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SPECIAL LIVE REPORT:cinema staff自主企画「シネマのキネマ」

必死に駆け抜けた10年の軌跡。ここで得た確信が“次”へと導く

2016/11/30@東京キネマ倶楽部
cinema staff / Halo at 四畳半 / HOWL BE QUIET / Ivy to Fraudulent Game

現メンバーで活動を始めてから10周年を迎えたcinema staffが、自主企画「シネマのキネマ」を東京キネマ倶楽部にて開催した。今回は自分たちよりも下の世代のバンドたちとの競演ということで、対バンに決まったのはHalo at 四畳半、HOWL BE QUIET、Ivy to Fraudulent Gameの3組。いずれも今後のシーンで最前線に飛び出しそうな才能と可能性を兼ね備えた新進気鋭のバンドたちが集結したこともあり、会場はSOLD OUTの大観衆で埋め尽くされた。


■Ivy to Fraudulent Game

先陣を切ったのは、Ivy to Fraudulent Game。cinema staffにも同名の楽曲が存在する「青写真」から演奏をスタート。性急なビートのイントロから、切っ先鋭いソリッドなサウンドを叩きつけていく。蒼さがほとばしるかのごとき荒々しく衝動的なステージングの一方で、G./Vo.寺口の伸びやかで色気のある歌声と独特なメロディも印象的だ。MCで「楽しすぎてワンマンだと思っていた」と寺口が語ったようにこの機会を心から楽しみつつも、どこまでもアグレッシヴなパフォーマンスで強烈なインパクトを観衆に残していった。


■HOWL BE QUIET

「From Birdcage」でライブが始まった瞬間に、空から光が射し込んでくるような感覚で会場を包み込んだのはHOWL BE QUIETだ。続く「ライブオアライブ」では、まるで天高くへと飛翔していくかのような感覚に。Vo./G./Pf.竹縄が「俺らは俺らなりのロックをしにきた」と宣言したとおり、フロアの手拍子を巻き起こした「Higher Climber」やメジャーデビュー曲「MONSTER WORLD」など、キラキラした輝きに満ちたステージは異彩を放っていた。ラストの「サネカズラ」では想いを込めた歌にじっくり聴き入らせ、その幅広く多彩な魅力を存分に発揮したと言えるだろう。
疾走感溢れる「春が終わる前に」から一気に観客の心を掴んだのは、Halo at 四畳半。2曲目の「アメイジア」では、オーディエンスと共に“ラララ”の合唱で一体感を生み出す。「千葉県佐倉市から来ましたHalo at 四畳半です」というMCにも見て取れるが、とりわけcinema staffをリスペクトする気持ちが強い彼ら。「10代の頃から聴いていた憧れの先輩に、カッコ良い姿を見せたい」という気迫に満ち溢れた「箒星について」では、爆発力を見せつける。ラストは「モールス」で、観る者たちの心を突き動かして渾身のライブを完遂した。


■cinema staff

本当にあっという間に感じられてしまうほどの充実した名演が続くイベントで、大トリを飾るのはもちろんcinema staff。「望郷」でライブの幕を開けると、Ba.三島の「岐阜県から来ましたcinema staffです」という定番の挨拶から一気にバーストしていく。この日リリースしたばかりの『Vektor E.P.』から披露した「エゴ」では、エッジの鋭いギターに骨太のベース、土台を支えるドラムによる強固なバンドアンサンブルを見せつける。その上で普遍的なグッドメロディを歌い上げるVo./G.飯田の特別な声…、“これぞcinema staff”と喝采したくなる姿だ。
MCで「後輩バンドの熱いライブに胸を打たれた」と話すと、彼らの熱量をさらに上回ろうとするかのごとき激アツの後半戦に突入。本編最後の「希望の残骸」まで、先輩らしい貫禄とスケール感で観る者全てを納得させた。鳴り止まない拍手に応えてのアンコールでは、「まだ何も成し遂げていない。でも続けてきて良かった」と語った三島。10年間を必死に駆け抜けてきたcinema staffの軌跡は、次世代のバンドたちの中で確実に息づいている。この日得た実感と刺激を昇華して、来年に生み出されるであろう新たな音源を楽しみに待ちたい。

TEXT:IMAI

 

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