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GALNERYUS

最強の布陣で自らの限界を超え続けるメタル界の勇者

PHOTO_GALNERYUS常に我々の想像を超える世界観を作り出し、日本のメタル界を牽引し続けてきたGALNERYUS。10周年を経て、2014年9月にリリースしたアルバム『VETELGYUS』で更に多くのファンの支持を集めてきた彼らが、長年構想を練り上げてきたコンセプトアルバム『UNDER THE FORCE OF COURAGE』を遂に完成させた。壮大な世界観と深遠な音像はより深く、より美しく、込められた喜怒哀楽はより紅く、より蒼く、より強く。まるでオペラの如く繰り広げれる物語に、多くの音楽ファンは歓喜の声を上げるだろう。1秒たりとも立ち止まること無く、より高みへと飛翔を続けるメタル界の勇者に想いを訊いた。

 

「対決して、倒すことによって、更にどんどん悩んだり、感情が曲を追うごとに悲壮なものになっていく。だけど最後の“THE FORCE OF COURAGE”で昇華してやろうと」

●前作『VETELGYUS』のときのインタビューでSyuさんが「次はコンセプチュアルなものを作ろうと思っている」とおっしゃっていて、実際に今回の『UNDER THE FORCE OF COURAGE』を聴いて“こういうことか!”とびっくりしました。

Syu:『VETELGYUS』は敢えてバラエティに富んだ曲を作り、1曲の長さもそこそこ短くて、美味しいものを小出しにしたようなアルバムにしたんです。それは、今回の超絶に濃いアルバムを作る予定が既にあったからということで。

●前フリだったと(笑)。

Syu:僕自身、GALNERYUSを結成してからずっとコンセプチュアルな作品を作りたいと思っていたし、手前味噌ですけど今は最強の体制になっていると思うので。ただ、そういう作品を作り込もうと思ったら、労力や時間、アイディアや完成度がものすごく必要になってくるし、並々ならぬ努力だけではいかないと思っていたんです。なかなかそういうタイミングに恵まれて来なかったんですけど、今作は前作『VETELGYUS』の時点から構想していたし、“やるなら今や!”という意気込みで。1年以上に渡ってひたすらこのアルバムだけに携わっていました。

●今作は収録曲9曲を“Suite First Movement”、“Suite Second Movement”、“Suite Third Movement”という風に区切っていますけど、これはオーケストラやクラシックの組曲的な考え方ですよね。更にM-5「RAIN OF TEARS」とM-9「THE FORCE OF DISTRESS」は曲の中で章が分かれている。

Syu:それは曲の中で分かれていますよってことですね。楽章的な。

●ここまで構築して、しかもアルバムを通してストーリー性を持たせていますけど、訴えたいことはひとつに繋がっているような気がするんです。でも、どこから手を付けて構築していったのかが想像つかないくらい壮大で。しかも1人で全部作曲したわけではなく「RAIN OF TEARS」とM-7「SOUL OF THE FIELD」はYUHKIさんの作曲だし。

Syu:まず曲を一挙に作るんですよ。ひととおりデモを作るんですが、ストーリーもベーシックな内容は考えてたので、「YUHKIさんはこの場面の心の動きがこういう曲を作ってください」とお願いして。

●なるほど。

Syu:曲が出揃ったら、“このストーリーのこの部分はこの曲だ”という感じで当てはめていって、そこから歌詞を作り込んで、さらに細分化していって…という順序です。

●ストーリーや感情の流れ、伝えたいことは最初にあったわけですね?

Syu:はい、あくまでベーシックではありまし たけど、大体の流れは自分の中で決めてました。

●今作のメッセージですが、つい最近海外でも悲しい事件がありましたけど、今はあまりいい出来事がなかったり、悲しさや怒りがたくさんある世の中ですけど、その中で力を持って立ち上がろうというか、“先に進もう”みたいなメッセージがあるような気がするんです。

Syu:人間の感情というものが、どういう風に動いていくのかっていう。喜怒哀楽でもそうやし、それ以上にどんどん細かいところを見ていくと、嫉妬とか悩みとかもいっぱいあると思うんです。そうなったときに、その人の感情は、実際その人じゃないとわからないじゃないですか。

●はい。

Syu:そういう部分を“不思議だな”と捉えて描いている側面もあるんです。今作のストーリーの中では2人の男が出てくるんですけど、2人の間にあるものは最初は友情だったんですけど、実は最初から友情じゃなかったということが明らかになったり。

●うんうん。

Syu:裏切る前提で近付いてきたこととかが主人公を悩ませていくんです。結局は対決して、倒すことによって、更にどんどん悩んだり、感情が曲を追うごとに悲壮なものになっていく。だけど最後の「THE FORCE OF COURAGE」で昇華してやろうと。それを踏まえた物語なんです。

