に歌詞があって、まずメロディから作ったよね。

U太:うん。フェスっていろんなジャンルのバンドが居るじゃないですか。だから1曲の中にいろんなジャンルの音楽をぶち込んでいこうと。

●あ、そういうことか。要するに、去年の“MONSTER baSH”の出演者をパクったと。

康雄:そうそう(笑)。網羅しているわけじゃないですけどね。

●こういう展開、難しくないんですか?

U太:ウチだからできるんじゃないですかね。四星球ってアホみたいな展開の曲がいっぱいあるんです。パーツごとに作っていくから、その繋ぎをどうするかがいつも重要なんです。

●前からそういう作り方だったんですか?

モリス:だんだんその度合が強くなってきた気がします。

U太:シングルになる曲ってそういう作り方が多いですね。

康雄:“いろんな要素を1曲に入れる”という概念で今までやってきたんですけど、それで4分台の曲を作ったのは初めてかもしれない。いろんなものを入れるとなるとどうしても5〜6分になっちゃいますからね。

●なるほど。それと「武器を捨てよ、太鼓を持て」なんですけど…これ、渋谷系というかなんというか。Steady&Co.?

U太:あ、まさにそうです。Steady&Co.とかあの辺をイメージして作りました。好きだったので。

康雄:まさに渋谷系というか「今夜はブギーバック」くらいの感じで。きっかけは、新しいパーティーソングを作りたかったんですよ。だからこれもいろんなジャンルを混ぜつつ、“太鼓を持つ”ということ自体がパーティーに繋がるなと思ったから曲のキーワードにして。

●その上で、サウンド的には渋谷系とかSteady&Co.をイメージしたと。

モリス:当時の、気怠い感じの、ラップ、みたいな?

●あ、ラップ調だ!

U太:今回のサウンド面に於いては、抜くことを覚えましたね。今までなんでも詰め込むばかりだったんですけど、削ぎ落としたからこその広がりが出たような気がします。「武器を捨てよ、太鼓を持て」の最初のところとか特にそんな感じがしますね。

●バンドに対して言うセリフじゃないですけど、今回のシングルを聴いて「あ、音楽聴ける!」と思いましたもん。

一同:アハハハ(笑)。

U太:でもその感想は間違っていなくて、僕らのことをただのコミックバンドだと思っている人を1回わからしたろうと思って。

●あ、そういうことか。

モリス:「とりあえず聴けよ!」っていう。

U太:今の若い子にもわかりやすい曲調だったりするし、歌詞をどこまで聴いているかもわからない時代だから、とりあえずサウンドだけで一回耳に入れたろうと。それで聴きやすかったら更に歌詞も入ってくるだろうと。

●次のアルバムが更に楽しみになる楽曲ですね。それとM-3「青空教室」はリテイクということですが、そもそもはいつ作った曲なんですか?

康雄:19〜20歳くらいですかね。

●まだ童貞だった頃か。

康雄:僕いつまで童貞だったんですか(笑)。

U太:田舎は捨てるの早いですからね。

●12〜3年前に作った曲だと。なぜ今回この曲をリテイクに選んだんですか?

康雄:まず、夏の曲っていうのが今回のシングルのテーマとしてあって、ずっと昔から録ってくれているエンジニアさんもこの曲が好きって言ってくれていて。再録って、やっぱり10年過ぎないとできなかったことだと思うんですよね。トラックが1個減るわけですし。

●それにバンドって、常に新しい自分たちを提示したいという欲というかプライドがあるわけで。

康雄:まさにそうですよね。でもそれを差し引いても、リテイクする意味があったんです。こういう曲が3曲目に入ることによって、シングル自体がぎゅっと締まる感じがあった。

●あとこれは別に訊かなくてもいいかなと思ったんですけど、M-4には「モリス教授の世界一のLove Song...夏」というトラックが…。これ、アルバムバージョンのタイトルに“夏”が付いただけのような…。

一同:(苦笑)。

モリス:アルバムに収録したバージョンのリアレンジです。2回録って、いちばんいいテイクを選んだんです。

まさやん:厳選したテイクです。

康雄:要するにシングルカットですよね。アルバムに収録したものがすごくよかったから、アレンジを変えてシングルカットしたという。

モリス:売れている人はみんなやってるでしょ? それです。

●これ失敗してません? 大丈夫?

U太:その“大丈夫?”と思われる感じも含めて四星球なんです。

康雄:「MOONSTAR daSH」に自信がなかったらできなかったことですね。表題曲でバーンとわかりやすくて満足のいくものができたので、じゃあ4トラック目は自分らの庭でやらせてもらうぜっていう。

●四星球ナメんなと。

モリス:俺ら全然大丈夫じゃないぞと。相変わらずヤバいぞということですよね。

●ところでレコ発はどんな感じなんですか?

U太:“MONSTER baSH”の2日間で終わりです。

●え? どういうこと?

康雄:僕ら2日間出演するんですけど、8/22の“MONSTER baSH”がレコ発ツアーの初日で、8/23の“MONSTER baSH”がツアーファイナルです。

●は? “MONSTER baSH”をレコ発ライブにしたということ?

康雄:そういうことです。だからツアーサポートのバンドはめっちゃ豪華です。

モリス:両日ソールドアウトしてます。

interview:Takeshi.Yamanaka

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