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ASR RECORDS特集 第三弾:LONE Interview

超現場主義のライブモンスターが放つ七つの灯

loneドラマチックなメロディ展開にリンクさせたサウンドを持った圧倒的なステージ力を武器に、幾多ものライブを積み重ねてきたLONE。若干25歳にして10年のキャリアを誇る歴戦のライブモンスターが世に送り出した2ndアルバム『核命灯』には、彼らの芯となるものをすべて詰め込んだ楽曲たちで誰かを照らし、導けるような作品にしたいという想いが込められている。現在ASR RECORDSが行っている「5曲もの音源を無料ダウンロードで配信する」という前進的な策は、他ならぬ彼らのアイディアなのだ。ひとりでも多くの人に自身の音楽を届けるために彼らが取った行動は、確実に全国に波紋を広げている。

 

●LONEは全員が25歳だそうですが、実はキャリアで言うともう10年目になるんですよね。

毛利:そもそもLONEを組んだキッカケは、中学の文化祭にライブをしようというところからなんです。平凡な学生が人生で初めて黄色い声援を浴びて、調子に乗ってそのままバンドを続けようという感じで。

●ハハハ! でも、確かに気持ちいいでしょうね。

毛利:ただ、それ以降はライブハウスでいろんなバンドにもまれながらやってきたので、どこに行ってもメンズばっかりやったんですよね。

●黄色い声が無かったんだ(笑)。その分、現場からの叩き上げということですよね。

毛利:それが僕らの取り柄です。活動年数に対してリリースはそんなに多くなくて、デモを除くと、今作を入れて5枚ですね。アルバムは今回で2枚目です。

●M-1「手紙」はパッケージ版限定の楽曲ですが、夏を感じさせるインスト曲ですね。アルバムでもイントロダクション的な役割を果たしているというか。

毛利:そうですね。ギターのフレーズ自体が元々あったので、このコードの流れで次に持って来れるのはM-2「さよならアマリリ」だなと思って、そこからバンドサウンドを広げていって。

●流れを意識して作ったんですね。曲はどういう風に作っていくんですか?

毛利:基本的に曲先で、僕が弾き語りで持ってきたものをみんなで広げていく事が多いですね。ただアルバムの曲で言うと、6曲中4曲は僕の詞じゃないんですよ。元々熊田っていう前任のベーシストがLONEの歌詞を8年間くらい書いていたから、作詞はまだ全然慣れていなくて。

●いざ書いてみると、やはり苦労しましたか?

毛利:そうですね。好きなアーティストもそうですけど、前任の熊田とも比べてしまうじゃないですか。ただ山本が「お前はお前やねんから、あんま気にすんな」って言ってくれたことから、若干気持ちが軽くなりましたね。

山本:僕個人としては、今まで8年間やってきたLONEを捨ててでもやるべきやと思っていたので、全然前向きな気持ちでした。未熟なところもありますけど、今歌いたいことをちゃんと歌えているのかが一番大事やと思います。

永田:「こうした方が良いんちゃうかな」と思うところはあるんですけど、最初から全部出来る人はおらんし。シンプルなのが逆にいいと思えるところがあったんで、それも毛利の良さなのかなと。

●むしろ、これから先が楽しみくらいの感覚なんですね。毛利さんが歌詞を書かれた「シンパシア」ですが、これはMVも作られていますね。演奏シーンのみの映像が印象的でした。

山本:その方が潔いし、僕らはライブに重きを置いているんで、各々演奏シーンには自信があったんです。

●イントロの迫力もすごいですよね。アルバムとしては、「シンパシア」と「幸福の奴隷」がリード曲だそうですが、「幸福の奴隷」は、バラード調でアルバム中でもカラーが違うというか。

毛利:以前シングルでも出していたんですけど、その時から“次に作るアルバムには絶対に入れよう”と思っていたくらい大きな変化のあった曲ですし、ライブでも「晩鐘」と並ぶくらい定番になってきています。

●このトラックの後半には、ボーナストラック的な弾き語りが入っていますよね。

毛利:一連のストーリーを完結させる意味合いというか。僕がアルバムを聴く時は基本的にループで聴くんですよ。だから頭の曲に戻る時の違和感のなさを大事にしていて。これがあることで、また違う2週目を楽しめると思います。

