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Whiteboard Jungle

真に強い覚悟と確固たる自らの音を持った5組の邂逅が その場にいる全ての人間に強烈な刺激をもたらした

JUNGLE LIFE × CLUB251 presents “Whiteboard Jungle”
2016/4/21@下北沢CLUB251
amenoto / touch my secret / FATE GEAR / 饗庭純 / Menoz

PH01_FATEGEAR

FATE GEAR

JUNGLE☆LIFEと下北沢CLUB251による共催イベント“Whiteboard Jungle”、2016年第2弾となる今回は女性ヴォーカルのアーティストが5組集まった。UKロック、ポストロック、シューゲイザー、メタル、ポップミュージックなどなど幅広いジャンルに加えて、3ピースバンドからソロのシンガーソングライターまで演奏スタイルも様々。果たしてどんな化学反応が起こるのか、楽しみなイベントの幕開けだ。

トップバッターを飾るのは、Mina隊長(G.)とNico(Vo.)を中心に結成されたガールズ様式美/正統派メタルバンド、FATE GEARだ。オープニングナンバー「Fate Gear」で演奏を始めると、のっけからメタリックなギターリフに合わせてフロントのメンバー全員が激しくヘッドバンギング! スチームパンク風のファンタジックな衣装を身にまとったNicoは力強く伸びやかな歌声を聴かせたかと思えば、ステージに倒れ込んでハイトーンのロングシャウトも。真紅のギターを携えたMina隊長の流麗なギターソロも炸裂する、パワフルなメタルサウンドでいきなり観客を圧倒した。

ソリッドなギターで空間を切り裂くような「music」から始まったのは、touch my secret。Anne(vo./G.)とChloe(Ba./Cho.)という女性2人のフロントマンを擁する、3ピースバンドだ。クールでありながら女性らしい妖艶さも持ち合わせたAnneのヴォーカルに、Chloeのコーラスが時にツインヴォーカルのごとく小気味良く絡み合う。途中のMCタイムでは突如、Anneが誕生日を迎えたChloeに対して「Happy Birthday to You」を歌い始めるサプライズも。そんなほっこりとさせるシーンもありつつ、最後までエモーショナルかつスタイリッシュなサウンドで魅了した。

エッジィなサウンドを鳴らすバンドが2組続いた後に、フロアの空気を一変させたのが饗庭純だ。1曲目の「leia」では深いリヴァーヴとディレイのかかった音の響きが浮遊感をもたらし、幽玄なる異世界へとオーディエンスを誘うかのよう。アコースティックギター1本を抱えて、ステージ中央の椅子の上に胡座をかいて歌うスタイルも初めて見る人にとっては異様に映ったかもしれない。「xとy」ではその透明感のある優しい歌声で、時にハッとさせられるような強い言葉を刺し込んでくる。「喋るのが得意じゃないから。心で握手したい」と話してからの「チューニング」まで、独自の音世界へと観客を引き込んだ。

次にバトンを受けたMenozもまた、ガラリと異なる不思議な存在感で魅せる。1曲目の「YO RO Z」から、観客の目を釘付けにしたのは城戸 曜(Vo.ひかる)だろう。ステージ上を縦横無尽…いや、もはやステージを飛び出してしまわんばかりの勢いで駆けまわりながら歌う彼女。そのパフォーマンスは、まさに身体全体で歌っているかのよう。バックを支える男性4人のメンバーも、一癖も二癖もありそうな個性的な演奏でカラフルなバンドサウンドを生み出していく。ラストの「アドベンチア」ではひかるに「一緒に楽しもう!」と煽られてフロア中から手拍子が起こるなど、その場にいた誰もがいつの間にか巻き込まれていた。

そこから一転してモノトーンの世界へと導いたのが、amenotoだ。“溶けて混ざっていく人々。それを眺めている僕だけ、わけもなく弾き飛ばされ”とつぶやくように歌い始める「仲間はずれ」。意味もなくユナイトしようとする世間の風潮とは真逆の言葉と音を紡ぐ、Vo./G.石井翠もまた比類なき存在感を放っている。バックのサウンドが激しくノイジーに盛り上がっていく中、ステージ中央に佇む彼女は“ひとりで、ひとりでも、いいよ。寂しい気持ちも、僕なら愛せる”と歌うのだ。だが、単にネガティブなだけではなく、絶望や諦めの先にある光をこの日の演奏から感じた人も少なからずいたのではないだろうか。

女性ヴォーカルという共通点はあれど、これぞバラバラと言えるくらいの強力過ぎる個性を全アーティストが見せてくれた本イベント。それゆえに各々が持つ、特徴が際立って感じられたように思う。互いを潰し合うわけではないが、馴れ合いで没個性の群れに埋もれてしまうわけでもない。本当に強い覚悟と確固たる自分たちの音を持った5組の邂逅は、出演者同士だけでなく、その場にいた全ての人に大いなる刺激を与えたはずだ。

TEXT:IMAI
PHOTO:新倉映見