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空想委員会

ひとつではじまり、ふたつで終わる恋のうた

空想委員会_KICM91642_アーティスト写真2014年6月にメジャーデビュー以降、赤坂BLITZやZepp DiverCity Tokyoでのワンマンライブを成功させるなど順調に動員を増やし続けてきた空想委員会。今年に入ってからは“Perfume FES!! 2015 〜三人祭〜”(日本武道館)や“MBS音祭2015 Final Party”(大阪城ホール)という共に10,000人以上の超大規模イベントにも出演を果たし、その存在はロックバンドの枠だけにとどまらない支持を集め始めている。そんな彼らが、“冬”をテーマにした両A面シングルを完成させた。男性目線の「僕が雪を嫌うわけ」と女性目線の「私が雪を待つ理由」という共に“雪”をモチーフにした2曲で、ひとつの恋の終わりを描いたコンセプチュアルな作品となっている今作。切なく疾走感のあるギターロックサウンドの前者では今までの彼ららしさを見せつつ、ストリングスを導入したミドルテンポの後者では幅の広さや新たな可能性も感じさせてくれる。バンドとして次なるステップへと進むべく、大いなる進化を遂げようとしている3人に迫るスペシャル・インタビュー。

 

「音楽をやっていなかったら、出しちゃいけないような部分も多々あると思うんですよ。この立場だから表に出すのを許されていて、しかもそれを受け入れてもらっているという関係性は本当にありがたいですね」

●今回、両A面シングルという形でリリースしようと思ったキッカケは何だったんですか?

三浦:2曲入りというのは決まっていたので、どうせなら2曲であることの意味を作ろうとは考えていて。元々その予定ではなかったんですけど、「こういう2曲が対比になっている作品にしたいので、両A面にさせて下さい」と自分からお願いしたんです。歌詞が2曲でつながっているというのは、今回初めてチャレンジしましたね。

●2曲入りというところから始まっている。

三浦:もし3曲入りだったら、また違ったと思うんですよ。2曲入りだからこそのチャレンジというか。“僕”と“私”というのは男性と女性というふうに捉えられると思うんですけど、いつもとは違う目線の歌詞を書けるようになりたいなという気持ちもあって、今回やってみました。

●冬というテーマも元から考えていた?

岡田:僕が曲の基盤を作ってきたんですけど、その時点ではまだ冬とか雪を意識はしていなくて。とりあえず良いメロディを作ろうという感じでした。でも後々のアレンジの段階では、そういった面も意識しましたね。

三浦:12月に出すというのは聞いていたので、やっぱり季節感のある曲のほうが良いなとは思っていて。だから曲を固める段階で(他のメンバー)2人には、「冬の感じで」という話はしました。良い感じに歌詞ともマッチしたので、良い収まり方をしたなと思います。

●M-1「僕が雪を嫌うわけ」のベースラインはエッジのきいた感じですが、これも冬のイメージから?

岡田:雪が降っていて寒いんですけど、“ブルブル…”と震える感じじゃなくて、“痛い!”という感覚があって。三浦さんも青森の“痛い”寒さについて、よく話しているんですよ。そういう“痛い”感じを出したかったので、ベースの音もあえて歪ませてトゲのある感じにしました。

●東北の雪は痛いんですね。

三浦:東北の冬は厳しいですね…。痛いです。

岡田:チクチクする感じというか。

佐々木:寒くて、耳が取れるんじゃないかって思いますからね(笑)。

●そんなに寒いんだ…。三浦さんは青森の八戸出身なんですよね?

三浦:八戸です。

佐々木:僕の出身の宮城はそこまで雪も降らないんですけど、岡田くんは新潟なので…。

岡田:僕は新潟出身だから、その“痛い”寒さもよく知っているんです。だから冬に関しては、そういったイメージが強いのかもしれない。

●雪国出身の人ならではの感覚というか。そういう実体験のない地域の人からすると、雪は優しかったり美しいというイメージもありますが…。

三浦:それはM-2「私が雪を待つ理由」のほうで出そうと思っていて。“寒いけど、ちょっと温かい”みたいな感じを曲でも出せたら良いなということは考えながら作りましたね。

●この2曲の歌詞はつながっているように感じますが、「僕が雪を嫌うわけ」の主人公の男性と「私が雪を待つ理由」の主人公の女性はかつて付き合っていたという解釈で良い?

三浦:そうですね。僕の中では、付き合っていた2人という想定で書きました。

●男性側は“一目会って気持ち伝えたいが もう叶わないよ”と思っているのに対して、女性側の目線では“今の気持ちを伝えたい(中略) 初雪の日 会いに行こう”となっていて、そこから先の結末がすごく気になる内容になっています。

三浦:“この後、2人はどうなったのかな?”と想像してもらえればなと。「会えないままで終わる」という人もいれば、「絶対にこの2人は会ったはず!」という人もいると思うんですよ。そこはもう聴く人にお任せしていますね。

●男性のほうが諦め気味なのに対して、女性のほうは“会いに行こう”という想いを描いているのは、やはり自分だったら相手にそう思って欲しいという気持ちも込められているのかなと。

三浦:それもあるんですけど、実際に昔の彼女と会う機会があって…。当時のことをお互いに話す中で、訊いてみたら「そういうことだったのね」ということがあったんですよ。

●実際に別れた彼女と再会していたんですね…。

三浦:たぶんそこで話していなかったら、また一方的な僕の気持ちだけの曲を書いていたと思うんですよ。でももう一方の視点も訊いてみたら実は僕が当時思っていたことと一緒だったので、「こっちの視点でも書ける!」という気持ちになりましたね。

●上手く曲に昇華したと。

岡田:クリエイティブですよね(笑)。

三浦:いや、本当に興味本位で訊いたというか…。メンバー2人からは「よくそんな話を訊けたね」って、怖がられています。時間が経ったから訊けたというのもあるけれど、実際に訊いちゃうところがね…頭がおかしいっていう。

一同:ハハハハハ(笑)。

●普通は思っても、訊けない(笑)。

三浦:相手が訊けそうな雰囲気だったというのもありますけどね。ちゃんと自立している女性だし、昔話の1つとして訊けそうな雰囲気だったので…良いタイミングでした。

●実体験を活かしているから、ちゃんとリアルな言葉になっているんでしょうね。

三浦:やっぱり完全に想像だと難しいと思うんですよ。ちゃんと相手の気持ちにもなれたというのもあって、今回は書けましたね。

●男目線と女目線の両方で書かれているから、どちらか一方には共感できるものになっている。

三浦:両方わかるという人はあまりいないかもしれないですけど、どちらか一方だけでも「これはわかるな」という感覚があったら良いなと思います。

岡田:僕は完全に男目線のほうでしたね。「僕が雪を嫌うわけ」の歌録りをしている時に歌詞を見て、「わかるわ〜」と思っていました(笑)。

●三浦さんの歌詞には、メンバーも共感できるところが多い?

佐々木:全部が全部じゃないんですけど、共感するところは多いですね。

岡田:たまに「うおっ! こんなことを三浦さんは考えているのか…」って思うことはありますけど、基本的には共感できます。

●あまりにも行き過ぎているところは、共感できなかったりもすると(笑)。

岡田:そう…いうこともありますね(笑)。

三浦:「インスタントときめき」(シングル『純愛、故に性悪説』収録)とかだよね。あれはもう完全に僕がブッ飛んでいたので…。“顔だけでも君を愛せる”っていう。

●アイドルに勝手に恋をして、熱愛報道があったら失恋した気持ちになるという曲ですよね。

岡田:それで“次の恋はどこだ”っていう(笑)。

三浦:TVに向かってね。

●ハハハ(笑)。そういう意味では、今回の歌詞はそこまでブッ飛んでいないですよね。

三浦:でもブッ飛んでいるものも素直に出しているだけですし、両方とも僕の中にはあるものなんですよ。たまたま今回は、そういう歌詞だったというだけですね。人には言っていないだけで、まだまだブッ飛んでいる部分が多々ある可能性はあります。

