音楽メディア・フリーマガジン

Large House Satisfaction

その場にいる全ての人間が一体となって作り上げた特別な空間は輝いていた

2015/11/27@渋谷TSUTAYA O-WEST
「Shineeeeeeeeee!!!」TOUR FINAL

PH_Large_main“輝くか破滅するか”というタイトルを冠したミニアルバム『SHINE OR BUST』を、2015年9月にリリースしたLarge House Satisfaction(以下LHS)。自信と覚悟を感じさせる新作を手に、輝いてみせると言わんばかりの「Shineeeeeeeeee!!!」TOURを敢行してきた彼らが遂にツアーファイナルを迎えた。会場の渋谷TSUTAYA O-WESTには熱いオーディエンスが集結し、メンバーの入場を大きな拍手と歓声で迎え撃つ。歓声の中から男性の野太い声も多数聞こえてくるのが、このバンドならではか。

 
「Are you ready?」と要司(Vo./G.小林要司)が客席に向かって呼びかけてから、「セイギノシシャ」でライブがスタートした。エッジのきいたギターを掻き鳴らし、鋭い言葉を次々と吐き出していく要司。挑発的なアクションと雄叫びで観客を煽り、太いベースラインで黒いグルーヴを生み出す賢司(Ba.小林賢司)。冷静沈着に正確なビートを刻み、コーラスも挟んでいく秀作(Dr.田中秀作)。3人がそれぞれの役割を果たしながら、強烈な個性をぶつけ合うことでLHSのスリリングでタイトなバンドサウンドを練り上げていく。

だが、この日、そのサウンドの強度をさらに高めていたのは、会場に集ったオーディエンスだろう。「VLIE VLIE VLIE」では賢司に先導されて、観客たちも共に歌う。「Child Play」では“アンドゥトロア”と共に叫び、否が応でも一体感は増していく。3人の鳴らす音だけではなく、そこにオーディエンスのエネルギーが加わることでもっと大きなスケールのサウンドが生み出されているのだ。「ポップだけど、ライブでもそのまま全曲使えるものを作りたい」という意図の下で作られた新作が成功であったことを象徴するような光景が、目の前に広がっていた。

中盤ではゲストにKey.山本健太を迎え、ピアノの音のみをバックに要司が「眩暈」を色気のある声で歌い上げる。そこに賢司と秀作も加わった4人編成での「やがて空に星と月」も聴かせ、バンドの軸となっている歌とメロディの良さを見せつけてくれた。この歌とメロディの良さもファンの心を惹きつけ、一体感を生み出す要因の1つだろう。少し照れながら「言うまいと思っていたけど、メチャクチャ楽しい。こんな冷めた自分をここまで喜ばせたみんなはすごい」と、観客への感謝を述べた要司。キーボードに加え、THE PINBALLSのVo.古川貴之をギターに迎え入れたスペシャルな5人編成で、新作のリード曲「Crazy Crazy」を演奏して本編を締め括った。

バンドとして“輝くか破滅するか”ということの答えが出るのはもう少し先なのかもしれないが、この夜のライブが輝いていたのは間違いない事実だろう。ステージ上の3人もオーディエンスやスタッフも含めて、その場にいる全ての人間が一体となって作り上げた特別な空間がそこにはあったのだ。2016年、Large House Satisfactionの放つ輝きがさらに増していく姿を見つめていたいと願う。

TEXT:IMAI
PHOTO:新倉映見

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