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Blue Phrase Music:URCHIN FARM 師崎 洋平

URCHIN FARM『By Blue』リリース記念Wインタビュー #2 Blue Phrase Music主宰・師崎 洋平SPECIAL INTERVIEW ライブハウス発。夢への新たな入り口を切り開くレーベル

PH_MORO_main6年ぶりとなるURCHIN FARMの新作ミニアルバム『By Blue』をリリースするのは、“Blue Phrase Music”というレーベルだ。これはURCHIN FARMのG./Cho.師崎 洋平(以下モロ)が新たに立ち上げたレーベルで、今作が第1弾のリリースとなる。下北沢ReGでライブハウスのブッキングの仕事もしながら、バンド活動を続けているモロ氏が新たなレーベルを立ち上げた理由とは何なのか? 現役のバンドマンとしてシーンの最前線で闘いつつ、若い頃から長年に渡りライブハウスという現場を体感し続けてきた彼だからこそ話せる言葉がある。その熱く真摯な想いに迫るスペシャルインタビュー。

 

●今回“Blue Phrase Music”というレーベルを新たに立ち上げるに至ったのは、URCHIN FARMの新作『By Blue』のリリースがキッカケなんでしょうか?

師崎:50%くらいはそんな感じかな。レーベルや事務所をやりたいと思った元々のキッカケとしては、俺がライブハウスでブッキングの仕事をしている中で感じたことがあって。担当のバンドがだんだん増えてきて、音楽性やライブのやり方についても彼らと一緒に考えてきたんですよね。でもライブハウスには限界があって、やっぱり育てる場所だからその後のことは他の人に任せる形になっちゃうじゃないですか。

●せっかく育てても、リリースは外部のレーベルやメーカーに任せる形になってしまう。

師崎:自分もその先まで一緒に見たいという気持ちがあったし、若手のバンドマンからも「このままモロさんに見てもらえたら」と言ってもらえたりして。だったらレーベルやリリースというところまで見せてあげられるようにしたいと思って、“Blue Phrase Music”を作ったんですよね。それで「リリースって、こういうふうにやっていくんだよ」というのを見せるために、自分たち(URCHIN FARM)がまず最初にやってみたっていう感じだった。

●自分たちが最初のモデルケースになるというか。URCHIN FARMの活動を続けてきた中での経験も原動力になっているのでは?

師崎:URCHIN FARMもレーベルに入って、メジャーも経験してきた中で色んな人に出会ってきて感じたのは、「人生を懸けなければ売れるわけがない」っていう考え方が根底にあるっていうことで。だから「自分の人生を賭せないヤツはそもそも無理だ」って言われる。“賭す=人生を全部それに充てる”という覚悟がなかったらバンドはできないっていう。俺はそれを信じてやってきたけど、今考えるとそうじゃないなと思って。“賭す”っていうのはすごいことだから、そんな若いヤツらが自分たちだけで判断できることじゃないんですよね。

●その段階で、全人生を音楽に懸けるという判断をするのは難しいですよね。

師崎:たとえば結婚だったり色んな一般的な幸せが他にあって、そういうことをちゃんとやった上でバンドでも売れたヤツを山ほど知っているから。そいつらから「こうだったよ」っていう話を聞いてきて、「やっぱりそうだったか」って思うことがあって。逆に不幸になってしまったヤツらも俺は知っているから、そうならないように事前に教えてあげるっていうことが自分の使命であり、やりたいことになっている感じかな。

●“成功するか破滅するか”みたいな賭けをしなくてもバンドはやれるし、「こういうバンドの続け方もあるんだよ」っていうのも教えられるのかなと。

師崎:まさにそういうことで。それを俺は25歳の頃に知りたかったし、教えてほしかったなって思うんですよね。夢っていうものには2つの側面があって、良いほうだけじゃなくて悪いほうも俺はたくさん見てきているから。でも若い時って絶対に良いほうしか見えないから、そこで「こういう側面もあるから、自分でちゃんと考えてチョイスしていけよ」と言ってあげたくて。まず選択肢が2つ以上ないと選べないから、その1つを俺が与えてあげたいなっていう想いはすごく強い。

●自分自身も若い頃は見えていない部分だった?

