音楽メディア・フリーマガジン

Crossfaith

Crossfaithという圧倒的な存在を目の前に、理性を保てるか

2015/9/20 @Zepp Namba“Crossfaith 2015 Japan Tour”

Group #4 Photo by JulenPhotoG.Kazukiの脳内出血という苦難を乗り越え、アルバム『XENO』をリリースしたCrossfaith。メンバー自身が“最強”と自負する今作は、ラウドとエレクトロが高次に融合された至高の作品だ。その傑作を引っさげて行われた“Crossfaith 2015 Japan Tour”の初日がZepp Nambaで行われた。圧倒的なライブパフォーマンスで観客を魅了した結成9年目にして初のZeppワンマン。その巨大な規模をも凌駕する勢いで行われたショウは、体に刻み込まれるくらいの強烈なステージだった。

 

開演前、超満員のZepp Nambaには期待に胸を膨らませた観客たちのハンドクラップがこだまする。会場は暗転し、「System X」が鳴り響く中、黒い幕が開いた。眼前に広がるCrossfaithのステージ。後方に位置するVision./Program.TeruとDr.Tatsuyaのために1段上げられたステージのアクリル性の壁にはオーディエンスの恍惚とした表情が反射して浮かぶ。ステージのバックには巨大なスクリーンが設置され、ハイクオリティな映像が高い没入感を生み出していた。メンバーが登場し、観客は大きな歓声で迎え入れた。そして演奏された「Xeno」で圧倒的な存在感を示し、フロアを狂喜の渦に変える。超攻撃的なサウンドでありながら非常に洗練されたステージ。全くブレないグルーヴに彼らの驚異的な実力を感じる。「なんば、調子はどうや!! 全員飛ぼうぜ!」Vo.Koieが叫ぶ。序盤から沸点に到達した会場、まだまだ温度は上がり続ける。

「We Are The Future」の演奏を終え、会場が一瞬静まった。そしてスクリーンには激しく吹きつける大雨の映像。そこに映しだされたのは、光り輝くKazukiの姿…? 瞬間、ステージ上手にスポットが当たる。その先に立っていたのは、そうKazukiだ。苦難を乗り越え、ついに復活を果たしたKazukiが拳を上げ、フロアに向かって無言のメッセージを投げかける。なんというドラマチックなワンシーンだ。そのメッセージを読み取ったオーディエンスは感動とともに大きな歓声を上げ祝福した。サポートを務めたTamaに代わり、Kazukiが演奏に参加。「Monolith」、「Devil's Party」と続けて放ち、ライブの勢いは更に加速する。Crossfaithという圧倒的な存在を目の前に理性は吹っ飛び、観客は拳を上げて踊り狂う。さながら悪魔の宴だ。

続くMCで、Kazukiはまだリハビリ治療中であることを明かし、正直苦しかったと心中を語る。そして支えてくれたオーディエンスやメンバー、サポートメンバーのTamaに感謝を告げた。彼の魂に共鳴するように、会場は拍手と歓声で埋め尽くされる。Kazukiの言葉を受けてKoieは、この5人でステージに立てることを本当に嬉しく思うと言い、「俺たちCrossfaithは、ここからもう一度始まります!」と叫んだ。そして「Scarlett」の演奏をきっかけに、本編は大詰めを迎える。本編最後の曲「Countdown To Hell」ではオーディエンスたちによる壮絶なウォールオブデスが繰り広げられた。

その後、アンコールはTatsuの超絶ソロで始まり、メンバーがCO2ジェットガンやゴムボートでフロアを暴れ回るパーティー感抜群のDJタイムへ。最後はTamaも加えて「Leviathan」を演奏。6人編成というレアなステージを披露し、この日を締めくくった。

彼らのパフォーマンスはもちろん、照明から映像まで、細部までこだわった演出は圧巻だった。苦難を乗り越え、再び5人で旅立つCrossfaith。これからも快進撃が続くのは間違いない。

TEXT:馬渡司

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj