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People In The Box

初の47都道府県ツアーを完遂した先も、彼らの旅路は果てしなく続いている

2015/11/1@新木場STUDIO COAST
“空から降ってくる vol.8 〜正真正銘の全国ツアー!これ以上の全国ツアーってある?ねぇー?ねぇぇぇーーー?編〜”

yao-6223今年3月から始まったPeople In The Box初の47都道府県ツアーが11/1、新木場STUDIO COASTにて遂にファイナルを迎えた。開演前のフロアを見渡すと、彼らにとって過去最大規模のキャパシティもほぼ満員に埋め尽くされているようだ。期待感の漂う会場の幕が開くと、ステージ上に置かれた大きな4つの白い球体にまず目を引かれる。そしてSEに乗ってメンバー3人が登場すると、「ニムロッド」から軽やかにライブがスタート。

「はじまりの国」「翻訳機」と続けて演奏した後、本日最初のMCでVo./G.波多野裕文が今回のツアータイトルをたどたどしく口にすると、観客から笑いが起こる。なにせ長い…ので、一息に言うのが大変なのは容易に想像がつく(笑)。ファイナルということでの緊張感も多少はあるのだろうが、ステージ上での3人の姿はリラックスして音を楽しんでいるように見えた。

9月に発売した新作ミニアルバム『Talky Organs』収録の「映画綺譚」では、楽曲の持つ妖しげな雰囲気を照明がさらに助長する。新作の楽曲をライブならではの表現で見せつつも、セットリストは「ツアーファイナルなのでオールスターで」というMCのとおりだ。「失業クイーン」「天使の胃袋」「金曜日 / 集中治療室」など、様々な時期の作品からピックアップして披露されていく。

長いツアーなので飽きないようにセットリストを毎回変えるようにした結果、「自分自身の首を絞めることになった」と笑いながらも、それはきっと彼らのライブを研ぎ澄ますための良い機会でもあったはずだ。最近の楽曲だけでなく、過去の楽曲とも再び向き合って、それらを全て“今”の形で表現していく。1年の大半をかけたツアーで磨き上げられてきた楽曲たちは、新旧問わず新鮮な輝きを放っていた。

ライブならでは…といえば、Dr.山口大吾によるMCタイムもその1つだろう。物販のグッズを雑に紹介したり(笑)、ボイスチェンジャーを使った奇妙な声で様々な人々からのお便りを紹介したりと、やりたい放題。楽曲の世界観に没入していたオーディエンスに一息つかせる狙いがある…かどうかはわからないが、会場の雰囲気を和ませてくれたのは確かだ。その空気を一変させるように、「聖者たち」から終盤戦へと突入する。

スリリングなスピード感溢れる、新作のリード曲「逆光」は観る者たちにアドレナリンを分泌させるかのよう。「球体」を挟んで、最後はツアータイトルにもある“空から降ってくる”という歌詞で終わる「JFK空港」で本編を締めくくった。アンコールに応えて出てきたメンバーが今回の47都道府県ツアーについて「尋常じゃない」と言いつつも、「しばらくはやらないけど、いつかまたやるかも」と含みを残したのはその充実感ゆえだろう。

ダブルアンコールに登場した際に波多野が言った「48ヵ所、1回も同じライブをしなかった」という言葉は、誇らしげに響いてきた。当たり前のようでいて、それを意識的に、そして実際の結果としてやることは難しい。その困難に対して自覚的に挑んできたことの成果が、ツアーファイナルという場で明確に現れていたように思う。これからも変化を恐れずに挑戦を続けていく。最後に奏でられた「汽笛」は、そんな終わりなき旅路の新たな始まりを告げているかのようだった。

TEXT:IMAI