【8/29 LINE UP】
BRAHMAN / Dragon Ash / KEN YOKOYAMA / 10-FEET / RIZE / BIGMAMA / SiM / the HIATUS / RAZORS EDGE / FIRE BALL / Keishi Tanaka(O.A.)
まずはオープニングアクトのKeishi Tanakaが、ブラス+バンドセットで登場。晴れ晴れしい「Crybaby's Girl」に始まり、スウィングしたくなるようなポップナンバー「Wonderful Seasons」と、グルーヴィなサウンドで目が覚めるような音を響かせる。今年のRUSH BALLはここからスタート!
FIRE BALLは心地良いレゲエミュージックで会場の熱気を上げていく。極上の音で気持ち良くなれる「REGGAE BUS」で乗客を揺らしつつも、コンプレックスを持つ人たちに贈る「俺とお前とボブマーリー」のような楽しいだけじゃないメッセージ性も持っている。これぞ“ハマの火の玉”の本領。
続いてはRAZORS EDGE。Dr.KRASHがブラストビートをまき散らせば、オーディエンスは狂気乱舞。「TRAINTRAINTRAIN」ではハッピーなパンクでモッシュの嵐! 10月には5年7ヶ月振りにアルバムがリリースされるということで、その中からファン待望の新曲を2曲披露。さらに1998年のe.pに収録されていた「LIVINGDEAD」! 新旧どちらのファンも大満足のステージだ。
the HIATUSは壮大なサウンドスケープで描かれる「The Flare」、Vo./G.細美の澄んだ歌声が突き刺さる「Storm Racers」、ダークな雰囲気に惹き込まれる「Thirst」など、独自の世界感を形成する楽曲でオーディエンスを魅了。一辺倒では終わらない懐の深さが垣間見える。
SiMの1曲目は、ズシリとした低音のリフで攻める「Fallen Idols」。そこから電子ドラッグ的中毒性を持った「GUNSHOTS」「Amy」とキラーチューンの応酬。「1分1秒を無駄にせずに生きるのは難しいと思う。でも一瞬あくびしている間に人生が変わるような出来事が起こるかもしれない」。Vo.MAHの言うその瞬間が、このステージには確かに存在した。
多くの人が耳にしたことがあるだろうクラシックとは、ある意味もっともキャッチ—な音楽ではないだろうか。それをロックなバンドサウンドに昇華したBIGMAMAは、いつ聴いても凄まじい求心力がある。9月にリリースされた新曲「MUTOPIA」はエレクトロmeetsクラシックの新境地とも言える1曲。音楽でオーディエンスを楽園へと誘っていく。
そこからRIZEのステージへ。まるで生き物の様にうねるベースライン。ビリビリと肌で音の厚みを感じるドラム。そしてATMCステージまで突き刺さりそうな力強いボーカル。それは個々の地力が高く、メンバー全員がスタークラスの存在感を示すスーパーバンドでなければ成立しないスタイルだ。RIZEは、間違いなく日本が世界に誇れるバンドのひとつに違いない。
10-FEETのライブは、「風」と共に始まり、いきなりクライマックスのような盛り上がり。1曲を終えると「ありがとうございました。10-FEETでした!」と締めてしまうあたりは遊び心満載(笑)。もちろんすぐさま「アンコール始めます!」と楽曲を繰り出していく。隣の知らない人ともハイタッチできるような開放的な気持ちになるのは、彼らが子ども心を忘れないカッコいい大人としてその在り方を体現しているからだろう。
幾多のキッズに夢と希望を与え続けているKEN YOKOYAMAは「Running On The Winding Road」「Save Us」といったパンクロックナンバーで一気に駆け抜ける。「ただ楽しむだけならロックじゃなくていい。何かを持って返ってくれよ」。そう言った彼は、深慮の先にある思想を持つこと、その上でどう生きるかを決めるよう訴えかけている気がした。
Dragon Ashには、いつも感情を揺さぶられる。彼らには“皆で楽しみ、幸せになりたい”という信念があるからだ。日本語と英詞を交えて歌い上げる「Life goes on」、全英詞の「Fantasista」でもグッと伝わってくるものがあるのは、そこに溢れ出した真摯なメッセージがなのだろう。
1日目のトリを務めるのはBRAHMAN。1曲目「KAMUY-PIRMA」の後、「必ず死ぬ。台風で、地震で、津波で、病気で。そう宣言してから4年、俺たちはまだ生きている。21年目のブラフマン、始めます」と告げ「THE ONLY WAY」「其限」などを放っていく。「生きてろ!生きてればいつか仲間に巡り会える」と言って演奏された「PLACEBO」では、the HIATUSの細美も飛び出し、2人してオーディエンスに支えられながら絶唱。「鼎の問」を終えて、自身の阪神・淡路大震災の時の行動と、東日本大震災以降の行動の変化を語ったのち「20年前の俺、歌を練習しておけ。恥ずかしくないようにな」とVo.TOSHI-LOWが言うと、ソウル・フラワー・ユニオンの中川が現れ、共に「満月の夕」を披露。目頭が熱いのは曲がいいからだけじゃない。この瞬間が実現するまでの過程に、込められた想いに心が震えたからだ。
【8/30 LINE UP】
[Alexandros] / the telephones / ACIDMAN / ストレイテナ— / THE BAWDIES / KANA-BOON / SHISHAMO / THE ORAL CIGARETTES / WHITE ASH / go!go!vanillas / ドラマチックアラスカ(O.A.)
