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愛はズボーン

決められた型の中だけじゃ彼らには狭すぎる!あらゆる枠組みを飛び越えるNo Border Music

愛はズボーン2015.11小平成生まれ昭和育ちの8ビートダンスロックバンド、愛はズボーンから1年ぶりのニューミニアルバムが登場! 新旧含め計6曲からなる今作も、キャッチーでありながら、彼らの哲学がたっぷりと詰まった珠玉の1枚。型にハマらない彼らだからこそできる、バラエティ豊かな表現とポップセンスが炸裂している。前作で培った経験が、彼らをひとまわりもふたまわりも成長させたようだ。

 

「本来作り手は無限に何をやっても良いはずなのに、何故かみんな型にハマったものを作ってる。それを辞めようよっていうメッセージです」

●前作からちょうど1年ぶりのリリースとなりますが、その間にどんなことがありましたか?

富永:バレンタインにチョコをもらいました。(取材は2月中旬)

●おぉ!

富永:といっても、お客さんからなんですけどね(笑)。

儀間:お客さんからのチョコなら告白と一緒や。

●愛情がこもってますからね。バンドとしての変化や成長はどうですか?

金城:“1年でこんなに変わんねんな”と思うくらい、いっぱいありました。

白井:例えばレコーディングにしても、前より余裕を持って臨めた気がします。前は気持ち的に、急にレコーディングが始まった感があったんですけど、今回は準備してプリプロも自分たちでやってから臨めたんで。

儀間:前作を出したことで経験がついたのはすごく大きかったと思う。何をやれば良いか、何ができるのかが前よりわかるようになってきたので、自分たちで機転を利かせて作ることができました。

●“こういう風にしよう”という意識が明確になった?

金城:1枚目の時からその想いはあったんですけど、初めてのレコーディングだから、やりたいことを実現するために何をしたらいいかビジョンが浮かんでいなかったんです。今回は最終形に向けて、やるべきことのビジョンが見えていたという感じですね。

●それは前回の経験があってこそですね。今作について、金城さんの書く歌詞は随所に思想や哲学が見えるように思うんですが、ところどころ“どういう意味なんだろう”と思うところがあって。例えばM-2「MAJIME チャンネル」に出てくる“チャンスとパンとコオロギが 嘘つきの鼻をへし折る”とか。

金城:これはですね、去年はチャンスとパンとコオロギが、嘘つきの鼻をへし折ってきた1年だったんですよ。

●え? どういうことですか(笑)?

金城:まず“チャンス”というのは、そのまま好機という意味ですね。“パン”は僕の中で生活のメタファーとして使っているんです。“嘘つきの鼻をへし折る”という言葉が“コオロギ”に引っかかってきているんですけど、このフレーズは『ピノキオ』からインスパイアされています。『ピノキオ』に出てくるコオロギは、良心そのものなんですよ。だからこの歌詞は“チャンスと生活と良い心が、嘘みたいなことをやっている人間の鼻をへし折っていく”という意味なんです。

●あぁ、なるほど!

金城:でも2番では“プールで誰か溺れてる チャンスとパンとコオロギが フェンスの向こうで見ている”んです。見ているだけで助けてくれないという。去年すごく感じたんですけど、結局自分の中にある良心…悪いことはしたくないとか、優しくしたいとかいう気持ちが自分の邪魔をすることばっかりなんですよね。だからといって助けもしてくれへんし。

●1番のようなことが理想の形ではあるけれど、現時点ではそれが2番のように障害になっているということ?

金城:たぶん一生理想やし、一生障害なんじゃないかという歌ですね。世の中の全員がそうだと思うんです。

●それを、この1年の活動で特に思ったと。

金城:具体的にキッカケがあったわけではないんですけど、いろいろとうねってそうなりました。僕は“世の中クソばっかりだ”とか“面白くない人生だし、暇つぶし程度に生きようか”みたいな変にニヒルな感じが嫌いなんですよ。かといって“難しいことは考えないで、楽しく生きよう”みたいな楽観主義も嫌で。どっちも中途半端に持っているのが、愛はズボーンだと思うんです。今回のアルバムの芯は「MAJIME チャンネル」やと思っているんで、愛はズボーン次のステップという感じですね。