●そこをまだ今回は出さなかった。

三浦:いや、いつ言おうかって、タイミングを計っているわけじゃないですから(笑)。その時の気分というか、たとえば毒を吐きたいモードの時もあるので、そういう時はそういう内容の歌詞になるだろうし…。たぶん今回の僕は、優しい気持ちだったんだと思います。

●良い精神状態だったから、こういう歌詞になったというか。

三浦:今の自分を取り巻いている環境がすごく良いので、そんなにトゲトゲした感じにはならなかったということだと思いますね。逆に曲がトゲトゲし始めたら、「あいつ、何かあったな…?」っていう(笑)。曲がバロメーターになっているんじゃないかなと。その時に思っていることが出ちゃうのでわかりやすいといえば、わかりやすいですね。

●そういう意味では最近、私生活で何か良いことがあったんでしょうか?

三浦:やっぱりPerfumeさんに会えたことかな…って、私生活じゃないんですけどね(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

●空想委員会として、今年9/22に“Perfume FES!! 2015 〜三人祭〜”に出演したんですよね。

三浦:でも昔から「好きだ!」と言っていた人に会えて一緒に仕事できたというのは、バンドを超えて私生活の部分でもありがたいなと思う部分はありますね。フェスに呼んでもらえたということは、自分たちの存在を認めてもらえたということじゃないですか。それは本当にうれしいことだから。

●私生活で憧れていた人と、ちゃんとバンドという仕事を通じて近付けた。

三浦:昔はバンドをやっている自分と普段の自分は全く別物だと思っていて。「バンドのボーカルとして皆さんは好きだと言ってくれるけど、普段の俺のことは何も知らないじゃん?」っていうトゲトゲした感情があったんです。でも最近は(バンドをやっている自分と普段の自分が)一緒なので、素直に「ありがとうございます」と思えていますね。

●以前のインタビューでは「バンドがいい感じになっていくにも関わらず、どんどん自分の人間としてのダメさが目立ってくる」と話されていましたが、そこから変われたんでしょうか?

三浦:そこは…変わりましたね。前作のミニアルバム『GPS』で“ダメな自分も自分だからもうしょうがない”という曲を書けたんですよ。ダメな自分は変わらないんですけど、それも含めての自分だし、それがないと曲もできない。だから、それも込みで俺は生きていくっていう覚悟が今はできています。

●逆に今までは、ダメな自分を受け入れられていなかった?

三浦:はい。何とかして消したいなと思っていました。

●消したかったんだ(笑)。

三浦:そういう部分が全部なくなって、ちゃんとした人になれないかなとずっと思ってきたんですけど、結局そうはならないなと。そういう部分も全部含めて自分だというふうに、今は思えていますね。

●そう思えるようになったのはどういうところから?

三浦:メジャーデビューしてから1年経って、お客さんとの関係性もより強固になってきたので、そういうところを受けてというか。あと、メンバーやスタッフとの関係もどんどん強固になってきていて。これだけずっと一緒にいたらやっぱり良いところばかりじゃなくて、ダメな部分もどんどん見えてくるじゃないですか。特にメンバー2人にはそういう部分も込みで「良いんじゃない」と言ってもらえているので、「もう出していっても大丈夫なんだな」という安心感はありますね。

●メンバーは三浦さんのダメなところも愛せている?

佐々木:はい、愛せています!

三浦:即答だな…(笑)。

岡田:きれいな返事だ(笑)。

●迷いがない(笑)。

佐々木:でもそうじゃないと、バンドを続けられないと思うから。自分もダメなところはいっぱいあるから、そこはお互いさまというか。特に「嫌い!」と思うことはないですね。

岡田:家族よりも一緒にいる時間が長いので、もう兄弟みたいな感覚でやっています。

●兄弟とか、恋人のような…?

