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名もなき日々に無限の彩りを与える4人のニュースタンダード

アーティスト写真“人を鳴らす音”をモットーに心の根本に宿るテーマを流されることなく歌い続けている4ピースバンド、jimmyhatが3年ぶりの新作ミニアルバム『Life in Technicolor』を完成させた。メンバーチェンジを経た現在の4人で作り上げてきた、バンドとしての“ニュースタンダード”を提示する今作。誰もが秘めている“言えなかった言葉”を紡いだ歌詞は、聴く者の心の芯にまで届く強さと優しさを兼ね備えている。カッコつけることなく素のままで鳴らされる音と言葉が、圧倒的な人間力に満ち溢れた楽曲に昇華された珠玉の全6曲だ。

 

 

「経験として色んなことを味わいたいし、それを音楽に還元することで、この先も音楽がどんどんふくよかになっていくイメージがあるんです。だから、続ければ続けるほど面白いものになるのかなと」

●今回は3年ぶりの新作となりますが、その間にメンバーチェンジもあったんですよね。

高倉:前作『心について』のリリースツアーが終わった後、2012年12月末のライブでギターとベースが脱退したんです。でも新たに入ったG.伝田恭章は初代メンバーなので、元サヤに戻った感じで(笑)。そこにBa.ヤマダヨシノブも加わって、今の4人になりました。

●脱退はいつ頃に決まったんですか?

高倉:実はそのツアーが始まる前には、既に脱退が決まっていて。でもこの先も続けていくのはハッキリしていたので、あえて発表していなかったんです。

●続けることは決めていたと。

高倉:バンドはずっと続けていくものだと思っていたし、もっとやりたいことがあったから。バンドは日々のことを返せる場所というか。高校生の頃から「頭にくることがあったから曲を書いてやろう!」みたいな感じで今までやってこられたから、元々(音楽活動が)自分のライフサイクルみたいなところはあったんです。だからバンドをやめるということは想像できなかったんですけど、その時点で次のヴィジョンはまだ見えていなかったですね。

●小室さんも辞めようという気にはならなかった?

小室:全然ならなかったです。“これからどういう形でやろうか?”ということだけを考えていたので、“やめる”という選択肢がなかったですね。

高倉:“どうしよう?”という不安は確かにあって。でも小室も「やる」と言ってくれたので、続けようと思ったんです。結果的には間もあまり空けずに新たなメンバーが入ってくれて、その時から3年経って今回のリリースができるというのはもう感謝しかないなと感じています。

●とはいえ、新作まで3年かかったというのには何か理由がある?

高倉:その間にも会場限定のdemo CDRやコンピレーションアルバムへの参加だったり、音源自体は結構コンスタントに出していて。でもやっぱりメンバーが2人も変わってしまうと、名前は同じでも新しいバンドに近いところがあるんですよね。

●実際、メンバーの内の半分が入れ替わっているわけですからね。

高倉:“jimmyhat”というものを作っていく上での価値観にも変わった部分があったので、そこを擦り合わせていく作業が必要で。たとえば既存の曲をやる時に(原曲の)コピーみたいになってしまっていると、やっている当人たちだけじゃなく、聴いている側の人たちもフワフワした感覚になるんですよ。そういうところの擦り合わせに少し時間がかかって。demo CDRを出すことで、お客さんにも少しずつわかってもらうというか。その時期は“変わっていくものと変わらないものを両方愛して下さい”というテーマでやっていましたね。

●今回のM-6「はしゃぐ命」はdemo CDRに入っていた曲ですが。

高倉:「はしゃぐ命」は、このメンバーになって最初に作った曲なんですよ。これまでの僕らの延長線上にある8ビートの曲なんですけど、できた当初はライブでやってもお客さんの手があまり上がらなくて。楽曲が成長して認知されてきた中で、今までの曲と同じようにやっと手が上がるようになったんです。だから自分たちの軸が揃ってきたのが目に見えてわかる、“指標”のような曲だったのかなと。曲調的にはラストっぽい感じではないんですけど、この曲を今作の最後に置いたというのにはそういう意図もありますね。

●今作を作るにあたってのテーマのようなものはあったんでしょうか?

高倉:今回は「アルバムを作る上では、アッパーな曲も何曲かないといけないな」といった算段を全くしていなくて。何かを狙ったり流行りに寄り添ったりするんじゃなくて、バンドとしてそれなりに長くやってきた中で自分たちが今やりたいと思う曲を作ろうと決めていたんです。この6曲だけでライブができるようなものというか、今の4人でjimmyhatの“ニュースタンダード”を作るというのが大きなテーマではありましたね。

●バンドの新しい基礎になるものを作ろうとした。

高倉:前作を作った頃からカッコつけなくなったというか、自分たちの“素(す)”を出し始めたんですよね。昔は流行りのものを探して、そこに寄り添うようなこともしていて。本来の自分たちが持っていた一番良い部分を削ってでも、耳馴染みが今っぽくなるように…みたいなことをしていたんです。そういうところからちょっとずつニュートラルになり始めていた時期に前作を作ったんですけど、まだその時点では残っていた何かみたいなものが今回で完全になくなった気がします。

●ニュートラルな状態で作れたわけですね。

高倉:今回は流行りのサウンドでもないし、大胆不敵でもないし、超絶技巧でもないし、新進気鋭でもないんです。そういったものは全く意識していなくて。だから、本当に人間力が出ているというか。僕らがつまらなければ、つまらない作品になってしまうと思うんですよ。でもこれだけやってきているんだから、「そんなにつまらなくはないでしょ?」っていう(笑)。

●今のような心境に変わるキッカケのようなことはあったんでしょうか?

