音楽メディア・フリーマガジン

THE SKIPPERS

新たなステージに立つ、THE SKIPPERSの進化と深化



「10代のTHE SKIPPERS結成時の頃のJAGGERを知っている。今と少しも変わらない純真で強い意志。彼の魅力はブレない事。そして、優しい事。」

●5年ぶりの単独インタビューですね(笑)まず、東北ライブハウス大作戦のメインアクトでのヨーロッパツアーはどうでしたか?

JAGGER:めちゃくちゃ! 良かったですね。始めて海外に行ったんですけど、揉まれてきたって感じですね。日本で盛り上げる感じが通用しない、勢いでやっただけでは何も伝わらないのを実感しました。

●フランスから帰って来てどうですか?

JAGGER:いやーよかったですね。お客さんも、バンドマンもみんながお帰りといってくれて嬉しかったですね。ただ、海外で経験したことを出せるかどうかは不安でした。

●経験したこととは

JAGGER:外国の人に向けてやるライブは、落ち着かせて、寄り添ってとかっていうやり方を10日間試行錯誤し続けて、自分達では成長したと実感はしたのですが、はたしてそれが日本で通用するのかがわからない。

●なにを感じて成長だと思ったの

JAGGER:成長というと、もしかしたら違うかもしれないですが、日本でやるライブと同じようにしても外国では通用しなかったので、“間”を大事にしましたね。落ち着かせる、寄り添うという余裕を持たせるテンションというか

●それが伝わったという感触があった。

JAGGER:まず、日本人が来たからといって僕らのことは知らないし、別に来ただけじゃ盛り上がりもしないんです。むしろナメめられてるぐらいの感覚で、こちらから声をかけることでだんだん前に来てくれるようになりました。最後はモッシュしてくれる人もいたりして。

●フランス、スペイン10カ所の会場で演奏したということですが。

JAGGER:そうなんですよ。だから毎回「今日はダメやったから明日どうしようか」ということを考えて、段階を踏んでいくことで気づかされたことが多かったですね。最終のフェスではかなり盛り上がってくれました。そこで得たものが果たして日本で通用するのか? という不安もありましたが帰ってすぐのライブでばっちりハマりましたね。

●ヴァイブレーションは万国共通なのかもしれないですね。

JAGGER:そうですね。外国人やから伝わるとかではないと思うんですが、僕らのことを全く知らない外国のほうが反応は素直でした。今までは日本でのライブで、暴れる準備をしてくれているお客さんに甘えていた部分もあったのかなと凄く勉強になりました。

●うんうん

JAGGER:バンド始めたときに考えていた、お客さんをどう盛り上げるか、楽しませるかってことを改めて考えさせられましたね。

●その外国から帰ってきてすぐの野外ライブ(LOU DOG PARTY)のお客さんの反応は何か違ってましたか?

JAGGER:よくお客さんにいわれるのは「今日よかったよ」とかなんですけど、「なんかほんまに今日ヤバっかたな!」みたいな感じに変わってましたね。LOU DOG PARTYの前にヨーロッパツアーに行けて良かったなと思います。

●今年からTHE SKIPPERS主催の野外イベントがスタートする訳ですが、そのルーツともいえるイベント『PUNKDRUG NIGHT』が2011年から開催されていて、このイベントの趣旨とは?

JAGGER:バンド単体で大っきいことやりたいなっていう思いがあって。例えば『MASTERCOLISEUM』とか、PANとSABOTENがあんな大っきいことやっていて、最初はMASTER COLISEUMに出ることを目標にしていたんです。でもPANのだいちゃん(Ba.ダイスケ)が「JAGGERもやってみたら?」っていってくれて、でもMASTER COLISEUMほど大きいのはできないのでライブハウスでやり始めたのがキッカケです。

●そこから広がって行ったと。

JAGGER:続けていくうちに全国での繋がりも増えて、思い切って『なんばHatch』でやろうってなって、SOLDはしなかったんですが、手応えがありました。その次のBIGCATはライブの調子も良くなってきているのが実感できて、GOOD4NOTHINGに「来年のSAKAI MEETING決定な!」っていわれて嬉しくて、そして今の僕たちで間違いないんかなと思いました。あれ? 話ズレてきてます?(笑)

●ズレてないズレてない(笑)

JAGGER:15周年やし思いっきりやろうと思ってます。もともとベストアルバムをリリースするのも早いかなと思っていたのですが、今のTHE SKIPPERSを今の曲でだしたいなと思って全部再録音してリリースしました。

●『PUNK DRUG NIGHT』の集大成であり、結成15周年でもあるしというところで、出身地である『池田』の野外でのイベントになりますが、地元でやるというのはなにか思いがあってのことですか?

JAGGER:地元が好きでしょうがないとかっていう訳ではなく、むしろバンド始めたときは早くこの街をでて早く成功したいという思いが強かったですね。でも15年やってきて、地元にCDショップが無くなって、楽器屋もなくなったりして昔とは変わってきている地元の現状があって、それをフェスで変えれればカッコイイかなって(笑)

「絵を描くことが好きだった少年は、ペンをギターに変えて、心のモヤモヤ、葛藤を詩に綴る。そして、彼の中のスター達と今、同じステージに立っている。」

●今回の出演者の選出は?

