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SPECIAL LIVE REPORT:SA

ピースフルさとアグレッシブさが共存する、ピーハツでグンバツでイカれた夜

2017/1/29@赤坂BLITZ “LOVE'N'ROLL TOUR”FINAL

メジャー1stフルアルバム『WAO!!!!』を昨年10月にリリースしたSAが、同11月より全国を行脚してきた“LOVE'N'ROLL TOUR”のファイナルを赤坂BLITZで迎えた。この日のために東京だけでなく各地から集結したであろう大勢のコムレイズ(=SAのファン)たちで埋め尽くされ、会場には開演前から凄まじい熱気が漂う。発火寸前のフロアを燃え上がらせたのは、もちろんステージ上に現れたSAのメンバー4人だ。「ハロー! トーキョー! オラが町にSAが来たぜ!」というTAISEI(Vo.)の叫びと共に、「CLUNKER A GO-GO」でライブがスタート。自然に湧き起こる手拍子と大合唱が、初っ端から一体感を生み出していく。
続く「槍もて弓もて」では、前線で早くもモッシュが発生。NAOKI(G.)が笑顔で「ナメんなよ!」と呼びかけてからの「KIDZ IGNITE」では、観客からさらに大きなコールが上がる。「2017年SA決起集会へようこそ!」というNAOKIの挨拶から、この日最初のMCタイムへ。「とても悲しい話があります…」というフリから、TAISEIが今年で50歳になることを発表。マイナーコードのギターをバックに哀愁を込めて今の心境を即興で歌う姿に、笑いと温かな拍手が贈られた。そんな和やかな空気から、「runnin' BUMPY WAY」で再びフロアに強烈な炎を投下するSA。エネルギッシュ極まりない動きを見せる4人の姿は到底、アラフィフとは思えない。
「このメンバーで今年で16年目、出会いと別れを経験しながら走ってきた」と語った後に、男同士の別れの寂しさを歌った曲「Andy」を熱く歌い上げるTAISEI。聴く者の胸を震わせた後は、「WONDER WORKER」からアッパーチューンの連発で容赦なく身体を揺さぶりにくる。「東京、最高!」と叫んでからの「RALLY-HO!」では、ドラムセットを囲んだNAOKIとKEN(Ba.)がSHOHEI(Dr.)と向き合いながら笑顔で演奏。ステージ中央に立ってコムレイズを扇動しながら歌うTAISEIも含めた4人の姿は、本当に心から楽しそうだ。「16年やってきて初めてのBLITZ、良い景色じゃない?」という言葉に、誰もが頷いたことだろう。
元々は男女のラブバラードのつもりで作った歌が、今回のツアーを通じてメンバーやコムレイズを含めた“俺たちの歌”になった。そう話してからの「はじめてのバラード」をじっくり聴き入らせた後は、SAのスローガンを体現する「DON’T DENY, GIVE IT A TRY!!」から怒涛の後半戦に突入。メジャーデビュー後にリリースした新たな名曲「START ALL OVER AGAIN!」と「ピーハツグンバツWACKY NIGHT」で本編を締め括るまで、一気に駆け抜けていった。アンコールではツアータイトルにもなっている「LOVE’N’ROLL」で、コムレイズにSAの愛を存分にくらわせていく。ラストの「GO BARMY KIDS」では全ての観客が肩を組んで揺れ、まさにピーハツでグンバツでイカれた夜を大団円で終えた。
ジャンルは“SA”で行きたいとメンバーが語るとおり、パンクだろうがロックだろうが、こんなピースフルさとアグレッシブさが共存する独自の空気感に満ちたライブは他にないだろう。「16年目もガツガツドカドカで攻めていきます!」と力強く宣言した4人は、4月に京都と東京で自主企画イベントを開催することも発表した。未体験の人にはぜひ一度、このライブの空気を味わって欲しいと願う。

TEXT:IMAI
PHOTO:MAYUMI-kiss it bitter-

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