高倉:そこは初代のギター(伝田)が戻ってきたことが大きくて。元々、彼が僕にバンドというものを教えてくれたんですよ。色んな音楽を教えてくれて、バンドのカッコ良さや楽しさを教えてくれたのも彼で。だから、テンションが上がるポイントも自分とすごく近いんです。彼が戻ってきたことによって、一周りして20代前半の頃の初期衝動みたいなものが自分の中に甦ってきた感じがするんですよね。もちろん歳をとって落ち着いた部分もあるんですけど、そういう自分たちの中で対極にあるようなもの同士のバランスは今が一番良い状態なんじゃないかなと。

●それがサウンドにも表れている。歌詞に関しても何かテーマがあった?

高倉:今だから言える“言えなかった言葉”みたいなものが、今回のテーマになっていて。ステージ上では多弁なほうなんですけど、実際の自分には本当のことを言えなかったという経験もたくさんあって。そういうことを思い出すのは切ない部分もありつつ、今となっては全部が良い思い出かなって思うんですよ。

●歌詞には実体験も入っている?

高倉:リード曲のM-1「僕達を繋ぐもの」は、震災(※東日本大震災)の後に作った曲なんです。僕はあの時に自分のやっている音楽に社会性がないということを感じて、すごく無力感を抱いていて…。それでもう音楽をやめようかと思っていたくらいの時に、ある人の笑顔にふと救われたんですよね。

●それがキッカケでこの曲ができた?

高倉:その人の笑顔を見て、不思議と「また曲を書いてみようかな」という気になれたんです。今まで10代〜20代を全部注いできた音楽をやめようとしていたのに、こんな簡単なことで「また曲を書いてみようかな」という感じになるんだなって自分でも思いましたね。でも一番歌いたかったものが、その時に歌えた感じがしたんですよ。

●その人との出会いが大きかった。

高倉:この曲を作らせてくれて、僕の中で音楽を続けるキッカケになりましたね。

●現実での体験を楽曲に昇華しているというか。

高倉:昔好きなアーティストが「旅をしたら曲ができる」と言っていて。自分が生きている中で味わったものを還元して曲を作るっていうことなんですけど、僕もそういうタイプなんですよね。経験として色んなことを味わいたいし、それを音楽に還元することで、この先も音楽がどんどんふくよかになっていくイメージがあるんです。だから、続ければ続けるほど面白いものになるのかなと。

●色んな経験を積むことで、音楽的に変わっていく部分もあるんでしょうね。

高倉:ここからまた新しいチャレンジをするんだったら、もう今とは全然違う楽器を入れても良いと思っているんですよ。次に何か新しいものに手を出した時は、今までにないとんでもないものができると思っていて。今作はそういった意味での“ニュースタンダード”、つまり基礎なんです。下地がないと何もできないけれど、僕らはここから何にでもなれるというか。そういった意味で、まさに『Life in Technicolor』なんですよね。

●作品タイトルにはどんな意味が?

高倉:“Technicolor”というのは三原色で様々な色を作り出す映像技術のことなんですけど、三原色を組み合わせることで無限に色を作れるんです。本来は“人生は総天然色でできている”みたいな意味なんですけど、“Technicolor”には“天然色”という意味もあって、要は素材の色なんですよね。今回の僕らは飾っていなくて素の状態で、そういう4人が合わさって色んなものができているといったところですね。“素で作った色で人生はできているんですよ”という感じが近いかな。

●自然体で自分たちのやりたい音を作品として表現できているわけですね。

小室:今回は「僕達を繋ぐもの」をリード曲にしようということだけが先に決まっていて、あとは4人が自然に「良いね」となったものを形にしていったというか。やりたいものを作っていく中でできた6曲かなという感じがしています。

高倉:正直、作品ができあがった後は聴かなくなることが多いんですけど、今回は毎日聴いているんですよ。自分の中で、流行り廃りがない感じというか。あと、抵抗感が全くない。たとえば他人の臓器を身体に移植したら拒否反応が起きたりもするけど、今回は自分の細胞だけで成り立っている感じがして。だから何の拒否反応もなく自然に聴けるし、すごく良いんですよね。

●ライブでやるのも楽しみでは?

高倉:今回はライブでその時の状態がすごく素直に出る曲だと思うんですよ。悪い時は悪いものが全く取り繕わずに出るし、逆にハッピーな状況の時はハッピーになるというか。ライブのクオリティ的な良し悪しではないんですけど、その時の感情がグッと乗りやすい曲だから、そこが怖くもあり楽しみでもあって。みんなにはどういうふうに映るのかなという興味はありますね。

●やってみないとわからないところがあると。

高倉:すごくミディアムな曲なのにノレるという時もあれば、泣けるという時もあると思う。もちろん聴き手の心境にもよるけど、そういう状況に引っ張っていけるくらい1曲1曲にその時の自分たちの気持ちが出るというか…。まさに人間力ですよね。

●リリース後にはツアーも予定されています。

小室:ここ数年は都内近郊を中心にライブをしていたので、今回のツアーで久々に地方に行けるんですよね。行く先々で「jimmyhatはここにいるよ」というのを示せるようなライブがしたいなと思っています。

Interview:IMAI

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