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MunizO-無二三-

世界最大のライブコンテスト“エマージェンザ”特集#3:誰にも真似できない音楽が、世界を熱狂させる。

優勝者は3万人を動員するドイツの野外フェス“タウバタール・フェスティバル”で演奏できるという世界最大級のライブコンテスト・“エマージェンザ・ミュージック・フェスティバル”。そこで2013年に優勝したのが、兄弟ロックデュオ・TarO&JirOだ。2015年からはドラムにYutaを迎えて、MunizOを結成。カナダのトロントで路上ライブから活動を開始するとその唯一無二のパフォーマンスが話題を呼び、現地の著名メディアでも大きく取り上げられた。数々の偉業を成し遂げた後に今夏帰国し、1年半ぶりに日本での活動を再開した彼らに迫るインタビュー。

 

●前身のTarO&JirO時代の2013年に、“エマージェンザ・ジャパン”で優勝されたんですよね。

Taro:その時に優勝できたのは、路上ライブが大きかったと思いますね。エマージェンザに向けて路上ライブをたくさんしていたら、ファンも増えてきて。その流れで優勝できた感じです。

●実際に出場してみて、エマージェンザの魅力は何だと思いますか?

Taro:シンプルに“良いアーティストを発掘しよう”としてくれているのを感じましたね。今度はMunizOとしても出たいんですけど、スタッフからは「ゲストとして出て」と言われています(笑)。

●ハハハ(笑)。優勝後にドイツの“タウバタール・フェスティバル”に出た印象はいかがでしたか?

Jiro:実はそこでのステージは、全く本調子じゃなかったんですよ。

●えっ、そうなんですか?

Taro:その時点でメジャーデビューが決まっていたし、“エマージェンザ・ジャパン”でも優勝して、“ここまで頑張ってきたから休みを取ろう”と思って。しばらく休んで、その期間は全く練習もしなかったんです。そのままドイツ入りして現地で音を合わせてみたら、全然声は出ないしギターは忘れているし…。思い出したくもないくらいズタボロでしたね(笑)。

Jiro:今でも申し訳ないなと思っていて。ドイツまで行けたのに、そこで本領発揮できなかったのが本当に悔しかったから。

●だから今度はMunizOとしてリベンジしたいんですね。

Jiro:そうなんです。あと、ちょうどその頃に色んなフェスにも出ている中で、“ドラムがいないとダメだな”ということをすごく感じていて。それが今の活動に繋がっていると思います。

●そこでドラムにYutaさんを迎え入れて、MunizOを結成したと。

Taro:前に一度対バンをしたことがあって、その時から目をつけていたんです。

Yuta:MunizOに誘ってくれたタイミングも運命的だったんですよ。僕は前のバンドや仕事も捨ててロサンゼルスに3ヶ月留学していたんですけど、帰国前日にふと“帰ったら何もやることがない”と気づいて(笑)。そうしたらちょうどその日の夜、寝る直前に「一緒にやろう」という内容のメールが来たんです。ドラマみたいな展開でしたけど、それで本当に救われました。音楽も抜群にカッコ良かったから、“このバンドで音楽人生を終わろう”と思って。

●それくらいの気持ちで加入したんですね。そして今年の夏までの1年半は、カナダのトロントで活動されていたそうですが。

Taro:2016年の3月にトロントに行ったんですけど、最初は街のパブみたいなところでオリジナル曲を歌えるスポットがあったので、そこに週2〜3回行って徐々に友達やコネを増やしていきました。でも僕らが一番出たかったのは、The Rolling Stonesも出たHorseshoe Tavernという老舗のライブハウスで。“絶対にそこでやろう”と思ってメールを送っていたんですけど、全然返信がなかったんです。

●最初はまるで反応がなかったと。

Taro:それで4月の半ばくらいから“とにかくできることはやろう”と思って、路上ライブを始めました。そうしたら“プログレッシヴでマスロック的な面白い音楽をやっている日本人の3人組がいるぞ”という噂が広まっていって。その流れで、出たかったライブハウスから「5月末のノーチャージの月曜の夜だったら出してやるよ」という連絡がきたんです。

Yuta:そこは一番敷居の低い日なんですけどね。

●とはいえ、出演するチャンスは手に入れたと。

Taro:“ナメられているな”と思いながらも、逆に俺たちは燃えちゃって。“それなら思いっきりお客さんを呼んでやろうぜ”と思って、毎日3人で色んなところに行って路上ライブを繰り返していたら、当日は100人以上も来てくれて。ライブハウスの人も大喜びしてくれました。

Yuta:向こうの路上ライブは、日本と違って本当に人が立ち止まってくれるし、30分以上も観てくれる人が多いんですよ。しかもちゃんとチップを入れてくれて、チラシも受け取って「行くよ!」と言ってくれた人は、本当に来てくれるんです。

●“良い”と思ったら、本当に応援してくれるんですね。

Taro:向こうの人は、シンプルに好きだったら「好き」と言ってくれるんですよ。その人が何歳だとかどこから来たかとか関係なく聴いてくれるので。

●その音楽の本質を見ているというか。海外で活動している時は、日本人であることを意識しましたか?

Jiro:“日本人”というよりは、“自分たちの音楽”にプライドを持っているので、特にそこを意識してカラーを出そうとは思わなかったですね。

Taro:浴衣を着てやっていたけどね(笑)。

●めちゃくちゃ日本人的な格好をしているじゃないですか(笑)。

Jiro:浴衣が楽なんですよ。ステージ衣装を毎回替えたりするのが面倒なので、トロントにいる時は浴衣を着てやっていました。

●海外での活動から得たものは?

Taro:海外に行くと、単純に“1人の人間”として強くなるというか。色んな人種の人がいるし、色んな言葉が聞こえてくるので、“自分は何なのか”ということを考えさせられますね。日本人である前に“自分”としてのアイデンティティを持っていないとわからなくなるので、そういうところが強くなりました。それが自信にも繋がってきます。

●そして今年の夏からは、再び日本での活動を始めたんですよね。

Taro:そうですね。やっぱり日本は環境が整っていて、音楽をやるのに適しているから。ロックな音楽が少なくなってはきているけど、“それだったら俺らが先陣を切って良い音楽を聴かせてやろう”と思っていて。今は日本でやるのが楽しいです。あとユニバーサルミュージックから配信で1曲リリースしたんですけど、これをきっかけにまた海外のフェスとかにも出たりして世界で活躍していきたいですね。早く自分たちの音楽をみんなに聴かせたくてウズウズしています。

Interview:室井健吾


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