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FABLED NUMBER

身体を揺さぶり、心を震わせ、共に歌わずにはいられない。 唯一無二の個性が炸裂したライブアンセム満載の最高傑作。

N'Eita(G./Vo.)とN'Taichi(Ba./Cho.)の兄弟を軸に、規格外のメンバーが集結した6人組バンド、FABLED NUMBERが遂にメジャーデビューを果たす。初の全国流通盤『Might makes right』を発表した2013年頃から頭角を現し、大型フェスにも多数出演を果たすなど数多くの実績を残してきた彼ら。昨年6月にリリースした3rdミニアルバム『A Revolutionary』で評価と動員をさらに高めると、レコ発ツアーでは東名阪でのCLUB QUATTRO公演も敢行するなど、その勢いは決して止まることがない。今年に入ってからも1/22に自らが主催する“DIE ON ROCK FES 2017”を心斎橋BIGCATで大成功に収め、まさしく満を持してメジャー1stフルアルバム『ILLUMINATE』の発売に至った。1曲1曲に対して徹底的にこだわり抜いて作り上げられた今作は、唯一無二のオリジナリティを持ったキラーチューン揃いだ。紛れもなく最高傑作にして、バンドを次なるステージへと押し上げるキッカケとなるであろう1枚の誕生を記念して、N'Eitaに迫るスペシャルインタビュー。

 

「日本語詞を多くしたいというのは僕らの希望としてありました。全体的に質を上げつつ、自分たちが今一番やりたいことを伝わりやすい形でやりたかったという感じですね」

 

●今回の1stフルアルバム『ILLUMINATE』でメジャーデビューを果たすにあたって、どういう作品にしようと考えていたんでしょうか?

Eita:音楽的には今までやってきたことの集大成というか。メジャーデビューだからといって今までと大きく変えようとは思っていなかったんですけど、日本語詞を多くしたいというのは僕らの希望としてありました。全体的に質を上げつつ、自分たちが今一番やりたいことを伝わりやすい形でやりたかったという感じですね。

●自分たちで日本語詞を多くしたいと考えていたんですね。

Eita:今までは“リードトラックは絶対に英詞にする”というのを決めていたんですけど、イベントとかで対バンのライブを観ているとやっぱり日本語詞のほうが一緒に歌っているお客さんが多いんですよね。自分たちもそういう一体感みたいなものをもっと生み出したいなと思ったんです。あと、本当はこういう歌詞を書いているのに、バンドのイメージとして“ダンスロックをやっているヤツら”くらいにしか伝わらないのはもったいないなという想いもあって。

●歌っている内容もちゃんと伝えたかった。

Eita:だから僕としては日本語詞を増やして、しっかり伝わるようにしたいなという気持ちがあったんです。でも逆に事務所やレコードメーカーからは「英語で歌ってくれ」という要望もあって。だからリード曲のM-2「The Lights」に関しては、レコーディング当日にその場でいきなり日本語詞を取り出して歌ったんですよ。周りは「あれ? 急に日本語で歌いだしたぞ!?」っていう感じやったと思いますね(笑)。でも結果的にみんなにも「これはこれでカッコ良いな」と言ってもらえたので、やっぱり間違っていなかったなと思いました。

●「The Lights」をリード曲にするというのは、どの段階で決まったんですか?

Eita:元々、メンバーは全員M-3「夜の鼓動」をリード曲にしたいと言っていたんですよ。それに加えてもう1曲選ぶとなった時に、「The Lights」かM-8「Two」のどちらかだろうということになって。やっぱりアッパーな曲を最初に出したほうが良いだろうということで、「The Lights」に決まりました。

●「夜の鼓動」は最初から全員一致でリード曲候補だった。

Eita:そっちはみんな一致していましたね。Taichiは作った段階から「これをリード曲にしたい」と言っていたのでそういうイメージで歌も乗せて、最終的に良い仕上がりになったと思います。

●先ほど挙がった「Two」も、リード曲になっていてもおかしくないくらいの良い曲ですよね。

Eita:「Two」は歌い始めが英語で、「The Lights」は日本語なんですよ。やっぱり日本語で歌い始めるというのは今までに比べて1つのわかりやすい変化やし、歌い方も変わっていて。そういう面でのインパクトは必要だろうという意見にまとまって、全員一致で「The Lights」になりましたね。