●曲全体でそういう主張になっていると。こうやって直接話を訊くとそれも伝わりますけど、歌詞の言葉だけで伝えるのはすごく難しいですよね。

金城:だから僕としては、各自が考えてくれたら良いと思っています。僕の考えとは違った形で捉えられたとしても、歌詞の中で全部を説明する気はないんです。

●表現したいことはちゃんと全部出すけど、受け取り方が違っても構わないと。それはM-6「エレクトリックオーシャンビュー」の“メッセージをこめて 伝わらなくてもいいんじゃない?”という歌詞にも通ずるところがありますね。

儀間:そうですね。結局自分が思っていることって、言葉で人に全部伝えるのは無理じゃないですか。でも伝えたいことがあるということが伝わればオーライかなと思うんです。例えばめちゃめちゃ好きな女の子がいて、その子に言葉で「好きです」って言っても、本当に好きだという気持ちが伝わらないことがあるじゃないですか。でも常日頃そういう風に思いながら2人で過ごしていくと、それがいつの間にか伝わっていて、良い状態になれるみたいな。そこには別に言葉はいらないし。

金城:歌詞の羅列とか字面とかもひとつの表現ですし。

●むしろ、姿勢そのもので語っているというか。そういう意味では、M-4「ピカソゲルニカ」は“ピカソ”と“ゲルニカ”をひたすら繰り返し羅列する歌詞ですね。

金城:この曲を作った当時、ピカソの絵にハマっていて。『ゲルニカ』はキュビズムという画法が使われていて、“なんじゃこりゃ“って思うような絵なんですよね。その“なんじゃこりゃ”を曲にしたらどうなるんやろうと思って。この歌詞、正直覚えにくいでしょ?

●はい。だんだんゲシュタルト崩壊してくるというか。

金城:一定のリズムで繰り返しているだけなのに、何故か覚えにくいですよね。最近はよく“リフレインしていて覚えやすい、カラオケで歌えるような曲を作るべき”と言われることが多いですけど、僕はそう言われると逆のことをしたくなるんですよ(笑)。だから、リフレインしているのに覚え難いしカラオケでも歌い難い曲を作ったっていう(笑)。

●ハハハ(笑)。でも、歌詞は覚え難いけどメロディーが耳に残るんですよね。

白井:サウンドと歌を分けていない曲ではありますね。サウンドの中に歌が入っているというか、歌が楽器の一部になっているような感じ。

金城:バンドの音全体の中に歌がある。でも「新しいウルトラC」やM-5「BABY 君は悪魔ちゃん」、「エレクトリックオーシャンビュー」はその逆で、歌がメインになっています。

●確かにその3曲は歌詞を覚えやすかったです。金城さんの書く歌詞は固有名詞がよく出てくるじゃないですか。そういう部分で、子供の頃に影響を受けたものが今も残っていて、本人のバックボーンになっているんじゃないかと思うんです。

金城:もちろん。それは2人ともそうですね。

●対して儀間さんは前のインタビューで「自分の考えを全面に出さないタイプ」とおっしゃっていましたよね? だからM-3「アナコンダ」で“テクマクマヤコン”や“エイプリル・オニール”といった、バックボーンの見える単語が出てくるのが印象的でした。

儀間:俺はあんまり固有名詞を出さないですからね。ちなみに『忍者タートルズ』のエイプリル・オニールは、言ってみれば初恋の相手だったりします。これは結構前に作った曲なんですけど、フレーズの部分は当時金城くんが歌いそうなことを書いて持っていったんです。

金城:その後の“ホップ ステップ ジャンピングでスキスキ同士になれりゃあ ソレはソレで面倒くさい”って歌詞を見た時は“俺のイメージってこんなん!?”って思ったけど(笑)、確かにこういうのを作っちゃうんですよ。

●よくわかっていらっしゃると(笑)。「エレクトリックオーシャンビュー」も昔の曲ですよね。

白井:アルバムの中でも色が違うというか。間奏のフレーズも愛はズボーンっぽくないんですよ。

金城:たぶん、これを境に変わっていったんだと思う。むしろおかしくなっていった(笑)。

●ハハハ(笑)。この曲はベースのリフレインがクセになりますね。

白井:1番のサビ終わりまでずっと同じフレーズなんですよね。ただ、これ指がめっちゃしんどいんですよ。指の体力が持たない。

金城:確か「ドラムと同時に録らないとノリが出ない」ってことで、富ちゃん(富永)と一緒に録ったんですよ。だから富ちゃんが間違えたら、しんどいところをまた1からやり直して(笑)。

●それはキツい(笑)。ちなみにYouTubeに上がっているMVと違って、音源の最後に謎の声が入っていますけど、あれは何なんですか?

