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drumkan

インディーシーンの礎を築いた孤高のバンドが再び動き始める

drumkanが2007年の解散から10年の時を経て、オリジナルメンバーでの再結成ワンマンライブを11/19に下北沢SHELTERで開催する。Sunny Day Real Estate、Elliott、Sense Fieldなど海外のバンドとも数多く交流し、その後の日本のインディーシーンが隆盛を迎える礎を築いた彼ら。“rebranding”を掲げて今再び動き出した経緯と、現在の心境を率直に語ってもらった。

 

●アルバム『AS LIFE』(2007年)以来のインタビューになりますが、その年に解散したんですよね?

Tsugahara:リリース後のツアー中に解散しました。ツアー中に、打ち上げで「呑みに行こう」となって。その時に当時のメンバーが1人「先に休みたいから、行かない」と言ったので、「じゃあ、解散だ!」と(笑)。

●そんな理由で(笑)!?

Tsugahara:超くだらない理由です(笑)。もちろん色んな事情があるのもわかるんですけど、当時はそれが切ないなと思って。あとは、やっぱり12年間ずっと走り続けてきたということもありますね。初期から数えると、相当な回数のメンバーチェンジを繰り返してきたから。

Kojima:要因はおそらく、そこなんですよね。やっぱりメンバーが定まらないと、楽曲も定まらないんです。たとえば僕がいた頃はいわゆるUS EMO的な方向性でやっていたけれど、脱退した後はそういう音楽に対する感度がないメンバーも入ったりして。そうなると「また歌ものに戻そうか」となったりして、ちょっとしたブレがだんだん大きくなっていったんですよね。

●メンバーが定まらないことによって、バンド全体の方向性も定まらなくなっていた。

Tsugahara:リスナーから見ても、作品ごとに毎回メンバーチェンジしているなという印象があったと思うんですよ。『Louisville』(2004年)、『SAVE THE WORLD』(2005年)、『AS LIFE』と3枚のアルバムをコンスタントに出したんですけど、結果として全体的な楽曲のイメージは定まっていなくて。あとは12年間やり続けてきた中での疲労もあったと思いますね。メンバーもみんな良い年になってきて、仕事をやりながらバンドをやるのが前提になっていたから。

●歳を取るにつれて、だんだんバンドと仕事の両立も体力的にきつくなってきますよね。

Tsugahara:平日は仕事をして土日にツアーに出るとなると、やっぱり疲れてしまうんですよね。ある意味、バンドが“義務”的な感じにもなってきて…。さっき話した“呑みに行かなかったから解散”というのはギャグなんですけど、そういうところも重なったのかなと思います。

●色んな事情が重なっての解散だった。

Tsugahara:それで解散を決めて、2007年の11月に新宿LOFTでワンマンをやって締め括ったんです。

Kojima:辞めてからは会っていなくて、解散ライブも僕はこっそり観に行ったんですよ。だから脱退してから今回の再結成に至るまで、10年近く会っていなくて。

●そんなメンバー同士が再び集まったキッカケとは?

Kojima:Sense FieldのJon Bunch(Vo.)が去年亡くなったことですね。

Tsugahara:JonはSense FieldとFurther Seems Foreverという2つのバンドでボーカルをやっていて、どちらも僕らが日本に呼んで一緒にツアーをしたことがあったんです。僕もLAで一緒に飲んだりして、相当仲良くなったんですよね。それで彼が亡くなった時に(Sense Fieldが所属していた)Revelation Recordsから「追悼ライブをやるから、Gamefaceというバンドのバックボーカルとして来ないか?」という話を最初にもらって。でもそこはやっぱり一緒にツアーもまわったdrumkanとして出たいという話をしたら、OKが出たんですよ。

●それが再始動のキッカケになった?

Tsugahara:そこから色んな人に電話していく中で、オリジナルメンバーのGoro(Shimizu)が2つ返事で「行っても良いよ」と言ってくれて。

Kojima:僕もGoroから電話をもらったんですけど、さすがに急すぎて無理で。でも国内でやるならウェルカムだという話はしていたんです。

●Kojimaさんも前向きな気持ちではあったんですね。

Tsugahara:その時は結局ドラムとベースはサポートで3曲だけやったんですけど、意外と感触が良かったので「またやっても良いね」という話はしていて。そこから1年くらい経って今年の初めにKojimaに連絡を取って、動き始めました。“やるならやるで、ワンマンでもやってみるか”ということで11/19の下北沢SHELTERを決めたので、そこに向けて今は猛特訓中ですね(笑)。

●久々に演奏することになるので、大変な部分もある?

Kojima:自分も辞めてから他のバンドで演奏はしていたんですけど、drumkanの曲をやるのは10年以上ぶりで…。あと、Goroが参加していた時期はすごく短いんですよ。『blend』(1999年)というアルバムを1枚作っただけで、それ以降の作品の作曲には関わっていないんです。改めてやるとなった時に、自分が作った曲ではないというところも1つ苦労した点ですね。

Tsugahara:でもワンマンに向けて今の自分たちなりにアレンジをしている中で、だんだん形にはなってきていて。良いものは見せられるんじゃないかと思います。

●『blend』はdrumkanにとって、起点になったアルバムなのかなと思うんですが。

Tsugahara:そうですね。僕らにとって“はじまり”の1枚だから。Kojimaが加入して、それまでの曲を全部ガラッと作り変えて挑んだのが『blend』だったんです。だから、本当の1stアルバム的な位置付けなんですよ。

Kojima:やっぱり『blend』がdrumkanのルーツになっているところがあって。歴代のギタリストが意識してきたアルバムだと思うんです。そこから色々と派生していったので、今回その時のメンバーでやることによってバンドとしてのまとまりも増しているんだと思いますね。

●ワンマンなので曲数も当然多くなるわけですよね?

Tsugahara:曲数は結構やろうと思っているので、大変ですね。実は解散ライブが、12年間で初めてのワンマンだったんですよ。お客さんも曲が多いほうが喜んでくれるだろうなというのもあって、今回もワンマンにしました。各アルバムから曲をチョイスしたセットリストで、もう一度drumkanのライブを観てもらいたいという気持ちもありますね。

●今回の再結成に“rebranding”と銘打たれたのは、ここからまた新しいdrumkanというバンドを作っていくというイメージでしょうか?

Tsugahara:そういう位置付けですね。新たに曲を書いたりもしているので、できればリリースも今後やっていきたいなという気持ちもあって。

Kojima:せっかくまたやるなら、前の良い部分と今の良い部分を掛け合わせたいというところがあったから。単に昔の思い出を掘り起こして懐かしむだけの再結成じゃないんだという意識をちゃんと持って、11月のワンマンには臨まないといけないなと思っています。

Interview:IMAI

 

 
 
 
 

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