●明確な変化を感じられる曲を選んだと。

Eita:そういうのもあって、「The Lights」だけはプロデューサーが入っているんですよ。MAN WITH A MISSIONのプロデュースもしている元WANDSの大島(こうすけ)さんに今回は入ってもらって。僕らの場合は今までほとんどTaichi(Ba./Cho. N'Taichi)が1人でサウンド面のジャッジをしていたところに、新たに意見を言ってくれる人が現れたという形だったので、お互いに話し合いながら作業している姿が新鮮で良かったです。

●他人の意見が入ることに抵抗はなかったんでしょうか?

Eita:インディーズ時代はずっと自分たちだけで好き勝手にやってきたから、外部の人を入れた時にどういう変化が生まれるのか見てみたいという気持ちはあって。実際にやってみても窮屈には感じなかったし、色々と意見が言い合えたのも良かったなと思います。

●その結果、「The Lights」は自分たちが想像していたよりも良くなった?

Eita:良くなりましたね。自分たちだけでやっていた時よりも、音自体がまず良くなったから。それは全曲に言えることなんですけど、メジャーに来てからレコーディングに関わってくれている人たちは楽器1つ取ってもすごく大切に考えているなと感じたんです。CD1枚を作ることに対して、レコーディングの段階から思い入れの強さを感じられて。レコード会社が加わることで“ここまでやってくれるんや!”っていう喜びもありました。

●メジャーに行って良かったという実感がある。

Eita:レコーディングに関しては特にそうですし、たとえば宣伝だったり今まで自分たちだけでやっていた部分についても手伝ってくれる人数が増えていて。みんなが思い入れを強く持ってやってくれているので、本当に助かっていますね。

●そういう環境でやれているからこそ、もっと広げたいという気持ちも強くなったのでは?

Eita:もちろん、もっと広げていきたいという気持ちはありますね。

●今回は一緒に歌える曲が多いのも、そういう気持ちからなのかなと。

Eita:そうですね。ライブでの動員数も増えてきて、フェスとかで大きなステージに立たせてもらうことも多くなって。そういう時に自分たちよりも大きなステージに出ているバンドのライブを観て、“こんな曲をやれば、こういうふうにお客さんが盛り上がるんや”というのがわかったりもしたんです。それを自分たちの楽曲や歌に置き換えて、どういう盛り上げ方をすれば良いのかというのを考えました。

●その考えた結果が曲に活かされている?

Eita:自分はそこで、“一緒に歌いやすい歌詞にする”というところなのかなと思ったんです。今までは自分の歌いやすさというところだけを考えがちだったんですけど、今回は“ここは日本語で、ここは英語”という感じでメリハリをちゃんと付けようと考えるようになって。

●日本語と英語のメリハリが重要だと。

Eita:「夜の鼓動」はサビの部分が最初は英語やったんですけど、日本語を入れてみようと思って“星に願いを”という言葉を入れてみたら曲にも違和感なくハマって。この前の“DIE ON ROCK FES 2017”(2017/1/22@心斎橋BIGCAT)で初めて演奏してみたら、みんなが歌ってくれたんですよ。ミュージックビデオにも歌詞を載せてみたりしたんですけど、やって良かったなと思いました。“この曲はこれからどんな場所に立ってもやっていけるな”というのも実感できて、すごく良かったですね。

●実際にライブで一緒に歌ってもらえることを実感できている。

Eita:ずっとライブをしながら今回のレコーディングに入ったので、歌の感じも曲調もどうすれば一緒に歌いやすいのかを考えていて。「The Lights」の曲調やテンポって実は、前にリリースした「YES」(シングル『FIRE』収録)に似ているんですよ。でも「YES」ではお客さんがめちゃくちゃ暴れるのに対して、「The Lights」では全くそういうことはなくて曲をちゃんと聴いてくれている感じがしたんです。それを見た時に、“テンポとかそういうところだけじゃなくて、言葉や歌い方にも左右されているんやな”と気付きましたね。

