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BACK LIFT

誰も追いつけない高みまで。飛躍を確信させる傑作ミニアルバム

PH_BACKLIFT2015年は“COMIN' KOBE”や“SATANIC CARNIVAL”、“京都大作戦”などの大型フェスに参戦し、さらなる飛躍を予感させている名古屋のメロディックパンクバンド・BACK LIFT。メンバーチェンジを経て完成させた3rdフルアルバム『Ten Years Later』を昨年に発売した後も進化を続けてきた彼らが、新作となる2ndミニアルバム『Fly High』を10/7にリリースした。メロディックパンクを軸にしながらも、スカやレゲエからポエトリーリーディングまでを取り入れたサウンドは唯一無二の魅力を放っている。高みを目指す3人にじっくりと話を聞いた。

 

「衝動感も出ているし、本当にやりたいことをイメージどおり素直に出せた感じがしますね。この作品ができあがった時に、自分たちの中では手応えしかなくて。これはもう飛べるんじゃないかと」

●去年にメンバーチェンジがあったんですよね。

KICHIKU:G./Cho.YAKITORIが去年の3月に抜けたんですけど、4月はライブをせずに5月からYU-PONにサポートに入ってもらって、6月から正式に加入してもらいました。YAKITORIが抜けるという話は、2013年の夏前くらいから実際には出ていたんですよ。アルバム『Heartful world』(2012年12月)のツアーファイナルを6月に終えてから「今後どうしようか」というミーティングをした時に、そういう話があって。YAKITORIの家庭の事情的に遅くとも1年後くらいには抜けなきゃいけないというのがわかっていたので、すぐに新しいギタリストを探し始めていたんです。

●その時点から既に次のメンバーを探していた。

KICHIKU:新メンバーを見つけてからスタジオで既存曲の練習をして、そこから新曲を作ってアルバムの制作をするとなると1〜2年くらいのブランクが空いてしまうわけで、それがすごく嫌だったんです。だから『Heartful world』のツアーファイナルが終わった後、俺はすぐに曲を作り始めて。その年の9月頃にはもうYU-PONが入りたいと言ってくれていたので、ライブにスタッフとして連れてきて現場慣れしてもらっていたんですよ。その間もスタジオに入りまくって、YAKITORIが抜けた後の去年4月にはさらに追い込みをかけた練習をして、5月にサポートとしてライブをやった時にはもうアルバム(『Ten Years Later』)の制作は終わっていましたね。

●しっかり準備をした上で、進んできたわけですね。

KICHIKU:『Ten Years Later』を作ることを見据えて動いていたんですよね。そこが再出発になるなと思っていたから。今までは基本的に俺が曲を全部作って、アレンジでも「こういうふうにして欲しい」というイメージを伝えてきたんです。そういうことをずっとやってきていたので『Ten Years Later』も同じようにやろうと思っていたんですけど、制作作業中に「せっかくYU-PONも入ったし、もっと広がっても良いかな」と思って。YU-PONは俺と音楽の趣味が全然違うんですよ。

YU-PON:僕はWeezerやThe Get Up Kidsみたいなパワーポップやエモが好きで。元々はメタルを聴いていたんですけど、きれいなメロディが好きなのでメタルでもメロスピ(※メロディックスピードメタル)と呼ばれるようなものをよく聴いていましたね。

●そういったものを取り入れたりもした?

KICHIKU:でもそのあたりを俺は全く通っていないので、YU-PONのルーツを完璧に取り入れたというわけではないですね。逆にYU-PONが入ったことによって、俺のルーツをもっと出したという感じです。俺も今まではセーブしていたところがあったから。YU-PONが入ったというキッカケは、俺たちが変わる最大のチャンスでもあって。「変わるなら今しかない!」と思ったので、自分の好きなものを出しまくったんですよ。

●メンバーチェンジのタイミングを、バンドとして変われるチャンスだと捉えんですね。

KICHIKU:日本語を歌詞に取り入れるかどうかですごく迷った時期があったんですけど、メンバーで話し合った時に「日本語を入れていこう」ということになって。「もし入れたら失うものも多いだろうし、絶対に後戻りはできないよ」という話もして、ちゃんと腹を括ってやろうと決めたんです。そこから日本語を取り入れるだけじゃなくて、アレンジの面においても今までになかった要素を広げられたらなとは考えていましたね。

●元々、日本語詞をやりたいと思っていたんですか?