●なるほど。

Syu:最近は悲しいことがいっぱいあり過ぎますけど、例えば、聴いてくれた人たちが自分の人生に当てはめて聴いてくれるといいなって。大小はあると思いますけど、辛かったこととか感じたことがいろいろあると思うんです。自分なりに聴いてもらえると、より作品に入り込めるんじゃないかなと思いながら作っていましたね。

SHO:結構しっかりとしたストーリーがあるんだけど、普遍的な人の感情が描かれているんですよね。ヘヴィメタルというジャンルはアマチュアのときにはやっていましたけど、僕はポップスシンガーで長く歌っていて。そういう僕の認識的には、ヘヴィメタルは喜怒哀楽…いろんな感情を剥き出しに表現しやすいジャンルだと思っていて。

●ポップスよりも。

SHO:そうそう。なので今回はより強く意識して、ある意味自然に任せてガッと強く感情を出しても、それがむしろ曲にはハマりが良かったんです。僕は考えているようであまり考えないでバッと歌うタイプなんですけど、より激しい部分は激しく、静かなところはより静かに。その落差は、この1枚の中で出ているんじゃないかと思いますね。

●確かに感情の高低差が激しい作品ですね。

SHO:さっきSyuくんも言われましたけど、物語があるけれど普遍的な感情を描いているので、聴いている人にとっては“きっとこういうことを言わんとしているんじゃないか”と思うだろうし、別の人が聴けば“僕はこう思う”という、それぞれの意見があると思うんです。そういう色んな解釈や受け取り方も出来る作品になったと思います。

●サウンド的には、オーケストラのようなアプローチが多いですよね。

Syu:今回はそうですね。元々ストリングスのアンサンブルがメタルの音に乗っている感じがすっげぇ好きで、だからGALNERYUSを始めたよう なものなので。YUHKIさんの持っている音源とか音ネタは“生なんじゃないの?”と思うくらい、更にクオリティが上がってきているし。

●それにデスヴォイスが入っていたり、合唱だったり、歌のバリエーションも幅広い。

Syu:デスヴォイスに関しては僕がやっているんですよ。小野さんが入ってからというものそういうアプローチは全然してこなかったんです。でもYUHKIさんが「デスヴォイスを入れたい」というアイディアを出してきたので、がんばって練習しました(笑)。

●ハハハ(笑)。

SHO:僕はデスヴォイスはできないんです。どうやって出しているんだかわからない。

●リード曲は「RAISE MY SWORD」ですが、この曲はどういう経緯で作られたものなんですか?

Syu:このサビメロは、前のアルバムのツアーのときにギターソロでピロッと弾いていたものなんです。

●あ、そうなんですか。この曲はサビのメロディをギターでも弾いていますよね。

Syu:前のツアーでギターソロコーナーがあったんですけど、そのときにひらめいて作っていたメロディなんです。それを歌にして。微妙にツボに入るメロディというか、暖めていたんです。

●Onoさんからすると、SyuさんぽいメロディとかYUHKIさんぽいメロディっていう感覚はあるんですか?

SHO:ありますね。どちらもすごくキャッチーで考えられているメロディだと思うんですけど、YUHKIさんの方が歌のトレーニングをさせられているみたいな感じになる。

Syu:いい意味でヴォーカリストのことを考えていない。

一同:アハハハハ(笑)。

Syu:結構ハイトーンだったりすることも多くて。僕の場合はブレスとか意識しながら作ったりするんです。歌として考えることをいちばん重要視しているというか。

●前からSyuさんはおっしゃっていましたよね。歌だけで成立するものが大切だと。

Syu:アコギ1本でも成り立つような歌でなければいけないという考えがあって。よくあるメタルのリズムって、一拍半とかで付点のメロディが多いと思うんですけど、僕はそれが平坦だと感じるんです。

●ああ〜。

Syu:そうじゃなくて、古きよき昭和歌謡であったりJ-POPでもそうですけど、すごく歌メロを凝っている人たちの歌をいっぱい聴いて、歌らしくしたいというか。最初はピアノの音で作るんですけど、それに惑わされずに、歌らしいメロディにすることを念頭に置いています。

SHO:大抵のメタルは、今Syuくんが言ったようなメロのものが多いんですよ。僕もアマチュアのときを含めてポップスを中心に歌っていたとき、ロックなイベントに呼んでもらって行くと、ハイトーン系は大体そうなんですよね。でもSyuくんが作ってくるのはそうじゃないので、そこは難しいです。