2日目は実にロマン溢れるメンツだったのではないだろうか。なぜなら、この大舞台に立つ人たちの大半が、“RUSH BALL☆R”を経てステップアップしてきたバンドだからだ。ドラマチックアラスカVo./G.ヒジカタの「俺たちをあっち(ATMC)のステージから連れてきてくれたありがとう」という言葉も感慨がある。エッジの効いたサウンドとキャッチーなメロディを使いこなし、自分たちの音楽を表現していく彼らの未来に、希望しか感じない!
go!go!vanillasの軽快なナンバーは今日も絶好調! 「エマ」で景色をカラフルに彩っていくと、「アクロス ザ ユニバーシティ」の爽快なコーラスで気持ちも晴れやかになっていく。あいにくの天気の中でも、彼らにかかればあっという間に心に青空が広がるのだ。
WHITE ASHは、夏の厳選セットリストで勝負を仕掛けてきた。「Number Ninety Nine」の骨太な音が聴く者を圧倒し、「Thunderous」の妖艶なサウンドでオーディエンス酔わせていく。そんな中で披露された「Aurora」は数少ないスローテンポの曲で、音の広がりや柔らかさを感じさせる。多種多様な楽曲がありながら、どれもWHITE ASHらしさを感じさせるのが素晴らしい。
登場早々「帰ってきたぞ!」と声を高らかに響かせたのは、奈良のTHE ORAL CIGARETTESだ。キレッキレのパフォーマンスと独創的なアレンジで攻める姿には、今に全てを注ぎ込む凄まじい気迫が感じられる。「俺たちを追ってくれる後輩がいて、噛み付いていきたい先輩がいるから、まだまだ終われるわけねぇ!」。声帯ポリープの手術を控え、暫くライブ活動を休止する彼らだからこそ、強く胸を打つその言葉が頼もしい。
絶対的なポピュラリティを持ちながら聴き応え抜群のサウンドを鳴らすSHISHAMO。ライブを重ねるたびに、高いポテンシャルを確実に開花させているようだ。ファンキーなリフとメロウなグルーヴ感が心地良い新曲「熱帯夜」は、少し大人びた彼女達の新境地ではないだろうか。
昨年この地で凱旋ワンマンを行ったKANA-BOONが、2年ぶりに“RUSH BALL”に帰ってきた! スタッカートの効いたエッヂィなカッティングが小気味良い「ウォーリーヒーロー」や繰り返される歌詞のキャッチ—さが際立つ「なんでもねだり」など、そのどれもがボルテージを加速度的に上げていく。今やシーンを牽引するものとしての確固たる貫禄があった。
ロックンロールの魅力をたっぷり味わいたいなら、THE BAWDIESのライブを観れば良い。思わず腰を振って踊り出す「JUST BE COOL 」、自然とハンドクラップが巻き起こる「ROCK ME BABY」と、とにかくゴキゲンなナンバーが満載なのだ。お中元代わりに新曲「SUNSHINE」をプレゼントしてくれた彼らに、全力で楽しむことで礼を尽くすオーディエンスの姿は最高に輝いていた!
ストレイテナーの出番が始まると同時に、少しずつ晴れ間が広がってきた。イントロからスケールの大きさを感じさせる「From Noon Till Dawn」に続き、極太サウンドと浮遊感のあるスペーシーなフレーズが交差する「Super Magical Illusion」へと繋ぐ。さらに「NO 〜命の跡に咲いた花〜」では空に虹がかかる!本物のロックスターは、やはり何かを持っている。
「この瞬間は2度と戻って来ないから」。そう言って始まったACIDMANのステージは、のっけから大定番「造花が笑う」。そのまま「FREE STAR」「赤橙」「ある証明」と名曲ラッシュ。彼らの歌には自ずと耳を傾けようと思わせる力がある。誰しもが持っている弱さを隠すのではなく、乗り越え進む勇気をくれる歌だ。
マイクチェックで「トイス!」とハイトーンな挨拶を交わしたのは、ポリ…ではなくthe telephones! 服がはだけんばかりに暴れるSyn./Cowbell./Cho.岡本に、ブリッジしながらギターを掻き鳴らすVo./G./Syn.石毛。いつにも増してテンションが振り切れている中PA後ろに巨大ミラーボールが現れ、泉大津フェニックス辺りを一瞬でディスコに変えてしまった! 「“RUSH BALL”に、GREENSに、愛を込めてディスコを贈るぜ! あと清水音泉にも!」と叫んで「Love&DISCO」でひたすらに踊り狂う。世界最高のディスコ、ここにあり!
ついに[Alexandros] 2度目の挑戦が幕を開ける。「ワタリドリ」のリフが我々の期待を煽り「Famous Day」がバンド・アンサンブルの力強さを存分に感じさせる。「Adventure」でオーディエンスとともに大合唱する姿を観て、彼らが進化を重ねて来たことをはっきりと理解した。メンバーがステージを後にしても、客席から流れる歌声が鳴り止まない。それはただ[Alexandros]のためだけに歌われる歌だ。Vo./G.川上の「もう何も言うことがないくらい、素敵な夜」 という言葉も頷ける。彼らにもきっと届いただろう。[Alexandros]の音楽で、どれだけの人々が笑顔になっているのかということが。
TEXT:森下恭子