全国15万部を誇る日本最大級のミュージックフリーマガジン on Web!!

twitter instagram

INKYMAP

ロックの系譜を受け継いだINKYMAPの存在証明

photo_inkymap

2015年4月にリリースした1stミニアルバム『MAKE BELIEVER?』から1年半、多くの経験を積んで実力を培ってきたINKYMAPが記念すべき1stフルアルバムを完成させた。パンクやグランジ、ロックンロールなど様々な音楽を貪欲に吸収した普遍的なサウンドと、衝動的に溢れ出す感情、とめどなく流れるメロディと叙情的な言葉が印象的なアルバム『BLISTER ON MY FOOT』は、ロックの系譜を受け継いだINKYMAPの存在証明。彼らにしか鳴らせない新しいロックがここにある。

 

「今は国境を越えていろんな音楽をいろんな人がやっていて、おもしろいですよね。俺もその仲間に入りたいなって」

●前作『MAKE BELIEVER?』のリリースが2015年4月ですから、約1年半ぶりのリリースですね。

Kazuma:はい。この1年半はずーっと制作をしていました。なんなら『MAKE BELIEVER?』のツアー中から曲はずっと作っていたんですけど、自分たちがなかなか納得できなかったというか。成長したところを2枚目では出さなきゃいけないっていう想いがあって。そういう部分でのこだわりが強すぎたが故に、期間が空いてしまったんです。

●それは曲を作ってはボツにしたという感じなんですか? それとも、1曲をずーっと煮詰めていた感じ?

Kazuma:前者ですね。だからボツになった曲は何十曲もあります。今回のアルバム『BLISTER ON MY FOOT』に収録した10曲は、まさに最後にできた10曲なんですよ。

●そうだったんですね。『MAKE BELIEVER?』のリリースやツアーの感触はどうだったんですか?

Kazuma:初めての全国リリースだし、もちろん期待もするわけじゃないですか。でも結局はバンドの力が大切なんだなっていうことを思い知りました。

●思い知った?

Kazuma:はい。やっぱり「22歳の男4人がバンドを組んでCDを全国リリースする」となると、ちょっと期待はするんですよね。「何かが起こるだろう」って。でも世の中そんなにうまくいかないですよね(笑)。

●ハハハ(笑)。

Kazuma:今から思うと、1本1本のライブに対する気持ちの持ち方が甘かったのかなと。前は“こうしないとダメだ”みたいな気持ちが強すぎて。“俺たちはこうじゃなきゃいけない”って、悪い意味でかっこつけていたんです。

●ほう。

Kazuma:でも今回の『BLISTER ON MY FOOT』が出来上がってきてバンドのテンションもガーッと上がったときに、メンバーみんながいい意味で適当になれたんですよ。「ライブは楽しくやろう」みたいな。

●おお、なるほど。

Kazuma:“俺たちは音楽が好きなんだ”という衝動を大切にしようと。その衝動を『BLISTER ON MY FOOT』にも詰め込んだんです。

●「いい意味で適当になれた」とおっしゃいましたけど、それは何かきっかけがあったんですか?

Kazuma:うーん、視界が狭くなっていくと、毎日が楽しくなくなっちゃっていたんです。要するに、制作期間は本当に辛かったんです(笑)。

●あ、辛かったのか(笑)。

Kazuma:ボツになった曲は何十曲もあると言いましたけど、出来たネタも全部捨てちゃうわけじゃないですか。だから“これは良くないな”とか“これも良くないな”って、負の連鎖になっていたんです。

●自己否定の繰り返し。

Kazuma:そうそう。俺たちはもともと背中を押すような曲ばかり書いてきたんですけど、あるときメンバーと「背中を押すだけじゃなくて、シーンや世の中に対して思う怒りとかネガティブな感情も曲にしようよ」という話をしたんです。そういう衝動を歌って、叫んで。「それがロックじゃないか?」って。

●はい。

Kazuma:結局、やりたいことをやらないとダメだなって。それからメンバーみんながいい意味で適当になって、楽になれたんです。

●自分のあるがままを出せばいいと。

Kazuma:そうですね。「さらけ出しちゃおうぜ!」みたいな。

●今まではさらけ出せてなかったんですか?