KICHIKU:俺は日本語詞の曲が好きだし、前からやりたいなとは思っていました。洋楽のパンクって、当たり前に英語で韻を踏んでいるじゃないですか。あの気持ち良さが俺はすごく好きで、邦楽でもHIP HOPやレゲエが大好きで聴いていたんです。韻を踏む気持ち良さをより出したいなと思っていた時に、ポエトリーリーディングを先輩に教えてもらって聴くようになって。

●そこでポエトリーリーディングに出会ったと。

KICHIKU:不可思議/wonderboyさんという方の音源を初めて聴いた時に、声や言葉の魅力がすごくて衝撃的だったんです。メロディもない語りがメインなのに、韻も時折踏んできたり、言葉遊びがハンパないなと。そういう表現を俺も日本語のバンドサウンドでやりたいとなって。でもメロディックパンクってきれいに流れるようなメロディがちゃんとあって、旋律的なんですよね。それとポエトリーリーディングって、真逆じゃないですか。

●その真逆の2つをあえて合わせようとした?

KICHIKU:メロディックパンクをやっているのに旋律がないなんて考えたこともなかったけど、すごく楽しそうだなと。そういう矛盾を生むようなことって、俺らにしかできないんじゃないかと思ったんですよ。自分の中で自信もあるし、すごい武器になったなと今回の『Fly High』を出して思いましたね。

●軸にはメロディックパンクがありつつ、そこに色んな要素を取り入れている。

KICHIKU:俺はメロディックが好きなんですけど、元々は90年代のAIR JAM世代と言われる人たちが好きだったんですよね。90年代ってHi-STANDARDがあまりにドデカい存在なのでメロディックの時代という印象が強いんですけど、実際はそうじゃなくて。たとえば自分が好きなHi-STANDARD、BRAHMAN、HUSKING BEEと並べた時点で、もう既に3つジャンルがある感じがするというか。

●1つ1つのバンドが個性が強くて、独自性を持っているんですよね。

KICHIKU:その他にもTHUMBやSHERBETからOi-SKALL MATES、SCAFULL KING、KEMURIといったスカの人たちまでこの時代は好きなバンドしかいないんですよ。でも全部ジャンルが違うし、メロディックというわけでもない。自分はBACK DROP BOMBが大好きなんですけど、今聴いても新しいんですよね。ミクスチャーっていうジャンルがすごく好きで。

●ミクスチャーもルーツの1つになっている?

KICHIKU:今作のM-3「Show Me Your Roots」はミクスチャーを意識していて。仮タイトルはそのまま「ミクスチャー」だったんですよ(笑)。でもそれだけだと、他のバンドもやっているなと思って。そこからサビにシンガロングを入れて、スカもレゲエも放り込んで好き放題にやったのがすごくバランス良く固まったなと思います。

●どの曲もメロディック一辺倒じゃなくて、途中で色んな要素が入ってくるのが面白いところかなと。

KICHIKU:色んな要素を取り入れて、聴き飽きないようなアルバムにしたいとは思っていますね。たとえばHi-STANDARDの『MAKING THE ROAD』(アルバム/1999年)でどの曲が好きかと訊いたら、みんなの答えが違ったりするじゃないですか。そういうふうに、聴く人によって名曲が違うようなアルバムを作りたいなと常に思っていて。

●今回もリード曲がM-2「morning」と「Show Me Your Roots」とM-7「Fly」の3曲もあるという…。

KICHIKU:もう選びきれないから、結局そうしたっていう(笑)。

●MVになっている「morning」は“負けを知って”という歌詞が印象的だったんですが。

KICHIKU:名古屋で先輩と夕方6時から翌朝の5時くらいまで呑んでいた時があって。その時に自分が「俺はこう思っているんですよ!」とキレ気味に言っているのに対して、先輩から「おまえは間違ってるよ。こっちのほうが絶対におまえにとって良いから」みたいなことを言われたんです。最初は納得いかなかったけど、ずっと話している内に「そうなんやな。俺が間違っていたわ」みたいになったんですよね。

●それが負けを知ったということなんですね。

KICHIKU:普通はそうやってボコボコにされたらヘコんだりイラついたりすると思うんですけど、帰りに1人で歩いている時に何か清々しさを感じていて。俺は1人でいる時は基本的に、この世にまだ存在していないメロディをいつも口ずさんでいるんですよ。そして、その日の早朝に軽い雨が降っている中で清々しいなと思って歩いている時に口ずさんでいたのが「morning」のサビだったんです。

●まさに歌詞の内容のとおりだったと。M-7「Fly」の歌詞も実話でしょうか?