●あ、難しいんですね。

SHO:でもキャッチーですからね。このメロをしっかり表現したら、聴いている人も一発で覚えられる。逆にヴォーカル的にはメタル的なメロディは楽なんですよ(笑)。いくらハイトーンが多くても全体を通して平坦な感じで、高いところの発声の仕方が定まれば、その中で収まる。一方で、YUHKIさんが作ってくるメロディはド変態的な感じ。

●落差が大きいという(笑)。

Syu:コード進行って「黄金進行」と言われるようなものがいっぱいあると思うんですけど、それをビートに乗っけたら、だれでもやる進行になってしまうわけじゃないですか。更にそこに、しょうもない平坦なメロディを乗っけたら、誰でも作れる曲になってしまうじゃないですか。

●確かに(笑)。

Syu:そういうことを、気付かずなのか敢えてなのかはわからないですけど、やっている人たちは今でもすごく多いし、そういうのを聴くと萎えるんですよね。“何で違うことをやろうとしないんだろう”って。

SHO:ヴォーカルがハイトーン系だときっとそういうメロディをやりたがっちゃうというか、ぶっちゃけると楽なんです(笑)。

●そういう意味では、今回の作品自体“メタル”という枠組みを超えていて。今までの“GALNERYUS”という枠組みも超えようとしている意志がすごく表れていると感じたんです。“この人らはどこまで挑戦するんだ?”みたいな。

Syu:確かに、YUHKIさんと「今回のアルバムは、今までやってきた経験値をすべてつぎ込んだと言っても過言じゃないよね」と言っていたんです。できうる技術であったり、プレイとかハイトーンの連発だったり、各自が己の限界に挑戦した部分が強いですね。

●自分たちにしかできないものができたと。

Syu:“これ以上できるかしら?”と今は思っているくらいなので、充実感もあるんですけど、先行き不安感もある。

一同:アハハハハ(笑)。

SHO:そう言いながらも毎回メロディからアレンジからすごいの作ってくるから…すごいなって思いますけどね。

Syu:慣れていけばいくほど、どんどんキラーパスを出せるところが多くなっていくというか。だからOnoさんに対しても“よくこんな歌を歌えるわ”と思いますもんね。

SHO:GALNERYUSはヴォーカリストとしての修行の場なんです(笑)。

●さっきSyuさんが「達成感もあるけど、先行き不安感もある」とおっしゃっていましたけど、表現欲だったり、作品のアイディアは尽きないんですか?

Syu:おかげさまで尽きないですね。ずっと音楽で生きてきているから、それが普通になっているというか。できないときはもちろんイライラしますけど、できたときの“よっしゃ!”って感じはいつまでもあるんです。今は一息ついている時期ですけど、そういうモードには絶対になるので、そこに不安はないです。

●頼もしい。

Syu:でも現時点ではやりきった(笑)。今まででも達成感はいちばん強いんじゃないかな。

●GALNERYUSが目指している先は、今の日本のシーンとか、今までのメタルシーンが基準になっていないような気がするんです。

Syu:自分たちがそのときにできる最大限のことをやらないといけないと常に思っていて。本当にメンバーに恵まれているから、表現したいと思うことは絶対にできる。あとはできるだけたくさんの人に聴いて頂きたいという想いがあるだけで、メタルシーンがどうだとか、ロックのシーンがこうあるからとか、そういうものは特になくて。ただバンドとして、できるだけ共感してもらえる人が増えればいいなという想いです。

●基準を外に置いていない。

Syu:ヨーロッパでも受け入れられたということがすごく自信になったし、今まで以上にワールドワイドに、たくさんの人に聴いて欲しいという想いはこれからも変わらないと思います。

●特にヨーロッパとか、これからの可能性は大きいですよね。

Syu:そう。フランス・ドイツ・スペインなどのヨーロッパに行ったとき、各会場の熱気がすごかったんです。2〜300人くらいの規模ではあったんですけど、それだけの方が来てくれつつ、ひとりひとりに“待ってました感”があって。向こうでは正式なCDリリースはしてな いんだけど、「動画で知りました」とか言ってくれて、曲の細部まで知っている人が多くて。「ANGEL OF SALVATION」もやったんですけど、イントロが流れた瞬間に歓声が上がったりして。幸せなことですよね。

SHO:日本のポップスとかはなかなか海外では難しいと思うんですよね。でも我々がやっているこのジャンルは世界に通用するものだと思います。

Syu:演奏テクニックもすごく注目されるジャンルでもあるし。逆に“ヴォーカルの声が高けりゃいい”っていうところも結構あったりするんですけど(笑)、それが逆に武器にもなっていると思うので、“どうだ!”みたいな気持ちもちょっとある。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子