岡田:いや、恋人はちょっと嫌だな…。

佐々木:「嫌だ」って言うな(笑)。

●ハハハ(笑)。

岡田:僕が一番年下のポジションなので、2人は良い兄という感じですね。嫌なところもその人自身なので、そこすらも好きでいられるというか。それが普通という感覚です。

三浦:客観的に見てみても、好きな人のことはダメな部分も含めて好きじゃないですか。だから「それで良いんじゃないの?」ということも歌いたいし、自分もそう思っているっていう感じに最近は変わってきていますね。

●そもそもダメな部分も出ている曲や歌詞を聴いた上で、ファンは好きになってくれているわけですからね。

三浦:音楽をやっていなかったら、出しちゃいけないような部分も多々あると思うんですよ。この立場だから表に出すのを許されていて、しかもそれを受け入れてもらっているという関係性は本当にありがたいですね。

●今回の両A面シングルも、さらに空想委員会の支持層を広げるキッカケになるのでは?

三浦:しかも、今回は価格も安いんですよ。空想委員会を最近知ったという人も多いと思うので、(初めて空想委員会に触れる)1枚目には良いんじゃないかなと。「僕が雪を嫌うわけ」のほうは今までの空想委員会がガッツリ入っているし、「私が雪を待つ理由」のほうでは新たな部分も出せているので、どちらかが響いてくれたら嬉しいなという気持ちはあります。

●両A面にしたのも、共に自信のある曲ができたからこそというか。

三浦:元々、空想委員会はアッパーな曲ばかりのバンドではなくて、ミドルテンポやバラードの曲も好きなんです。フェスやイベントだと持ち時間が短い中で盛り上げなきゃいけないのでアッパーな曲がどうしても優先になるんですけど、そうじゃない曲もやれるバンドだと信じていて。そこを今回は両A面で出せたというのは、良いキッカケなんじゃないかなと思いますね。

●バンドとしての幅も広げられたのかなと。

佐々木:1つの狭いところに囚われたくないですからね。色んなことをやってみたいし、挑戦してみたい。自由にやりたいなという気持ちを持って今回の作品も作れたので、今後が楽しみだなと思います。

岡田:「私が雪を待つ理由」のほうではストリングスを初めて取り入れたりもしているし、そういうミドルテンポのものをリード曲として出せたというのは新しい強みになるなと。昔からあった部分ではあるんですけど、それをこういう形で出せたというところでバンドとしての幅を広げられたのかな。本当にこの作品を出せて良かったし、今後の空想委員会が変わってくると思いますね。

●現在はワンマンツアー中ですが、ライブに対する意識も変わってきていたりする?

三浦:昔は内側にこもっていたなというのを、今になって感じますね。今はもう“外に出してナンボでしょ!”っていう感じでやっているので、全然違うライブになっているんですよ。特に2人(佐々木と岡田)のパフォーマンスは全然違いますし、最近は“何とかしてくれるだろう”という感覚があって頼もしいです。

●メンバーへの信頼感というのも大きい。

三浦:かなり大きいですね。

岡田:逆にウチらは、三浦さんが最近すごく堂々としているからやりやすいというのもありますね。佐々木さんと2人でよく「三浦さん、最近頼もしいね」と言っています。

佐々木:みんな「俺がダメでも、他のメンバーがいるから大丈夫」と思っているというか。だから何も心配せずに、全員で突っ込んでいける。メンバーのことを信じながら、自分は好きなように思いっきりパフォーマンスできているんです。そこは最近、すごく良いなって思いますね。

●ツアーファイナルの渋谷TSUTAYA O-EASTが楽しみですね。

岡田:9/29からの長い期間になるのでその間に今回のリリースもあったりするんですけど、あくまでも『GPS』のツアーということで。『GPS』では三浦さんが初めて外に向けた歌詞を書いたというのもあって、今はまだお客さんと向き合うという姿勢を現在進行形で作っていっている段階だと思うんです。O-EASTまでにはそれが完成されて、とても良い状態で迎えられると思いますね。

三浦:今は本当に良い感じで、ライブができていて。しかもステージ上のメンバーとスタッフとの噛み合い方が、どんどん良くなっている感じがするんですよ。だからファイナルのO-EASTでは、すごいことになるんじゃないかという予感がしています。

Interview:IMAI

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