JAGGER:僕らが好きな、ちゃんと通じ合ってる感があるバンドに声をかけたって感じですね。僕の中ではみんなスターやと思ってます。

●My Hair is Badはレーベルメイトでもあるし、THE SKIPPERSのファンでもあると聞いたことがありますが。

JAGGER:最近は対バンはあんまりしてなかったのですが、以前はお客さんとしてよくライブにきてくれていて、新潟県や長野県までもきてくれて嬉しかったですね。そんな子らがめちゃくちゃ売れてて、そういうのは悔しいと思うタイプなんですけど、なんかMy Hair is Badに関しては、嬉しいなっていう気持ちが先にきましたね。

●7月26日にはシングルがでますが、“今”だから意味のあるCDですよね。

JAGGER:そうですね。やっぱり地元への想いとか、しっかり繋がるなというか自分の居場所なんやなっていう感じですね。自分が勝手に悪い思い出にしてたことがそうじゃないんやなっていう。

●シングルも、イベント開催も気持ちが乗り移ったように見えますね。ちなみにファンの年齢層が上がってきていると聞いたのですが(笑)

JAGGER:そうなんですよ! 実はおっちゃんに向けて書いた歌詞があったので

●あえておっちゃんに向けて書いた?

JAGGER:あえてじゃないですね。携帯電話で歌詞を書きながら歩いていたときに、前にいたおっちゃんが自転車で転けたんですよ。そして「死にたい」っていってて、酔っぱらってたんでそのままタクシーに放り込んだんですけど、そこでいろいろ勝手に想像して歌詞を書いたんです。僕も少なからずお酒に逃げた経験もあるし、丁度レコーディング1日目が終わったところで歌詞を書かなヤバイなと思っていた所だったので、神様がこの曲のためにおっちゃんサラリーマンを落としてくれたんかなって思いましたね(笑)

●リード曲も増え、おっちゃん達も増えて良いことばっかですね(笑)

JAGGER:曲作る前は若い人向けの曲作るつもりで、できそうやってレーベルにも話してたんですけど蓋開けたら“おっちゃん”向けの曲だしたもんやから(笑)

●ライブ会場でも若い子とおっちゃんの助け合いがよくあるとか。

JAGGER:そうそう! おっちゃん達が若い子らが飛んだりすのを支えてくれてるんですよ。おっちゃんが治安維持してくれてるんです(笑)いいコラボしてるんですよ!

●ステージからちゃんと見えてるんですね。

JAGGER:嬉しいんでよくみてますよ!

●また話変わりますが、外食事業も経営していると聞いたのですが(笑)

JAGGER:そうです! 僕は庄内のホットドック屋さんのオーナーでもあるんですよ。(※インタビュー中にパン屋さんより発注確認の電話が入る)すいませんちょっと発注してもいいですか(笑)

●JAGGERさんはインタビュー中に本当にパンの発注をしています(笑)

JAGGER:パンが少なくなってたんで(笑)

●なにか憧れがあってオーナーに?

JAGGER:なんか若い子達が集まってくる場所で話してるおっちゃんとか、そういうのいいなと思って。優しい名物おっちゃんみたいな。バンド的にもイメージが崩れない仕事にもなってるし、お客さんの輪もそこで繋がっていければなと思ってます。

「何も感じなかった生まれた街。振り返る事のなかった地元。何故か今、必然的に引き寄せられる重なる偶然。自身のルーツが喜びを運んできた現実に感謝する日々。」

●自分のやりたいことが着実に進んでる感覚ですか。

JAGGER:そうですね。自分のやりたいことの土台はしっかり出来ましたね。集まってくれる人達も理解してくれるのが嬉しいですね。

●JAGGERの成長と共にバンドも変わってきている?

JAGGER:やっぱり自分がまず変わらないとなと、客観的に昔の自分を見れるようになりました。昔は気持ちをコントロールできなかった自分が居ていつも怒ってました! でも今は調子がいいですね。

●今度のフェスは何をもって成功となりますか?

JAGGER:まず赤字でなければ成功です(笑)やっぱり赤字になっちゃダメですよね(笑)

●でた! 経営者の顔(笑)

JAGGER:うそうそ(笑)誰もが、お客さんも出演者もスタッフも、みんなが笑ってくれれば成功やなと思います。やっぱりモメ事があったりしたら壊れるものもあるし、なによりも
「楽しかったな。また来年もやってほしいな」っていってくれたらより嬉しいです。赤字にならんかったら余計に嬉しいです(笑)

●ハハハ(笑)赤字回避は強調しておきますね(笑)

JAGGER:お願いします!

●地元の池田にパンクキッズが集結するわけですが。

JAGGER:僕からしたらあり得ないことなんですよね。池田って遊ぶ所が多い訳でもなければ、観光地としても目立つようなとこもないんですよ。そんな所に若い子達が集まってくることなんか滅多にないのでワクワクしますね。

●昔は地元に対してなにも思い入れはなかったと聞きましたが。

JAGGER:実家に帰ったときに少し悩みごとがあって、おかんに相談したんですよ。もともとおかんと仲良かった訳ではないんですけど、相談ちゃんと聞いてくれて地元は良いなって自分の中でなりました。

●お母さん“いいな”じゃなくて?

JAGGER:照れくさいんでそれはないんですけど、感謝の気持ちというか、昔よりも30歳過ぎてやっとおかんに素直になれたかなって思います。20歳過ぎてみんな気づいていくことを今やっと気づいているのかなって思いますね。遅いな(笑)

●遅いってことはないと思うよ。

JAGGER:早く人間になりたい(笑)

一同:ハハハ

Interview:PJ

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