Kazuma:たぶんそうだったと思います。

●前作をリリースしたときのキャリアは3年くらいだったと思いますが、その3年間の中で“アーティストはこうじゃないといけない”みたいな像を作ってしまっていた。

Kazuma:そうそう。しかもその像に縛られてしまっていて。今から思えばそんな感じでしたね。当時はそんな自覚もなく、とにかく目の前にあることをがんばっていたつもりだったんです。ちょっと固かったのかな。でもそんなことも含めて、この1年半はすごく大事な時間でしたよ。周りからしたら“リリースもせずに何をやってんだよ?”と思われてたかもしれないですけど(笑)。

●INKYMAPの場合、曲も歌詞もKazumaくんが作っているわけじゃないですか。ということは、1人の作業の時間も長かったんでしょうね。

Kazuma:長かったです。制作期間中の1日のスケジュールとしては、朝起きて曲を作って、昼から夜までメンバーと一緒にスタジオに入ってアレンジを詰めて、その後また1人で曲を作って…その繰り返しだったんです。音楽に苦しめられるっていうのは初めての経験でした。

●そんなに苦しかったのか。

Kazuma:でも俺はドMなので(笑)、嫌だけど嫌じゃないんですよね。“そういう生活を送りたい”と思っていたし、どうせ次の作品を作るときはもっと辛いだろうというのはわかっているし。

●今作『BLISTER ON MY FOOT』の歌詞からは、“壁”や“満たされない状態”とか、もっというと“絶望”に近いような心象風景がところどころから見て取れるなと。だから「さらけ出そう」という話が腑に落ちるんですよね。

Kazuma:反逆とか反抗とか、何かに対しての怒りや強い感情が元になっているのは事実なんですよね。かなり具体的な物事がモチーフになっているんです。

●意識的にそういう曲を作ったんですか?

Kazuma:いや、結構それも衝動的だったんです。そのときに思ったことをバーッと書いたというか。俺は曲と同時に歌詞を書いたり、歌詞を先に書いちゃうようなタイプなんです。

●あ、そうなんですか。

Kazuma:最初のデモは弾き語りの状態で作るとして、メロディと一緒に歌詞も出来た状態でバンドに持っていくんです。今回の10曲もそういう感じで作ったものが多いですね。

●作品全体のイメージはあったんですか?

Kazuma:さっき言ったように「衝動を詰め込んだ」と言ってしまえばそれまでなんですが、今までのINKYMAPとは違うものにしたかったという部分は強く意識しましたね。あとは周りとも違う自分たちでありたいというか。リフとかも、ちょっと今時とは違うようなものにしたり。

●あ、それは思いました。

Kazuma:結構古臭いというか。

●パンク的な要素もあれば、オールディーズなロックンロールのような雰囲気もあったり。

Kazuma:そうですね。1年半の間に、今の人たちがあまり聴かないような音楽もルーツを辿って聴いたりしたんですよ。UKの昔のパンクや、オルタナティブな音楽…グランジとかを聴いたり。

●それは自分たちの音楽の肥やしにしようと?

Kazuma:とりあえず何でも聴いてみようと思ったんです。いろいろと調べていくと、やっぱりロックの歴史はおもしろいんですよね。誰が誰に影響を受けたとかを知ったり、実際に曲を聴くとそれがわかったり。“こういうことなんだな”って納得したというか。

●納得した?

Kazuma:噛み砕いて、吸収して、吸収して、アウトプットしていく…ということをやっと知れたというか。そうやってみんな音楽から影響を受けて、新しいものを作り出していくんだなって。

●なるほど。『BLISTER ON MY FOOT』は音楽的にいろんな要素を感じるんですよね。ジャンルだけじゃなくて、年代や国のボーダーもない。

Kazuma:いろいろと聴いて、たくさんのアーティストから刺激を受けたんですよね。音楽だけじゃなくてその人のカリスマ性だとか、生き方とか。デビッド・ボウイとかものすごいカリスマじゃないですか。アメリカのグランジとかだとNIRVANAから聴きなおして、カート・コバーンがどういう人だったとか、どうやって曲を作っていたとか。

●あ、そういう部分まで掘り下げたんですか。

Kazuma:はい。例えば今はジャンルとか国とかあまり関係ないですよね。昔はグランジだったらアメリカ、ブリットポップはイギリスの人がやる、みたいな感じでしたけど、今はそういう隔たりが全然ない。国境を越えていろんな音楽をいろんな人がやっていて、おもしろいですよね。俺もその仲間に入りたいなって。

●自分もそういう音楽を鳴らしていいんだと。

Kazuma:はい。だからずっと制作していたと言いましたけど、たくさん吸収もした1年半だったんです。

●苦しんだけれど実りが多い制作期間だったんですね。ところで今回のリード曲M-2「Escape」ですけど、これ結構な…。

Kazuma:変態な曲ですよね(笑)。

●はい(笑)。リード曲ということにびっくりしたんです。シンプルな曲ですけど、かなり濃くてどす黒い感情が詰まっているというか。

Kazuma:叫びまくっていますよね。変態な曲を作りたいと思って最初にリフが出来たんですけど、そのリフをきっかけにして何も考えずにバーッと書いて、思っていたことを吐き出したんです。構成やアレンジで少しだけ時間はかかりましたけど、比較的スッと出来た曲ですね。今回の10曲でいうと、この「Eacape」が前半に出来たからこそ、その後の制作がスムーズになったという感じはあります。

●今作のきっかけになったと。

Kazuma:そうです。「Eacape」で思い切り衝動を詰め込むことができて、“衝動を曲にするのはこういうことなんだ!”と自分たち自身がわかって、それ以降はバーッと出来たというか。

●会場限定でリリースしたM-3「Rainy Day」はいつ作ったんですか?

