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a flood of circle

何にも囚われない唯一無比の存在へ。これから先も転がり続けていく

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まさしく波瀾万丈と言うにふさわしい10年の歴史を積み重ねながら転がり続けてきたロックンロールバンド、a flood of circleがニューアルバム『NEW TRIBE』を完成させた。エディターズからリアーナまでを手がける世界的エンジニアのザブ(Xavier Stephenson)との運命的な出会いを通じて生み出された今作は、紛れもなく最高傑作と呼べるものだろう。だが表現の幅を大きく広げながらも新人バンドのような熱量と音楽的衝動に満ち溢れている今作は、彼らにとっては1つの通過点に過ぎないのかもしれない。まだ誰も辿り着けていない約束の地へと、その道は続いている。

 

 

「自分の中でモヤモヤと考えていたものがこの一言に集約されているなとふと気付いて。民族や国、性別とかも含めて色んなカテゴライズを飛び越えようという時に、“New Tribe”という言葉がまさにピッタリだった」

●新作『NEW TRIBE』は1曲1曲がものすごく濃い印象を受けたのですが、そのキッカケは2016年2月のロンドンレコーディングだったのかなと。そもそもロンドンに行った理由は何だったんでしょうか?

佐々木:2015年に『花』というシングルを作ったんですけど、そこで1つやり切った感覚があったんですよね。出せるものは出し切ったという感覚があって。その後に「10周年も始まるし、新しいチャレンジをしよう」という話をしていた中で出てきたのが、ロンドンに行くというアイデアだったんです。ある意味、そこでライブやレコーディングをするというのは後付けで、“ロンドンに行って新鮮な体験をしよう”というのが目的としては一番デカかったかな。

●ロンドンを選んだ理由とは?

佐々木:その時点でアルバムを2年ぶりに出すということは決まっていたので、「絶対に刷新されたものにしたいよね」という話はしていて。a flood of circle(以下AFOC)は“ロックンロールやブルースを更新する”っていうことを今までやってきたんですけど、さらに一番新しいものが作れそうな場所ということで選んだのがロンドンのメトロポリススタジオだったんです。メトロポリススタジオは昔のものから新しいものまで本当に色々とやっていて、たとえば布袋寅泰さんやMASSIVE ATTACKがその中に部屋を持っていたりして、幅の広さがすごいんです。俺たちも新しい幅を求めていたので、そこを選びました。

渡邊:アデルからローリング・ストーンズまでやっているというところが、すごくデカかったですね。

●ロンドンに行ったことで自分たちの感覚に変化があった?

佐々木:メチャクチャ変わりましたね。特にナベちゃん(渡邊)は変わったんじゃないかな。
渡邊:俺はアジア圏から出たことがなかったんですよ。ツアーで日本全国には行きますけど、たとえるなら“友だちの友だち”って、友だちだったりするじゃないですか。そういうのが全くない土地に行ったことで楽しくなって、すごく開放的な気分になれたんです。そこからはずっと“開放ハイ(High)”でしたね(笑)。

●開放されていたと(笑)。佐々木くんはどうでした?

佐々木:俺は子どもの頃にロンドンに住んでいたことがあって。実はここ何年かは勝手に海外のフェスの新人出演枠に応募したりして、密かに野望を抱いてはいたんですよ。自分としては子どもの時に住んでいた経験から来る憧れみたいなものが連綿とある中でのロンドン行きだったので、やっと1つ思っていたことが10年目にして実現できる時が来るなという感覚で。

●元々の思い入れも強かったわけですね。

佐々木:しかもメトロポリスの中でも良いスタジオを押さえてもらっていたので、一番カッコ良い曲を書かなきゃダメだと思っていて。『花』はそこまでのAFOCの武器とかプロセス、やってきたものを全部1つに閉じ込めてギュッと出したシングルだったんですよ。それによって良い意味で自分の中が空っぽになっていたので、また新しいものが作れそうなモードではあったんですよね。だからギリギリまでじっくり曲を書いてからロンドンへ向かったし、自分の今までの人生が1つの線につながって辿り着いた場所がロンドンだったというか。そういう濃さが今回の作品に出ているような気はします。そして、それをエンジニアのザブが受け止めてくれた感じがしたのも嬉しかったんです。

●ザブさんとの作業は、今までと大きな違いがあったんでしょうか?

佐々木:俺たちはずっと同じエンジニアさんと一緒にやってきたので、そこで10年間積み上げてきたものもあって。でもそれとは何もかも違うと言っても過言ではないくらい、違いましたね。

渡邊:日本でやってきたことにも嘘はないんですけど、これまでに自分で作ってしまっていた固定観念みたいなものをザブはことごとくブッ壊してくれて。“なぜそんな見栄とか変なプライドのために無駄な意地を張ってやっているんだ?”というのを教えてもらった気がします。当たり前のことなんですけど、全ては曲のためなんですよね。“そこに向かって、みんなでちゃんと進んでいくんだ”っていうことを思い出させてくれたのがすごく大きかったです。

●レコーディングでアイデアを出してもらったりもしたそうですが。

佐々木:だからエンジニアとは言いつつ、ほとんどプロデューサー的な立ち位置でやってくれた感じはあります。ザブは、ポストプロダクションがすごいんですよ。ザブに言われて今回はかなりがっちりとプリプロもやったんですけど、それはバンド内のグルーヴを早めに固めるという意図があって。「録る時はとにかく良いノリと自信を持って演奏しろ。そこからポストプロダクションで遊ぼうぜ」という感じで、その遊び方の幅がすごかったっていう。たとえば大胆に何かをカットしたり、逆に元々なかったものがいつの間にか現れていたりとか…(笑)。