師崎:今だからわかることだと思う。今は俺もヴィヴィアン(※vivid undress)のプロデュースをやっていたり、ライブハウスで働きながら自分のバンドもやっていたりというので、音楽で食っていくということをやれていて。でも若い頃はバンドとは全く関係のないバイトをやっていたし、だから自分の人生が固まるまでにこんなにも時間がかかったんだろうなと思うんですよね。若い子たちは「こういうやり方もあるんだ」というのをまず提示してもらわないと気付くわけがない。だって、知らないから。それを俺たちの世代が教えていくべきだと考えるようになって、レーベルをやりたいなと思ったんです。

●ちなみにモロくんはBlue Phrase Music以外にも、A Barking Dog Never Bitesが所属しているChord es Recordsもやっているわけですが、その2つの違いとは?

師崎:俺はJAWEYEとURCHIN FARMという2つしかバンドをやったことがなくて。ガチャガチャした感じのラウドな音楽と歌メロを大事にした音楽というのが、俺の中に2本の柱としてある。それを無理矢理1本にまとめるんじゃなくて、1本ずつに分けたという感じかな。A Barking Dog Never Bitesと共に作っていくChord es Recordsと、URCHIN FARMと共に作っていくBlue Phrase Musicみたいな感じに分けただけで、モチベーションとしてはどちらも同じ感覚ですね。

●自分の中にある2本の柱に沿って、2つのレーベルを作ったと。

師崎:そのほうがバンドにとっても絶対に良いから。A Barking Dog Never BitesとURCHIN FARMが同じレーベルにいるとなったら、若手のバンドたちからはよくわからない感じに見えちゃうだろうなと思って。新しい出会いも必須だから、わかりやすくするというところで2つやらせてもらっている感じですね。

●新しく入ってくるバンドにとっても、すぐ近くに色んな経験をしてきたURCHIN FARMという先輩がいて一緒に考えてくれるという良さはあるでしょうね。

師崎:バンド1つ1つにも事情があるし、その中を見ればメンバー1人1人にも事情があるだろうから、そこを俺は全部一緒になって考えたいんです。だから俺はレーベルといっても、バンドを山ほど抱えたくはなくて。そんなのは絶対に無理だから。1つずつちゃんと一緒にやって、レーベルの中にも兄弟ができていく感じというか。Blue Phrase Musicから出すヤツにはURCHIN FARMが先輩として教えるし、家族みたいな関係性を大事にしていきたい。そこはChord es Recordsも同じ考えでやりたいと思っています。

●そういう関係性だから、言葉もちゃんと響く。

師崎:俺はチームを作ったり、ファミリーを作ったりするのがすごく好きで。ReGでも“NEWScript”っていう制作のチームを作って、みんなで一緒に盛り上げていくことをやっていたりもする。何でもそういう感じにしていくのが元々好きなタイプなんですよね。チームって組織している人間に対しての責任が取れないと成立しないと思うから、どんなヤツがいるのかわからないような状況にしてしまうのは絶対にダメだと思っていて。だからちゃんとメンバー1人1人の人間性も状況もわかった上で、お互いに責任感を持ってやっていきたい。

●そこの責任感は大事ですよね。たとえば事務所やメーカーに所属したから何かやってくれると期待して、バンドが何も考えなくなったら成り立たないわけで。

師崎:そうなんですよね。確かにすごく有能な人がいて、その人についていったら売れたっていうケースもあると思うんだけど、そういうヤツってつまずいた時に戻ってこれないんですよ。でも自分で足下を確認しながら、人に力を貸してもらいながらでも這い上がってきたヤツって、もし落ちちゃってもどうやって上がってきたかをわかっているから。そこでまたもう1回這い上がっていけば良い状況にしてあげるっていうことが大事だと思うんですよね。

●自分でやったことがないと、CDの作り方やライブのブッキングの仕方もわからなかったりする。

師崎:どうなっているのかがわからないと、それこそ「自分で“商品”になりに行っちゃってるじゃん」って思うんですよね。「お前らがわからなかったら、意味がないから」っていう。人によっては「そんなことも俺らがやらなきゃいけないんですか?」って言うヤツもいると思うけど、そう考えるのなら俺とは一緒にやらないほうが良いと思う。