●日本語だとよく聴けば意味が伝わるので、お客さんもちゃんと聴こうとするのかなと。逆に英詞の曲だと意味を考えるよりも、音に身を任せて踊る感じになるというか。

Eita:それは絶対にあると思いますね。「The Lights」は年末のフェスくらいからずっとやっていたんですけど、お客さんが僕を見ている目の感じが他の曲とは違うような気がして。アッパーな曲で日本語詞やと、良い雰囲気になるのかなと思いました。

●言葉という点では、今回の歌詞は“愛”をテーマにしたものが多いなと思ったんですが。

Eita:昔からずっとそうなんですけど、僕はラブソングを中心に歌ってきていて。1stミニアルバム『Might makes right』(2013年)に入っている「We don't care what you break my mind」という曲の歌詞にも、“俺が歌っているのは愛のことばかりだけどね”みたいなことを書いているんですよ。その当時は自分の内面的な部分をまずは出していて、それに共感してくれる人が多かったというのもあって。

●ラブソングや自分の内面を描くような楽曲は、初期から多かった。

Eita:今回のメジャーデビューアルバムを作るにあたって出した候補の中で、次作以降にまわした曲の中にはたとえば誰かを応援するようなものもあったんですよ。でもメジャーへ行くというタイミングで、“大丈夫だよ”みたいな歌詞はちょっと違うかなと思って。人の夢を応援するような歌とか第三者のことを語るような歌じゃなくて、自分と誰かの間にある感情や“僕はこういう人間なんですよ”みたいな歌詞を連ねるほうが人間くささが出るのかなと。今回はそこを出したかったというのがあったので、メンバーも“今回はラブソングが多いな”と思ったでしょうけど、あえてそうしようと決めていたんです。

●今のタイミングで歌うべきものが何かを考えたんですね。

Eita:自分としてはまだ他人を応援するような時期には来ていないと思うから。メジャー1stアルバムということで“どんなヴォーカルなんやろう?”となった時に、アーティスト写真だけじゃなくて歌詞も読んだ上で理解する人も多いと思うんですよ。そういう時に歌詞を読んで“こういうことを考えている人なんや”っていうのが伝わるほうが良いかなっていうのはありましたね。

●確かに「The Lights」のミュージックビデオを初めて見た時に、内面のやわらかい部分を出してきているように感じました。

Eita:刺々しさというよりは、そういう感じなんですよね。今までは歌詞の内容がそういうものでも、歌い方はあんまり変わっていないことが多かったんです。でも今回はスタッフとも相談しながら、1曲1曲で歌い方を変えたりもしていて。ちょっとやわらかい感じの歌詞やったら歌い方もそれにマッチしたものに変えているので、余計にそういうふうに感じるのかなと思います。

●繊細な感情表現の幅が増したというか。

Eita:まさにそういう感じやと思いますね。昔からの流れを知らない人が「The Lights」の歌詞を見たら、「こんな歌詞を書くんや!」ってなると思うんですよ。“誰かから「会いたい」と言われるだけで自分はつい喜んでしまうけれど、本当は君から「好き」って言って欲しいんだよ”っていう内容になっていて。これをどうやって歌詞に書き起こして、アッパーな曲調に入れ込んでいくかというのを考えましたね。

●サビの“会いたい”はかなりストレートな表現ですよね。

Eita:サビの頭は“あ”の母音から始まりたいというのに僕はこだわっているので、今回は“会いたい”という言葉を選んだんです。英語で書いていると、どうしても歌詞の表現がストレートになっていくんですよね。海外のアーティストを聴いても、感情をさらけ出していくような、わかりやすいものが多くて。

●そこからの影響も大きい。

Eita:こんなにストレートな歌詞を書いて歌っているけど、しっかりとカッコ良さも表現できているなと思っていて。力強さとやわらかさとの間の絶妙なラインに置けたかなと思えるので、そこはすごく良かったですね。

●M-4「オーケストラック」もFABLED NUMBERならではの独自感があって、良い曲だなと思いました。

Eita:僕らはこういう曲が得意なんですよね。Taichiから最初にデモをもらった段階では、僕はこれが一番気に入っていて。歌を付ける時もすごく悩んで、4回くらい作り直したんです。シンガロングじゃなくて、“合唱”っぽい感じの歌を日本語で入れて、“こういう曲をやってみたかった”というものをバッチリやれた感じがしています。僕がお客さんやったら、この曲をライブで聴きたいですね。