●予測できない変化がある。

佐々木:ザブが切ったり貼ったりするんですけど、そのバランスがすごく良いんですよね。不自然じゃないし、生身のグルーヴ感とそうやってデジタルで切り貼りする感覚のミックスが本当にすごかったんです。古いロックバンドの考え方でもなければ、ただ最新鋭のものを求めているだけでもなくて。生演奏とデジタル的な音楽の作り方とのバランスがすごく良い人だったので、そういう角度からプロデュースしてもらった感じですね。

●古いルーツ音楽を大事にしながら、新しいものを作っていくというスタンスはAFOCとも通じますよね。

佐々木:まさにそうなんですよ。“ルーツがある”という保守的な部分と“すごく新しいものにしたい”という想いって、共存しにくかったりもするんです。その間にある一番カッコ良いピンポイントを目指すっていう俺たちが考えていたことを、ザブは元々ずっとやってきていた人なんですよね。俺たちも10年間ずっと攻め続けて更新してきたつもりだったんですけど、“AFOCは何て保守的なバンドだったんだ”と思うくらい、ザブの攻めの姿勢には驚かされて。“誰もやったことのないことをやろう”っていう、アーティストとして当たり前のことを改めて思い出させられましたね。

●原点に帰ることができたというか。

佐々木:ザブは新しいものを与えてくれたというよりは、すごくベーシックで当たり前の一番大切なことを思い出させてくれた感じなんですよ。だから、バンドをやるのが楽しくなってきて。ロンドンでライブをやった時も、ザブと「このバンドにとって“ライブ”とは何なのか?」みたいな熱い話になったんです(笑)。本当にバンドとしての足場をやっと固められたっていうレコーディングとライブでしたね。ザブはその気付きをくれたというか。

●M-3「Flyer’s Waltz」とM-4「BLUE」、M-7「El Dorado」の3曲をロンドンで録ったんですよね。

佐々木:その3曲も全然違う感じのものを作れたし、俺が思っていた以上の幅をメンバーとザブが付けてくれたので、“これはもっとイケるな”という感覚が自分の中でもあって。そこをさらに全開にしてアルバムに持って行こうというのが、日本でやった夏のレコーディングでのテーマでした。

●他の9曲はロンドンから帰国後に作った?

佐々木:そうですね。本当に今年作った曲ばかりです。前作から時間があった分、曲はたくさん作っていたんですよ。それを聴かせている友だちはアヴちゃん(※女王蜂)だけで(笑)。アヴちゃんから「これは絶対にアルバムに入れたほうが良い」と言われていた曲もあったんですけど、それも含めて全部を1回捨てたんです。

●全部捨てちゃったんですね…。

佐々木:「ザブとまた一緒にやりたい」という話が具体的になってきたので、今のAFOCができる曲で、しかも今のモードを反映している曲を作ろうと思って。そういうテーマがあったので古い曲を使うのはやめて、足場が固まった今のAFOCがザブと一緒にできることをやりきろうと思ったんですよ。だから今年作った曲しか入れたくなかったし、アルバムができてみて「それで正解だったな」と思えています。色んなアイデアを試しまくった結果、できたのがこれという感じですね。

●表題曲でもあるM-1「New Tribe」のリズムは、すごくプリミティブな感じがするというか。大地から鳴り響いてくる感じがして、得体の知れない高揚感を掻き立てられるようなパワーのある曲だなと。

佐々木:歌とリズムって、原始人にもできたわけですよね。そういうプリミティブなものが一番人間らしいと思ったし、そもそも原始人は“何人か?”なんて気にしないじゃないですか。音楽をやって楽しければ、それだけで通じ合えるというか。プリミティブなことが、俺は今すごく大事だと思っていて。そういう生々しい気持ち良さと、2016年のプロダクションじゃないとできない音とのミックスを「New Tribe」ではしたかったんです。ザブがしっかりとポストプロダクションをしてくれて音をたくさんダビングしてあるのに、すごく生々しい感じがするというのは今のAFOCのバランス感覚を一番良い形で表現できているなと思っています。

●この曲の歌詞からはここから生まれ変わって、また新しいものを作っていくという意志も感じられます。

佐々木:“色んな枠を飛び越えたいな”っていうことはぼんやりと考えていて。10年間やってきて、“すごくたくさんの枠があるな”と勝手に思っていたんですよ。AFOCでも“これはできる/これはできない”とかいうことを考えてしまっていたので、それを壊したいというイメージがあったんです。「New Tribe」という曲名は先に浮かんでいたんですけど、自分の中でモヤモヤと考えていたものがこの一言に集約されているなとふと気付いて。民族や国、性別とかも含めて色んなカテゴライズを飛び越えようという時に、“New Tribe”という言葉がまさにピッタリだった。

●何にも囚われない全く新しい部族というか。

佐々木:ライブのイメージがあったんですよね。その瞬間にものすごいことが起こって、それはその場に来た人しか味わえないっていう。あの喜びはやっぱりライブでしか絶対に得られないから。色んな人が集まっていて自由な場所なのに、1つの瞬間に結束して一緒に熱狂できるっていうのがすごいなと思っていて。そういうライブの結束感みたいなものをイメージしていたし、自分たちでもそれを体現したいんです。でもまだまだこれからだなと思っているので、10年を超えてここからもっと鍛えあげていきたいですね。

●ここから先を見据えている。

佐々木:『NEW TRIBE』がゴールじゃなくて、AFOCが唯一無二の存在になれるかどうかは“ここからだな”と思っているんです。最近はここから先の良いイメージみたいなものがどんどん持てるように、自然とバンドがそうなっているなという感覚があって。自分でも期待しているし、もっとそういうことができそうな予感しか今はしていないです。

Interview:IMAI

 

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