●厳しいことを言ってくれるということは、それだけ向き合ってくれているということでもありますからね。

師崎:今って、叱ってくれる人もあんまりいないんだと思う。自分のことをそこまで一生懸命に考えてくれる人もいないだろうから。俺らが若い時はそういう人がいっぱいいて、色んなことを言ってくれたり、暗い顔をしていたら声をかけてくれたりもして。だからここまで音楽に失望せずに続けてこられたし、こういうレーベルとかもやってみようと思えた。“ここにいたら好きな自分になれるんだな”って思わせられるような音楽業界にしていかないと。そもそも人を幸せにしたり豊かにするような業界なわけだから、中にいるヤツらが苦しかったら意味がないんですよね。

●観客やリスナーを幸せにするだけじゃなくて、やっている自分たち自身もそうでないといけない。

師崎:楽しんでいるヤツを見て楽しくなるわけだから、中にいる人間が楽しそうに元気にやっているという環境を守っていかないとダメだなというところが根幹にある。ブッキングもレーベルもバンドも全部そうなんですよね。いつだってワクワクしたり、ドキドキしたりできることが絶対にあるから、それを一緒に考えていくのが大事なのかなって。

●URCHIN FARMも活動休止に至る前は、ずっと活動を続けていく中で“楽しさ”が見えなくなっていた時期もあったのでは?

師崎:本当にそうなんですよね。何が楽しいのかわからなくなっていたから。それが活動を1回止めてみてよくわかった。自分の楽しみの作り方って、自分のことを知らないとわからないんだなっていう。でもそれがわかってからは、色んな人が今どう思っているかというのもわかるようになってきて。そこに俺が「こうじゃないかな?」とか「こういうふうに思っているから、あんまり肩に力入れすぎんなよ」とか言ってあげたことで楽しそうにやれているヤツらを見ていると“間違っていなかったな”って思う。

●自分も経験してきたことだからこそ気持ちがわかるし、的確な助言もしてあげられる。

師崎:そういうことがわかるようになってきたから、もっと多くのヤツらと絡みたいなっていう気持ちも生まれてきて。俺ももっと成長したいし、そいつらのキッカケになるようなことが1個でも多くやれるようになったらベストだなと思っています。どこのライブハウスでも若いヤツらがいなくなってきている中で、“ちゃんと夢を追いかけられるんだな”って思ったらみんなもバンドをやるだろうし、こんなに楽しいことはないから。その入り口をもっと作ってあげて、俺のところに来たらそういうふうにやれそうだと思われるような感じにしたい。

●今関わっているバンド以外にも、新しい人たちに入って来てほしいという気持ちもある?

師崎:それはメチャクチャあります。たとえば今はまだ凝り固まっていて「色々やってくれる人じゃないと嫌だな」と思う人もいるかもしれないけど、そんな部分も話していく中で変わっていくものだから。俺と会って、話して、関わっていくキッカケさえもらえれば、そこから良いふうに変わっていくかもしれなくて。まずは顔を突き合わせて話さないと進んでいかないから、「とにかく1回来てよ」っていう感じかな。

●積極的にアプローチしてきて欲しいと。

師崎:音源やメールもガンガン送ってほしいし、何だったらReGに直接来てくれても構わなくて。どんなことでも良いからコンタクトを取ってほしい。話を聴くだけでも全然構わないし、「悩みがあるんです」っていう感じで来てもらっても構わないし、「そういうのを待っています」っていう感じですね。

●レーベルから出すにあたって、音楽性は関係ない?

師崎:基本的に音楽性では決めていないですね。やっぱり、人間性じゃないかな。バンドはそこでしかないから。特徴があって人間性が良いなって思えるヤツらがやっている音楽って絶対に良いと思うから、人間性重視なんですよね。

●Blue Phrase MusicとChord es Recordsという2本の柱が今はあるわけですが、そこに当てはまらないものもやる可能性はあるんでしょうか?

師崎:はい。逆に合わなくても人間性が良かったら、もう1つ新たにレーベルを自分たちで立ち上げても良いから。どんな形じゃないとダメっていうのはないし、とにかくそいつらに合ったやり方でやっていくのが俺のスタイルで。だから、とにかく「興味があったら来い」っていう感じですね。

●既存の枠に当てはまらないものでも、人間性が合えば受け入れていくわけですね。

師崎:ルールなんて決まっていないから。それを新しく作ったりして、現状を変えていくのが俺の仕事なわけで。枠に当てはめても意味がないし、そいつらのやりたいこと=俺のやりたいことになるんだったら、それが1つの方法なんだろうなって思います。

Interview:IMAI
Assistant:森下恭子

NEWScript
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下北沢ReG
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