●M-10「キライな君はもういない」はアコースティック系の曲ですが。

Eita:僕らのライブでは、毎回アコースティックのパートがあるんですよ。だからアルバムを作るなら絶対に1曲はアコギだけの曲が欲しいと思っていたので、今回はこの曲を入れました。ライブでも良い時間で使えそうだし、自分でもすごく気に入っているのでどんな感じで歌おうかなと考えています。

●本当にどの曲もリード曲に匹敵するようなものが揃っているなと感じました。

Eita:M-5「World Joke」は全部英詞なので歌詞の内容もカッコ良い感じに寄せたんですけど、めっちゃ良い感じにできたと思っていて。M-6「Let You Cry, Let You Fly」みたいなロックバラード調の曲も入れたりして幅広い作品になっているので、すごく良い広がり方をしてくれるだろうなと思っています。このアルバムを作れて本当に良かったし、ここから一気に変わっていきそうやなっていう予感もあるんです。過去の作品からも自信のある2曲をバッチリ入れての全12曲という感じですね。

●「キライな君はもういない」でいったん落ち着いた後に、ライブでは定番のキラーチューンが最後に2曲並んでいる展開が良いなと。

Eita:この後にあの2曲が来るっていうワクワク感を残せるのが良いなと思って。自分自身もこの2曲がすごく好きだし、今でもライブで必ずやっているくらいの曲なんですよ。特に「Don't let me go」なんかは5年くらい前に作った曲なんですけど、今の作品に入っても違和感も全然なく聴けるっていうのが良いですよね。

●そういう曲だから選ばれたわけですよね。

Eita:曲調的にここまでアッパーな感じのものが、今作に向けて出した候補の中にはなかったというのもあって。一番昔のアルバムに入っていた曲なので、この曲を今後もライブでやっていくにあたって、今のタイミングで作品に再び入れておきたいなと思ったんですよね。

●「The King」も同じような理由ですか?

Eita:「The King」もライブアンセムというか。これはお客さんに対して“みんな、ありがとう。ここから俺たちはもっともっと上へと昇っていくんだ”っていう曲なんです。同じようなことを今後もう一度書くというのはちょっと難しいだろうなというのもあって、今作に入れました。

●この2曲が入っていることで、“集大成”的な意味合いも深まるのかなと。

Eita:そうですね。収録曲を発表した時に、この2曲が入っていることを喜んでくれている人が多かったんですよ。ずっと応援してくれているお客さんにも喜んでもらえたということなのかなと。発表した時点ではまだできあがっていなかったんですけど、アルバムが完成してから自分で聴いた時に“これは喜んでくれている人たちの期待に余裕で応えられるな”と思いましたね。

●自分たちでも満足できる作品を作れた感覚がある。

Eita:音楽性もメッセージ性も含めて、今回はみんな大満足ですね。まず“これがFABLED NUMBERですよ。みなさん、よろしくお願いしますね”みたいなものになっていて。“ここから昇っていくんですよ”という挨拶代わりの1枚がバッチリできたなと思います。

●バンドとして上昇していくキッカケの1枚になりそうですね。

Eita:完全にそうですね。今回はDragon Ashやゆずのアートワークをずっと手掛けている河原光さんという方が、アーティスト写真やトータルのデザインを担当して下さって。メジャーへ行くにあたって“どういうバンドとしてやっていくのか”というものを、アーティスト写真やジャケットも含めた作品全体として出せたなと思っています。“これを出してからどうなるのかな?”と思って、今もそわそわしているんですよ。

●まさに新たなスタートを切る作品というか。

Eita:やっぱり曲が変わらないとライブの雰囲気も変わってこないので、アルバムを出したことによって今後のパフォーマンスも変わってくると思うんですよ。お客さんに一体感を生んで、どうやってもう1つ上のステージへと昇っていこうかなと今は考えています。そこに昇れたら、もっとやれるはずだから。今作を足がかりにしてもう1つ上に昇った時に、この曲たちがもっと活きてくるのかなと思いますね。

Interview:IMAI

 

 

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