KICHIKU:今回の制作に向けて曲を書き貯めていたんですけど、最初はすごく調子が良くて。次はミニアルバムを出すと自分の中で決めていたので、この調子なら7曲くらいは簡単にできるなと思っていたんです。でも6月にシングル『FOUR FACES』を出したあたりから、急に自分が落ちてしまって…。自分の頭の中で「ここらへんにある」というのは感じるんですけど、何かが引っかかっていて曲が降ってこなくなったんですよ。

●曲が急に出てこなくなった。

KICHIKU:気付いたらレコーディングの5日前とかになっていたんですけど、曲が全くなくて。ものすごくネガティブになってしまってもう全部投げ出そうかと思った時に、家族の言葉を思い出したんです。自分が大学生の時に就活をせずに「音楽をやらせてくれ」と言った時に、うちの親は迷いなく「やれ」と言ってくれたんですよ。「でもやるなら中途半端なことをしたら絶対に許さないからな。最後までやりきれよ」という言葉を思い返して、最後は親に相談してみようと決断して…。

●そこで状況が変わった?

KICHIKU:家族全員にLINEで連絡して「こんな状況なんだけど、どうしよう?」と伝えたら、「Fly」の歌詞にあるような言葉をかけてくれて。「もう1回死ぬ気で頑張るか」と思った、その3分後くらいには「Fly」が降ってきたんですよね。そこから曲の形にして、歌詞もその時の感情をそのまま書き連ねて、一気に完成したという感じでした。

●そこで引っかかっていたものが取れて、スッキリしたわけですね。

KICHIKU:スッキリしましたね。やっぱり素直にならないとあかんなと。意固地になっていた部分もあるし、自分の中で狙いすぎている面も出てきていて。でも残り5日というのもあって、アレンジ面でも自分たちのやりたいことを本当にシンプルにそのまま出したんですよ。だからこその衝動感も出ているし、本当にやりたいことをイメージどおり素直に出せた感じがしますね。

HEAVIN:急ピッチで作った曲が多いんですけど、その中でも「やらなきゃいけない!」ということしか頭になかったので、ドラムに関してもそのままの自分を出せたかなという感じがします。

YU-PON:本当に自分たちがギリギリまで追い込まれて出せた限界を詰め込んだことで、すごく大切な作品になったというか。難産だった分、すごく愛情がこもっていますね。

●自分たちでも、突き抜けた作品が作れた実感があるのでは?

KICHIKU:メチャクチャありますね。この作品ができあがった時に、自分たちの中では手応えしかなくて。これはもう飛べるんじゃないかと。「Fly」が自分の中で感情を一番出しきった曲なので、“Fly”という言葉をタイトルに入れたいとは思っていたんですよ。色んなしがらみとかも面倒くさいし、自分が好きでやっていることに関してとやかく言われたりするのも嫌だなと考えていた時に、「誰もいないところまで行けば何も言われないんじゃないか」と思ったんですよね。そこから“高みに行きたい”という意味で、『Fly High』というタイトルを付けました。

●その高みに行くための第一歩が今回のツアーファイナル、渋谷TSUTAYA O-WESTワンマンかなと。

KICHIKU:ワンマン自体をそんなにやらないバンドなので、自分たちだけではまだ未踏の地というか。東京でワンマンをすることで、今まで付いてきてくれた人たちにもいっぱい恩返しをしたいなと。そこで「また一緒に次を見たい」という希望も生み出せたらなと思っています。

YU-PON:僕らにとってもすごく意味のあるライブになるので、ここをバシッと決めてまた次のステップへみんなと一緒に進んでいきたいですね。

HEAVIN:今までは東名阪でファイナルシリーズをやったりしていたんですけど、今回のファイナルは東京だけなので本当に重要な1本だと思っていて。絶対にSOLD OUTさせたいし、ツアーの集大成を色んな人に見てもらいたいので、ぜひたくさんの人に来て欲しいです!

Interview:IMAI

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