Kazuma:かなり後半でした。そう考えるとおもしろいですよね。「Eacape」みたいな変態な曲が最初に出来て、今までのINKYMAPっぽい「Rainy Day」が最後の方に出来たっていう。

●1周まわったというか。

Kazuma:「Eacape」やM-5「Mess」のような振り切れまくった曲が前半に出来て、「これちょっと偏り過ぎてきて大丈夫かな?」みたいな感じになって(笑)、アルバム全体のバランスを意識したんです。

●なるほど。先ほどの「メロディと一緒に歌詞も出来ることが多い」という話に関係するのかもしれないですけど、M-1「Knockdown Intercom」やM-10「Synapse」から特にそう感じたんですけど、メロディと言葉のハマり具合が独特で印象的だったんです。息継ぎが少ないメロディ。

Kazuma:そうなんです。息継ぎが少ないんですよね、今回。難しい歌を作っちゃって。

●そういう曲多いですよね?

Kazuma:はい。英語が乗りそうなメロディに日本語を乗っけるのが、自分の歌い方や作り方の個性のような気がしていて。自分でそこを意識して作っているわけじゃないんですけど、でも他の人だったらこんな風に作らないような歌メロなんだろうなって。

●実際に息継ぎはしづらくないんですか?

Kazuma:レコーディングのときは結構きつかったです。「あっ、ここ息継ぎ全然無いんだ!」って(笑)。

●ハハハ(笑)。

Kazuma:英語だけの歌詞も作ろうと思えば作ることは出来ると思うんですけど、でもきちんと日本語でやっていきたいなと。

●あと「Rainy Day」やM-6「Revolt」で感じたんですけど、Kazumaくんの声の良さがすごく伝わってきたんですよね。ヴォーカルは今回どうでした?

Kazuma:自分でも思うんですけど、歌い方はどんどん変わってきたんです。

●意識的に変えてきたんですか?

Kazuma:いや、変えようと思っていたわけではないんですけど、力強く歌うようになってきたと思います。いろんな歌い方が出来るようになりたくて、例えば「Mess」とかは今までの歌い方とは全然違うと思います。

●確かに。感情や衝動を込めている曲が多いから、気持ちが入りやすいのかもしれないですね。

Kazuma:そうですね。レコーディングのときとかは気持ちがノリ過ぎちゃって、逆に制御するのが大変でした。

●え!

Kazuma:レコーディングではずっと歌っていたくて仕方がなくて、体力が無くなってバテちゃう、みたいな。

●すごいな。

Kazuma:ブースの外にいる人たちに「そろそろ休みなよ」とか言われても「いや、まだ歌う」とか言っといてダメになる。身体が気持ちについてこれなかったです(笑)。

●ハハハ(笑)。濃くて激しい曲が多い中で、M-8「Over And Over」は癒やしというか、ポップですよね。

Kazuma:これも結構古臭いものをイメージして、こういうリズムを重視して作ったんです。

●ただ、ポップな中にもどこかに哀愁を感じさせるというか、100%ポジティブではないというか。

Kazuma:たぶんそういう人間なんですよね(笑)。だから出ちゃってるというか、100%明るく出来ないんです。結局、全部が下から手を伸ばしているようなイメージなんです。

●人生が?

Kazuma:はい。100%明るい奴なんています?

●うーん、でもたまにパーティー野郎っているじゃないですか。

Kazuma:でもそういう奴でも家に帰ったら“どうしよう?”みたいに落ち込んだりしてると思うんですよ。俺は何かしらネガティブに考えてしまうところがあって、でもみんなもきっとそうなんだろうなって。絶対ネガティブになってしまう部分はあるだろうし、でも“ちくしょう!”と思ってがんばる気持ちだとか、そういうものを嘘偽りなくさらけ出したかったんです。

●悶々としたものを燃やして、吐き出して、音楽として表現することがINKYMAPなりのロックということに気付いたというか。

Kazuma:そうですね。かっこいいものはかっこよくて、俺たちはこういう音楽が好きで、それに自分たちの気持ちを乗っけてみんなに聴いてもらおうと。でもみんなに共感してもらわなくてもよくて、単純に音楽として聴いてほしいんです。

Interview:Takeshi.Yamanaka

 

banner_228 new_umbro banner-umbloi•ÒW—pj