金城:歌詞の中にヒントが隠れているんですけど、The Beatlesの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』というアルバムのオマージュで。あのアルバムって、最後の曲が終わった後に変な音が入っているんですよ。その音と聴き比べてもらえたらこのアルバムをもう一段階楽しめると思います。

●愛はズボーンの曲は“何だろう?”って疑問に思わせるフックが至るところにありますね。ジャケットの絵も印象的ですが、何かコンセプトがあったんですか?

金城:僕が好きな『月刊漫画ガロ』という雑誌みたいなものにしたいと思っていて。ガロの表紙ってもはや雑誌っぽくないぶっ飛んだデザインが多いんですよ。音楽でも漫画でもCDジャケットでも、本来作り手は無限に何をやっても良いはずなのに、最近は何故かみんな型にハマったものを作るじゃないですか。それを辞めようよっていうメッセージです。

●バンドのコンセプトそのものですね。

金城:そうです。だからこの絵もわざと崩しているところがあって。例えば顔に煙がかかっている部分をよく見ると、耳と目が同じ位置にあるんですよ。

●あ、本当だ!

金城:人物の手も、右手は小学生が書いたような単純な作りだけど、左手は漫画っぽくなっていたりとか。“こうじゃなきゃいけない”っていう型を破ったものにしたかった。

●もはやアートですよね。型にハマらない分、メンバー間でイメージを共有するのが大変なのでは?

富永:性格は大体わかるんですけど、曲作りや歌詞でわからない部分は始めは多かったですね。それでも一緒にやっていくうちに、だんだんわかってくるようになってきました。

●なるほど。今回の曲作りはどんな感じでした?

白井:「ピカソゲルニカ」にかなり苦戦しましたね。始めは金城くんが持ってきたメインのリフがあって、それを元に曲を作っていったんです。その時点ではこんなにサイケじゃなかったんですけど、途中で「このリフはいらないんじゃないか」ってなって。最終的に取り去ったことでガラリと変わりました。

富永:ドラムの場合フレーズは悩みはしなかったんですけど、とにかくノリを出すのが難しい曲で。クリックを聴いていると、どうしてもそれに引っ張られてしまうので、この曲だけクリックを聴かずに録ったんですよ。それがすごく手こずりました。

●歌うのも難しいですけど、叩くのも難しそうです。

儀間:この曲自体がすごく繊細ですね。大味の展開ばかりじゃないし、集中力がいる。

金城:その影響か、この間のスタジオで儀間くんが持ってきた、大味で一気に駆け抜けるような曲をやった時は楽しくて仕方なかった(笑)。「ピカソゲルニカ」みたいな繊細なものがあったからこそできる、大味の楽しさがあって。だから次の作品では大味の曲をいっぱい作りたいなと(笑)。

●そう考えると、この曲の影響力は大きいですね。

儀間:アルバム全体を引き締める土台になっているかもしれないですね。この曲があるから「BABY 君は悪魔ちゃん」や「エレクトリックオーシャンビュー」を入れられたというのもあるし。

金城:今回は2人のエンジニアに録ってもらったんですけど、レコーディングにあたって“本気になってもらうにはどうしたら良いか”をすごく考えました。僕も絵を描いたり動画を作ったりと、人から創作系の仕事を頼まれることがあるんですけど、やっぱり向こうの作品なんでまずは相手を優先しようという気持ちで会うんですよ。その時に相手のモチベーションが高くなかったら、こっちも上がらないんです。

●相手に本気になってもらえるよう、関係性を作ることが必要だと。

金城:まず“本気なんだ”っていうことを伝えるというか。それを行動で示すところから入りました。前作は初めてのレコーディングということで、縮こまってしまっていたんですけど、自分の作品で縮こまっても意味がないですからね。レコーディングもライブと一緒で生ものやって意識してやっているので、ピリピリとした緊張感がありながらも、楽しみながらできました。だからレコーディングを通じて、技術だけじゃなく人間的にもすごく成長できたように思います。

Interview:森下恭子

 
 
 
 

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