音楽メディア・フリーマガジン

JUNGLE☆LIFE × 響心帝国 Presents Enjoy Music, Enjoy Life 2016 ♯3

人間の本質に訴えかけるロック集会

2016/3/14(月)@心斎橋BIGCAT
彼女in the display/ghostnote/クリトリック・リス/響心SoundsorChestrA
【O.A】ヒミツノミヤコ / みつきゃすたー

 

この日はシンガーソングライター、みつきゃすたーの弾き語りから始まった。まるで水底から生じた振動が水面を揺らすように、心の奥深くから沸き上がった言葉は聴く者の心を震わせる。ギター1本と己の声のみというシンプルな構成で、彼女は会場を自らが紡ぐ物語へといざなっていく。すると私たちの頭の中には、曲世界の情景が浮かびあがる…澄み切った美しい歌声に吸い込まれたら最後、もうその魅力から抜け出せない。

 


ヒミツノミヤコのライブは寸劇を交えて展開されるのだが、そのストーリーはドラマ以上にドラマチック。恋する乙女、小梅(タンバリン担当)のために、メンバーたちが彼女だけの王子さまを探しにいく。しかし元カレのたけし(金をせびるダメ男)を忘れられない小梅は、覚悟を決めて彼の元へ向かう。たけしの愛情が本物だったのか確かめるために。そこで待っていた真実は…女の子は誰だってヒロインになれる。涙なしには語れない、恋と友情の物語を見た。

 


ghostnoteのライブは、演奏中はもちろん曲の繋ぎまでが気持ちがよく、歴戦のライブバンドであることを実感する。何よりも感動したのは、琴線に触れる心地の良いグッドメロディだ。聴くだけでワクワクしたり、暖かい気持ちになったり、キラキラした気分になったり…ghostnoteの音楽を聴いていると、感受性が高まって自分の気持ちに素直になれるような気がする。きっと他ならぬ彼らが、誰よりもピュアな心で音を鳴らしているからだろう。

 


クリトリック・リスの曲は、人間の生活を切り取ってそのまま歌にしたようだ。性格に問題がある彼氏のことを嫌いになれない女性、焼きそばを頼んだつもりが焼き飯が届いた男性の話…その登場人物の日常はちょっと個性的で笑いを誘いつつも、心情は非常に共感でき親近感が沸いてくるから不思議だ。そして不意に絆や家族の大切さ、夢と現実のギャップによる苦悩を歌い、胸をキュッとさせるのがまた心憎い。

 


様々なエッセンスを取り入れた彼女 in the displayの音楽は、新鮮な感覚を呼び起こす。重厚感のあるサウンドでありながらキャッチーでダンサブルという、今までにありそうでなかった絶妙なバランス感は、ジャンルに囚われない柔軟性が成せる業ではないだろうか。Vo.稲木の「良いもんは良いし、悪いもんは悪い、それでいいと思います」という言葉が、その考えを強くさせる。彼らは勢いを見せるだけじゃない、確固たる信念を持つ者の説得力を有している。

 


「命が続くまでライブします。もし今日やりすぎて解散しても良いと思って帰ってください。ありがとうございました」。Vo./G.総理が言う。これが響心SoundsorChestrAのライブの始まりだった。感情を爆発させ、顔を歪め髪を振り乱してぐしゃぐしゃになりながら音をぶつける。剥き出しの人間性は、純粋ゆえの美しさがあった。「ロックっていうのはジャンルじゃなくて生き方のことだと思う。ありがとう。さよなら。あばよ、思想無きロックンロール」。そういって、最後の曲を放ちステージを後にした彼ら。シビレた。

TEXT:森下恭子

 

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