●そういう狙いがあると。M-5「ドグマ、散る」はパッケージ版限定ですね。

毛利:元々アルバムに向けて作った曲ではなかったので、どこの立ち位置になるかがわからなくて。単体で完結しているから1曲で出そうっていう案もあったんですけど、どうしてもアルバムにも入れたいという事で。俺としては、熊田の遺作でもあると思うんですよ。

永田:あいつが今のLONEに向けて歌った曲だから、そのエールを汲み取ってあげたかった。それに今までLONEことを好きやった人は絶対に聴きたいだろうと思ったんですよ。

毛利:「ドグマ、散る」には前作までの歌詞の世界感が出ているので、無料の5曲を聴いてくれた人がこの曲を聴いたら、“LONEってこういうものなんだ”という視野が広がるかなと。前のアルバムと関連づけていたりするので、そういうところを隅々までしっかり聴いてほしいですね。例えば前作で「イエスタデイを」という曲があるんですけど、それと「ドグマ、散る」はほとんどコードが一緒なんですよ。歌詞の歌い出しもほぼ一緒で、歌詞カードを並べてみてもらったら面白いんじゃないかな。語尾がちょっと違うだけですけど、本当に印象が変わりますよ。

●なるほど、前作と合わせて楽しめるんですね。他にも聴き所はありますか?

山本:僕は歌詞は各自が思うように受け取ってくれたら良いって感じなんですけど、フレーズはこだわってますね。例えば「シンパシア」のイントロのギターや「エンドロール」の大サビのドラムとか。まあ、全部良いんで全部聴き所です。

毛利:「シンパシア」のバッキングはこいつ(山本)の案なんですよ。基本的に各パートのアレンジは各々で考えてくるんですけど、ギターは当日までフレーズが決まってなかったんです(笑)。

●ハハハハ! では、今回ギターのフレーズは全員で考えたんですね。現時点でリリースツアーも後半戦だと思いますが、先にダウンロードしてからライブにいらしたお客さんもいらっしゃいました?

毛利:ちょくちょくそういう方が来てくれて、すごく嬉しかったですね。チケット予約の備考欄で「ダウンロードして気に入ったので、初めてライブを観させてもらいます」って言ってくれる人たちがいて、やって良かったなと。ライブが終わってからもダウンロード数が一気に伸びるんですよ。

●ダウンロードの効果が如実に現れている。

毛利:ダウンロード自体はレーベルオーナーの野津さんの発案なんですけど、5曲入れようと言い出したのは僕らなんです。“アホちゃうか”みたいな空気はあったんですけど、なにより聴いてもらえないと意味が無いと考えていて。お金が欲しくてやっているわけじゃないし、僕らの音楽を聴いてその人の活力になれば良いなと思ったんです。そもそも僕が音楽を始めたのも、音楽が生きる糧になったから自分もそういうものを作りたいと思ったからだし、だからこそ無料ダウンロードという策が取れたというのもあります。

●結果的に、狙いが見事に成功していますよね。

毛利:実際に会場でCDを買ってくれる方も多いですし、前作より格段にいろんな方の手に渡っているんじゃないかと思います。

●現時点でリリースツアーも後半戦ですが、9月にはツアーファイナルシリーズと称して4箇所でライブがありますよね。しかも大阪は初のワンマンだとか。

毛利:僕らは渋りに渋ってしまうタイプの性格が揃っているんで、ずっと“ワンマンとかまだ先やろ”みたいな感じやったんですよね。昔から「ワンマンを観たい」っていう声もよく聞いていたし、今回のツアーのファイナルでやってみようということになったんです。

●まさに満を持してという感じですね。最後に、読者のみなさんに何か伝えたいことはありますか?

毛利:今日は取材に来ていない竹家の事を代弁して言うと、あいつが使っているギターのデザインがすごいんですよ。見た目が本当にすごい。

山本:“なんでそうなったん?”みたいな形してるよね。今日もそのリペアのために来れなかったんです。

毛利:それこそ、ギター自体のファンも結構居るみたいなんですよ。

●ギタリストじゃなくて、ギターそのもののファンが(笑)。

毛利:開場して速攻竹家の前を陣取るお客さんもいるし、写真を撮る音がめっちゃ聞こえるし(笑)。MVでも使っているギターなんですけど、ワンマンではさらに進化してデザインが見られると思います。

●それは面白そう(笑)。ライブ自体はもちろん、楽器も要注目ですね。

Interview:森下恭子

 

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