音楽メディア・フリーマガジン

ヤマジカズヒデ(dip) × 波多野裕文(People In The Box)

比類なき表現者同士の邂逅が生んだ至高にして至福の時間

JUNGLE LIFE × CLUB251 presents “Melody Laughter”
2016/10/7@下北沢CLUB251

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JUNGLE☆LIFEと下北沢CLUB251の共催による新イベント“Melody Laughter”、記念すべき第1回でヤマジカズヒデ(dip)と波多野裕文(People In The Box)の2マンが実現した。世代は違えども共にジャンルなどという枠をとっくに超越した比類なき音と存在感を放っている両バンドのフロントマン同士が、同じ空間で対峙する。あまりにも貴重にして、格別に違いない時間を味わおうと会場を埋めたオーディエンス。その期待を全く裏切らない、特別な体験がそこにはあった。

 
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先にステージに現れたのは、ヤマジカズヒデ。エレクトリックギターを持ち、その指先で紡ぎだすフレーズと音色は幽玄にして、異世界へと誘うかのよう。聴き入るオーディエンスはサイケデリックな音の深淵を覗きこみ、どんどん深みへと没入していく。「ずっと弾きそうになっちゃった」とヤマジ自身も独りごちたが、観ている側もいつまでも醒めない夢に陥っているかの如き心境だ。だがラストはグイッと音量を上げた轟音ギターが、強引に目を醒まさせる。いや、それはもしかしたら覚醒して、また別の次元へと飛ばされてしまっただけなのかもしれない…。

 

 

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うつろな気持ちで余韻に浸っているところに、後攻の波多野裕文がアコースティックギターを抱えて登場する。煌めくようなギターの響きと透きとおった歌声に、心が現(うつつ)へと呼び戻されていく。会場限定で販売されているソロアルバム『僕が毎日を過ごした場所』から、「青空を許す」「猿」などを披露。歌を軸にしながらも様々な音で彩られていた作品とは異なり、ライブでは声とギターだけで表現されていくのが新鮮だ。MCではヤマジについて「あんなギタリストは他にいない」と語ったが、そういう波多野自身も比類なき表現者であることをこの日のライブが物語っていた。

 

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それぞれの演奏が終わった後に、嬉しいサプライズが起こる。アンコールで2人が共にステージへと現れ、まさにスペシャルなセッションが実現したのだ。Velvet Undergroundの「Pale Blue Eyes」を2人で演奏したのに続いて、ラストはdipの「COLONNA SONORA」を披露。ヤマジのギターをバックに、波多野がdipの楽曲を歌うというレア過ぎる光景に興奮せざるを得ない。最初は椅子に座っていたヤマジも立ち上がってギターを掻き鳴らし、会場のボルテージは最高潮に。最後は2人が固い握手を交わし、至高にして至福の2マンは幕を閉じた。

TEXT:IMAI / PHOTO:美澄

 

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